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一年
校舎裏にて
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予鈴が鳴って生徒たちは自分の席へと座る。俺の隣はセイヤ、後ろにケイタがいるため元より椅子に座っていたから関係なく談笑していた。
取り巻きが自分の席に戻ってもアスカに話しかけ続ける織田を時折睨みつけながら。
「いや~…大和は分かりやすいわ」
「隠すつもりはさらさらないからな、席替えとかいつあるんだ?」
「中等部のころには無かったよ、ずっとこの席」
「嘘ぉ!?」
「本当本当、織田の意見が通ったんだよ。『席替えに費やす時間があるなら勉強するべきだ』だったかな?三年間席替えしたことなかったよ、俺たち」
「………そこまでしておいて、何であいつは告白してへんの?」
「さぁ?何か考えがあるのか、すでに振られているのかだと思うけど」
なんてことだ…あのドキドキの時間がないだと…窓際で外を眺めながら授業を受けることができないだと…。
何としてでも席替えを復活させねば…。
あ、本鈴が鳴った。
「席についてるか?ホームルームを始めるぞ。まぁ、今日は自己紹介で終わらせるつもりだ。俺はこのクラスの担任兼英語を担当している犬飼大洋だ。一年間よろしくな」
本鈴が鳴ったと同時に教室に入って来た、キビキビとした男性がこのクラスの担任とのこと。
予鈴で全員座っててよかった、座ってなかったらどうなっていたことかわからない雰囲気を醸し出している。
この先生の授業に限らないけど、真面目に受けておこう。
俺はセイヤに目配せし、セイヤも同じように頷いた。
「中等部の生徒は俺のことを知っているだろうが、受験組は初対面だからな。俺から自己紹介しておこう。犬飼大洋、36歳。学年の副主任も兼ねている。浮ついた態度で授業を受けようものなら、教室から追い出すからな。英語に関して質問があるならいつでも職員室に来てくれて構わない。最後に、好きな食べ物は焼肉だ。以上」
おいこら、最後に何を付け足しやがった?
真面目そうな先生がそんなことを付け加えたら、1番のアスカが…。
「えっと…僕は天使飛鳥、中等部からの進学組です。得意科目は数学、苦手科目は歴史です。えっと…好きな食べ物はヤマト…んっ、武蔵くんの作った料理です」
ほら見ろ、生真面目なアスカが釣られたじゃないか。
これは皆が言っていく流れになったなぁ…あとアスカ、こっちを見ながらそんなこと言うなよ、嬉しいだろうが。
でも良かった、精液とか言われたらどうしようかと本気で困ってたからな。
「俺も中等部からの進学組です。織田正義、得意科目は数学です。好きな人のタイプは朗らかで可愛い人、嫌いな人のタイプは平気な顔で横取りをする人です」
おおぅ、織田のやつ……良くやった。
これで食べ物関連を言わなくてもOKになったのはありがたい、正直興味ないから。
そして睨みながら俺の方を見るな、変な勘違いされたらどうしてくれる?
出席番号3番の海崎海崎というやつに順番が回ったころ、ケイタが後ろから話しかけてきた。
「織田のやつ、わかりやすいな」
「まったくだ、万が一好かれていると勘違いされたらどうしてくれる」
「いや、そっちに捉える奴はおらんて。皆あいつが大和を敵視してるの知っとるからな?」
この時間の私語は特に注意されず、自己紹介中雑談してても犬飼先生は黙ったままだった。
あ、これやばい。あとで注意されるやつかもしれん。
「セイヤ、ケイタとりあえず感想は後にしよう。先生が何か狙ってる気がする」
「OK、休憩時間に語ろう」
「せやな、真面目に聞いとかなあかん」
俺たちは姿勢を正して皆の自己紹介を聞くことにした。
俺たちの姿勢を見た先生は軽く頷き、雑談している他の生徒の様子を伺っている。
危なかったな、あのまま続けていたら何かに巻き込まれるところだった。
アスカも何かに気づいたらしく黙って自己紹介している生徒の方を見ている…反応もしないのに熱心に語りかけている織田をある意味尊敬するよ。
しばらくしてセイヤの紹介の順番となった。
「俺は武田晴也。受験組で関西から来ました。方言出とるけど改善する気はさらさらないんで、よろしゅうな。好きな武将は上杉謙信やで」
「ボケろよ」
「関西人が皆ボケると思うなや、俺はツッコミ体質やねん」
あまりに普通すぎる自己紹介だったから思わず呟いた。
セイヤも視線を合わさずに小声で返事をし椅子に座る。
俺の番になると、さっきまで騒がしかった生徒たちが静かになり俺に注目している。
な、なんだよ…ボケるつもりはないからな?
「え~っと…武蔵大和と言います。外部の中学校からこの学校に来ました。好きな食べ物は…天使と食べるご飯です」
「ボケとるやん」
「ボケてねぇよ」
さっきと同じように小声でツッコミを入れるセイヤに俺も同じように小声で返事をする。
アスカは嬉しそうに俺を見ているけど、織田は殺気を込めてそうな目で俺を見ている。
いや、アスカの食べてる姿を見ながら食べるご飯は美味しいよ?
すごく美味しそうに食べてくれるから、作った甲斐があるし、可愛いし。
最後の渡辺の自己紹介が終わったところでホームルームの時間が終わり一時間目が始まる。
今日の一時間目は英語だったから犬飼先生は退室せずにそのまま教壇に立っていた。
あ~…何か嫌な予感がするんだけど。
「授業を始める。全員教科書を出して」
…あれ?普通に始まった。
てっきりさっきのホームルームのことで何かあると思ったのに…まぁ、進学校だから授業を進めるのが優先なのかな?
まぁ、この辺りは数日前からアスカと予習しているし、指名されても問題はない………何してるんだ?織田。
「織田、何をしているんだ?」
「すみません、教科書を寮の部屋に忘れてきたみたいなので天使さんに見せてもらおうと思いまして」
なるほど、あいつわざと忘れたんだな。
そっか…その手があったか…。
俺はセイヤの方をちらりと見てみる。
セイヤは嫌そうな顔をして俺の方を見ていた。
いや、あるし。教科書ちゃんと持ってきてるし。
あとお前に愛情注ぐ予定全くないし。
「織田、中等部の頃から教科書をよく忘れて天使に見せてもらってたよ」
「マジか、そこまでしてアスカの近くにいたいのか」
ケイタが後ろから中等部時代のことを教えてくれた。
席替えの件といい、教科書の件といい、遠回りせずに告白すればいいのに。
受け入れられないって気付いてるとは思えないんだよなぁ、青写真でもあるのかもしれないな、一度聞いてみるか。
「そうか、織田…授業受ける気がないなら退室しろ」
「え?いや、授業は受けますよ」
「初日から教科書を忘れてくるような生徒は受けなくていい。天使の邪魔になる」
「いや、でも…」
「退室しろ。他の生徒たちは皆教科書を持って来ているだろう。これは当たり前のことだ。寮に教科書を取りに戻るのならばこの授業を受けていいが、その気がないなら今後授業に来なくていい」
「先生?俺の親が誰だかわかってますか?」
「よく知っているよ、だがお前は親ではないだろう。俺の話を聞くつもりがないなら退学処分も検討しておくぞ」
織田は何か言いたそうにしていたけど、黙ってカバンを手に取って教室を出て行った。
寮に戻ったか、親父に泣きついたか…アスカに拘っているから退学はするつもりないとは思うけど…。
あ、確かこの時間は寮は侵入者対策で施錠されてたような…入れたっけ?
まぁ、とりあえず哀れな織田にこの言葉を送っておこう。
「…ざまぁ」
結局、織田は一時間目が終わっても戻っては来なかった。
まさか退学を選んだのか?
「ヤマトー、お疲れ様」
「お疲れ様、アスカ」
授業が終わると同時にアスカが俺のところにやってくる。
英語の授業のペースの速さは驚いたな。
予習してなかったら置いていかれるかもしれん。
さすが高等部…いや、進学校と言うべきか。
一人で感慨に耽っていると隣のセイヤが服を引っ張って俺を呼び戻してきた。
「大和、俺らを紹介してぇや」
「あぁ、そうか。アスカ、こっちの関西人がセイヤ。後ろがケイタだ」
「一応俺も中等部だよ、知らないと思うけど」
「あ、うん。中等部は織田くん以外とあまり話す機会なかったからね。よろしくセイヤくん、ケイタくん。僕のことはアスカって呼んでいいからね」
「了解、飛鳥ちゃんて呼ばせてもらうわ」
「俺は飛鳥さんかな。大和みたいに呼び捨ては出来ないし」
俺たちが談笑を始めた頃、教室の扉が開いて織田が戻ってきた。
薄っぺらいカバンが膨らんでいるところを見ると、あいつ今日の授業の教科書全部忘れてくるつもりだったな。
織田は教室に入るなりキョロキョロと辺りを見渡して俺らのところに視線を向けると、慌てて机にカバンを置いて俺たちのところへやってきた。
「あすかちゃん、こんなところにいたんだね」
「おかえり織田くん。授業中に帰って来なかったから少し心配したよ」
「心配してくれたの!?ありがとう!寮監の先生に厳しく指導されていてね…」
いやぁ~…すごいよ、織田。
俺の後ろにいるアスカに話しかけておいて俺たちをいない者扱いするなんてな。
ここまで一途に思い続けるなんて、立派なものだよな。
…嫌味を込めて少し背中を押してやるか。
「なぁ、織田」
「…なんだよ、今あすかちゃんと話をしているんだ、邪魔をするな」
「悪い悪い、聞きたいことがあってな。お前、アスカのこと好きなんだろ?告白しないのか?」
俺の一言に織田どころかクラス全体が静寂に包まれた…いや、セイヤが笑いを堪えて震えていたから静寂ではないな。
おぉぅ…織田が「何言いやがった、てめぇ…」みたいな目で俺を睨みつけている。
いいねぇ、その顔が見たかったのよ、俺。
「織田くん?えっと…」
「ごめんねあすかちゃん!英語のノートを見せてもらいに行くから、また後で話をしよう!」
アスカが話しかけるとすごく慌てた様子で俺たちの前から離れて取り巻きの一人の元へと向かった。
ふふふ…これで織田の計画は崩れたも当然。
「確かに気にはなってたけど、大和は鬼やな」
「まったくだ、俺たち中等部が言えなかったことをさらりと言うんだもんな」
「悪意を込めて質問したからな。アスカは織田に告白されたことあった?」
「ないよ。告白されても断るつもりだよ、僕にはヤマトがいるし」
「はいはい、ご馳走様。話を変えるけど、昼ごはんはどうするの?」
アスカが惚気話を始めそうな雰囲気を醸し出したところでケイタが話題転換してくれた。
ナイスだ、ケイタ。
さすがに出会ったばかりの友達に惚気てほしくないからな、一週間後には解禁してもいいけど。
それにしても昼ごはんか…。
「俺とアスカは弁当を持参してるから、適当な場所で食べるつもりだよ。お前らは?」
「俺らは外食や、商店街のラーメン屋に行く予定やで」
「そう…一緒に食べれるかなって思ってたけど残念だね」
「二人の邪魔はしないから。俺らに気にせずにゆっくり食べなよ」
いやいや、邪険にするつもりはないから気にしなくていいんだけどなぁ…。
少ししてから本鈴が鳴り二時間目の数学が始まる。
苦手科目だからしっかり学んでおかないとな。
時間が経って三時間目が終わり昼休憩の時間になって、俺たちは昼ごはんを食べるために校舎の裏に移動した。
他の学生はほとんど商店街へと向かったらしく、学園内は静かだった。
「んっ…ヤマト…美味しいよ…」
「んん…そりゃ嬉しいよ…んっ…」
そんな中俺たちは口移しで昼ごはんを食べている。
初めから口移しだったわけじゃなく、9割ほど食べ終えた頃にアスカから始めたんだ。
おかずを口に入れたままキスをしてお互いの口の中で舐め合い咀嚼する。
衛生面の問題でよろしくはないが、すごく興奮するので止めることができなかった。
「あん…ヤマト、ここではダメだよ…」
「つい癖でな、ごめんごめん」
「我慢出来なくなるじゃん…」
キスをした流れでアスカの股間に手が伸びてしまい、アスカに注意をされる。
でも触った感触からしてアスカも勃起していたような…。
俺はしゃがみ込んでアスカの股間に顔を埋めてみた。
「ちょっ、ヤマト…ダメだって…」
思った通り勃起をしていたのがわかり、俺はアスカのズボンのベルトを緩めてずらし、パンツも同じようにずらして凶暴な肉棒をさらけ出させる。
何をするのか理解しているアスカを見つめながら肉棒に舌を這わせる。
「あんっ…はぁ…ん…」
肉棒を口に含ませてしゃぶりつくと、アスカも抵抗することなく快感に身を委ねていた。
吸い付きながら顔を前後に動かして肉棒を責め立てていると、アスカは俺の頭を掴んで喉奥まで肉棒を突っ込む。
「イく…イクゥッ!」
喉奥まで挿入されたまま勢いよく精液を注ぎ込まれ、むせ込みながらもゆっくりと飲み込みこぼすことなく肉棒から唇を離した。
時計を見るともうすぐ昼休みも終わるところだったのでアスカにズボンを履いてもらって俺たちは教室へと戻った。
校舎裏かぁ…放課後セックスのためには人の出入りを確認しておく必要があるな。
取り巻きが自分の席に戻ってもアスカに話しかけ続ける織田を時折睨みつけながら。
「いや~…大和は分かりやすいわ」
「隠すつもりはさらさらないからな、席替えとかいつあるんだ?」
「中等部のころには無かったよ、ずっとこの席」
「嘘ぉ!?」
「本当本当、織田の意見が通ったんだよ。『席替えに費やす時間があるなら勉強するべきだ』だったかな?三年間席替えしたことなかったよ、俺たち」
「………そこまでしておいて、何であいつは告白してへんの?」
「さぁ?何か考えがあるのか、すでに振られているのかだと思うけど」
なんてことだ…あのドキドキの時間がないだと…窓際で外を眺めながら授業を受けることができないだと…。
何としてでも席替えを復活させねば…。
あ、本鈴が鳴った。
「席についてるか?ホームルームを始めるぞ。まぁ、今日は自己紹介で終わらせるつもりだ。俺はこのクラスの担任兼英語を担当している犬飼大洋だ。一年間よろしくな」
本鈴が鳴ったと同時に教室に入って来た、キビキビとした男性がこのクラスの担任とのこと。
予鈴で全員座っててよかった、座ってなかったらどうなっていたことかわからない雰囲気を醸し出している。
この先生の授業に限らないけど、真面目に受けておこう。
俺はセイヤに目配せし、セイヤも同じように頷いた。
「中等部の生徒は俺のことを知っているだろうが、受験組は初対面だからな。俺から自己紹介しておこう。犬飼大洋、36歳。学年の副主任も兼ねている。浮ついた態度で授業を受けようものなら、教室から追い出すからな。英語に関して質問があるならいつでも職員室に来てくれて構わない。最後に、好きな食べ物は焼肉だ。以上」
おいこら、最後に何を付け足しやがった?
真面目そうな先生がそんなことを付け加えたら、1番のアスカが…。
「えっと…僕は天使飛鳥、中等部からの進学組です。得意科目は数学、苦手科目は歴史です。えっと…好きな食べ物はヤマト…んっ、武蔵くんの作った料理です」
ほら見ろ、生真面目なアスカが釣られたじゃないか。
これは皆が言っていく流れになったなぁ…あとアスカ、こっちを見ながらそんなこと言うなよ、嬉しいだろうが。
でも良かった、精液とか言われたらどうしようかと本気で困ってたからな。
「俺も中等部からの進学組です。織田正義、得意科目は数学です。好きな人のタイプは朗らかで可愛い人、嫌いな人のタイプは平気な顔で横取りをする人です」
おおぅ、織田のやつ……良くやった。
これで食べ物関連を言わなくてもOKになったのはありがたい、正直興味ないから。
そして睨みながら俺の方を見るな、変な勘違いされたらどうしてくれる?
出席番号3番の海崎海崎というやつに順番が回ったころ、ケイタが後ろから話しかけてきた。
「織田のやつ、わかりやすいな」
「まったくだ、万が一好かれていると勘違いされたらどうしてくれる」
「いや、そっちに捉える奴はおらんて。皆あいつが大和を敵視してるの知っとるからな?」
この時間の私語は特に注意されず、自己紹介中雑談してても犬飼先生は黙ったままだった。
あ、これやばい。あとで注意されるやつかもしれん。
「セイヤ、ケイタとりあえず感想は後にしよう。先生が何か狙ってる気がする」
「OK、休憩時間に語ろう」
「せやな、真面目に聞いとかなあかん」
俺たちは姿勢を正して皆の自己紹介を聞くことにした。
俺たちの姿勢を見た先生は軽く頷き、雑談している他の生徒の様子を伺っている。
危なかったな、あのまま続けていたら何かに巻き込まれるところだった。
アスカも何かに気づいたらしく黙って自己紹介している生徒の方を見ている…反応もしないのに熱心に語りかけている織田をある意味尊敬するよ。
しばらくしてセイヤの紹介の順番となった。
「俺は武田晴也。受験組で関西から来ました。方言出とるけど改善する気はさらさらないんで、よろしゅうな。好きな武将は上杉謙信やで」
「ボケろよ」
「関西人が皆ボケると思うなや、俺はツッコミ体質やねん」
あまりに普通すぎる自己紹介だったから思わず呟いた。
セイヤも視線を合わさずに小声で返事をし椅子に座る。
俺の番になると、さっきまで騒がしかった生徒たちが静かになり俺に注目している。
な、なんだよ…ボケるつもりはないからな?
「え~っと…武蔵大和と言います。外部の中学校からこの学校に来ました。好きな食べ物は…天使と食べるご飯です」
「ボケとるやん」
「ボケてねぇよ」
さっきと同じように小声でツッコミを入れるセイヤに俺も同じように小声で返事をする。
アスカは嬉しそうに俺を見ているけど、織田は殺気を込めてそうな目で俺を見ている。
いや、アスカの食べてる姿を見ながら食べるご飯は美味しいよ?
すごく美味しそうに食べてくれるから、作った甲斐があるし、可愛いし。
最後の渡辺の自己紹介が終わったところでホームルームの時間が終わり一時間目が始まる。
今日の一時間目は英語だったから犬飼先生は退室せずにそのまま教壇に立っていた。
あ~…何か嫌な予感がするんだけど。
「授業を始める。全員教科書を出して」
…あれ?普通に始まった。
てっきりさっきのホームルームのことで何かあると思ったのに…まぁ、進学校だから授業を進めるのが優先なのかな?
まぁ、この辺りは数日前からアスカと予習しているし、指名されても問題はない………何してるんだ?織田。
「織田、何をしているんだ?」
「すみません、教科書を寮の部屋に忘れてきたみたいなので天使さんに見せてもらおうと思いまして」
なるほど、あいつわざと忘れたんだな。
そっか…その手があったか…。
俺はセイヤの方をちらりと見てみる。
セイヤは嫌そうな顔をして俺の方を見ていた。
いや、あるし。教科書ちゃんと持ってきてるし。
あとお前に愛情注ぐ予定全くないし。
「織田、中等部の頃から教科書をよく忘れて天使に見せてもらってたよ」
「マジか、そこまでしてアスカの近くにいたいのか」
ケイタが後ろから中等部時代のことを教えてくれた。
席替えの件といい、教科書の件といい、遠回りせずに告白すればいいのに。
受け入れられないって気付いてるとは思えないんだよなぁ、青写真でもあるのかもしれないな、一度聞いてみるか。
「そうか、織田…授業受ける気がないなら退室しろ」
「え?いや、授業は受けますよ」
「初日から教科書を忘れてくるような生徒は受けなくていい。天使の邪魔になる」
「いや、でも…」
「退室しろ。他の生徒たちは皆教科書を持って来ているだろう。これは当たり前のことだ。寮に教科書を取りに戻るのならばこの授業を受けていいが、その気がないなら今後授業に来なくていい」
「先生?俺の親が誰だかわかってますか?」
「よく知っているよ、だがお前は親ではないだろう。俺の話を聞くつもりがないなら退学処分も検討しておくぞ」
織田は何か言いたそうにしていたけど、黙ってカバンを手に取って教室を出て行った。
寮に戻ったか、親父に泣きついたか…アスカに拘っているから退学はするつもりないとは思うけど…。
あ、確かこの時間は寮は侵入者対策で施錠されてたような…入れたっけ?
まぁ、とりあえず哀れな織田にこの言葉を送っておこう。
「…ざまぁ」
結局、織田は一時間目が終わっても戻っては来なかった。
まさか退学を選んだのか?
「ヤマトー、お疲れ様」
「お疲れ様、アスカ」
授業が終わると同時にアスカが俺のところにやってくる。
英語の授業のペースの速さは驚いたな。
予習してなかったら置いていかれるかもしれん。
さすが高等部…いや、進学校と言うべきか。
一人で感慨に耽っていると隣のセイヤが服を引っ張って俺を呼び戻してきた。
「大和、俺らを紹介してぇや」
「あぁ、そうか。アスカ、こっちの関西人がセイヤ。後ろがケイタだ」
「一応俺も中等部だよ、知らないと思うけど」
「あ、うん。中等部は織田くん以外とあまり話す機会なかったからね。よろしくセイヤくん、ケイタくん。僕のことはアスカって呼んでいいからね」
「了解、飛鳥ちゃんて呼ばせてもらうわ」
「俺は飛鳥さんかな。大和みたいに呼び捨ては出来ないし」
俺たちが談笑を始めた頃、教室の扉が開いて織田が戻ってきた。
薄っぺらいカバンが膨らんでいるところを見ると、あいつ今日の授業の教科書全部忘れてくるつもりだったな。
織田は教室に入るなりキョロキョロと辺りを見渡して俺らのところに視線を向けると、慌てて机にカバンを置いて俺たちのところへやってきた。
「あすかちゃん、こんなところにいたんだね」
「おかえり織田くん。授業中に帰って来なかったから少し心配したよ」
「心配してくれたの!?ありがとう!寮監の先生に厳しく指導されていてね…」
いやぁ~…すごいよ、織田。
俺の後ろにいるアスカに話しかけておいて俺たちをいない者扱いするなんてな。
ここまで一途に思い続けるなんて、立派なものだよな。
…嫌味を込めて少し背中を押してやるか。
「なぁ、織田」
「…なんだよ、今あすかちゃんと話をしているんだ、邪魔をするな」
「悪い悪い、聞きたいことがあってな。お前、アスカのこと好きなんだろ?告白しないのか?」
俺の一言に織田どころかクラス全体が静寂に包まれた…いや、セイヤが笑いを堪えて震えていたから静寂ではないな。
おぉぅ…織田が「何言いやがった、てめぇ…」みたいな目で俺を睨みつけている。
いいねぇ、その顔が見たかったのよ、俺。
「織田くん?えっと…」
「ごめんねあすかちゃん!英語のノートを見せてもらいに行くから、また後で話をしよう!」
アスカが話しかけるとすごく慌てた様子で俺たちの前から離れて取り巻きの一人の元へと向かった。
ふふふ…これで織田の計画は崩れたも当然。
「確かに気にはなってたけど、大和は鬼やな」
「まったくだ、俺たち中等部が言えなかったことをさらりと言うんだもんな」
「悪意を込めて質問したからな。アスカは織田に告白されたことあった?」
「ないよ。告白されても断るつもりだよ、僕にはヤマトがいるし」
「はいはい、ご馳走様。話を変えるけど、昼ごはんはどうするの?」
アスカが惚気話を始めそうな雰囲気を醸し出したところでケイタが話題転換してくれた。
ナイスだ、ケイタ。
さすがに出会ったばかりの友達に惚気てほしくないからな、一週間後には解禁してもいいけど。
それにしても昼ごはんか…。
「俺とアスカは弁当を持参してるから、適当な場所で食べるつもりだよ。お前らは?」
「俺らは外食や、商店街のラーメン屋に行く予定やで」
「そう…一緒に食べれるかなって思ってたけど残念だね」
「二人の邪魔はしないから。俺らに気にせずにゆっくり食べなよ」
いやいや、邪険にするつもりはないから気にしなくていいんだけどなぁ…。
少ししてから本鈴が鳴り二時間目の数学が始まる。
苦手科目だからしっかり学んでおかないとな。
時間が経って三時間目が終わり昼休憩の時間になって、俺たちは昼ごはんを食べるために校舎の裏に移動した。
他の学生はほとんど商店街へと向かったらしく、学園内は静かだった。
「んっ…ヤマト…美味しいよ…」
「んん…そりゃ嬉しいよ…んっ…」
そんな中俺たちは口移しで昼ごはんを食べている。
初めから口移しだったわけじゃなく、9割ほど食べ終えた頃にアスカから始めたんだ。
おかずを口に入れたままキスをしてお互いの口の中で舐め合い咀嚼する。
衛生面の問題でよろしくはないが、すごく興奮するので止めることができなかった。
「あん…ヤマト、ここではダメだよ…」
「つい癖でな、ごめんごめん」
「我慢出来なくなるじゃん…」
キスをした流れでアスカの股間に手が伸びてしまい、アスカに注意をされる。
でも触った感触からしてアスカも勃起していたような…。
俺はしゃがみ込んでアスカの股間に顔を埋めてみた。
「ちょっ、ヤマト…ダメだって…」
思った通り勃起をしていたのがわかり、俺はアスカのズボンのベルトを緩めてずらし、パンツも同じようにずらして凶暴な肉棒をさらけ出させる。
何をするのか理解しているアスカを見つめながら肉棒に舌を這わせる。
「あんっ…はぁ…ん…」
肉棒を口に含ませてしゃぶりつくと、アスカも抵抗することなく快感に身を委ねていた。
吸い付きながら顔を前後に動かして肉棒を責め立てていると、アスカは俺の頭を掴んで喉奥まで肉棒を突っ込む。
「イく…イクゥッ!」
喉奥まで挿入されたまま勢いよく精液を注ぎ込まれ、むせ込みながらもゆっくりと飲み込みこぼすことなく肉棒から唇を離した。
時計を見るともうすぐ昼休みも終わるところだったのでアスカにズボンを履いてもらって俺たちは教室へと戻った。
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