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第5話【精霊とは】
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「はぁ~美味しかったぁ~もう少し食べたかったんですが……」
「お金なくなるっつーのっ! 我慢しなさい!」
リズに叱られるも満腹感がとても心地よくてフェアリーは幸せそうにお腹を撫でた。
テーブルを挟んで向かいに座るリズは財布の中身を確認して青ざめる。
「うあ……三日も持たないわコレ。日雇いの仕事とか探さないとマズイかも」
「日雇いの仕事とは? 美味いのですか?」
「ご飯じゃないわよ! あんたがアホみたいに食うから食費が予算オーバーしたの! その分を補うために日雇いの仕事を探さなきゃ……売り子とか募集してるかな? バックダンサーとか、ウェイターとか……」
「大変ですね」
「なに他人事みたいに言ってんのよ! あんたも手伝うのよ!」
「え!? なんで私がそんなことを!」
「あんたのせいでしょ! 自分の食べた分くらい自分で稼ぎなさいよ!」
「そんなことしなくても明日イルセラさんに勝てば騎士になれるんでしょう? だったらそれで良いじゃないですか」
「勝てるか分かんないでしょ! 負けた時のことも考えなきゃ!」
「……負けたらエタンセルから追い出されますし、他の仕事なんて考えるだけ無駄じゃないですか?」
フェアリーに言われたリズは思い出したようにハッとなり「それもそうね」と冷静になった。
「追い出される前に大都市を観光しとこうか」
「なんで私が負ける前提なんですか……」
「ねぇねぇせっかくだからこの大都市にある【炎の神殿】に行ってみない? あの有名な【消えない炎】を見てみたいのよ」
リズにスルーされたフェアリーは遺憾だったが【消えない炎】という単語に耳を奪われた。
「【消えない炎】……サラマンダー様の炎ですね?」
「知ってるの?」
「当たり前です。サラマンダー様はこの地球に火を司る精霊様ですよ。あなた方人間が火が起こせるのはサラマンダー様のおかげです」
「へぇ~やっぱりそうなんだ? なんか大昔にイルセラ様の祖先がここにある【消えない炎】を見つけて村を築いてこんな凄い大都市にまで発展させたらしいわ」
「なるほど」
【消えない炎】を中心に発展してきたのがこの【大都市エタンセル】なのか。
そして今も【炎の神殿】とやらに【消えない炎】が祀られているらしい。
「いいでしょう。その【炎の神殿】とやらに連れてってください。サラマンダー様に挨拶をしておきましょう」
あわよくば世界樹さまのもとに帰してもらえるかもしれない。
帰れるならばリズを騎士にしてから去ろう。
そう脳内で予定を組み立てると、向かいのリズが怪訝な顔を浮かべていた。
「サラマンダー様に会うつもり? でもサラマンダー様って100年に一度しか姿を見せないのよ?」
「そりゃあ精霊様と人間は会話ができませんからね。姿を現してもつまらないじゃないですか」
「え、そんな理由!? じゃあなんで100年に一度だけ姿を見せるの?」
「人間が精霊の存在を忘れないようにするためです。祈りや信仰を忘れた人間に精霊は力を貸しませんよ」
「……だったらもっと頻繁に姿を見せた方がいいんじゃない? 100年に一度は少なすぎるって」
「そうですか? 100年でもかなり速いサイクルだと思いますが」
「あーそうね……あんた数億年も生きてんだもんね。言う相手を間違えたわ」
「お金なくなるっつーのっ! 我慢しなさい!」
リズに叱られるも満腹感がとても心地よくてフェアリーは幸せそうにお腹を撫でた。
テーブルを挟んで向かいに座るリズは財布の中身を確認して青ざめる。
「うあ……三日も持たないわコレ。日雇いの仕事とか探さないとマズイかも」
「日雇いの仕事とは? 美味いのですか?」
「ご飯じゃないわよ! あんたがアホみたいに食うから食費が予算オーバーしたの! その分を補うために日雇いの仕事を探さなきゃ……売り子とか募集してるかな? バックダンサーとか、ウェイターとか……」
「大変ですね」
「なに他人事みたいに言ってんのよ! あんたも手伝うのよ!」
「え!? なんで私がそんなことを!」
「あんたのせいでしょ! 自分の食べた分くらい自分で稼ぎなさいよ!」
「そんなことしなくても明日イルセラさんに勝てば騎士になれるんでしょう? だったらそれで良いじゃないですか」
「勝てるか分かんないでしょ! 負けた時のことも考えなきゃ!」
「……負けたらエタンセルから追い出されますし、他の仕事なんて考えるだけ無駄じゃないですか?」
フェアリーに言われたリズは思い出したようにハッとなり「それもそうね」と冷静になった。
「追い出される前に大都市を観光しとこうか」
「なんで私が負ける前提なんですか……」
「ねぇねぇせっかくだからこの大都市にある【炎の神殿】に行ってみない? あの有名な【消えない炎】を見てみたいのよ」
リズにスルーされたフェアリーは遺憾だったが【消えない炎】という単語に耳を奪われた。
「【消えない炎】……サラマンダー様の炎ですね?」
「知ってるの?」
「当たり前です。サラマンダー様はこの地球に火を司る精霊様ですよ。あなた方人間が火が起こせるのはサラマンダー様のおかげです」
「へぇ~やっぱりそうなんだ? なんか大昔にイルセラ様の祖先がここにある【消えない炎】を見つけて村を築いてこんな凄い大都市にまで発展させたらしいわ」
「なるほど」
【消えない炎】を中心に発展してきたのがこの【大都市エタンセル】なのか。
そして今も【炎の神殿】とやらに【消えない炎】が祀られているらしい。
「いいでしょう。その【炎の神殿】とやらに連れてってください。サラマンダー様に挨拶をしておきましょう」
あわよくば世界樹さまのもとに帰してもらえるかもしれない。
帰れるならばリズを騎士にしてから去ろう。
そう脳内で予定を組み立てると、向かいのリズが怪訝な顔を浮かべていた。
「サラマンダー様に会うつもり? でもサラマンダー様って100年に一度しか姿を見せないのよ?」
「そりゃあ精霊様と人間は会話ができませんからね。姿を現してもつまらないじゃないですか」
「え、そんな理由!? じゃあなんで100年に一度だけ姿を見せるの?」
「人間が精霊の存在を忘れないようにするためです。祈りや信仰を忘れた人間に精霊は力を貸しませんよ」
「……だったらもっと頻繁に姿を見せた方がいいんじゃない? 100年に一度は少なすぎるって」
「そうですか? 100年でもかなり速いサイクルだと思いますが」
「あーそうね……あんた数億年も生きてんだもんね。言う相手を間違えたわ」
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