窓辺の歌うたい

狭山アリス

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第5話

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どのくらいそうしていただろう、不意にドアが開き君が姿を現した。
赤く泣き腫らした目、足元もおぼつかないようだ。
鍵が開けられ、僕は慌てて飛んでいって君を支える。
どうしたんだ?やっぱりいじめられたのか?
そんな奴は許さない、僕が···
と、不意に君が僕を抱きしめた。
その瞬間僕の心臓は爆発し、早鐘を打つ、なんて表現では足りないほどに鼓動を早める。
最近とんとご無沙汰だったスキンシップ。
僕がいくら望もうと君が応えてくれることはなかった。
頭の中が真っ白になってしまった僕はそのまま君の部屋に導かれ、君のベッドに腰を下ろした。
久しぶりの君のベッド。
僕が粗相そそうをして以来、君は僕がベッドに乗ることを許してくれなかった。
柔らかなベッドの感触に先程までの怒りも心配も吹き飛んで、恥ずかしながら僕の中は浅ましい欲と熱に支配されてしまう。
君の白く細い指が僕の体を優しくまさぐる、久しくなかった感触だ。
やっぱり僕は君が好きだ、もっと触れてくれ。
すると不意に体中を快感が駆け巡り、僕は君の手を汚してしまった。
あぁ、それは···、僕はバツが悪くてたまらなかった。
君は驚いたようだったが、怒ることもなくそれをティッシュで拭いて片付けてくれた。
そうして2人でくっついて過ごすうち僕は君が愛おしくて堪らなくなり、君に穏やかな愛の歌を贈る。
君は未だ赤みの残るまぶたを閉じてその歌にじっと聞き入ってくれる。
君が僕の歌を聞いてくれている事実が、先程までの欲望とは違った胸の高鳴りを生む。
君と出会った瞬間から、僕の歌は君だけのものだ。
僕と君は愛と歌を交わしながら、朧月夜おぼろづきよの光のように穏やかで優しい、素晴らしい夜を過ごしたのだった。
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