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口から本音

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 木漏れ日が葉を照らし輝き明るかった森が、旅人を惑わす様に暗くなり始めた頃。
 ショタローに合図を出し、ちょうど良い開けた場所へ誘導する。

 ショタローも「休憩ですか!」とキラキラした御目々で見た後、軽い足取りで脇道に入り止まった。

 馬でもショタは可愛い。若い雄の馬を借りてきて良かった。
 ショタフィルターで目が曇っているからそう思うだけかも知れないけれど。


 「お客様、暗くなりましたのでここにテントを張り朝を待ちます。宜しいですね?」
 「・・・。」

 無表情のショタ。目線だけ向けて「わかった。」みたいに視線で語る。良い!

 まずは縄張りを作る。

 S級冒険者の私が守るという証の魔除け。香り付目印を周囲に置く。これで盗賊と魔物避ける。テントを張り、馬のショタローを世話して、火を起こし。夕食の準備をした所でショタを呼んだ。

 無言なのに言われた通り火を囲みチョコンと座る姿が可愛い。

 「どうぞ。熱いので気をつけて。」

 出来上がったスープにパンを添えて差し出すと驚いた顔をされた。

 「・・・食べて、いいのですか?」
 「勿論。大切なお客様なのですから。」

 そうすると辛そうに顔を歪めて料理を受け取らずに下を向いてしまった。

 ショタコンの料理は食えねーってのか?ショタに愛を込めて作ったのに?
 そんな冗談を思い浮かべながら次の言葉を待つ。待っていると震える可愛らしい唇からポツポツと言葉が紡がれる。

 「僕は・・・お客様じゃない。・・・王都までの貴方に支払うお金、払えないかも知れないんです。」

 家出少年かな?いや、だけど依頼人に連れて来られたよね?
 どういう事だろう?と考えながら怖がらせないように言葉の先を諭す。


 「何か事情がありそうだけど、話せるかしら。」


 暗い表情のままの彼にスープとスプーンを持たせ「どうぞ。」と安心させるように笑顔を心がけ、話を聞く姿勢を見せる。
 するとお腹が空いていたのか我慢の限界という様にパクパクと食べてから少しずつだけど話す意欲を見せてくれた。

 落ち込むショタを全力で慰めるのはショタコン淑女の務め。ドンと来い。


◆◆◆


 彼の話す内容はこうだった。

 ドワーフの男は武具や装飾品など物作りが出来てこそ一人前なのに彼は物作りが苦手で、昔から筋肉が付きにくく力も弱い。師匠の補助役としても重い素材を運べずクビになった。
 両親はそれでも知識が力になると彼に教えた。彼もその知識を生かして精一杯の事を里で考え仕事としてやってきたそう。

 「だけど、両親が病にかかり・・・僕だけの稼ぎでは両親を十分に養う事が出来ず、薬代もあって生活が苦しくなりました。両親の病状も悪化する一方で・・・。だから両親と仲の良い親戚に世話を頼み、出稼ぎに行くと話して出てきたんです。本当は僕自身を売りに行こうと思って。」

 彼の境遇に心で泣いた。その決断はとても怖いものだっただろう。奴隷や人身売買は表立っては禁止されているものの、彼の様にお金の為に自らを売る行為や親から売られる子供は存在する。それは、あくまでも本人の意思で主人に仕え、前払いの給料を渡すという名目で取引が行われる。

 「だけど・・・僕はドワーフとしての物造りの才能も無く、成人しても筋肉が付かないし髭や体毛も薄くて、みすぼらしい。男らしい魅力の欠片も無い。何処を見ても立派なドワーフには見えないでしょう?だから身売りをしても大した金にならないだろうって長に言われてしまいました。」



 ・・・


 ・・・・・・!


 せ、せせ、せせせせせせ!!成人!?!?


 「だからお金が払えないかもって話したのね。」

 ショタコンは最高の喜びに震えながら平静を保った。心の中では第二・第三・第四の私が紙吹雪の中お祭り騒ぎで踊り狂い舞い上がっている。


 やっと。

 やっと見つけた合法ショタ・・・!!

 私の前に現れた救いの天使!!


 「はい・・・。身売りをした時のお金の一部を貴方に、残りは両親にと思って・・・だけどどれ程払えるか。子供に性欲を感じる変態になら需要が有るかも知れない、と親戚には言われましたが中身は23歳です。そんな変態は違法でも身売りに出された純粋で汚れの無い子供を買うのでしょう?」


 子供に性欲を感じる変態、のパワーワードに今にも倒れそうだ。紙吹雪の中、踊り狂っていた心の私を一人残らず薙ぎ倒す。ドワーフはS級冒険者であるこの私を戦わずして倒す術を知っているのか。

 「里の長に連れられて来た時、貴方によく相談するように言われたんです。何か他に仕事とか良い稼ぎ先を知ってないか聞いてみなさいと。
 ・・・だけど出発の時に話したら・・・きっと荷馬車に乗せて貰えないだろうと思ってしまいました。」

 とても申し訳なさそうに深く頭を下げた。

 「申し訳ございません、こんなに良くして頂いているのに・・・浅ましい行いを・・・。」
 「そんな、そこまで気にしなくていいわ。」


 私の返事に深く下げていた頭を少しだけ上げた。だけど申し訳なさからなのか、丸まった背中のまま下を向く。手はふるふると震え可哀想な程だ。

 安心せよ!!私には案が沢山ある。

 何たって私はショタコンだ。
 理想の合法ショタである君にならいくらでも貢げる。目の前にいる理想を詰め込んだ合法ショタを絶対に手放すなんて出来ないよね!!

 私の助手になってもらう?
 これなら自然に交流を深められるわ!!でも危険よね。

 それとも家の管理をしてもらう?
 帰ってきたら「お帰り!」なんて言われちゃったりなんかしちゃったりしてーーーーー!!


 それとも


 それとも!!


 いっそさ!!



 「私と結婚する?」



 私の中から溢れんばかりのショタ愛は、実際に口から言葉となって漏れていた。
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