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勘違い。※?
しおりを挟むなかなか離してくれなかったスヴァインさんの腕から抜け出すとちゅぷっとソレが抜ける。
十分に休んだ体だけど、動くとまだお腹の中に残った余韻に浸りたくなってしまう。
『んっ・・・うう、今、着替えを持ってきますね?・・・その前にお風呂、でしょうか。』
「そうだな、ありがとう。」
彼の腕に抱かれながら少し休んで動き出したのに体がへにゃへにゃとする不思議な感覚。
それに歩く度に中から白い体液が漏れて足を伝っていく。恥ずかしい。
そして部屋を見て更に恥ずかしくなる。
妖精達めっちゃ見てた。そうだ、仕事の手紙書いていたから妖精も内容確認で近くに居たんだった。顔から火が出そうだ。
すると目をランランとさせた妖精達がさっきの私達の真似をして二人組を作り始める。
『きゃーーー!!待ってください!!ダメです!!』
焦る私を面白がって妖精達が更に盛り上がろうとする。濃厚なキッスが生々しい。
『あーーー!!』
「どうした?マーリット。」
ワナワナしながらスヴァインさんを見れば首を傾げて大声を発するこちらを見ていた。
『妖精達が部屋に数名残っていたみたいで、その、私達の真似を・・・』
「落ち着いて、妖精は君の言うことを聞くはずだ。」
『あ、そうでした。』
焦りすぎて職務を忘れていた。コホンッと咳払いをして妖精に真面目に向き合う。既にパンパンスコスコしてる子達に再び焦りながらも極力落ち着いて語りかける。
妖精に人間みたいな性別は無くとも、男性のアレや女性のアレは出現させようとしたら出来るって凄いよね。両方いけるね。
「良いですか?その行為は最愛の好きな者同士がするものです。気軽に行う人も勿論居ますが、二人の子が出来た時に責任もって育てられる環境を作らないと苦労しますよ?今は止めましょう。」
そう説明すると、キャっキャっと楽しそうな妖精達は止めてくれた。
妖精は楽しそうならやりたくなってしまう。それが妖精だから仕方ないのだけど、増えすぎるとまたトラブルの種になる。他所で行為を見かけて増える事も有るのだけど教育などしっかりしなければならない。
・・・しかし、明らかに数が増えているし小さいのが何人かいる。
『子供ができてます・・・』
「早いな、妖精は。」
小さな妖精を捕まえて集めると、とても可愛い。けれどやらなきゃいけない事がある。
『はい、この子の両親は・・・君たちね。そしてこの子は・・・。』
子供達の両親を捕まえてしっかり世話をするように伝える。親としての責任をしっかり教える。妖精は楽しいだけで育児を忘れる事が多々あるのでしっかり念入りに教えた。
『分かりましたね?』
説明を終えると仲良く巣に帰る妖精達。【妖精の架け橋】と約束をしたのだから育児や教育もしっかりするはず。
『ふぅ。』
「お疲れ様。大変そうだな。」
『いえ、これも仕事ですから。』
ヒヤヒヤさせられたけれど、気持ちを切り替える事が出来て良かった。
『お風呂の準備をしますね。』
早速お風呂の準備をルンルンとしていると、キィと音がして扉が開く。何だろう?とそちらを見れば扉を開けてスヴァインさんが手探りで入って来ていました。
何かあって来たはずなのにこちらを見て何も言わない。私の頭には『?』でいっぱいになる。
「さっきの言葉は・・・マーリットの本心か?」
『さっきの言葉とはどの言葉でしょうか。』
色々言ったからどれの事か分からなかった。だけど何か深刻な顔をしているものだから準備の手を一旦止めて彼の方を向く。
「そういう行為は最愛の者と、と言う言葉だ。」
『そこですか?私はそう思ってますが・・・。』
本当にどうしたのだろう、今日のスヴァインは何かおかしい。急に始まったり不安だと言っていたり。また心労がたまったのだろうか。
『本当にどうしましたか?』
いつもなら何も気にせず言葉が出している様な彼にしてはほんとに珍しい事。何か悪い報告でもあるのか?と私まで緊張してしまう。
「俺との行為は・・・どうなのかと思って。」
『!!』
それは、あれですか?行為の感想を求められている!?
え、そんな!感想なんて恥ずかしくて言えない。ほら、デリケートな話ですし。でも、その行為をした相手から感想を求められるなら言った方がいい?もしかして・・・夜のテクニックでお悩みなの??
頭の中のピンク色な想像が止まらず、言葉に出せずにいたらスヴァインさんが悲しそうに目を伏せた。
(なにやってるの私!スヴァインさんが下手なのかと勘違いして凹ませてしまったよ、何か感想言わなきゃ。)
『すごく、幸せですよ!・・・その』
恥ずかしくて言葉にするのが難しいのだけれど嫌じゃないし多分下手でもない、初めてなのに気持ち良かった時も確かにあった。最高と伝えたい。最高だけど最高って言ったら何だか下品な気がして言葉を選ぶ。
『スヴァインとするのは、こう、夢見心地な気分になると言いますか、すごく、気持ちよくて、声が止められな』
「待て。」
『はい!』
言葉を続けようとしていたら「待て。」が入りました。待ちます!とピシャッと背筋を伸ばす。
背筋を伸ばして彼を見ると手で顔を被い耳まで真っ赤にしている。
「言葉が悪かった、俺とするのは嫌ではないか?と聞きたかったんだ。しかし、その感想を貰えるなら嫌ではない事は・・・分かった。」
『伝わったなら・・・良かったです。』
泣きたい。私は勘違いで行為の感想を言いました。穴があったら更に掘り進めて埋まりたい。そんな私に「ははっ」と短く笑う声が届く。彼を見れば表情は明るくてさっきの失態も彼を明るく出来たなら良いか・・・と思う事にしました。
「アリスさんが・・・あの眼鏡を掛けた魔法使いが好きだと言っていたんだ。」
!!
『うわぁお!!やりましたね、お祭りに誘えるでしょうか?ビッグイベントですよ。』
ゲーム中盤のそのイベントからラブラブが始まる、その分岐となるニヤニヤキュンキュンなんです!確かそこでアリスちゃんは愛を実感して、最強の治癒魔法を使えるようになり、それがまた色んな人から狙われて大変なんですよ。
・・・
・・・ん?
アリスちゃんがインテリメガネを好きで・・・あんなに荒れたと言う事は。
『・・・スヴァインさんは、アリスちゃんが好き、なんですか!?』
まさか、作戦は手遅れに!!ヒロインの虜になってしまったのですか!?
「ん?いや、そうじゃない。何でそうなる。」
訳が分からない、とでも言いたげな顔。そんな顔も好き。
『アリスちゃんに好きな人が出来たから嫉妬して荒れてたんじゃ・・・』
言葉にすると彼は青ざめて首を左右にブンブン振る。
「ちがう!それは誤解だ。彼女はただ小説の話が合うだけでそれ以上の感情はない。俺が嫉妬したのは手紙の方で、マーリットがあまりにも手紙を書くものだから。」
『言って下されば見せましたよ?さっきの手紙と一緒でやましい気持ちは一ミリも有りませんから。』
自分でそう言ったけれども、よく考えれば他人の書いた手紙は見せてと言いにくいのかもしれない。
「・・・そうだな、すまない。勝手に勘違いをした。聞くのが、怖かった。」
少し元気を無くす彼を見て心がズキリと痛む。何かを確かめる事の怖さは私も知っている。元婚約者への未練については私だって聞けていないのだから。もっと勘違いさせない為に彼に相談すべきだった。
(・・・だけどスヴァインさんを取られない為に!なんて言えなかったと思う。誤解させない行動って難しいな。)
はぁ、とズルズル浴室の床に座り込むスヴァインさん。膝を抱えて項垂れる姿が可愛い。だけれど彼の様子は「とにかく安心した。」と言うように見えて私も嬉しくなる。
手紙で嫉妬してくれた、それって私を好きでいてくれているのかもしれない。そう思えて自信も少し持てた。
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