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ガラリと変わった世界。【ルナス視点】
しおりを挟む僕の見た目を理想だと言って太陽の様な眩しい笑顔を向けてくれるアーシェリアさん。
唯一の人に出会えたんだと喜びでいっぱいになった。
彼女はなんの躊躇も無く僕と外へ行こうとする。
僕が他人の反応を恐れると、彼女が僕を守るように前に出る。
人目を気にして隠れていた生活から、彼女が隣を歩いてくれるだけで周りは気にならなくなった。
彼女だけ笑顔でいてくれればそれでいいと思える。
だけど正式な夫婦としては認められなかった。
王族の誰が邪魔をするのか知らないけど、アーシェリアは王族だろうと神だろうと渡さない。
だけど、彼女の気持ちはどうだろうか?
このまま仮でいて心変わりしてしまったら?結婚しても離婚はあるけど僕の妻だった事実は彼女の経歴に残る。それは僕にとって雲泥の差がある。
そんな弱い心のせいで彼女に無理をさせてしまった。
「このまま僕を受け入れてくれないでしょうか。」
許可もなく自分のベッドに押し倒し、動けない形をとってしまう。
僕と愛し合ったという事実をこの体に刻みたい。体を売る仕事をしてない限りは心から愛していないと出来ない行為だと思う。
初めてなら尚更。
愛してるならできるだろうなんて言う理論は最低だと思う。
だけど僕は彼女が嫌だと言わない限り一生共に生きるし不自由な生活はさせないと誓える。
嫌だと言ったら・・・別れを引き伸ばせるだけ引き伸ばして結局嫌だと駄々をこねるかも知れないけど努力はしよう。
だから心から愛されているという証を僕に欲しい。
そしてアーシェリアは僕の欲しい言葉をくれた。
「夫を拒むだなんてしません。私はルナス様が望んでくれるならずっと一緒にいます。」
あの日、彼女の初めてを貰ってから。僕は魔術や体だけでなく、彼女の為に心も強くあろうと思った。
肌がふれあい愛が囁かれる幸せを知った僕は有頂天だった。
だけど、次の日。
彼女がどこか悲しい表情をする時がある事に気がついた。
何か心配事があるのだろうか。傀儡師のローエンスコットと話すまでは普通だった。
作家のツァージルさんとお茶をして何か話したのか・・・。
あの人の使う用語は業界用語なのか言葉がわからない時がある。
とにかく精密な人形のグッズを作るという事のようだ。ネムの体の事にも関わるから人そっくりの素材を作る。
素材提供の為にアーシェリアに協力してもらいながら彼女を観察することにしたけど、肌を触ってる間、それの事を考えているたような気がする。
彼女にそんな顔をして欲しく無くて、そして出来心で色々やらかしてしまった。
だけど落ち込んでいると、こんな僕を可愛いという。
アーシェリアには本当に元気を貰ってばかりだ。
◆◆◆
くちっ くちゅ
「んっ、あ」
「アーシェリア、愛してる。」
防音をしっかりした仮眠室。
あれからアーシェリアを見ていると、その悲しい何かは僕に向けられているモノだと察した。
彼女が「ずっと側に居てね。」と同じ表情で言うから。まるで僕がアーシェリアを捨てて行くのを恐れているようだった。
何度か「何か心配事がありますか?」と聞いても笑って誤魔化すだけだ。何故そう思うのかは分からない。
だから日常的に出来るだけ愛してると言葉と態度で伝える。こんなに愛してるのに伝わらないなんてもどかしい。
それはやはり夜の性生活でも同じ事。
うつ伏せの彼女の腰を持ち上げ、自身の脈打つソレを蜜の溢れる所より前方にある突起に押し当てる。
「はぁ、ああ!!」
突起から滑りの良くなった入り口へ擦り付け周辺を固く反り返るソレで往復するのが彼女は好きらしい。
往復する度に甘い声で彼女の体が震える。
入口をグリグリと押し付ければグチュッと卑猥な音で何も考えず挿入してしまいそうになる。
「アーシェリア、気持ちいい?」
「きもち、いぃ。はぁ、意地悪しないで、ルナス」
自身の硬いモノに指を添え、くちゅっと淫らな音をたてながら中に押し入ると彼女の気持ちいい場所を探り当てる。
中の気持ちいい所はピクッと体が跳ねて教えてくれる。
同時に胸の色付いた頂点を摘まみコリコリと指先で刺激すればピクンッ跳ねる体が可愛らしい。
「ひやぁっあっ、あっ!」
「ん、っはぁ、可愛い。」
彼女に僕の愛が伝わるように、彼女の好きな所を丁寧に刺激する。
「ルナス、ぅ、ん、ルナス・・・愛してる。」
「僕も、愛してます。くっ、愛しくてたまらないっ」
速度を早め腰を打ち付ける。
肌と肌が打ち付けるられパンッパンッと激しく室内に響く。アーシェリアがシーツを掴み悶える姿は世界一美しく官能的だ。
ぱちゅっ!ぐちゅっ!ぐちゅっ!
「あ、ああ!!もう、だめぇ!!ぁああ!」
「うっ!!」
彼女の奥を強く突き、欲望のままに自分も共に果てる。
ドクドクと精子を流し込んだモノはまだ出たくないらしい。
繋げたままに後ろから抱き締めると、アーシェリアが自身のお腹を撫でた。
「はぁ、はぁ・・・子供、授かれたらいいのに。」
「僕はもう少し二人でもいいと思いますよ。授かれたらそれは嬉しいですが。」
息を整えながら二人で笑う。
絶対に離したくない存在を腕のなかで強く抱き寄せれば、腕をギュッと握り返される。
伝わってくれ。こんなに大好きで愛しくて。
嫌と言われても離したくないという事を。
◆◆◆◆
ツァージルさんの舞台を観てから研究室に帰ってきた。アーシェリアはルナスが好きなお料理たくさん作ります!とはりきってキッチンに居る。
外はまだ雪がふわふわと降っていた。
僕が捨てられた日の空。
作業机に貰ったプレゼントセットを出すとアーシェリアがいつも僕の事を気にかけてくれたのが分かる。
精霊祭のプレゼント。僕がプロポーズした日。
刺繍入りハンカチや紐を編んだのブレスレット。これらは何日かかっただろう。
僕に似てるという猫のマグカップ。
目付きが悪いのに可愛い猫だ。彼女は僕がこう見えるのだろうか?
キッチンから何かジューと炒める音がする。
「ははは」
いつも憂鬱に見上げていた空がきにならなくなっていた。
◆◆◆◆◆
「どもー!ウォルズマー様、今日ロマと人形の舞台デビュー祝いをするんです。有名店の料理テイクアウトしてお酒も用意してるんで、ウォルズマー様も一緒にお祝いしません?」
外が暗くなり就業時間まであと少しという頃。
人形の事で相談があると聞いて、ローエンスコットの研究室を訪れるとツァージルさんに聞かれた。
「めでたいですが僕は遠慮しておきます。」
「・・・」
「・・・」
二人が黙り混む。
「どうしました?」
「えっと。・・・」
ツァージルさんが少し慌てている。
「ウォルズマー様、最近アーシェリアが悲しそうな顔したりしません?」
「やはりあなたが何か言ったのですか?」
ツァージルさんを睨むとローエンスコットがピリッとした雰囲気に身構え人形に魔力が伝わる。何かあれば仲裁しようと思っているのだろう。
「・・・確かに余計な事を言ってしまったんだ、その辺も含めて話すから飲んでいきません?」
「・・・伺いましょうか。」
話の内容によっては只では済まさないだろうと思いながら私は席についた。
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