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第一部
妹の叛逆
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ダリアはすぐに婚約をし、私はイシュトハンの後継者として縁談相手とお茶をする日々が続いていた。
当たり前のようにフロージアと結婚すると思われていた私は、社交界の大きな話題の種となっていた。
同級生の結婚式に出向くのにも億劫になるほどみんなが私の話を聞きたがって寄ってくるので、表情ひとつ気が抜けない日々だった。
そんな日々を送っていると王弟殿下の娘が、ダリアの婚約者となったウィリアムに執拗に付き纏っていると噂に聞くことがあった。
「まさか、そんな命知らずな」
扇子で口元を隠したものの、面倒なことになりそうだと顔を歪めた。
そして、事件は起きてしまった。
自分の魔力を存分に発揮して、アカデミーでは目立ちまくっているらしいダリアは、楽しそうに毎日を過ごしていたはずだった。
その貴重な日々を王家の姫によって、奪われることになるとは、想像も出来なかった。
ーーなんて非常識な女なのだろう
そんな噂を再び小耳にはさんだ翌日、ダリアが王宮に乗り込んだとイシュトハンに緊急の連絡がウィリアムから入った。
知らせを受けて、ダリアを止めるために駆り出された私は、王宮の無残な姿に鳥肌を覚えた。
あまりにも一方的にやられた王宮はどこもかしこも黒焦げで、やられたい放題だ。
自分が思っていた以上に、この国の魔術師のレベルが低かったのだ。
「ギャーーーー!」
連れ出された春の宮と呼ばれる王弟殿下の住む別宮は、あちこちから悲鳴が上がっていた。
そこで私はため息をつく。遅かったのだと悟ったのだ。
「ダリア」
息を上げて魔力暴走を起こしかけているダリアの肩を叩くと、今気付いたとでも言うように肩をビクつかせた。
「ステラ…姉様…」
「命だけは助けてやりなさい」
負傷者の数は膨大で、姫以外は吹き飛ばされた後だった。
ダリアを止められたのは、私かクロエしかいなかっただろう。
これだけ騒がしい王宮で、姫の甲高い不快な叫び声が響き渡る。
「私にこんなことしたら、極刑よ!絶対に許さない!」
うるさい姫は、喧嘩を売る相手を間違えたのだ。
力がないなら大人しくしていればいいものの、口は災の元となるということも理解できないらしい。
「ハッ…極刑、極刑ね、誰が私の首を刎ねられるのかしら?吹き飛ばされたあなたの護衛?それとも廊下で伸びてるあなたの父親?」
私が来たことで少し落ち着きを取り戻したらしいオーラの安定したダリアを、私はそれ以上止めることはしなかった。
「ざ、残念ね、ウィリアムだってこんなことをした相手と結婚なんてしたくないでしょう。あ、あなたなんて魔力しか能のない田舎の辺境伯の娘じゃなっ!!!んんんんっ」
ダリアの代わりに、私が姫の口を縫い付けてやった。
その魔力を頼りに護られているだけで、何の役にも立たない姫を護る必要性を感じなかったが、目の前で人が死ぬのは気分が悪い。
「本当に残念だわ。欠損した手や足は、私ほどの魔法の能力があっても治せはしない。命が残ることはステラ姉様に感謝することね」
次の瞬間には、鼻から漏れた叫び声が耳に届いた。
「さぁ、ダリア戻りましょう。焦げ臭くて堪らないわ」
ダリアが魔力暴走を起こしていたら、この宮は跡形もなく消えていた。
その前に私が辿り着き、姫の足がなくなっただけで済むだなんて奇跡のようだ。
当たり前のようにフロージアと結婚すると思われていた私は、社交界の大きな話題の種となっていた。
同級生の結婚式に出向くのにも億劫になるほどみんなが私の話を聞きたがって寄ってくるので、表情ひとつ気が抜けない日々だった。
そんな日々を送っていると王弟殿下の娘が、ダリアの婚約者となったウィリアムに執拗に付き纏っていると噂に聞くことがあった。
「まさか、そんな命知らずな」
扇子で口元を隠したものの、面倒なことになりそうだと顔を歪めた。
そして、事件は起きてしまった。
自分の魔力を存分に発揮して、アカデミーでは目立ちまくっているらしいダリアは、楽しそうに毎日を過ごしていたはずだった。
その貴重な日々を王家の姫によって、奪われることになるとは、想像も出来なかった。
ーーなんて非常識な女なのだろう
そんな噂を再び小耳にはさんだ翌日、ダリアが王宮に乗り込んだとイシュトハンに緊急の連絡がウィリアムから入った。
知らせを受けて、ダリアを止めるために駆り出された私は、王宮の無残な姿に鳥肌を覚えた。
あまりにも一方的にやられた王宮はどこもかしこも黒焦げで、やられたい放題だ。
自分が思っていた以上に、この国の魔術師のレベルが低かったのだ。
「ギャーーーー!」
連れ出された春の宮と呼ばれる王弟殿下の住む別宮は、あちこちから悲鳴が上がっていた。
そこで私はため息をつく。遅かったのだと悟ったのだ。
「ダリア」
息を上げて魔力暴走を起こしかけているダリアの肩を叩くと、今気付いたとでも言うように肩をビクつかせた。
「ステラ…姉様…」
「命だけは助けてやりなさい」
負傷者の数は膨大で、姫以外は吹き飛ばされた後だった。
ダリアを止められたのは、私かクロエしかいなかっただろう。
これだけ騒がしい王宮で、姫の甲高い不快な叫び声が響き渡る。
「私にこんなことしたら、極刑よ!絶対に許さない!」
うるさい姫は、喧嘩を売る相手を間違えたのだ。
力がないなら大人しくしていればいいものの、口は災の元となるということも理解できないらしい。
「ハッ…極刑、極刑ね、誰が私の首を刎ねられるのかしら?吹き飛ばされたあなたの護衛?それとも廊下で伸びてるあなたの父親?」
私が来たことで少し落ち着きを取り戻したらしいオーラの安定したダリアを、私はそれ以上止めることはしなかった。
「ざ、残念ね、ウィリアムだってこんなことをした相手と結婚なんてしたくないでしょう。あ、あなたなんて魔力しか能のない田舎の辺境伯の娘じゃなっ!!!んんんんっ」
ダリアの代わりに、私が姫の口を縫い付けてやった。
その魔力を頼りに護られているだけで、何の役にも立たない姫を護る必要性を感じなかったが、目の前で人が死ぬのは気分が悪い。
「本当に残念だわ。欠損した手や足は、私ほどの魔法の能力があっても治せはしない。命が残ることはステラ姉様に感謝することね」
次の瞬間には、鼻から漏れた叫び声が耳に届いた。
「さぁ、ダリア戻りましょう。焦げ臭くて堪らないわ」
ダリアが魔力暴走を起こしていたら、この宮は跡形もなく消えていた。
その前に私が辿り着き、姫の足がなくなっただけで済むだなんて奇跡のようだ。
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