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別れ
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しおりを挟む「アリシア。念波動で俺の戦闘値分かるか?」
「そうですね。現在のナリユキ様の戦闘値は8,500です」
「――殺戮の腕を外してみるか」
数値が高すぎるので俺は一旦殺戮の腕を取り外してみた。これで一体どれくらいの戦闘値になっているのか――。
「アリシア。もう一回頼む」
「そうですね。8,100です。強さ又は危険度に関してはZになっています」
「まじか――」
「ナリユキ君がとうとう世界を亡ぼせる人間になってしまったね」
「流石だな――いつかは成し遂げると思ってはいたが」
「Z級になると何かあるのか?」
「特には無いな。強いて言うなら未来永劫語り継がれる強さと言う訳だ。それに、Z級の人間の国主は存在したことがない。ナリユキ殿は確実に伝説の存在となる」
「伝説の存在……」
「ナリユキ様は、マーズベルを開国し、長く続いたアードルハイム帝国の闇を葬り去りました。さらにはZ級の強さです。語り継がれない理由がありません」
「俺が伝説の存在か……」
全然実感が湧かないな。それにだ。俺が世界を亡ぼせる存在になったのも正直に言うと違和感しかない。
「まあ全然実感が湧かないのと一番気になるのは龍騎士のユニークスキルなんだよな。結局何のユニークスキルを持っていたんだろう?」
「そもそもだけど、何でステータスが視えなかったんだろうね?」
「ユニークスキルを使わずに戦っていた可能性もありますしね」
俺、ミクちゃん、アリシアの順番でそう話した。
「Z級は特別な存在だからステータスが視れないという訳ではないよな? だとするとナリユキ殿のステータスを我は視ることができない筈だ」
そうなんだよな~。
「まあ考えていても仕方ない。皆が体力回復しているならこのままダンジョンを進めようぜ」
「いいのか? ダンジョンに入ってから3日は経っているぞ?」
「黒龍があとどれくらいで復活するかだよね。残り5日くらいで復活してしまうんじゃないかな?」
「――それはヤバいな」
俺とミクちゃんは転移イヤリングを使えるから一瞬で行けるとして、ランベリオンとアリシアが無理だもんな~。
「俺とミクちゃんはもう少しダンジョンに潜る。ランベリオンとアリシアは先に行っていてくれ」
「――大丈夫ですか? 確かに強くはなりましたが、敵は桁違いに強いですよ?」
「大丈夫だ。俺とミクちゃん2人でさらに強くなって帰るから2人は安心して戻りな。指揮はランベリオンに任せた。あと、助言はマカロフ卿がしてくれるだろう」
「分かった。マカロフ卿の助言は頼もしいが恐ろしいな」
「まあ、完全に信用し切るのはまだまだ難しいからな。それいいな! と思ったものだけ取り入ればいいさ」
「ああ。言われなくてもそうする」
そう話しを終えると、ミクちゃんがいつも通りカルベリアツリーの結界を解除した。そして人型化を解除してアリシアを背中に乗せるランベリオン。
「ヤバいと思ったら必ず帰って来るんだぞ?」
「くれぐれも気を付けて下さい」
「ああ。2人共気を付けてな」
俺がそう言うと2人は返事をして、ランベリオンの龍の咆哮とアリシアの殺戮の爆風撃でいつも通り壁を破壊してこのタワーから出て行った。
「よし、行こう」
「そうだね! ナリユキ君の邪魔にならないようにサポートするよ」
「邪魔になんかなった事ないよ。それより2人きりで戦う事ができなんて久しぶりだな」
「確かにそうだね。2人でのんびりやっていこう!」
と、言われてダンジョンを登って行った。ここからは新しい階層だけど未知の領域だ。いつも通り知らない魔物や、ボス級のモンスターが雑魚敵のモンスターのノリで出てくる。
例えば、俺達の国を散々苦しめた疫病竜。魔界の魔物バフォメットや魔妖烏。とまあ色々な魔物が出てくるものだ。それに一番驚いたのは天使と魔族の混合種なども新たに出現してきた。龍騎士ではないけど、龍騎士のような風貌の人間も襲い掛かって来たりとまあ大変だ。
そして950層に来た訳だが――。
「あれ? 中ボス戦じゃないのか?」
「みたいだね?」
人の気配も魔物の気配も無い。
「どうなっているんだ?」
「いつもなら部屋の中央に分かりやすくボスがいるのにね」
「だよな」
俺とミクちゃんがそう話をしていると、突如人が俺達の前に現れた。純白のドラスを着た金髪の綺麗な女性だ。耳が長いので森妖精だと思うけど、目が魔族と同じような真紅なんだよな~。と思ってステータスを視ると、魔族と森妖精と天使の混合種らしい――まあ多分コヴィー・S・ウィズダムはもう何でもありなんだろうな~。名前はメシアと言うらしい。
「もう貴女達程の実力であれば感じ取っているかもしれませんが、今の私に貴女達に対する敵意はございません」
「凄いな。魔眼持ちの人はやっぱり心が読めるんだな」
「貴女達の脈の動きや、ちょっとした表情を読み取っていますからね。どれだけのポーカーフェイスをしようとしても魔眼持ちの前では意味を成さないですから」
「確かにその通りかもな。それで? 俺達と戦わないならどうしたんだ?」
「単刀直入に申し上げますと、私も貴女方の御力になりたいです。どちらにせよ951階層からは敵が強くなり、かなり時間が押されてしまいます。黒龍が復活するので強くなるためにここに来たのでしょう?」
――何でそれを知っているんだ?
「不思議だと思いますよね? 私は世界の理を知ることができるのです。黒龍が暴れてこの世界が火の海に変えられてしまうのはあってはならない事です。ノアを出したときのように、私も外の世界へ連れていってくれないでしょうか?」
そう真っ直ぐな目で俺を見てくるメシア。
「ナリユキ君どうするの?」
「勿論答えは決まってる」
「そうですね。現在のナリユキ様の戦闘値は8,500です」
「――殺戮の腕を外してみるか」
数値が高すぎるので俺は一旦殺戮の腕を取り外してみた。これで一体どれくらいの戦闘値になっているのか――。
「アリシア。もう一回頼む」
「そうですね。8,100です。強さ又は危険度に関してはZになっています」
「まじか――」
「ナリユキ君がとうとう世界を亡ぼせる人間になってしまったね」
「流石だな――いつかは成し遂げると思ってはいたが」
「Z級になると何かあるのか?」
「特には無いな。強いて言うなら未来永劫語り継がれる強さと言う訳だ。それに、Z級の人間の国主は存在したことがない。ナリユキ殿は確実に伝説の存在となる」
「伝説の存在……」
「ナリユキ様は、マーズベルを開国し、長く続いたアードルハイム帝国の闇を葬り去りました。さらにはZ級の強さです。語り継がれない理由がありません」
「俺が伝説の存在か……」
全然実感が湧かないな。それにだ。俺が世界を亡ぼせる存在になったのも正直に言うと違和感しかない。
「まあ全然実感が湧かないのと一番気になるのは龍騎士のユニークスキルなんだよな。結局何のユニークスキルを持っていたんだろう?」
「そもそもだけど、何でステータスが視えなかったんだろうね?」
「ユニークスキルを使わずに戦っていた可能性もありますしね」
俺、ミクちゃん、アリシアの順番でそう話した。
「Z級は特別な存在だからステータスが視れないという訳ではないよな? だとするとナリユキ殿のステータスを我は視ることができない筈だ」
そうなんだよな~。
「まあ考えていても仕方ない。皆が体力回復しているならこのままダンジョンを進めようぜ」
「いいのか? ダンジョンに入ってから3日は経っているぞ?」
「黒龍があとどれくらいで復活するかだよね。残り5日くらいで復活してしまうんじゃないかな?」
「――それはヤバいな」
俺とミクちゃんは転移イヤリングを使えるから一瞬で行けるとして、ランベリオンとアリシアが無理だもんな~。
「俺とミクちゃんはもう少しダンジョンに潜る。ランベリオンとアリシアは先に行っていてくれ」
「――大丈夫ですか? 確かに強くはなりましたが、敵は桁違いに強いですよ?」
「大丈夫だ。俺とミクちゃん2人でさらに強くなって帰るから2人は安心して戻りな。指揮はランベリオンに任せた。あと、助言はマカロフ卿がしてくれるだろう」
「分かった。マカロフ卿の助言は頼もしいが恐ろしいな」
「まあ、完全に信用し切るのはまだまだ難しいからな。それいいな! と思ったものだけ取り入ればいいさ」
「ああ。言われなくてもそうする」
そう話しを終えると、ミクちゃんがいつも通りカルベリアツリーの結界を解除した。そして人型化を解除してアリシアを背中に乗せるランベリオン。
「ヤバいと思ったら必ず帰って来るんだぞ?」
「くれぐれも気を付けて下さい」
「ああ。2人共気を付けてな」
俺がそう言うと2人は返事をして、ランベリオンの龍の咆哮とアリシアの殺戮の爆風撃でいつも通り壁を破壊してこのタワーから出て行った。
「よし、行こう」
「そうだね! ナリユキ君の邪魔にならないようにサポートするよ」
「邪魔になんかなった事ないよ。それより2人きりで戦う事ができなんて久しぶりだな」
「確かにそうだね。2人でのんびりやっていこう!」
と、言われてダンジョンを登って行った。ここからは新しい階層だけど未知の領域だ。いつも通り知らない魔物や、ボス級のモンスターが雑魚敵のモンスターのノリで出てくる。
例えば、俺達の国を散々苦しめた疫病竜。魔界の魔物バフォメットや魔妖烏。とまあ色々な魔物が出てくるものだ。それに一番驚いたのは天使と魔族の混合種なども新たに出現してきた。龍騎士ではないけど、龍騎士のような風貌の人間も襲い掛かって来たりとまあ大変だ。
そして950層に来た訳だが――。
「あれ? 中ボス戦じゃないのか?」
「みたいだね?」
人の気配も魔物の気配も無い。
「どうなっているんだ?」
「いつもなら部屋の中央に分かりやすくボスがいるのにね」
「だよな」
俺とミクちゃんがそう話をしていると、突如人が俺達の前に現れた。純白のドラスを着た金髪の綺麗な女性だ。耳が長いので森妖精だと思うけど、目が魔族と同じような真紅なんだよな~。と思ってステータスを視ると、魔族と森妖精と天使の混合種らしい――まあ多分コヴィー・S・ウィズダムはもう何でもありなんだろうな~。名前はメシアと言うらしい。
「もう貴女達程の実力であれば感じ取っているかもしれませんが、今の私に貴女達に対する敵意はございません」
「凄いな。魔眼持ちの人はやっぱり心が読めるんだな」
「貴女達の脈の動きや、ちょっとした表情を読み取っていますからね。どれだけのポーカーフェイスをしようとしても魔眼持ちの前では意味を成さないですから」
「確かにその通りかもな。それで? 俺達と戦わないならどうしたんだ?」
「単刀直入に申し上げますと、私も貴女方の御力になりたいです。どちらにせよ951階層からは敵が強くなり、かなり時間が押されてしまいます。黒龍が復活するので強くなるためにここに来たのでしょう?」
――何でそれを知っているんだ?
「不思議だと思いますよね? 私は世界の理を知ることができるのです。黒龍が暴れてこの世界が火の海に変えられてしまうのはあってはならない事です。ノアを出したときのように、私も外の世界へ連れていってくれないでしょうか?」
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