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芽生え
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20年前のこと、彼らはまだシュゼインと同じように学園に通っていた。
アルベルトは特進科という学園でも一握りしか入れない特別クラスで勉学に励んでいた。
成績優秀者で希望するものが入れる、将来が約束されたクラスだった。
その中でも群を抜いて優秀だったのだが、謙虚さと親しみやすさを持ち合わせた彼に、いつの間にか嫉妬するものもいなくなり、彼の周りには人が集まっていた。
クラスの特性から、女性はめったに希望しないクラスだったので、普段彼の周りには男しかいなかったのだが、それが逆にウケたようだった。
ブルーグレーの髪は流すように固められれば、爽やかな印象を強調されたようであったし、珍しい紺色の瞳は瞳孔が見えづらく、少しキツイ目元と合わさって誰の目も釘付けにさせた。
高嶺の花と考え遠巻きに頬を染める者、女の影の無さから男色なのではないかと色めく禁断の世界を思い浮かべる者も中にはいたが、勇気のある大半の令嬢は、既に縁談を持ち掛けてはうまく断られているようだった。
伯爵家なだけにそれは大変な苦労をしたことだろう。
断ることの出来ない身分からの縁談がたくさんあったのは幸いだったのかも知れない。
どれも断れないからこそ全てを断ることができた。
当の本人はというと、男としての欲望は認めるものの、この先の足枷になるかもしれないから、誰の手も取りたくないという同級生も驚きの理由で学生よりも学生らしい模範的な学園生活を送っていた。
その辺の同級生よりも女性との関わりが少なかったのは周知の事実だった。
アルベルトは特進科という学園でも一握りしか入れない特別クラスで勉学に励んでいた。
成績優秀者で希望するものが入れる、将来が約束されたクラスだった。
その中でも群を抜いて優秀だったのだが、謙虚さと親しみやすさを持ち合わせた彼に、いつの間にか嫉妬するものもいなくなり、彼の周りには人が集まっていた。
クラスの特性から、女性はめったに希望しないクラスだったので、普段彼の周りには男しかいなかったのだが、それが逆にウケたようだった。
ブルーグレーの髪は流すように固められれば、爽やかな印象を強調されたようであったし、珍しい紺色の瞳は瞳孔が見えづらく、少しキツイ目元と合わさって誰の目も釘付けにさせた。
高嶺の花と考え遠巻きに頬を染める者、女の影の無さから男色なのではないかと色めく禁断の世界を思い浮かべる者も中にはいたが、勇気のある大半の令嬢は、既に縁談を持ち掛けてはうまく断られているようだった。
伯爵家なだけにそれは大変な苦労をしたことだろう。
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どれも断れないからこそ全てを断ることができた。
当の本人はというと、男としての欲望は認めるものの、この先の足枷になるかもしれないから、誰の手も取りたくないという同級生も驚きの理由で学生よりも学生らしい模範的な学園生活を送っていた。
その辺の同級生よりも女性との関わりが少なかったのは周知の事実だった。
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