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alone
こんなはずではなかった
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サステナの罰としてここまで順調に反省を促せたと思っていたが、それだけでは終わらなかったようだ。
蝶よ花よと幼い頃から持て囃されて世の中の中心が自分にあったサステナに、自分の過ちを理解させたかっただけなのに、今は何故か自分が説教されている。
「公爵がこれだけ献身していても、彼女は「他人の夫に手を出そうとすることを神は許すと思ったの?」とか、「貴女はまずは他人にどう思われるか考えなければならなかったわ」とか、そう言う倫理的なことを永遠と話してきたのです。同じ事を永遠とですよ!?」
「何が問題なのよ!」
フリードが献身?至らぬ点もたくさんあるけど?何も知らないのに献身として全て丸っと一括りにされると、反抗せざるを得ない。
「事あるごとに「結婚式もあげてないのに婿に逃げられた公爵夫人とか呼ばれるかも…」とか「結婚したことがそもそも間違いだったのよ」とか、陛下…いいえ、公爵夫人は微塵も公爵のことを信用してはいませんでした」
「良心があるのならそのことは黙っておきなさいよ!」
そりゃあ、サステナに説教ついでに愚痴も言いましたし、否定はしません。
フリードが目覚めてから、透視するのすら怖くて出来なかった。
今頃行方不明なことをいいことに離縁を申し立てているかもしれないとさえ思っていた。
でも、フリードが私を探していてくれてとても嬉しかったのも事実で、そりゃあ信用はしていなかったけど、酷い言い草じゃないか。
一方的に愚痴を聞かせたもう一人の相手であるクリンプトンに助けを求めたが、彼も心当たりしかなくて目も合わせてくれない。
「サステナ様…と呼んでいいのか分からないが、まぁ、クロエが私を信用していないのは当然そうだろうとしか言えない」
ーーほらご覧なさい。
思わぬ味方が本人とは思わなかったが、うんうんと頷く。
「婚約前は話しかけることすらできなかったのに、無理やり婚約したあとは半年間もクロエを避けたり、クロエをわざと怒らせたるために目の前で他人の胸を揉んだり。私はそう言う男だった。クロエの考えも理解出来る。今この瞬間に離縁を言い渡されるかもしれないと考えてここに座った私も同じようなものだ」
「あなたそんなことを考えていたの!?」
まさかフリードが離婚を突きつけられると思っていたとはビックリした。
離婚すると言ったらどうするつもりだったのか、聞くだけ聞いとくべきか…いや、昨日の言葉を聞く限り認めてはくれないだろう。
「そうだよ。離婚なんて言い出してもそんなことを認めるつもりはないけど、いつも私は別れを告げられてもおかしくないと考えている。毎日毎日それに怯えて過ごしているんだからね」
「まぁそれは意外!なら今後はより一層、何事にも慎重に行動してもらいたいものだわ」
「あぁ。侍女達も含めた女性とは二人きりにならないようにするし、一人で行動するのは今後はやめるつもりだ。二度と同じ間違いはしない」
今となってはそれほど怒っていたわけではないが、不用心さと不信感が合わさってあの一瞬は怒り狂っていた。
ほんのちょっとは懲らしめてやるべきだ。
「まぁ、頑張ってちょうだい」
「もちろん!早くイシュトハンへ帰ろう。クロエ」
二人は席を立ってフリードがドーナツをクロエにすすめる。
先程まで全てを凍らせる勢いで自分を見ていたフリードの姿は違い、全力で尻尾でも振っているかのようにクロエの隣にいるフリードに、サステナはあっけにとられた。
「何よあれ…」
「最初から入り込む隙なんてなかったということですよ」
ポカンとするサステナに、クリンプトンが苦笑いで答えた。
「私、今日は入り込もうとなんてしてないんだけど…?ちょっと憂さ晴らしをしようとしただけなのに」
「まぁ、馬に蹴られたとでも思ってください。それにしても憂さ晴らしだなんて、サステナ様も変わられましたね」
国王というただの人形であった時、サステナは自分が正しいと思ったことを疑うこともなかった。
他の者に誘導されて導き出した答えにも自信を持っていたし、それが間違いだと考えるようなこともなかった。
悪意もなく、嫉妬もなく、全てのことをいつも高みから見下ろしていた。
そのように教育されてきたのだから当然だが、明らかに感情豊かなクロエの影響だろう。
「毎日毎日何時間も、時間がなければ夜中に突然きて、何時間も聞かされたらこうもなるわよ!あぁあー!私も結婚したいわ!」
「何時間も?陛下にそんな時間どこにあったのやら…」
「クリンプトン、あなた元々私の世話役だったのに本当に私に興味がないわね」
結婚したいと言う発言を丸っと無視されて、サステナは不貞腐れる。
「別に、興味がないのが普通のことなので、気にする必要はありませんよ。陛下位ですよ。放っておけないと思わせる厄介な人は」
「報われないわね…あなたも」
サステナは察したとばかりにクリンプトンに同情した。
クリンプトンはクロエを瞳に映し続けている。
「いえ、サステナ様の考えているような感情ではありませんよ。陛下に嫉妬しているようなものですから。変えたくても変えられなかったものを、いとも簡単に壊していった大型の怪獣のような人ですからね。文面のまま、ただ目が離せないのです」
「それを恋というのでは?」
「サステナ様、振り回されるだけの従者が、主人に恋をすることがあると思いますか?」
「……それ、主人に私も含んで考えているんじゃないですよね?」
「まさか!一般論の話ですよ」
サステナはため息をつきながら「もう、早くいきましょう」とクロエに願った。
サステナは、魔獣をミーリン島に連れていく役目を任されていた。
「サステナはもう少し紅茶でも飲んでいなさい!」
クロエがドーナツをいくつか頬張っている。
サステナが「食べて寝るのが1番効率いいわよ」と言うと、「寝れないから食べてるんでしょうがーー!」と叫び声が上がった。
「ただ単に魔力の使いすぎなのよ」
わちゃわちゃとその後も口喧嘩に発展しながらも、四人はなんとかイシュトハンへと戻った。
蝶よ花よと幼い頃から持て囃されて世の中の中心が自分にあったサステナに、自分の過ちを理解させたかっただけなのに、今は何故か自分が説教されている。
「公爵がこれだけ献身していても、彼女は「他人の夫に手を出そうとすることを神は許すと思ったの?」とか、「貴女はまずは他人にどう思われるか考えなければならなかったわ」とか、そう言う倫理的なことを永遠と話してきたのです。同じ事を永遠とですよ!?」
「何が問題なのよ!」
フリードが献身?至らぬ点もたくさんあるけど?何も知らないのに献身として全て丸っと一括りにされると、反抗せざるを得ない。
「事あるごとに「結婚式もあげてないのに婿に逃げられた公爵夫人とか呼ばれるかも…」とか「結婚したことがそもそも間違いだったのよ」とか、陛下…いいえ、公爵夫人は微塵も公爵のことを信用してはいませんでした」
「良心があるのならそのことは黙っておきなさいよ!」
そりゃあ、サステナに説教ついでに愚痴も言いましたし、否定はしません。
フリードが目覚めてから、透視するのすら怖くて出来なかった。
今頃行方不明なことをいいことに離縁を申し立てているかもしれないとさえ思っていた。
でも、フリードが私を探していてくれてとても嬉しかったのも事実で、そりゃあ信用はしていなかったけど、酷い言い草じゃないか。
一方的に愚痴を聞かせたもう一人の相手であるクリンプトンに助けを求めたが、彼も心当たりしかなくて目も合わせてくれない。
「サステナ様…と呼んでいいのか分からないが、まぁ、クロエが私を信用していないのは当然そうだろうとしか言えない」
ーーほらご覧なさい。
思わぬ味方が本人とは思わなかったが、うんうんと頷く。
「婚約前は話しかけることすらできなかったのに、無理やり婚約したあとは半年間もクロエを避けたり、クロエをわざと怒らせたるために目の前で他人の胸を揉んだり。私はそう言う男だった。クロエの考えも理解出来る。今この瞬間に離縁を言い渡されるかもしれないと考えてここに座った私も同じようなものだ」
「あなたそんなことを考えていたの!?」
まさかフリードが離婚を突きつけられると思っていたとはビックリした。
離婚すると言ったらどうするつもりだったのか、聞くだけ聞いとくべきか…いや、昨日の言葉を聞く限り認めてはくれないだろう。
「そうだよ。離婚なんて言い出してもそんなことを認めるつもりはないけど、いつも私は別れを告げられてもおかしくないと考えている。毎日毎日それに怯えて過ごしているんだからね」
「まぁそれは意外!なら今後はより一層、何事にも慎重に行動してもらいたいものだわ」
「あぁ。侍女達も含めた女性とは二人きりにならないようにするし、一人で行動するのは今後はやめるつもりだ。二度と同じ間違いはしない」
今となってはそれほど怒っていたわけではないが、不用心さと不信感が合わさってあの一瞬は怒り狂っていた。
ほんのちょっとは懲らしめてやるべきだ。
「まぁ、頑張ってちょうだい」
「もちろん!早くイシュトハンへ帰ろう。クロエ」
二人は席を立ってフリードがドーナツをクロエにすすめる。
先程まで全てを凍らせる勢いで自分を見ていたフリードの姿は違い、全力で尻尾でも振っているかのようにクロエの隣にいるフリードに、サステナはあっけにとられた。
「何よあれ…」
「最初から入り込む隙なんてなかったということですよ」
ポカンとするサステナに、クリンプトンが苦笑いで答えた。
「私、今日は入り込もうとなんてしてないんだけど…?ちょっと憂さ晴らしをしようとしただけなのに」
「まぁ、馬に蹴られたとでも思ってください。それにしても憂さ晴らしだなんて、サステナ様も変わられましたね」
国王というただの人形であった時、サステナは自分が正しいと思ったことを疑うこともなかった。
他の者に誘導されて導き出した答えにも自信を持っていたし、それが間違いだと考えるようなこともなかった。
悪意もなく、嫉妬もなく、全てのことをいつも高みから見下ろしていた。
そのように教育されてきたのだから当然だが、明らかに感情豊かなクロエの影響だろう。
「毎日毎日何時間も、時間がなければ夜中に突然きて、何時間も聞かされたらこうもなるわよ!あぁあー!私も結婚したいわ!」
「何時間も?陛下にそんな時間どこにあったのやら…」
「クリンプトン、あなた元々私の世話役だったのに本当に私に興味がないわね」
結婚したいと言う発言を丸っと無視されて、サステナは不貞腐れる。
「別に、興味がないのが普通のことなので、気にする必要はありませんよ。陛下位ですよ。放っておけないと思わせる厄介な人は」
「報われないわね…あなたも」
サステナは察したとばかりにクリンプトンに同情した。
クリンプトンはクロエを瞳に映し続けている。
「いえ、サステナ様の考えているような感情ではありませんよ。陛下に嫉妬しているようなものですから。変えたくても変えられなかったものを、いとも簡単に壊していった大型の怪獣のような人ですからね。文面のまま、ただ目が離せないのです」
「それを恋というのでは?」
「サステナ様、振り回されるだけの従者が、主人に恋をすることがあると思いますか?」
「……それ、主人に私も含んで考えているんじゃないですよね?」
「まさか!一般論の話ですよ」
サステナはため息をつきながら「もう、早くいきましょう」とクロエに願った。
サステナは、魔獣をミーリン島に連れていく役目を任されていた。
「サステナはもう少し紅茶でも飲んでいなさい!」
クロエがドーナツをいくつか頬張っている。
サステナが「食べて寝るのが1番効率いいわよ」と言うと、「寝れないから食べてるんでしょうがーー!」と叫び声が上がった。
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