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engagement
抗えない本能
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「当たり前ですわ。余計な警戒をして欲しくありませんもの。一夜だけ、私を愛してくださいませんか?
「一夜だけっていうけど、君はここからどうやって出るつもりなの?僕が君を逃がすとでも?」
フリードが呪文を素早く唱えるとパシュンッという音が響いた。
「へぇ…防御魔法かな?罠も効かないわけだ。その魔女は相当魔力があるみたいだね」
拘束魔法で彼女を拘束しようとしたのだろう。しかし、彼女には何も起こっていない。
フリードの魔法も弱くはないが、加護も一緒に纏った彼女には、傷は付けられない。
どうか成功してくれっ!
「たとえ牢屋に入れられても、時間になったら転移されると伺っています。私を捕まえようとするのは無駄なことですわ」
響いた音にも臆さず、出任せを言う彼女の演技に感服する。
たしかに牢屋に入れられても戻ってこられるだろう。
彼女がどこにいようと、彼女がいるところに行くことは簡単なことだ。
夢中になっているうちに、肉が溢れるほどに入っていた箱が空になった。
それでも全回復には至らない。
正直もう口に何も入れたくない程満腹なのだが、それでも食べないといけないのが魔力補給だ。
ポケットの砂糖菓子を放り込んでいくしかない。
胃袋よ限界まで伸びてくれ。
「城は結界が張られているのに入ってこられたんだ。出ることも造作もない事ということか…ではその時間までに全て吐いてもらうことにしようかな」
フリードはベッドの端へ座ると、掴んでいた彼女の手を引っ張り、膝に彼女を乗せる。
「殿下…お顔が見たいですわ…」
そりゃあ後ろ向きに膝に乗せられれば何をしてくるか分からないから不安だろう。
なにかあれば助けるから安心してほしい。
殿下には見えていないが、彼女の顔がとても不安そうに歪んだので申し訳なくなるが、これはチャンス!
これだけ密着していればフリードも陥落するだろう。
そう。そこは魅惑のベッドだものっ!
砂糖菓子の入った袋を、ドスンと机に乗せて口に運ぶ。
もう一粒ずつしか口に運ぶことは出来なくなっていた。
全然喉を通ってくれない。
「必要ないよ。魔女さんはどうしたらここに来てくれると思う?」
「魔女は来ませんよ」
「もぅ…じゃあ魔女の名前を教えて」
「名前ですか…メイリーと名乗っていたと思いますが…それより殿下?」
彼女は腕を掴んでいたフリードの手を取り、自分の胸に押し当てるように置いた。
きゃーーーーっ!
辛うじて声を出さなかったが、免疫のないクロエには目の毒だ。
男性を誘うにはこういうことをしなければならないのかと、大人の女性のテクニックに頬が赤くなる。
勉強にはなるけど全く活かせそうにない。
「んー。クロエのおっぱいより大きくて柔らかいけど…それよりも、どうやってここに入ってきたか詳しく聞きたいんだけど?」
悔しい悔しい悔しい。確かに私の胸は控えめですよ。
コルセットで寄せてあげてもないのにあのプロポーションの彼女と比較なんてされても困る。
大体、触ったこともない私の胸がどうして彼女より硬いと…嫌、硬いな。
彼女のは殿下の指が沈み込むほどの柔らかさだな。
ってしっかり揉んでる。あれは既に自発的に胸を揉んでいるな。
「それよりも」とか言って、ちゃっかりしっかり揉んでいるな。
「転移魔法を使ってくれただけですわ。それ以上私には知り得ないこと。聞いても答えを持ち合わせておりませんわ」
「じゃあ聞き方を変えようかな。君のことを教えてくれる?」
「私のことはいくらでも。何が知りたいのですか?」
ムニムニムニムニと楽しみやがって全然手が止まらないじゃないか!
もう恥ずかしくて見ていられない。
ガリっと砂糖菓子が口の中で音を立ててくだける。
目を開けると、弟君が布団を敷いているところだった。
いつの間にかお皿も空になった箱も片付けられている。
なんてしっかりした子供なのだろうか。
声をかけることもなく大人しく食べて布団に入るなんていい子すぎる。
「いつも一人で寝てるの?」
「そうだよ。ねえちゃんは朝にならないと帰ってこないからね」
「そう。ならたまにこの魔女のメイリーちゃんが夜に遊びに来てあげるわ」
「ほんと?約束だよ?」
集中を切らさないために感情的にはならないようにしているが、いい子すぎて泣ける。
「もちろんよ。魔女は約束を破ったりしないものよ。おやすみなさい。いい夢を見てね」
「うん。おやすみなさい」
この家に足を踏み入れたのは偶然だったが、これはいい出会いだったかもしれない。
そんな予感がしていた。
「一夜だけっていうけど、君はここからどうやって出るつもりなの?僕が君を逃がすとでも?」
フリードが呪文を素早く唱えるとパシュンッという音が響いた。
「へぇ…防御魔法かな?罠も効かないわけだ。その魔女は相当魔力があるみたいだね」
拘束魔法で彼女を拘束しようとしたのだろう。しかし、彼女には何も起こっていない。
フリードの魔法も弱くはないが、加護も一緒に纏った彼女には、傷は付けられない。
どうか成功してくれっ!
「たとえ牢屋に入れられても、時間になったら転移されると伺っています。私を捕まえようとするのは無駄なことですわ」
響いた音にも臆さず、出任せを言う彼女の演技に感服する。
たしかに牢屋に入れられても戻ってこられるだろう。
彼女がどこにいようと、彼女がいるところに行くことは簡単なことだ。
夢中になっているうちに、肉が溢れるほどに入っていた箱が空になった。
それでも全回復には至らない。
正直もう口に何も入れたくない程満腹なのだが、それでも食べないといけないのが魔力補給だ。
ポケットの砂糖菓子を放り込んでいくしかない。
胃袋よ限界まで伸びてくれ。
「城は結界が張られているのに入ってこられたんだ。出ることも造作もない事ということか…ではその時間までに全て吐いてもらうことにしようかな」
フリードはベッドの端へ座ると、掴んでいた彼女の手を引っ張り、膝に彼女を乗せる。
「殿下…お顔が見たいですわ…」
そりゃあ後ろ向きに膝に乗せられれば何をしてくるか分からないから不安だろう。
なにかあれば助けるから安心してほしい。
殿下には見えていないが、彼女の顔がとても不安そうに歪んだので申し訳なくなるが、これはチャンス!
これだけ密着していればフリードも陥落するだろう。
そう。そこは魅惑のベッドだものっ!
砂糖菓子の入った袋を、ドスンと机に乗せて口に運ぶ。
もう一粒ずつしか口に運ぶことは出来なくなっていた。
全然喉を通ってくれない。
「必要ないよ。魔女さんはどうしたらここに来てくれると思う?」
「魔女は来ませんよ」
「もぅ…じゃあ魔女の名前を教えて」
「名前ですか…メイリーと名乗っていたと思いますが…それより殿下?」
彼女は腕を掴んでいたフリードの手を取り、自分の胸に押し当てるように置いた。
きゃーーーーっ!
辛うじて声を出さなかったが、免疫のないクロエには目の毒だ。
男性を誘うにはこういうことをしなければならないのかと、大人の女性のテクニックに頬が赤くなる。
勉強にはなるけど全く活かせそうにない。
「んー。クロエのおっぱいより大きくて柔らかいけど…それよりも、どうやってここに入ってきたか詳しく聞きたいんだけど?」
悔しい悔しい悔しい。確かに私の胸は控えめですよ。
コルセットで寄せてあげてもないのにあのプロポーションの彼女と比較なんてされても困る。
大体、触ったこともない私の胸がどうして彼女より硬いと…嫌、硬いな。
彼女のは殿下の指が沈み込むほどの柔らかさだな。
ってしっかり揉んでる。あれは既に自発的に胸を揉んでいるな。
「それよりも」とか言って、ちゃっかりしっかり揉んでいるな。
「転移魔法を使ってくれただけですわ。それ以上私には知り得ないこと。聞いても答えを持ち合わせておりませんわ」
「じゃあ聞き方を変えようかな。君のことを教えてくれる?」
「私のことはいくらでも。何が知りたいのですか?」
ムニムニムニムニと楽しみやがって全然手が止まらないじゃないか!
もう恥ずかしくて見ていられない。
ガリっと砂糖菓子が口の中で音を立ててくだける。
目を開けると、弟君が布団を敷いているところだった。
いつの間にかお皿も空になった箱も片付けられている。
なんてしっかりした子供なのだろうか。
声をかけることもなく大人しく食べて布団に入るなんていい子すぎる。
「いつも一人で寝てるの?」
「そうだよ。ねえちゃんは朝にならないと帰ってこないからね」
「そう。ならたまにこの魔女のメイリーちゃんが夜に遊びに来てあげるわ」
「ほんと?約束だよ?」
集中を切らさないために感情的にはならないようにしているが、いい子すぎて泣ける。
「もちろんよ。魔女は約束を破ったりしないものよ。おやすみなさい。いい夢を見てね」
「うん。おやすみなさい」
この家に足を踏み入れたのは偶然だったが、これはいい出会いだったかもしれない。
そんな予感がしていた。
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