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どうやら片思いらしい、私がしているのはそれに似ている。
「これが片思い?」
戸惑いながら蒼は独り呟く。
桜の下で出逢った穏やかな生徒会長に蒼は恋をしてしまったらしい。眩しそうに綺麗な桜を見ていた名波奏。蒼と同じ能力者なのに全然気負わず、人が大好きな男性。
「視えちゃうのに何であんなに穏やかなんだろう……」
聴こえた奏の心の声。自分を精霊か妖と間違えていた。この黒い長い髪がいけないのだろうか。頭が奏の事ばかりになる。
同じ寮部屋の晶が声をかけてきた。
「蒼さーん?また生徒会長の事?」
少し奏の事を漏らしただけでそれは恋じゃなくてと見抜かれた。本人さえ自覚していなかったのに。
それを見抜いたふわふわした少し栗色のロング髪に焦茶の大きな双眸の可愛らしい美少女。見た目とは違う鋭さとはきはきした性格の女の子で人見知りはするものの本音を隠さない性格の蒼と晶とはすぐ仲良くなった。
「……うん。穏やかでかっこいいよね」
穏やかな身のこなしや話し方を思い出す。一目惚れに近かった、勿論視えるという同じ能力者で前向きな思考が一番好きだ。
「出たよ~蒼さんの生徒会長病」
晶は黙っていれば可愛らしいのにしかもにやにや笑いながら蒼を冷やかす。
「ほっといて!自分だって彼氏居るくせに!」
蒼がむきになって言い返すと
「私は中学からだから倦怠期です~」
とやりかえされた。
うーっと真っ赤になった蒼が不貞腐れた表情を顔に浮かべているとふふっと晶は一転愛らしく笑った。
「蒼さんのそういう所が生徒会長の好みだと私は思うな。一樹経由だと会長の好みは蒼さんに近い」
晶の彼氏一樹は生徒会長の親友で副生徒会長だ。いつも二人で一緒に行動している。
「ほんとう?」
きらきらと目を輝かせる蒼と半分面白がっている晶。
「うん、だから生徒会に入りなよ」
「……は?」
「山村留学生代表で一人生徒会に入らなくちゃいけないの。雑用だけど誰もやりたがらないし、一樹に頼んで推薦してあげるから頑張れ!」
半分応援半分面白がられていることに気づいた(聴こえた)蒼は頷きながらも複雑だった。
「面白がっているでしょ」
「そんなことないよー!」
きゃらきゃらと笑う晶に先行きが不安な蒼だった。
でも背中を押してくれる晶がありがたかった。後ひとつ大事なのは前に踏み出す自分の勇気。
「これが片思い?」
戸惑いながら蒼は独り呟く。
桜の下で出逢った穏やかな生徒会長に蒼は恋をしてしまったらしい。眩しそうに綺麗な桜を見ていた名波奏。蒼と同じ能力者なのに全然気負わず、人が大好きな男性。
「視えちゃうのに何であんなに穏やかなんだろう……」
聴こえた奏の心の声。自分を精霊か妖と間違えていた。この黒い長い髪がいけないのだろうか。頭が奏の事ばかりになる。
同じ寮部屋の晶が声をかけてきた。
「蒼さーん?また生徒会長の事?」
少し奏の事を漏らしただけでそれは恋じゃなくてと見抜かれた。本人さえ自覚していなかったのに。
それを見抜いたふわふわした少し栗色のロング髪に焦茶の大きな双眸の可愛らしい美少女。見た目とは違う鋭さとはきはきした性格の女の子で人見知りはするものの本音を隠さない性格の蒼と晶とはすぐ仲良くなった。
「……うん。穏やかでかっこいいよね」
穏やかな身のこなしや話し方を思い出す。一目惚れに近かった、勿論視えるという同じ能力者で前向きな思考が一番好きだ。
「出たよ~蒼さんの生徒会長病」
晶は黙っていれば可愛らしいのにしかもにやにや笑いながら蒼を冷やかす。
「ほっといて!自分だって彼氏居るくせに!」
蒼がむきになって言い返すと
「私は中学からだから倦怠期です~」
とやりかえされた。
うーっと真っ赤になった蒼が不貞腐れた表情を顔に浮かべているとふふっと晶は一転愛らしく笑った。
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「面白がっているでしょ」
「そんなことないよー!」
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