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19話 天使逃亡2~リチャードver~
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ヒカルに逃げられた。要は自分は彼女に捨てられたのだ。
想定はしていた、していたが、その事実は想像以上に精神的にリチャードを打ちのめし、そして彼は暗然とした。
恋に溺れていたのは自分だけで、彼女はそうではなかったという事実に打ちのめされる。我ながら馬鹿だと思う。思うが実際に番(つがい)を見つけたウィル王家の人間はこうなる。ウィル王族の純粋な紫の双眸を受け継いだ王族は、定められた相手がいる。その相手を見つけた時から凄まじい執着とその女性のみしか目に入らなくなる。
自分の場合は相手が天使だった。
天空界に一生居られたら見つけられなかった。
あの時迂闊にもヒカルが天空界からウィル神界へ飛んできてくれて良かったと実感する。
大体がヒカルは抜けているのだ。多分今回自分から逃げたのも自分への自覚した恋心を受け止めきれなかったのだろうと推測する。
ヒカルの家に入り浸るようになったリチャードは彼女を観察していて、ヒカルが恋愛面において幼過ぎると呆れたものだった。
肉体関係に持ち込んでみたのだが、明らかに失敗だった。彼女はその行為自体には溺れていたが、潔癖な所のある性格だ。はっきり言えば自分はやり過ぎたのだ。
(頭が痛い、俺が馬鹿だった。ヒカルを追いつめ過ぎた)
又結果的にリチャードは前回同様頭を抱えることになった。
今彼女を追いかけても彼女は余計むきになる。
(あの恋愛のスキルのなさは可愛いが、どうにかして欲しい)
少しの間放置しておこうとリチャードは結論づける。
自慢出来ないが、自分もこれが遅い初恋なのだろう。
同僚の騎士などに漏らしたら最後絶対に笑われるので言えないが。
ヒカルもリチャードも不器用すぎた。
近衛騎士団とウィザードで面白おかしくヒカルとリチャードが噂されていたが、リチャードはもう何も言えなかった。
暫くしてウィル王からリチャードは王宮に呼び出され、王宮で彼は信じられない事実を聞かされる。
「ヒカルがオーレリー=ジャージ嬢だと?何の悪い冗談ですか?」
「事実だ。あれはウィル神界と天空界の王家の血を引いている」
愕然とするリチャードにウィル王が続ける。
ヒカルはアレックス王弟と正妃ヒカリの子供であり、ヒカリがアレックスからヒカルを隠す為にジャージ侯爵夫妻である妹夫婦へ預けて、天空界へヒカリは雲隠れしたと。それからアレックスは荒れ果てて、公務さえ手に着かない有様。
「そう言えばここ数年、アレックス様をお見掛けしてませんでした」
「ああ。まあ番(つがい)に逃げられたらなあ。お前もだが」
リチャードはその言葉に固まるしかない。
「ヒカリが生きているのも最近判明した。妻は天空界で生きていて弁護士として自活していた。で生まれていない筈の娘は神器使いになっている。アレックスにどう伝えればいいかわからん」
流石のウィル王も弟夫妻の事に頭を抱えている。
「ならアレックス様を連れてヒカルの元へ行っては?私も行きますよ」
「……は?」
リチャードの提案にウィル王が今度は固まった。
想定はしていた、していたが、その事実は想像以上に精神的にリチャードを打ちのめし、そして彼は暗然とした。
恋に溺れていたのは自分だけで、彼女はそうではなかったという事実に打ちのめされる。我ながら馬鹿だと思う。思うが実際に番(つがい)を見つけたウィル王家の人間はこうなる。ウィル王族の純粋な紫の双眸を受け継いだ王族は、定められた相手がいる。その相手を見つけた時から凄まじい執着とその女性のみしか目に入らなくなる。
自分の場合は相手が天使だった。
天空界に一生居られたら見つけられなかった。
あの時迂闊にもヒカルが天空界からウィル神界へ飛んできてくれて良かったと実感する。
大体がヒカルは抜けているのだ。多分今回自分から逃げたのも自分への自覚した恋心を受け止めきれなかったのだろうと推測する。
ヒカルの家に入り浸るようになったリチャードは彼女を観察していて、ヒカルが恋愛面において幼過ぎると呆れたものだった。
肉体関係に持ち込んでみたのだが、明らかに失敗だった。彼女はその行為自体には溺れていたが、潔癖な所のある性格だ。はっきり言えば自分はやり過ぎたのだ。
(頭が痛い、俺が馬鹿だった。ヒカルを追いつめ過ぎた)
又結果的にリチャードは前回同様頭を抱えることになった。
今彼女を追いかけても彼女は余計むきになる。
(あの恋愛のスキルのなさは可愛いが、どうにかして欲しい)
少しの間放置しておこうとリチャードは結論づける。
自慢出来ないが、自分もこれが遅い初恋なのだろう。
同僚の騎士などに漏らしたら最後絶対に笑われるので言えないが。
ヒカルもリチャードも不器用すぎた。
近衛騎士団とウィザードで面白おかしくヒカルとリチャードが噂されていたが、リチャードはもう何も言えなかった。
暫くしてウィル王からリチャードは王宮に呼び出され、王宮で彼は信じられない事実を聞かされる。
「ヒカルがオーレリー=ジャージ嬢だと?何の悪い冗談ですか?」
「事実だ。あれはウィル神界と天空界の王家の血を引いている」
愕然とするリチャードにウィル王が続ける。
ヒカルはアレックス王弟と正妃ヒカリの子供であり、ヒカリがアレックスからヒカルを隠す為にジャージ侯爵夫妻である妹夫婦へ預けて、天空界へヒカリは雲隠れしたと。それからアレックスは荒れ果てて、公務さえ手に着かない有様。
「そう言えばここ数年、アレックス様をお見掛けしてませんでした」
「ああ。まあ番(つがい)に逃げられたらなあ。お前もだが」
リチャードはその言葉に固まるしかない。
「ヒカリが生きているのも最近判明した。妻は天空界で生きていて弁護士として自活していた。で生まれていない筈の娘は神器使いになっている。アレックスにどう伝えればいいかわからん」
流石のウィル王も弟夫妻の事に頭を抱えている。
「ならアレックス様を連れてヒカルの元へ行っては?私も行きますよ」
「……は?」
リチャードの提案にウィル王が今度は固まった。
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