18 / 51
13話 今更です!ヒカルver
しおりを挟む
リチャードに求婚されて拒否して以来、二人は全く会わなくなった。お互いに避け合っているのは分かっている。どうにかしなければと考えているが動けずにいた。
「婚約者を決める夜会?」
「そうなのよ!リチャード隊長、22歳の時に婚約破棄されてから全く女性の影がないからウィル王が心配して、今夜王宮で国内の高位貴族に招待状を送って婚約者を決めるんですって!」
近衛騎士団の数少ない女性騎士が告げてきた内容にヒカルが全く興味を示さないので不服な様子だ。
「ふーん。まあ関係ないわ」
食堂でウィザード隊員と食事をとっていたら急に見知らぬ女性騎士から声を掛けられた話の内容にヒカルは内心動揺していた。リチャードと親密な様子のヒカルに嫉妬して話かけてきたのは一目瞭然である。リチャードから告白されてそれを拒否したのは自分だ。今更彼が別の女性と結婚する可能性を聞かされて動揺してどうなるのか。自分がリチャードに惹かれていたことに気付く。
「今更よね……」
ヒカルは独り言ちた。
昼休憩が終わり分所に戻った時である。
「パッカード警部!お客様ー!近衛騎士団の入り口にいるよー!」
「え?私にお客様?」
ヒカルが座っていた回転椅子から立ち上がり、騎士団本部の廊下を小走りする。向こう側から手を振っている天使の少年の姿を認めて、ヒカルは驚いて一転その顔を破顔させた。
「やだ!オリバー!元気だった!」
オリバーと呼ばれた同世代の少年の両手を取り、笑い合う。
「ヒカル!久しぶり!」
「うん!高校卒業して以来だね」
「実は僕、神器研究でウィル神聖王国に留学してるんだ。それで、ヒカルをこの前シルフィード人街で見かけて」
理知的で穏やかなその顔を赤く染めてヒカルに答える。
「うん」
「いきなり訪ねてごめんね。その僕も後少しでシルフィード大へ戻るからヒカルも夏休み開けたら大学だろう?その前にこっちで食事でもどうかなと思って。ほら僕ら高校時代付き合ってたけど、自然消滅したからずっと僕はヒカルの事気になってたんだ。もし良かったらだけど」
「……私もずっと気になってはいたの。あんな別れ方しちゃったから」
「僕もなんだ。今週の週末暇?」
照れくさそうに頭を掻きながらオリバーが続ける。
「えーと非番だよ」
「なら近況報告でも兼ねてお茶でもどう?」
一瞬、ヒカルは逡巡するが、頷いた。
「いいよ。最近同い年と話してなくて、皆おじさんか年上ばっかりで久しぶりに大学の話しない?オリバーもシルフィード大でしょ?サークルはどこ?」
ふふっとはにかむ様にヒカルが笑う。
「うん。僕はパソコンサークル」
「あー。オリバー、理工系だったもんね」
「うん」
ヒカルへの好意を隠すことなく話すオリバーに鈍いヒカルは気付かない。大学の同世代の仲間と話せてヒカルは久しぶりに高揚している。
「じゃあ今週末迎えに行くよ。携帯番号交換しない?」
「いいよー」
二人は携帯を出し合って番号を交換する。
「じゃあ今週末またねー」
「またね!」
手を振り合って別れる。最近リチャードの事で落ち込んでいた中の知人の訪問にヒカルは浮上していた。珍しく鼻歌を歌いながら分所へ戻っていく。
「婚約者を決める夜会?」
「そうなのよ!リチャード隊長、22歳の時に婚約破棄されてから全く女性の影がないからウィル王が心配して、今夜王宮で国内の高位貴族に招待状を送って婚約者を決めるんですって!」
近衛騎士団の数少ない女性騎士が告げてきた内容にヒカルが全く興味を示さないので不服な様子だ。
「ふーん。まあ関係ないわ」
食堂でウィザード隊員と食事をとっていたら急に見知らぬ女性騎士から声を掛けられた話の内容にヒカルは内心動揺していた。リチャードと親密な様子のヒカルに嫉妬して話かけてきたのは一目瞭然である。リチャードから告白されてそれを拒否したのは自分だ。今更彼が別の女性と結婚する可能性を聞かされて動揺してどうなるのか。自分がリチャードに惹かれていたことに気付く。
「今更よね……」
ヒカルは独り言ちた。
昼休憩が終わり分所に戻った時である。
「パッカード警部!お客様ー!近衛騎士団の入り口にいるよー!」
「え?私にお客様?」
ヒカルが座っていた回転椅子から立ち上がり、騎士団本部の廊下を小走りする。向こう側から手を振っている天使の少年の姿を認めて、ヒカルは驚いて一転その顔を破顔させた。
「やだ!オリバー!元気だった!」
オリバーと呼ばれた同世代の少年の両手を取り、笑い合う。
「ヒカル!久しぶり!」
「うん!高校卒業して以来だね」
「実は僕、神器研究でウィル神聖王国に留学してるんだ。それで、ヒカルをこの前シルフィード人街で見かけて」
理知的で穏やかなその顔を赤く染めてヒカルに答える。
「うん」
「いきなり訪ねてごめんね。その僕も後少しでシルフィード大へ戻るからヒカルも夏休み開けたら大学だろう?その前にこっちで食事でもどうかなと思って。ほら僕ら高校時代付き合ってたけど、自然消滅したからずっと僕はヒカルの事気になってたんだ。もし良かったらだけど」
「……私もずっと気になってはいたの。あんな別れ方しちゃったから」
「僕もなんだ。今週の週末暇?」
照れくさそうに頭を掻きながらオリバーが続ける。
「えーと非番だよ」
「なら近況報告でも兼ねてお茶でもどう?」
一瞬、ヒカルは逡巡するが、頷いた。
「いいよ。最近同い年と話してなくて、皆おじさんか年上ばっかりで久しぶりに大学の話しない?オリバーもシルフィード大でしょ?サークルはどこ?」
ふふっとはにかむ様にヒカルが笑う。
「うん。僕はパソコンサークル」
「あー。オリバー、理工系だったもんね」
「うん」
ヒカルへの好意を隠すことなく話すオリバーに鈍いヒカルは気付かない。大学の同世代の仲間と話せてヒカルは久しぶりに高揚している。
「じゃあ今週末迎えに行くよ。携帯番号交換しない?」
「いいよー」
二人は携帯を出し合って番号を交換する。
「じゃあ今週末またねー」
「またね!」
手を振り合って別れる。最近リチャードの事で落ち込んでいた中の知人の訪問にヒカルは浮上していた。珍しく鼻歌を歌いながら分所へ戻っていく。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
168
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる