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12話 公爵様の胸の内
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リチャードは屋敷に戻ると服を従者に着替えさせて、軽い夜食を取り自室へと引き上げた。シャツにズボン姿で寝つけの酒を煽る。
(ヒカルが何を考えてるか全くわからない……)
この前ヒカルの上司であるソウ=シルフィーディア警視にヒカルが光の王族と現在のシルフィード国のパッカード家の血を引いていると聞いて焦っていたのかもしれない。神器使いで上流階級に属しているのならいずれ親の決めた相手と結婚するのかもしれないから今、自分の近くにいる内に手に入れたかった。
金色に光る翼を広げた神器使いを見て、一目で恋に落ちた。強さを秘めた金の双眸。忘れられない、忘れたくない。可憐な愛くるしい容貌と大人しいのに気が強くてお人好しな所とか全部好きだ。
手に入れたいと思えた存在は初めてで。多分、適当な高位貴族の令嬢と結婚すると思っていた。
だけど。
自分は知ってしまったこの衝動を人を欲する気持ちを。知らなかった頃には戻れない。焦がれる、彼女に。
今日馬車の中であれだけの事をした。顔を赤らめていたが、拒絶されなかった所を見ると決して嫌われてはいないと思う。寧ろ好意さえ感じる。強引に押さないと逃げられている。自分がここまで押しても落ちない。自惚れではないが、自分は公爵でウィル王家の血を引いて、王家の瞳を持っていて、現在の王太子の学友だ。外見も剣の腕も騎士団一と言われている。貴族の子女からは熱い目で見られている。そんな常識が天空族の天使には通じないというより彼女だけだ。
彼女だけが、思い通りにならない。
自分が誘った観劇で寝てしまったことを攻める訳でもなく共感してくれて、次に出かけようと提案してくれた。
『うん。天空界の演目みたいなもので男性物の出し物もあるの。シルフィード人街に映画館あるから良かったら今度いかない?』
「少しは期待してもいいのか?」
全くもって彼女は思い通りにならない。
次の早朝だった。王城で用事を言い使っていたヒカルと偶然に会った。
「あ。おはよう」
ウィザードの制服を着たヒカルがにっこりと微笑む。
「おはよう……」
昨日あれだけの事をしたのに全く平気な顔をしているヒカルに腹が立った。ぐいと腕を掴んで王城の自室へ連れ込んだ。王城の廊下が長く感じた。
「な、何?」
「ヒカル。私と結婚して欲しい」
ヒカルは顔を赤らめて、さすがに焦っているらしい。
「な、何言ってるのよ!ふざけないで」
頭が沸騰した。今まで女性にこんなに馬鹿にされたことはない。
「本当に納得いかない。君は私がキスをしても抵抗もせずにいたじゃないか。それにデートもしていたし。なのに今更私が告白すると断るというのか?」」
「だから、あなたは私には過ぎた人なの!ウィル王家の分家筋でカーライル公爵家の公爵様で王家を継ぐ証である濃い純粋な紫の双眸も持っているのよ!」
そんな言い訳をされて、更に怒りが増した。
「君は光の王家の血を半分引いているのに?」
嫌味がてらに言ってやるとさすがに青ざめた。
「な、何故それを!」
「君の先輩のソウから聞いた。ウェルリース家はアレックス第二王子の正妃であるヒカリ様の実家じゃないか」
青ざめたヒカルに必死に言い募った。後はほぼ覚えていない。後はかっとなってキスをして、ヒカルに平手打ちされて、大嫌いと言われた。
そして、リチャードは頭を抱える羽目になった。
(ヒカルが何を考えてるか全くわからない……)
この前ヒカルの上司であるソウ=シルフィーディア警視にヒカルが光の王族と現在のシルフィード国のパッカード家の血を引いていると聞いて焦っていたのかもしれない。神器使いで上流階級に属しているのならいずれ親の決めた相手と結婚するのかもしれないから今、自分の近くにいる内に手に入れたかった。
金色に光る翼を広げた神器使いを見て、一目で恋に落ちた。強さを秘めた金の双眸。忘れられない、忘れたくない。可憐な愛くるしい容貌と大人しいのに気が強くてお人好しな所とか全部好きだ。
手に入れたいと思えた存在は初めてで。多分、適当な高位貴族の令嬢と結婚すると思っていた。
だけど。
自分は知ってしまったこの衝動を人を欲する気持ちを。知らなかった頃には戻れない。焦がれる、彼女に。
今日馬車の中であれだけの事をした。顔を赤らめていたが、拒絶されなかった所を見ると決して嫌われてはいないと思う。寧ろ好意さえ感じる。強引に押さないと逃げられている。自分がここまで押しても落ちない。自惚れではないが、自分は公爵でウィル王家の血を引いて、王家の瞳を持っていて、現在の王太子の学友だ。外見も剣の腕も騎士団一と言われている。貴族の子女からは熱い目で見られている。そんな常識が天空族の天使には通じないというより彼女だけだ。
彼女だけが、思い通りにならない。
自分が誘った観劇で寝てしまったことを攻める訳でもなく共感してくれて、次に出かけようと提案してくれた。
『うん。天空界の演目みたいなもので男性物の出し物もあるの。シルフィード人街に映画館あるから良かったら今度いかない?』
「少しは期待してもいいのか?」
全くもって彼女は思い通りにならない。
次の早朝だった。王城で用事を言い使っていたヒカルと偶然に会った。
「あ。おはよう」
ウィザードの制服を着たヒカルがにっこりと微笑む。
「おはよう……」
昨日あれだけの事をしたのに全く平気な顔をしているヒカルに腹が立った。ぐいと腕を掴んで王城の自室へ連れ込んだ。王城の廊下が長く感じた。
「な、何?」
「ヒカル。私と結婚して欲しい」
ヒカルは顔を赤らめて、さすがに焦っているらしい。
「な、何言ってるのよ!ふざけないで」
頭が沸騰した。今まで女性にこんなに馬鹿にされたことはない。
「本当に納得いかない。君は私がキスをしても抵抗もせずにいたじゃないか。それにデートもしていたし。なのに今更私が告白すると断るというのか?」」
「だから、あなたは私には過ぎた人なの!ウィル王家の分家筋でカーライル公爵家の公爵様で王家を継ぐ証である濃い純粋な紫の双眸も持っているのよ!」
そんな言い訳をされて、更に怒りが増した。
「君は光の王家の血を半分引いているのに?」
嫌味がてらに言ってやるとさすがに青ざめた。
「な、何故それを!」
「君の先輩のソウから聞いた。ウェルリース家はアレックス第二王子の正妃であるヒカリ様の実家じゃないか」
青ざめたヒカルに必死に言い募った。後はほぼ覚えていない。後はかっとなってキスをして、ヒカルに平手打ちされて、大嫌いと言われた。
そして、リチャードは頭を抱える羽目になった。
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