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9話 嵐、襲来?2
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「何よ、ほんの2週間じゃない」
「えーっ。だけどシルフィーディア警視のお母さんのような突っ込みがないと毎日がつまらなくて」
「誰がお母さんよっ!」
「ああっ。このツッコミ、これを毎日やっていたので、これがないと毎日が送れません!」
「私とあんたは漫才をやってるんじゃないのよっ!あんたがいつもきちんとしないから私がフォローする役目になるじゃないっ!」
「わーい!お母さん」
「誰がお母さんだっ!」
普段のように懐くヒカルとそれを受け止めつつ引っぺがすソウのやりとりにヒカルはほっとする。天空界に居て変われたのはコトハやソウが自分を信じて見守っていてくれたからだ。コトハの一見傲慢なでも本当は優しいあの物言いが懐かしかった。
「コトハ様はお元気ですか?毎日会っていたのに2週間も離れるとあの人を食った傲慢な方でも懐かしいです」
「あんた、コトハ様にばれたら殺されるわよ」
「ふふっ。本当だ」
「もうっ。コトハ様があんたのこと心配して私をこっちに行くように仕向けたのよ。あの方もあんたには甘いんだから。随分疲れてるじゃない?」
ヒカルの頭を撫でてくれる。ソウは最初にウィザードに入職して、何もかも上手くこなせなった頃のヒカルを兄のように支えてくれた恩人だ。本当に久しぶりにヒカルは心から安堵して笑えた。天空界に居る時みたいに笑えて、嬉しかったのだ。
「それよりコトハ様からの伝言で落とすのはどうなった?とか言ってたわよ。これを忘れていたら首よ首だって」
ヒカルは和んでいたが、一転青ざめる。
(そう言えばそうだった。あの悪魔上司は全部読んでいるっ!甘くないよっ!私が取る行動までお見通しっ!このタイミングでシルフィーディア警視を送り込んできたなっ!)
がたがたを震え出したヒカルにソウが訝し気に尋ねてくる。
「どうしたの?おかしいわよ」
(あんの悪魔っー!それだけの為にシルフィーディア警視をよこしたなあっ!)
前言撤回やはり悪魔だ。大学を卒業したらこんな個人ブラック企業じゃなくて大企業のホワイト企業に転職しようと決意したヒカルであった。
(落とすよ、落とせばいいんでしょう?落としてばれる前に逃げるよっ!でも恋愛の実践は本通りでいいのか?推しを狙うのはファンとして違うような気がするけどなあ。うーん)
ぐるぐると頭の中で考える。取り合えず、事が終わり次第逃亡しようと固く固く決意するヒカルである。
「シルフィーディア警視、じゃあ、私先に戻ります」
悲壮な決意をして、挙動不審気味にヒカルは分所室に戻っていく。
(又、あの人はお気に入りの子で遊んでいるのね……)
ソウは今までの歴代のコトハに遊ばれたウィザード隊員を思い浮かべて、同情する。その中に自分の妹も含まれているのには笑えない。
さっきまで自分とヒカルの掛け合いを見入っていた存在に呼び止める。
「さっきからこっちを見てたでしょう?何?」
後ろからリチャードが姿を現す。リチャードは気配を消していたのに気配を察知されていたことに驚愕している。
「ああ、それなら私一応ウィザードの隊員だから気配を消していてもわかるわよ。聞きたいのはそのことじゃないでしょう?」
「いや。随分と仲がいいと……。男嫌いのわりに」
決まりが悪そうにリチャードは小声で呟く。
「何であの子の事、聞きたがるの?」
「……」
無言でいるリチャードにソウは嘆息する。
「ウィザードの隊員から聞いてるわ。あなた最近ヒカルと仲がいい子ね。調べはついているわ。で?」
「ヒカルとあなたはどんな関係なんだ?」
ようやっとリチャードは口を開く。
「あの子は私の直属の部下よ。であの子高校生の時からウィザードに入職して、大人しい癖に気が強くて、お人好しだからほっとけなかったのよ。本当に危なっかしい子だから」
はあと心配そうにソウがため息を吐く。
「お人好し?全然見えないが」
「そりゃああんだけあなたがぐいぐい押しているからよ。それにあの子人見知りをするのよ。唯さえ厄介な子なのに更にあなたみたいな厄介な人に好かれて」
「!」
「丸わかりよ。あれだけ嫉妬心を出してりゃあ」
「……」
「いい!忠告してあげる。あなたがあの子をいくら好きになっても天空界は予言の姫はあの子を手放さないわよ」
「アレックス第二王子にウェルリース家から嫁いでいたが、水の神器使いや炎の神器使いにも王家筋の姫が嫁いでいる筈だが」
リチャードの答えにソウは絶句する。そこまで考えていたのかと。
(随分と執着してるじゃない。まあヒカルも厄介なのに好かれて)
「風光の神器使いは私の妹よ。私は風の王家の王子だったのよ。だから言えるけど、昔はウィル神界と天空界の交流を活発化させる為にも予言の姫とウィル王の思惑が一致したのよ。でも今は違う。天空界は神器使いをウィル神界へ与えすぎた。あの子は今までで最強の光使い。だからあの難しい光の杖が懐いている。予言の姫は光の王家ウェルリース家と現在の大統領のパッカードの血を引くあの子をウィル神界へ渡さないわよ。後はこれが大きいけど。まあ、ヒカルが面白い子なのよね、色々あって(ウィル神族だったから)あの子常識がずれてるのよ。で予言の姫が楽しんでいるけど」
全く何で私がと頭に手をやるソウはまるでヒカルの保護者である。
「じゃあね。あなたの聞きたいことはこれで全部ね」
「……」
手をひらひらさせてソウは立ち去っていく。
「えーっ。だけどシルフィーディア警視のお母さんのような突っ込みがないと毎日がつまらなくて」
「誰がお母さんよっ!」
「ああっ。このツッコミ、これを毎日やっていたので、これがないと毎日が送れません!」
「私とあんたは漫才をやってるんじゃないのよっ!あんたがいつもきちんとしないから私がフォローする役目になるじゃないっ!」
「わーい!お母さん」
「誰がお母さんだっ!」
普段のように懐くヒカルとそれを受け止めつつ引っぺがすソウのやりとりにヒカルはほっとする。天空界に居て変われたのはコトハやソウが自分を信じて見守っていてくれたからだ。コトハの一見傲慢なでも本当は優しいあの物言いが懐かしかった。
「コトハ様はお元気ですか?毎日会っていたのに2週間も離れるとあの人を食った傲慢な方でも懐かしいです」
「あんた、コトハ様にばれたら殺されるわよ」
「ふふっ。本当だ」
「もうっ。コトハ様があんたのこと心配して私をこっちに行くように仕向けたのよ。あの方もあんたには甘いんだから。随分疲れてるじゃない?」
ヒカルの頭を撫でてくれる。ソウは最初にウィザードに入職して、何もかも上手くこなせなった頃のヒカルを兄のように支えてくれた恩人だ。本当に久しぶりにヒカルは心から安堵して笑えた。天空界に居る時みたいに笑えて、嬉しかったのだ。
「それよりコトハ様からの伝言で落とすのはどうなった?とか言ってたわよ。これを忘れていたら首よ首だって」
ヒカルは和んでいたが、一転青ざめる。
(そう言えばそうだった。あの悪魔上司は全部読んでいるっ!甘くないよっ!私が取る行動までお見通しっ!このタイミングでシルフィーディア警視を送り込んできたなっ!)
がたがたを震え出したヒカルにソウが訝し気に尋ねてくる。
「どうしたの?おかしいわよ」
(あんの悪魔っー!それだけの為にシルフィーディア警視をよこしたなあっ!)
前言撤回やはり悪魔だ。大学を卒業したらこんな個人ブラック企業じゃなくて大企業のホワイト企業に転職しようと決意したヒカルであった。
(落とすよ、落とせばいいんでしょう?落としてばれる前に逃げるよっ!でも恋愛の実践は本通りでいいのか?推しを狙うのはファンとして違うような気がするけどなあ。うーん)
ぐるぐると頭の中で考える。取り合えず、事が終わり次第逃亡しようと固く固く決意するヒカルである。
「シルフィーディア警視、じゃあ、私先に戻ります」
悲壮な決意をして、挙動不審気味にヒカルは分所室に戻っていく。
(又、あの人はお気に入りの子で遊んでいるのね……)
ソウは今までの歴代のコトハに遊ばれたウィザード隊員を思い浮かべて、同情する。その中に自分の妹も含まれているのには笑えない。
さっきまで自分とヒカルの掛け合いを見入っていた存在に呼び止める。
「さっきからこっちを見てたでしょう?何?」
後ろからリチャードが姿を現す。リチャードは気配を消していたのに気配を察知されていたことに驚愕している。
「ああ、それなら私一応ウィザードの隊員だから気配を消していてもわかるわよ。聞きたいのはそのことじゃないでしょう?」
「いや。随分と仲がいいと……。男嫌いのわりに」
決まりが悪そうにリチャードは小声で呟く。
「何であの子の事、聞きたがるの?」
「……」
無言でいるリチャードにソウは嘆息する。
「ウィザードの隊員から聞いてるわ。あなた最近ヒカルと仲がいい子ね。調べはついているわ。で?」
「ヒカルとあなたはどんな関係なんだ?」
ようやっとリチャードは口を開く。
「あの子は私の直属の部下よ。であの子高校生の時からウィザードに入職して、大人しい癖に気が強くて、お人好しだからほっとけなかったのよ。本当に危なっかしい子だから」
はあと心配そうにソウがため息を吐く。
「お人好し?全然見えないが」
「そりゃああんだけあなたがぐいぐい押しているからよ。それにあの子人見知りをするのよ。唯さえ厄介な子なのに更にあなたみたいな厄介な人に好かれて」
「!」
「丸わかりよ。あれだけ嫉妬心を出してりゃあ」
「……」
「いい!忠告してあげる。あなたがあの子をいくら好きになっても天空界は予言の姫はあの子を手放さないわよ」
「アレックス第二王子にウェルリース家から嫁いでいたが、水の神器使いや炎の神器使いにも王家筋の姫が嫁いでいる筈だが」
リチャードの答えにソウは絶句する。そこまで考えていたのかと。
(随分と執着してるじゃない。まあヒカルも厄介なのに好かれて)
「風光の神器使いは私の妹よ。私は風の王家の王子だったのよ。だから言えるけど、昔はウィル神界と天空界の交流を活発化させる為にも予言の姫とウィル王の思惑が一致したのよ。でも今は違う。天空界は神器使いをウィル神界へ与えすぎた。あの子は今までで最強の光使い。だからあの難しい光の杖が懐いている。予言の姫は光の王家ウェルリース家と現在の大統領のパッカードの血を引くあの子をウィル神界へ渡さないわよ。後はこれが大きいけど。まあ、ヒカルが面白い子なのよね、色々あって(ウィル神族だったから)あの子常識がずれてるのよ。で予言の姫が楽しんでいるけど」
全く何で私がと頭に手をやるソウはまるでヒカルの保護者である。
「じゃあね。あなたの聞きたいことはこれで全部ね」
「……」
手をひらひらさせてソウは立ち去っていく。
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