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4話 恋愛って何だろう?

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 ウィザードの隊員となったヒカルは学生の為、放課後と土日のみの出勤扱いとなる。そこで出逢ったのが上司となるLGBTのソウ=シルフィーディア警視である。シルフィーディア王家の第一王子だったが、男性しか愛せないゲイであった為、王家を出奔してウィザードの隊員となった変わり者である。女言葉で話すわ、変人だ。だけど、このソウ警視、滅法めっぽう人が良く、ヒカルの面倒を見てくれた。
 
 ソウ警視が居なければヒカルはウィザードでやっていけなかったと言っても過言ではない。

 ウィザードに入団してから二年間、光魔法と風魔法を覚えさせられて、光の杖の神器の使い方をマスターして悪魔との戦いの現場を踏み、書類の処理と走り回った。国立シルフィード大学にもコトハの推薦で入学した。大学も真面目に通って、成績はトップだ。

 故にヒカルは恋愛などする暇がなかった。

(なのにどうやって公爵猊下を落とすの?コトハ様は無茶苦茶すぎる!)

 次の日大学の帰りに本屋で恋愛本を買いあさり、大学のカフェで読むが、さっぱりわからない。やっぱり自分には無理だ。適当に流せばいいのに変に悩む所が生真面目なヒカルらしい。

 昔婚約者だった頃の記憶を洗い出してみるが、オーレリーには全く気を許さず、形ばかりの婚約者だった。観劇やら食事とかデートには行っていたが、喋るのはオーレリーだけでリチャードは頷くばかり。
 
(うわー、あの人本当に私に興味なかったんだなあ)

 思い出すと虚しくなる。そしてヒカルは頭を抱える。

「ヒカル、何やってるの?」

 ヒカルが所属する推理ミステリー研究会のグレースが彼氏との待ち合わせに時間を潰していた。

「うーん。彼氏を作ろうとして恋愛本を買ってみたけど、わからない」

「彼氏?ヒカルもてるじゃない。告白されたり一杯しているのに全部断るから彼氏がいないのよ。そう、遂にヒカルも恋愛に目覚めたの!」

 嬉しそうにヒカルの手を引っ張る。

「グレース、お付き合いってどんな風なの?」

「えーっ。大学の授業一緒に出たり、休日はデートしたり」

「デートって?」

「映画行ったり遊園地行ったりカフェ行ったりとか?」

 後にこのグレースとの会話を参考に恋愛をしようとするのだからヒカルは相当な恋愛音痴であった。

「後エッチしたり、ね」

 小声でヒカルに耳打ちする。にやりと微笑むグレースにヒカルは飲んでいたアイスカフェオレを吹き出しそうになった。

(エッチ、エッチって……。するのか?いや、猊下はくそ真面目な騎士だからないか!それに私にもきっと興味示さないだろう。もういいや、適当にウィル神界へ出張して、三か月仕事だけして、適当に過ごして帰ってこよう。首になったらその時考えよう。はあ、面倒くさっ!)

 恋愛音痴のヒカルはその可能性を除外した。だが、後にこの時に聞かなかったことをヒカルは大いに後悔することになる。それからレポートや試験に走り回り、すっかりコトハの命令など忘れ去っていたヒカルであった。
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