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プロローグ 元婚約者に壁ドンして迫られている私
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これは所謂天空界で昔流行した少女漫画の王道壁ドンではなかろうかとヒカル=ウェルリース==パッカード警部、ウィザード隊員は青ざめながら考えていた。
昔婚約者だった(彼は知らない)怒りに満ちたリチャード=カーライル公爵が目の前に居た。
「本当に納得いかない。君は私がキスをしても抵抗もせずにいたじゃないか。それにデートもしていたし。なのに今更私が告白すると断るというのか?」」
低いテノールを連想させる美声で先ほどヒカルに告白して振られたリチャードが不満そうに零した。
そう言葉を紡ぐ彼は怒りを隠そうともせずに言葉を吐く。彼の瞳は濃い純粋な紫の双眸。髪は黒髪の短髪。整った鼻筋に引き締まった唇。身体は細いが騎士をしているので引き締まっていて、身長も高い。涼やかな端正な顔立ちの美青年。彼は近衛騎士団に所属する騎士でもあった。
ウィル神界の貴族の令嬢の憧れの的であり、現在の結婚の適齢期の令嬢から釣り書きが毎日大量に届いてうんざりしている。そんな自他共に認める優良物件である自分が告白して断れると思ってなかったのもあるが、ヒカルの思わせぶりな態度も誤解されて仕方なかった。
「だから、あなたは私には過ぎた人なの!ウィル王家の分家筋でカーライル公爵家の公爵様で王家を継ぐ証である濃い純粋な紫の双眸も持っているのよ!」
必死に言い訳を探す少女はヒカル=ウェルリース=パッカード、光の王家の血を引く証である濃い金糸の太陽を思わせる髪にこれ又光の王家の特徴の濃い青の円らな双眸に整った鼻筋の桜色の小さな唇。華奢な肢体。天空族に多い妖精を連想させる清楚で可憐な美少女である。彼女は光の王家の血を半分引くが、パッカード家の養女である。それは公然の秘密であった。
「君は光の王家の血を半分引いているのに?」
リチャードの返しにヒカルは青ざめた。
「な、何故それを!」
「君の先輩のソウから聞いた。ウェルリース家はアレックス第二王子の正妃であるヒカリ様の実家じゃないか」
『あんの野郎~!』
ウィザードの先輩であるソウに天空語でヒカルは毒づいた。
「ヒカル、私は、私は君が好きだ。私と結婚して欲しい」
「け、結婚!普通はお付き合いからだよ!あ、いやお付き合いも結婚もなしで」
愛らしいその青の双眸を驚愕させて、ヒカルは青ざめる。
「君も私の事が好きだと思ってた」
ウィル神聖王国の王城の中に在るリチャードの居室の壁に追い詰められてヒカルは青ざめる。
(好きだけど好きだけど私はあなたが嘗て婚約破棄したオーレリー=ジャージなんですよう!本当になんでこんなややこしい事に!)
心の中で悲鳴を上げるヒカル。
「ヒカル、好きだ」
距離が近くなり、強引にヒカルの唇を奪う。最初は抵抗していたヒカルだが、本当は好きな人のキスに力が抜ける。それをいい事にリチャードはヒカルの口を開いた。ぬるりとした舌が入り込み、ヒカルの口内を犯すように舐める。舌を搦められてヒカリの息が上がってくる。下腹部に熱を感じて、身体がふわふわする。
リチャードの唇が離れてかくんとヒカルは身体を落とした。
「……し、信じらんない!」
きっとヒカルがその青の双眸でリチャードを睨みつけて、彼の頬に平手をお見舞いする。
ウィル神聖王国の高位貴族で王族の血を引く自分にそんなことをされると思わないリチャードは茫然とする。
「馬鹿っ!大嫌い!」
ヒカルがそう叫ぶとリチャードの部屋を出ていった。
呆然としたリチャードは自分を取り戻すのに半日かかった。
昔婚約者だった(彼は知らない)怒りに満ちたリチャード=カーライル公爵が目の前に居た。
「本当に納得いかない。君は私がキスをしても抵抗もせずにいたじゃないか。それにデートもしていたし。なのに今更私が告白すると断るというのか?」」
低いテノールを連想させる美声で先ほどヒカルに告白して振られたリチャードが不満そうに零した。
そう言葉を紡ぐ彼は怒りを隠そうともせずに言葉を吐く。彼の瞳は濃い純粋な紫の双眸。髪は黒髪の短髪。整った鼻筋に引き締まった唇。身体は細いが騎士をしているので引き締まっていて、身長も高い。涼やかな端正な顔立ちの美青年。彼は近衛騎士団に所属する騎士でもあった。
ウィル神界の貴族の令嬢の憧れの的であり、現在の結婚の適齢期の令嬢から釣り書きが毎日大量に届いてうんざりしている。そんな自他共に認める優良物件である自分が告白して断れると思ってなかったのもあるが、ヒカルの思わせぶりな態度も誤解されて仕方なかった。
「だから、あなたは私には過ぎた人なの!ウィル王家の分家筋でカーライル公爵家の公爵様で王家を継ぐ証である濃い純粋な紫の双眸も持っているのよ!」
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「君は光の王家の血を半分引いているのに?」
リチャードの返しにヒカルは青ざめた。
「な、何故それを!」
「君の先輩のソウから聞いた。ウェルリース家はアレックス第二王子の正妃であるヒカリ様の実家じゃないか」
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「け、結婚!普通はお付き合いからだよ!あ、いやお付き合いも結婚もなしで」
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「ヒカル、好きだ」
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きっとヒカルがその青の双眸でリチャードを睨みつけて、彼の頬に平手をお見舞いする。
ウィル神聖王国の高位貴族で王族の血を引く自分にそんなことをされると思わないリチャードは茫然とする。
「馬鹿っ!大嫌い!」
ヒカルがそう叫ぶとリチャードの部屋を出ていった。
呆然としたリチャードは自分を取り戻すのに半日かかった。
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