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4話 ターゲットロックオン!4

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 嬉しそうにすりっと頬を寄せられて同時にクリスの銀色の髪の感触が頬にふわふわとくっついては離れる。
「く、くすぐったい……」
「あ、ごめん」
 ぷっとイブキが噴き出す。
「な、何?」
「やだ。やっぱりクリストファー王子って私より年下だなって。可愛い……」
 イブキの言葉を聞いたクリスのむっとした表情が余計可愛さを感じさせて笑ってしまう。
 ぷいっと不貞腐れてクリスは顔を背ける。
「ご、ごめんなさい。でも私クリストファー王子のそういう所好きですよ?」
 クリスの背けられた顔が耳まで赤く染まった。
 ふうとクリスはため息を吐いた。

「僕は本当はけっこうきつい、苛烈な性格って言われてるんだ。自分でもそう思う。最初に君に逃げられて一万ウェイ置かれたときはかなり頭にきたし。でもおかしいなあ、君相手だと調子が狂う。追いかけてやろうと思ったら自分から突撃してくるし。全く思い通りにいかない。この前の時だって……いきなり迫られるし」
 顔を真っ赤に染め上げてクリスが口を手で押さえる。

 逆にあわあわとイブキが赤面する番だった。
「ご、ごめんなさい。やっぱり痴女かも……」
 小さな声で呟くとぷっとクリスが苦笑する。
「そうかもしれない」
 声を出して年相応な屈託ない顔で笑うのでイブキは胸が高鳴った。
(あれ?何これ)
 胸の動悸が止まらない。

「でも最初に会った時儚い妖精みたいに思えたのに、かなりしっかりしているのに滅茶苦茶でお一人様が夢だとか笑っちゃったよ。本当に退屈しないよね」
「最初?」
「覚えてない?中等部の入学式の時、僕の案内係だったよね」
「ああ、入学式の時の」
 うーんとイブキが記憶を辿る。

「ああっ!クリストファー君!」
「えっ。もしかして覚えてなかった……?」
 クリスはショックを受けている。というか女性で振り回されるのは慣れていないのだろう、寧ろ王子だったので振り回していた側だったのだから。イブキが王女だからというよりイブキがハチャメチャ過ぎるのだろう。

「うーん。というかクリストファー王子。大きくなってません?わかりませんでした」
 うーんとイブキが首を傾げる。
「まあ、今年でかなり伸びたけど」
「でしょ?男の子ってかなり大きくなるし」
「でも忘れてただろう!」
「ごめんなさい……」
 しょぼんとしながらイブキが謝るとクリスが諦めたように呟く。
「いいよ……。運命に振り回されるって予言されてたし」
 謎の言葉と共に額に手を当てた。
 何か聞いたらまずいような気がしてイブキは黙っている。

「はちゃめちゃだし。なのに好きだなんて惚れた弱みだな」
 ふーっと頭を抱えてクリスがため息をついた。
「はあ?誰がはちゃめちゃですかっ!」
 イブキが自分の事を悪く言われた部分にだけ反応する。
「だから僕は君を好きだって言ったんだよ!」
「え……。えーっ!」
 色気も減ったくれもない告白にイブキが頬を紅潮させる。
「結構前からだったんだけど、雰囲気出しても言わないと全然気づかないんだから。鈍いにも程があるよ。君、本当に王女?」
 確かにクリスは容赦ない、きついのは本当なのだろう。
「う、うるさいっ!」
 それにイブキは負けていない。きっちり言い返す。
「頭が痛い」
「……」
 イブキが憮然としていると、くすりとクリスが笑う。
「でも、肌合わせてるときは可愛いよね。素直だし」
 はっとイブキは自分の制服が乱れていることに今更気付いて、前を隠して、俯く。
「何で隠すの?綺麗なのに」
 幼いのにその双眸は情欲に濡れていた。
 ぞくぞくとしたが快感が身体を襲う。
 やっぱりクリスに抱かれてからイブキはおかしくなってしまった。
 身体から作り変えられるようなそんな感覚に熱くなる。

(こ、この子本当に13歳?)
 頬を赤く染めるイブキにクリスは微笑む。
「続き、していい?」
 イブキは暫く迷って、耳まで赤く染めて頷いた。
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