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再会した初恋の相手は王様でした!~逃げたい大統領令嬢は若き王様に溺愛される~<短編ver>

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 シルフィード国大統領令嬢のアリア=パッカードは固まっていた。
 新しいウィル王の戴冠式に大統領令嬢として出席して、目の前にウィル王となったルカがいる。黒の短い髪に濃い純粋な紫の双眸の僅か15歳の王。その頭上には王の証である王冠。
 若い王に人々は熱狂していた。
 彼女は青ざめていた、12歳の時の初体験の相手が王になっていたからだ。
 甘く切ない思い出は今、彼女の中で黒歴史へと変換していた。

 アリアは中学生の時にウィル神聖王国に一か月ほどいたことがあるのだ。
  夏休みの自由研究に『ウィル神聖王国について』という題名を適当につけた所、当時既に大統領だった父が算段をつけて、やる気のないアリアをウィル王城に放り込んだのだ。

 その日アリアはぶーたれていた。相手をしてもらうべきウィル王城の政治補佐官が仕事が一杯でアリアの自由研究が進まない。元々やる気のないアリアは王城内を適当にぶらついていた。

「おい!」
 と彼女は腕を引っ張られていた。目の前には同い年位の黒髪に紫の双眸の綺麗な中性的な美少年が居た。フロックコートにクラバットとベストとトラウザーズの貴族の子弟さながらの恰好で彼の仕草も綺麗だった。アリアは参考書みたいな貴族の少年を初めて見た。

 対するアリアは光の王族出身の母譲りの金糸の髪に水色の双眸という妖精のような容貌でこのウィル神聖王国では目立つ。それにシルフィード国風のワンピースと髪にリボンをつけてはいるが、彼らにとっては軽装にしか見えないらしいのだ。

「お前、何やってるんだ!ここは俺以外入っていけない所だぞ!」
 いかにも幼い少年が偉そうにしている風にしかアリアには映らない。
「えっらそーに!まだ私と同い年位じゃない!」
 アリアがやり返すと、少年は茫然とした後、ポカンとした。そして笑い出す。

「俺のこと、知らない?」
「知らないよ!だって私天空族だもん。ウィル神聖王国について学べってお父様に王城に無理矢理放り込まれたんだもん!」
 ふくれっ面で少年に向き直ると、少年は肩を震わせていた。
「ああ、お前、シルフィード国大統領の娘か!確かアリア=パッカード!12歳!光の王族の血を引いてるんだな!」
 目の前の少年はアリアのことを知っていた。アリアは怖くなる。
 が、少年はアリアに気安くなっていた。

「ああ、わりい。俺の所には王城の情報が集まるんだ」
「そうなの?私と同い年なのに偉いのね。どこの役職なの政治補佐官見習いとか?」
 アリアの周囲には大学をスキップで出て大統領の補佐官見習いとして勤める少年や少女たちがいたので、その感覚で返すと少年は大爆笑したのだ。

「ぶっ!あははっ!そう俺は政治補佐官見習いだよ!」
「ふーん。名前は?」
「ルカ……」
「じゃあ、あなたが私の今回の案内役の人?」
 首をアリアが傾げると、少年は何故か頬を紅潮させた。
「お、おう……」
「あ、じゃあ宜しくね」
 とアリアが手を伸ばすと少年は慌てて手を握手してきた。

 ルカとは何故か王城でしか会えず、しかも毎日会えるが、彼が指定してきた彼の執務室でしかやり取りできなかった。アリアは仕方なく真面目にどっさりと出された中等部の宿題や塾の手つかずだった宿題を進められた。自由研究も進んだ。

「一回王城の外に出てみたいなあ……」
 パソコンを叩きながらアリアが呟くとルカがぴくりと反応した。
「王城の外?」
「うん。王都とか歩いてみたい。ルカは行ったことないの?」
「ないな……。俺は生まれた頃からずっと王城しか知らない」
「えっ。じゃあ行こうよ!私が術を使ってあげるから!天空族になっちゃおう!」
「は?」
「都合のいい日を教えて!」
 固まったルカをアリアが悪戯っぽくにやりと笑う。

「これが俺?」
「そうそう!」
 アリアの魔法で天空族になったルカが信じられないと呟く。おまけにシャツとジーンズとスニーカーとシルフィード国風の中学生のラフな服装に彼は驚いていた。
「これ履きやすいなあ……」
 スニーカーをぽんぽんとしながら歩くルカは何だか可愛かった。
「それじゃあ行こう!」
 アリアがルカの手を引く。

 最初は公園で王都を行く貴族を見学してからお昼はカフェで食べて、その後アリアとルカは映画を見て、シルフィード人街でファーストフードを食べた。仕草の良すぎるルカはハンバーガーやコーラやポテトを食べる所が周囲から浮いていて、アリアはひやひやした。

 二人で手を繋いで歩く。
「楽しかったねえ」
「うん……。楽しかった……。普通の十二歳はこんなに楽しいんだな……」
「ルカ?」
 ふわりとアリアはルカに抱き締められて、気付いた時にはキスをされていた。
 重なるだけのキスは優しくて、角度を変えながらキスを繰り返す。
 唇が離れて、ルカはアリアを抱き締めていた。熱が優しくて。
「アリア……。好きだ。お前が俺のつがいならいいのに……」
 謎めいた言葉が残されてそれからアリアはルカと会えなくなった。

 王城に居られる最後の日は明日だ。何故かルカと会えなくなってアリアは自覚した恋情を募らせていた。荷物を纏めて、明日は天空界に帰る日だ。こんこんと部屋の扉をノックする音がして、アリアは扉を開ける。

「アリア?うわ!」
 扉を開いてすぐにルカはアリアに抱き着かれていた。
「ルカ!ルカ!会いたかった!」
「うん……。俺も……」
 ルカが唇を重ねて、舌を搦めてきた。アリアが目を瞬かせる。頭が真っ白になるが、ルカを抱き締めて、舌を搦める。二度目の口づけは甘くて、身体が疼く。くちゅくちゅと音をたてて、更に舌を搦め合う。アリアは初めてでわからず、ルカに任せるだけで。唯悦楽に身を任せていた。

「アリア……。もう二度と会えないならアリアが欲しい……」
「ルカ……。私も……」
 初恋に浮かされた熱が二人を呑み込む。
「俺の部屋に来て……」
 ルカに手を引かれて、最初に出逢った場所に通される。

 舌を搦めて、二人は何度も口づける。アリアは気付いていた。
 ルカの性の知識は普通の中学生以上だと。こんなの可笑しい。
 ベッドに押し倒されて、ルカはアリアに圧し掛かる。

「アリア、アリア……」
「ルカ、ルカ……」
 お互いに服を脱がせ合って、キスを繰り返す。もどかしい。
 ルカの舌が耳にくちゃりと入ってきて、そのまま首筋と下へ下へと移動する。
 まだアリアの胸は小さくて、やっとブラジャーを付けている位だ。
そのブラジャーをルカはいともたやすく外して、アリアの小さな胸の膨らみに口づける。ちゅうと吸われた瞬間、アリアはあまりの甘さに啼いた。

「あっあ……。ルカいやあ」
 ルカは閨の知識はあるが、初めての少女の喘ぎ声に衝撃を受ける。
 夢中でアリアの胸を愛撫する。その柔らかさを堪能したい。桜色の膨らみを舌で絡めて、押す。アリアは濡れた感触と這いまわるルカの舌に段々と胸の先が尖ってくるのを感じる。もう片方の手で突起を摘ままれて、身体が疼いた。右だけじゃなくて左の胸も飴玉を転がすみたいに吸われて、アリアの下腹部が熱い。何かがとろりと湧いてくる。

「ルカあ……。私身体の奥が変……」
 ぐすぐすと泣くアリアをルカが抱き締める。
「大丈夫だよ……。これは身体が普通に反応している証拠だから……」
 よしよしとルカがアリアの頭を撫でる。ルカは精神的にアリアより大人だった。知識も態度も。

 それなのにルカは情熱的にアリアを求めてくる。それが嬉しくて、アリアはルカに引っ張られるように反応する。アリアの秘所をルカの指がさっきの蜜が溢れた場所を刺激する。それにまた刺激されて、アリアの奥から蜜が湧く。蜜のせいで役に立たなくなった下着をルカが抜いた。
 ルカの指が蜜を塗れさせて、擦る。指が花弁をゆるゆると行き来し、花芽を押し潰した。
 アリアは身体を跳ねさせて、がくがくとルカの身体にしがみつく。

「ルカ!そこいや!」
 性的に知識のないアリアは悲鳴を上げた。
 幼い少女がルカは本当に可愛い。
 ルカの周囲は彼を狙う女ばかりで、アリアは彼の正体も知らず、性的にも未熟で唯彼に翻弄されるだけ。陶磁器のような白い肌を上気させる。

(こんな子がいただなんて……)
 うっとりとルカはアリアを抱き締めて、頭を撫でて、指で花弁を掻きまわして、花芽を押す。その部分を押されて、アリアはがくがくと力が抜けて、媚薬が身体に効いたみたいに反応する。ただただ甘くて、淫らな快楽に襲われる。

「やっやっ、そこ押すと変なのお!」 
 身体の奥が甘く痺れて、動けない。もうルカの事しか考えられなくなる。
 ルカは執拗に花芽ばかりを擦って、指で腹の部分を押されて疼く。
「ルカ!ルカあ!いやああ!!」
 アリアは唯啼くことしか出来ない。

「アリア……。好きだよ……」
 ルカはそういうと彼自身をアリアの秘所に当てる。まだ本当に熟しきっていない隘路は狭くて、ルカは先へ先へと進めるが、手加減はしているのだ。

「ルカ!痛い!痛い!」
 破瓜の痛みがアリアを襲う。涙をぼろぼろさせて、泣くがもう止められない。

「アリア……。ごめん……。最後だから我慢して……」
 キスを繰り返し送られて、胸の突起を指で愛撫される。むず痒い感覚にアリアは啼き始める。ゆっくりとさっきまで擦られて気持ち良かった所をルカが擦るように腰を押し進める。未知の感覚にアリアは戸惑い、啼くが恥ずかしくて仕方ない。

「ルカ!ルカ!」
「アリア、気持ちいい?」
 こくこくとアリアは頷いて、頬を紅潮させた。
「可愛い、アリア……。好きだよ……」
 ルカの言葉にアリアも返した。
「うん……。私もルカのこと、好き……。もう二度と会えないけど」
 ぼろぼろと泣く、アリアの涙をルカは拭う。
「うん……」
 ルカがアリアの気持ちいい所を突いてくる。

「あっあっ……。あん……」
 アリアがルカを無意識に締めた。凄まじい気持ち良さにルカは我慢していたが、我慢しきれなくなり、腰を揺らして、奥を突いた。アリアが悲鳴を上げる。
「くっ……」
 ルカがその紫の双眸を輝かせた。その紫の双眸が揺らぐ。
「まさか君が僕のつがい?」
 意味の分からないルカの呟きにアリアは首を傾げる。

 ぐっとルカはアリアの手に自分の手を重ねて、律動を始めた。
 がんがんと突き上げるように最奥に穿ち、芽を押しつぶす。

「ルカ!ルカ!」
 凄まじい抽挿に麻薬のような気持ち良さと悦楽を感じアリアは啼く。
そして、ルカが熱をアリアの中に吐き出した。

 その早朝、アリアは寝ているルカを置いて、泣きながらウィル王城を出た。

 それがアリアの切ない初体験だった筈……。
 もう三年前の出来事で、お互いに幼かったのだ。

 さっきから執拗にルカだったウィル王がアリアを見入ってくるのだ。
 あの濃い純粋な紫の双眸で。アリアは大統領令嬢だから前の方の列にいるのだ、嫌でも目に入ってくる。忘れたい初恋の甘酸っぱい思い出が胸を切なくさせる。ウィル王が歩き出した。

「王!」
 仰天とした宰相が王を止めようとするが、ウィル王がアリアの前で止まる。

「ルカ?」
「アリア……」
 実に三年ぶりの邂逅である。
 
 王冠を被ったウィル王が天空族の少女の手を取り、少女の手に口づけ、跪いたのだ。
 相手は天空族の大統領令嬢だ。
 その瞬間、ウィル神族と天空族の戴冠の儀の出席者の空気が凍り、固まる。

「見つけた、私のつがい……。三年待った……。もう逃がさない」
 まだ若き王の悪戯めいた呟きにまず年老いた宰相が気付き、戴冠の日に王妃を見つけられたと大喜びして、男泣きに泣く。そして、ウィル神聖王国と天空界のゴシップ紙の記者が大騒ぎする。

「なっなっ……」
 アリア=パッカード大統領令嬢はただその愛くるしい水色の双眸を見開き、そして気絶しそうになるのを必死で堪えたのだ。だが、その数秒後気絶して、王の腕の中にいることになる。

「アリア……。やっと手に入れた……」
 王はくすくすと少女を抱き締めて、笑う。

 この大統領令嬢は、この若き美貌の王に可愛らしい王妃として15歳で娶られて、大層愛されるが、その当時彼女の周囲は大騒ぎとなったのである。それは又別の話。
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