白花の君
神の廻廊と呼ばれる、人が神に昇華される際に通る道で一人の男が佇んでいた。彼の名はフェルガ・リーラス。生まれた世界で偉業を成し、その功績を讃えられ神格を得た彼は、この道を通り天界へ向かっている最中だった。生前の苦行も、功績も、愛した者たちも、全ての記憶を消し去り新しき神の雛として生まれ変わるための廻廊。彼もまた、自身のことを何一つとして思い出すことが出来ぬまま回廊を進んだ。彼は神になる。全知全能、全てのものの父にして母である貴き存在に。それはとてもす――「せんせい」声が、響いた。神となるモノ以外存在しえないはずの廻廊に、異物の声が。「先生」声はやがて闇の中で姿を作りフェルガの手を捕らえその体を掻き抱く。「先生、先生、逃がしはしません」その筋張った腕の力はとても強く、まさしく逃がしなどしないと、言外にも告げているようで。フェルガは少し呆けて、それから静かに名を呼んだ。「ライル」と。愛しき弟子の名を呼んだ。生前最強の魔術師として名を馳せた男が心残りだった弟子たちに会いに行くの話しです。CPはクソ重拗らせ弟子×計算高くて情に脆いツンデレ師匠になります。受けが攻めに会うまでがとにかく、とにかく、長くなってしまいました。※第10回BL大賞に参加させていただいています。応援して頂けますと幸いです。
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