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第一章
[第7話]闘いの果て
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間もなくして、町が白い世界に包まれる季節が訪れた。
クエナの町ではこの時期、桑畑の剪定作業をする者、織物の生産をする者、家畜を世話する者以外はほぼ冬ごもり状態となる。
木こりや猟師はその為に、冬になる前に近隣の森や山で、薪や獲物を収穫するのだが…。
雪が降り続いたある日、メルクロの元に急患がやってきた。
魔物の出現により、秋の森で満足に狩りができなかった猟師が、獲物を求めて慣れない冬山に昇り、落石に遭って足に大怪我をしたのだ。
患者の足は幸いにも折れておらず、傷を縫うだけで済んだ。
迎えに来た家族に引き渡す頃には、もう夜も更けていたため、ミューはその日、診療所に泊まることにした。
全ての業務が終わり、ほっとする時間、ミューはお茶を淹れながらメルクロに話しかける。
「今年は例の魔物の出現で、森で仕事ができなかった木こりや猟師たちが、大変な思いをしているみたいですね…」
数日前には、薪を探しに出かけた木こりが、雪で足を滑らせて腰を強打した、と訪ねてきたばかりだったのだ。
その時の様子を思い出し、ミューはお茶を淹れる手を止めた。
いつもなら手際よく用意をするはずが、手の止まってしまったミューをメルクロは訝し気に見た。
「ん?そうだな…大した怪我じゃなくてよかったところだが…。どうした…?」
あの時の木こりは、診療所に入るのを明らかに恐れている様子だった。
周囲を見渡し、サフォーネの姿がないのを確認して用心深く入ってくると、出くわさないうちに治療を終わらせたい、とそわそわしていた。
「…先生…異端の天使…って、なんですか?そんなに、恐れるものなんですか?
デュークさんも、サフォーネも…異端の天使、なんですよね?でも、ちっとも嫌な感じじゃないし…オレには、よくわかりません…」
お茶を淹れたカップをメルクロの前に差し出すと、ミューは沈んだ顔で椅子に腰かけた。
カップを手に取ったメルクロは、卓上越しにミューを見つめる。
ミューのように、異端の天使を恐れない者もいる。それは主に若い世代が多い。
異端の天使を恐れるのは、もう古い世代の者ばかりなのだと改めて認識すると、メルクロはお茶を一口啜った。
陰干しした桑の葉を粉末にしたお茶は、清々しい香りで心も落ち着く。
一息吐くと、ミューの問いかけに答えた。
「…人は、自分と違う者に対し、恐れを抱くからな…。大昔に違う種族同士で争ったのも、そんな恐れがあったからだとわしは思っている。
羽根人は概ね色素が薄い、というか…先祖たちの髪や翼の色は、ほぼ似たような淡い色合いが多かったと聞いている。それがある日、見たこともない色の羽根人が産まれた。羽根人たちは、それが神からの啓示とも思ったのかもしれんな。たまたま悪いことが起こると、その異端の色がもたらしたものだと信じるようになった、ということだ。
わしから言わせれば、それはただの偶然。色においては突然変異。近しい者で婚姻を結ぶのが原因ではないかと思っているんだがな…」
メルクロの言葉に耳を傾けるミューは真剣な顔で答える。
「自分と違う者…。それは…人が弱いから、ですよね?みんな、悪いことが起きると誰かの所為にしたいから、そうやって、自分とは違う者を標的にするんだ…だったら…異端の天使を恐れるなんて、馬鹿げた話だ…ってことですよね」
ミュー自身、半エルフという立場で、辛い目に合うこともあるのだろう。
それはメルクロも充分わかっていた。
人の辛さを自分の辛さに置き換えることができ、仕事ぶりも考え方も優秀な助手に、メルクロはにっこり笑う。
「それがわかっているなら、わしは何も言うことはないな。そのサフォーネだが…そろそろ様子を見てきた方が良くないか?」
メルクロの言葉にミューがはっとなって立ち上がった。
「そうだ。サフォーネ!まだ火を焚いているかも。ちょっと見てきます」
慌てて駆け出すミューの背中を見送ると、メルクロは懐からパイプを取り出し、笑みを浮かべながら口元に咥えた。
診療所の裏口から出ると、風呂を沸かす釜戸があり、その前で防寒服を着こんで、必死に火を焚いているサフォーネがいた。
言葉の訓練以外やることもなく、家の手伝いをやらせてもなかなかうまくできないサフォーネが、唯一役立ったのはこれだった。
釜戸に空気を吹き入れるのは、腹筋が鍛えられて発声の訓練にもなるしちょうどいいと、メルクロも賛成したが、加減が判らず風呂が熱湯化させることも度々であった。
サフォーネは竹筒で空気を吹き入れながら薪をくべていたが、ふとその手を止め、何かを考えているようだった。
考えている、というよりも、何かに気を捉われている様子だった。
炎を見つめる赤い瞳に映るのは、目の前の赤い火の揺らめきか…それとも遠い日の…。
どこか悲し気な影を感じて、ミューは一瞬躊躇したが、明らかに釜の中の炎が強すぎると思い、慌てて声を掛けた。
「サフォーネ、ごめん。もう大丈夫だから、家に入って」
ミューが声を掛けると、空気を吹き入れていた竹筒を口から外し、サフォーネはにこりと笑った。
「…あー…ぃ」
メルクロの指導の下、サフォーネはようやく声を発せられるようにはなっていたが、言葉を操るにはまだかかりそうだった。
炎の熱で顔を真っ赤にしたサフォーネがにこりと笑うのを見て、ミューは思わずぷっと吹き出した。
先程垣間見えた悲し気な表情は気のせいだったか…。
ミューは釜戸の中の薪を並べ直し、火の調整をするとサフォーネと共に室内に入っていった。
メルクロはパイプをふかしながら、居間の本棚から幼児用の読み書き本と帳面を取り出す。
サフォーネが戻ってくると、それらを卓上に広げた。
「今日はここからだったな。次のページまで書き終わったら、今日の勉強は終わりだ」
言葉以外にも、人並みの教育を受けさせてやりたいとメルクロは思い始めていた。
戻ってくるデュークのためでもあり、サフォーネ自身が生きていくためにも、それは必要なことであった。
その思いをサフォーネも受け止めて、一生懸命に応えようとしている。
ミューに雪を払ってもらいながら防寒服を脱ぐと、広げられた帳面の前に座り、サフォーネは前日の続きから書き取りを始めた。
「へぇー、すごい。サフォーネ、頑張ってるね」
真剣に本の絵を見ながら、その隣にある単語を帳面に書き写す様子を見て、ミューは感心の声をあげた。サフォーネが書き写すたびに、それをなんと読むのかメルクロが声に出して読んでいく。
その役割を途中からミューが引き受けると、めくった次のページに黒い怪物の絵が出てきた。
その横には『バーズ』と書かれていたが、サフォーネはそれを読むことができなかった。
サフォーネの手がぴたりと止まる。
絵の中の怪物がこちらを見ている。
それは子供用の絵本で、魔物は簡略化され、愛嬌すら感じる描写で表現されていたが、サフォーネにはとても怖く感じた。
デュークはこんな魔物を退治しにいったのだろうか…。
サフォーネの手が止まった様子に、ミューも読み上げの続きを躊躇した。
異変に気付いたメルクロは、小さく咳ばらいをしながら、サフォーネの帳面と本を閉じて本棚にしまいこむ。
「さぁ、今日はここまでだ。夕飯の前に先に風呂に入ってきなさい」
メルクロに促され、席を立つサフォーネ。だが、歩みだせない。
あれはなんという魔物なの?
デュークはあの魔物と闘っているの?
「…ぁ…うー……」
知りたくても、言葉が操れない自分がもどかしく、サフォーネは涙をにじませた。
その様子を察してメルクロは肩を落とし、小さく語り始めた。
「あれは『バーズ』という魔物だ。数百年に一度現れるかどうかと言われる伝説の魔物。伝説故、実際に見た、という人の話は聞いたこともない。
大昔に一度現れ、何十人という羽根人がその命を引き換えに退治したという昔語りもあるが、文献はほぼ無いらしいからな。あの絵は想像で描かれたものだ。
…デュークが退治しに行ったのは、あれとは違うものだろう。万が一にもバーズが現れたとなれば、大陸中が大騒ぎになるだろうからな」
一頻り話すと、メルクロはパイプをふかし、サフォーネを見るが、その顔はやはり晴れない。
メルクロは言葉を続けた。
「魔物と言ってもいろいろなやつがおる。デューク一人で充分退治できるやつもいる。
もし仮に、デュークが退治しに行った魔物が『バーズ』だとしても、ひとりで立ち向かうという馬鹿なことはしないはずだ。必ず帰ると約束したんだからな。だから、安心しなさい」
メルクロの言葉の最後に、自分が聞きたかった一言があったおかげで、サフォーネは少しだけ救われた気持ちになり、こくんと頷くと部屋の奥へと消えて行った。
「サフォーネ…」
心底納得はしていないだろうに…その心はどれだけ不安にかられているのだろうか、そう考えるとミューは居た堪れない気持ちになった。
「ミュー、お前までそんな顔をするんじゃない。サフォーネを不安にさせたくないなら、わしらが希望を持たないとな」
メルクロに言われてミューもしっかりと頷き、思いを馳せる。
『デュークさん、絶対無事に帰ってきてくださいね』
頑張っているサフォーネを悲しませたくない、ミューは心の中で強く思った。
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
ベアルとの戦いに入って数十日が経つ頃。
数日前から降り続けていた雪も止み、用意してきた食料も底が見え始めてきたため、デュークは森の中で食材を調達していた。
魔物と何度か対峙し、ダメージも与えてきてはいるが、こちらの疲労も相当なものになってきていた。
魔物と出遭わない日は食料調達だけに集中したいが、魔烟の核を壊さない限り、削ぎ落した影はまた時間を置いて復活する。気が置けない日々が続いていた。
「確かに、ひとりではやってられん仕事だな」
仲間があとひとりでもいれば、役割を手分けでき、作戦も豊富に立てられるのだが…。
そのパートナーに一瞬サフォーネを思い浮かべたが、デュークは首を振った。
「闇祓いの力があるかも判らないのに…それに、あいつにこんな戦いは無理だ…」
となると、この戦いを早々に終え、クエナの町に戻ったら、サフォーネが安心して暮らせる場所を探さなくてはならない。
そして、己はこのまま一人、闘いの旅を続けるしかないのだ。
嘆いても仕方のない愚痴をこぼしながら、今日も雪の森を注意深く進んでいく。
数日前、最初に魔物と出会った場所から近い川上に、魚を獲るための罠を仕掛けておいた。
森の土壌は魔烟に汚されている箇所もあり、木の実や茸は注意して選ばなければならず、それだけでも余計な気疲れになるのだ。
その場所へ到着すると、川岸の大きな岩の近くにしゃがみこむ。
流れを堰き止めるために石を組み、その合間に仕掛けた網は、急きょ蔦で編んで拵えたものだ。
降った雪が蔦に絡まり覆うように積もっている。
雪を払い、その中を覗き込めば、数匹の魚が行き場を失って泳いでいるのが見えた。
「今夜の糧は決まったな」
食材を確保し、ほっとして呟いたところ、
「!」
背後に殺気を感じて、デュークは身を伏せながら川岸を転がった。
同時に、するどい鉤爪が先ほどまでデュークがいた岩に、その爪痕を刻んでいく。
態勢を整え、敵の居場所を見据えれば、それは出会った時よりもだいぶ影をそぎ落とされ、デュークと同じくらいの背格好にまでなっているベアルが居た。
「ずいぶんと可愛らしい大きさになってきたじゃないか」
揶揄うような言葉が通じたのか、魔物はいきり立った声を上げ、再びデュークへその鉤爪を振りかざす。
川のせせらぎを打ち消すように鳴り響く堅い金属音。
デュークは腰の長剣を抜き、その爪を受け止めた。
「…一石二鳥とは…このことだな」
魚を捕るための罠に魔物も掛かった。
恐らくデュークがここに現れるのを予想して、待ち伏せていたのかもしれない。
鉤爪を受ける刃が僅かに軋む。
…が、それは互いの力が同等であると知らせているようでもあった。
そろそろ決着の時か。
デュークは剣を返して、鉤爪を振り払うと、間を置かずにその懐に飛び込んだ。
(核を!!)
腰の短剣を抜き、魔物の腹へと突き立てる…が。
「ちっ」
外れた。
突き立てた短剣は何も捉えず、魔烟の霧が飛散した。
懐に入り込まれたことで虚をつかれたか、行動に出遅れている魔物から急いで間合いを取るため、デュークは後ろへ飛びのいた。
ガサリ。
翻った外套が何かを掠めた。振り返らなくとも、背後は藪で塞がれていると確信した。
突然、魔物の奇声が耳をつんざく。
再び視線を向ければ、それは大きな腕を闇雲に振り回しながらデュークへ突進してきた。
これ以上後ろへは退けない。
横へ!
そう判断した時、頭上の木に積もっていた雪が、魔物が走る振動で落ちてきた。
「!」
視界が雪で塞がれ、一瞬出遅れる。
ガツン。
するどい衝撃が、防御した己の腕と肩口へ走った。
「…っが…!」
右側の肩甲が弾き飛ばされ、宙に舞う。
真っ赤な血しぶきが飛び散るのを、現実のものではない感覚で見たが、身体を走る激痛がそれは幻ではないことを教えていた。
(…まずい…!)
痛みに耐えながらも敵の動きを確認すれば、勢い余って藪に突進して一時動きを失っていた。
外套で傷口を塞ぎ、雪に血痕を残さないよう、身を翻してデュークは反対の藪に身を潜めた。
腕はちゃんと付いていた。
防具のお陰で致命傷を受けずに済んだ。
それだけ確認するとほっとし、外套の裾を素早く切って止血をする。
魔物は怒りで判断が鈍っているのか、見失った羽根人を見渡して探している様子だった。
傷口と心臓で激しく脈が打たれる。
顔や体中に脂汗が滲む中、打開策を考える。
(…どうする?)
上空を見れば木が生い茂り、飛び立てない。
やがて、血の匂いをかぎ取って獲物を探すことを思い出したか、魔物は唸り声を上げながら、羽根人の行方を追うように近づいてくる。
己の鼓動の音に邪魔されながら、その気配に集中する。
(逃げ道の確保は…)
周囲を見渡せば、藪に囲まれている。
藪の中を抜けるには相手の機動力の方が勝っている。
退けない。
そう判断すると、デュークは短剣だけを手にし、それが血で滑らないように、その場にあった蔦で素早く固定した。
一か八か、再び核を狙う。
核の場所はたいてい決まっている。
腹か、胸か、頭。
腹は外れた、残りの二か所。
魔物はあと数歩の距離まで近づいていた。
飛び掛かってくる気配と同時に、デュークは背中の翼を押し広げる。
魔物は視界が黒い翼で塞がれると、一瞬攻撃を躊躇した。
それを見越して後ろへ翻り、デュークは狙いを定めて短剣を突き立てた。己の腕が届く場所。
胸に。
しかし。
短剣は核を捉えなかった。
咄嗟に、次の場所を狙うため、身を反転して魔物の横へすり抜け、デュークは藪から脱出する。
…が、魔物が振りかざした鉤爪が一瞬速く、背後から黒い翼を引き裂いた。
「…うっ!」
黒い羽根が飛び散り、鮮血が舞う。白い雪の地面を彩るように。
(…サフォーネ…)
白い雪に描かれた赤い血。それは白い翼と赤髪の天使の姿を思い出させた。
今頃何をしているのだろうか…。
言葉は話せるようになったのだろうか…。
金色の麦の丘。
翻る赤い髪と白い翼。
崖から落ちた羽根人を受け止めた感触。
サフォネリアの花。
『サフォーネ、っていう名前…どうだ?』
振り返り、嬉しそうに笑う赤い瞳。
慈愛のような笑み…。
赤髪の天使と出会い、旅をした短い思い出が蘇る。
もう一度あの笑顔を見たい…。
…が、それはひとつの衝撃で消し飛んだ。
「ぐあぁっ…!」
デュークが逃げないよう、魔物はその足でデュークの足を踏み捉える。
実体はない影のはずが、その重みは簡単に抜け出せないものだった。
身を捩ろうとすると、骨が軋み、鈍い音がした。
ここまでか…。
仰向けになった視界には、灰色の空が広がり、雪が舞い始めていた。
それを覆い隠すように黒い影が覗き込んでくる。
次に魔物は、その鉤爪で己の首を掻き切るだろう。
覚悟のような諦めが押しよせ、瞳を塞ぎかけたとき、背後に馬の嘶きが響いた。
「!…シェルドナ?」
主の危機を察知したのか、小屋から飛び出して来るには自身の体も相当傷つけたのだろう。
擦り傷だらけの大きな体で、黒い愛馬は魔物めがけて突っ込んでくると、体当たりでデュークに架せられている呪縛を解いた。
今だ!
覆いかぶさっていた影が退き、視界が開けると、傷ついた翼を広げて上空へ舞い上がる。
眼下には仰向けに転がった魔物の姿。
デュークは短剣の刃を下へ向け、急降下する。魔物に覆いかぶさるようにそのまま頭に突き立てた。
!
核を捉えた感触。
デュークは素早く固定した短剣を手から解くと、魔物から己の身を引きはがし、距離をとった。
奇怪な音のような断末魔の叫び声をあげ、魔物は崩れていく。
黒い影の塊が、サラサラと砂のように溶け、やがてそれは地面に吸い込まれていった。
「……終わった…」
地面に短剣だけが転がっているのを見て、それを悟る。
間一髪だった。
主を助けた黒い馬は、立っているのもやっとな羽根人の元へ歩み寄る。
本来、動物は魔物を本能的に恐れて近寄れないものだが…それだけ、シェルドナの忠誠心が高かったということなのだろう。
「シェルドナ…すまない…助かった…」
褒めるように、傷跡のある黒い首を撫でていたが、その腕は力なく落ち、デュークはその場に頽れた。
黒い愛馬は心配そうにその顔に鼻先を付けて、主に起きてくれとせがむ様に何度も揺り起こす。
「…わかっている…帰らないと、な……みんなが…サフォーネが…待って…る」
疲労と怪我と安堵で動けなくなった身体に新たな雪が降り落ちる。
それは、クエナの町を出て2か月半経っていた頃だった。
~つづく~
クエナの町ではこの時期、桑畑の剪定作業をする者、織物の生産をする者、家畜を世話する者以外はほぼ冬ごもり状態となる。
木こりや猟師はその為に、冬になる前に近隣の森や山で、薪や獲物を収穫するのだが…。
雪が降り続いたある日、メルクロの元に急患がやってきた。
魔物の出現により、秋の森で満足に狩りができなかった猟師が、獲物を求めて慣れない冬山に昇り、落石に遭って足に大怪我をしたのだ。
患者の足は幸いにも折れておらず、傷を縫うだけで済んだ。
迎えに来た家族に引き渡す頃には、もう夜も更けていたため、ミューはその日、診療所に泊まることにした。
全ての業務が終わり、ほっとする時間、ミューはお茶を淹れながらメルクロに話しかける。
「今年は例の魔物の出現で、森で仕事ができなかった木こりや猟師たちが、大変な思いをしているみたいですね…」
数日前には、薪を探しに出かけた木こりが、雪で足を滑らせて腰を強打した、と訪ねてきたばかりだったのだ。
その時の様子を思い出し、ミューはお茶を淹れる手を止めた。
いつもなら手際よく用意をするはずが、手の止まってしまったミューをメルクロは訝し気に見た。
「ん?そうだな…大した怪我じゃなくてよかったところだが…。どうした…?」
あの時の木こりは、診療所に入るのを明らかに恐れている様子だった。
周囲を見渡し、サフォーネの姿がないのを確認して用心深く入ってくると、出くわさないうちに治療を終わらせたい、とそわそわしていた。
「…先生…異端の天使…って、なんですか?そんなに、恐れるものなんですか?
デュークさんも、サフォーネも…異端の天使、なんですよね?でも、ちっとも嫌な感じじゃないし…オレには、よくわかりません…」
お茶を淹れたカップをメルクロの前に差し出すと、ミューは沈んだ顔で椅子に腰かけた。
カップを手に取ったメルクロは、卓上越しにミューを見つめる。
ミューのように、異端の天使を恐れない者もいる。それは主に若い世代が多い。
異端の天使を恐れるのは、もう古い世代の者ばかりなのだと改めて認識すると、メルクロはお茶を一口啜った。
陰干しした桑の葉を粉末にしたお茶は、清々しい香りで心も落ち着く。
一息吐くと、ミューの問いかけに答えた。
「…人は、自分と違う者に対し、恐れを抱くからな…。大昔に違う種族同士で争ったのも、そんな恐れがあったからだとわしは思っている。
羽根人は概ね色素が薄い、というか…先祖たちの髪や翼の色は、ほぼ似たような淡い色合いが多かったと聞いている。それがある日、見たこともない色の羽根人が産まれた。羽根人たちは、それが神からの啓示とも思ったのかもしれんな。たまたま悪いことが起こると、その異端の色がもたらしたものだと信じるようになった、ということだ。
わしから言わせれば、それはただの偶然。色においては突然変異。近しい者で婚姻を結ぶのが原因ではないかと思っているんだがな…」
メルクロの言葉に耳を傾けるミューは真剣な顔で答える。
「自分と違う者…。それは…人が弱いから、ですよね?みんな、悪いことが起きると誰かの所為にしたいから、そうやって、自分とは違う者を標的にするんだ…だったら…異端の天使を恐れるなんて、馬鹿げた話だ…ってことですよね」
ミュー自身、半エルフという立場で、辛い目に合うこともあるのだろう。
それはメルクロも充分わかっていた。
人の辛さを自分の辛さに置き換えることができ、仕事ぶりも考え方も優秀な助手に、メルクロはにっこり笑う。
「それがわかっているなら、わしは何も言うことはないな。そのサフォーネだが…そろそろ様子を見てきた方が良くないか?」
メルクロの言葉にミューがはっとなって立ち上がった。
「そうだ。サフォーネ!まだ火を焚いているかも。ちょっと見てきます」
慌てて駆け出すミューの背中を見送ると、メルクロは懐からパイプを取り出し、笑みを浮かべながら口元に咥えた。
診療所の裏口から出ると、風呂を沸かす釜戸があり、その前で防寒服を着こんで、必死に火を焚いているサフォーネがいた。
言葉の訓練以外やることもなく、家の手伝いをやらせてもなかなかうまくできないサフォーネが、唯一役立ったのはこれだった。
釜戸に空気を吹き入れるのは、腹筋が鍛えられて発声の訓練にもなるしちょうどいいと、メルクロも賛成したが、加減が判らず風呂が熱湯化させることも度々であった。
サフォーネは竹筒で空気を吹き入れながら薪をくべていたが、ふとその手を止め、何かを考えているようだった。
考えている、というよりも、何かに気を捉われている様子だった。
炎を見つめる赤い瞳に映るのは、目の前の赤い火の揺らめきか…それとも遠い日の…。
どこか悲し気な影を感じて、ミューは一瞬躊躇したが、明らかに釜の中の炎が強すぎると思い、慌てて声を掛けた。
「サフォーネ、ごめん。もう大丈夫だから、家に入って」
ミューが声を掛けると、空気を吹き入れていた竹筒を口から外し、サフォーネはにこりと笑った。
「…あー…ぃ」
メルクロの指導の下、サフォーネはようやく声を発せられるようにはなっていたが、言葉を操るにはまだかかりそうだった。
炎の熱で顔を真っ赤にしたサフォーネがにこりと笑うのを見て、ミューは思わずぷっと吹き出した。
先程垣間見えた悲し気な表情は気のせいだったか…。
ミューは釜戸の中の薪を並べ直し、火の調整をするとサフォーネと共に室内に入っていった。
メルクロはパイプをふかしながら、居間の本棚から幼児用の読み書き本と帳面を取り出す。
サフォーネが戻ってくると、それらを卓上に広げた。
「今日はここからだったな。次のページまで書き終わったら、今日の勉強は終わりだ」
言葉以外にも、人並みの教育を受けさせてやりたいとメルクロは思い始めていた。
戻ってくるデュークのためでもあり、サフォーネ自身が生きていくためにも、それは必要なことであった。
その思いをサフォーネも受け止めて、一生懸命に応えようとしている。
ミューに雪を払ってもらいながら防寒服を脱ぐと、広げられた帳面の前に座り、サフォーネは前日の続きから書き取りを始めた。
「へぇー、すごい。サフォーネ、頑張ってるね」
真剣に本の絵を見ながら、その隣にある単語を帳面に書き写す様子を見て、ミューは感心の声をあげた。サフォーネが書き写すたびに、それをなんと読むのかメルクロが声に出して読んでいく。
その役割を途中からミューが引き受けると、めくった次のページに黒い怪物の絵が出てきた。
その横には『バーズ』と書かれていたが、サフォーネはそれを読むことができなかった。
サフォーネの手がぴたりと止まる。
絵の中の怪物がこちらを見ている。
それは子供用の絵本で、魔物は簡略化され、愛嬌すら感じる描写で表現されていたが、サフォーネにはとても怖く感じた。
デュークはこんな魔物を退治しにいったのだろうか…。
サフォーネの手が止まった様子に、ミューも読み上げの続きを躊躇した。
異変に気付いたメルクロは、小さく咳ばらいをしながら、サフォーネの帳面と本を閉じて本棚にしまいこむ。
「さぁ、今日はここまでだ。夕飯の前に先に風呂に入ってきなさい」
メルクロに促され、席を立つサフォーネ。だが、歩みだせない。
あれはなんという魔物なの?
デュークはあの魔物と闘っているの?
「…ぁ…うー……」
知りたくても、言葉が操れない自分がもどかしく、サフォーネは涙をにじませた。
その様子を察してメルクロは肩を落とし、小さく語り始めた。
「あれは『バーズ』という魔物だ。数百年に一度現れるかどうかと言われる伝説の魔物。伝説故、実際に見た、という人の話は聞いたこともない。
大昔に一度現れ、何十人という羽根人がその命を引き換えに退治したという昔語りもあるが、文献はほぼ無いらしいからな。あの絵は想像で描かれたものだ。
…デュークが退治しに行ったのは、あれとは違うものだろう。万が一にもバーズが現れたとなれば、大陸中が大騒ぎになるだろうからな」
一頻り話すと、メルクロはパイプをふかし、サフォーネを見るが、その顔はやはり晴れない。
メルクロは言葉を続けた。
「魔物と言ってもいろいろなやつがおる。デューク一人で充分退治できるやつもいる。
もし仮に、デュークが退治しに行った魔物が『バーズ』だとしても、ひとりで立ち向かうという馬鹿なことはしないはずだ。必ず帰ると約束したんだからな。だから、安心しなさい」
メルクロの言葉の最後に、自分が聞きたかった一言があったおかげで、サフォーネは少しだけ救われた気持ちになり、こくんと頷くと部屋の奥へと消えて行った。
「サフォーネ…」
心底納得はしていないだろうに…その心はどれだけ不安にかられているのだろうか、そう考えるとミューは居た堪れない気持ちになった。
「ミュー、お前までそんな顔をするんじゃない。サフォーネを不安にさせたくないなら、わしらが希望を持たないとな」
メルクロに言われてミューもしっかりと頷き、思いを馳せる。
『デュークさん、絶対無事に帰ってきてくださいね』
頑張っているサフォーネを悲しませたくない、ミューは心の中で強く思った。
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
ベアルとの戦いに入って数十日が経つ頃。
数日前から降り続けていた雪も止み、用意してきた食料も底が見え始めてきたため、デュークは森の中で食材を調達していた。
魔物と何度か対峙し、ダメージも与えてきてはいるが、こちらの疲労も相当なものになってきていた。
魔物と出遭わない日は食料調達だけに集中したいが、魔烟の核を壊さない限り、削ぎ落した影はまた時間を置いて復活する。気が置けない日々が続いていた。
「確かに、ひとりではやってられん仕事だな」
仲間があとひとりでもいれば、役割を手分けでき、作戦も豊富に立てられるのだが…。
そのパートナーに一瞬サフォーネを思い浮かべたが、デュークは首を振った。
「闇祓いの力があるかも判らないのに…それに、あいつにこんな戦いは無理だ…」
となると、この戦いを早々に終え、クエナの町に戻ったら、サフォーネが安心して暮らせる場所を探さなくてはならない。
そして、己はこのまま一人、闘いの旅を続けるしかないのだ。
嘆いても仕方のない愚痴をこぼしながら、今日も雪の森を注意深く進んでいく。
数日前、最初に魔物と出会った場所から近い川上に、魚を獲るための罠を仕掛けておいた。
森の土壌は魔烟に汚されている箇所もあり、木の実や茸は注意して選ばなければならず、それだけでも余計な気疲れになるのだ。
その場所へ到着すると、川岸の大きな岩の近くにしゃがみこむ。
流れを堰き止めるために石を組み、その合間に仕掛けた網は、急きょ蔦で編んで拵えたものだ。
降った雪が蔦に絡まり覆うように積もっている。
雪を払い、その中を覗き込めば、数匹の魚が行き場を失って泳いでいるのが見えた。
「今夜の糧は決まったな」
食材を確保し、ほっとして呟いたところ、
「!」
背後に殺気を感じて、デュークは身を伏せながら川岸を転がった。
同時に、するどい鉤爪が先ほどまでデュークがいた岩に、その爪痕を刻んでいく。
態勢を整え、敵の居場所を見据えれば、それは出会った時よりもだいぶ影をそぎ落とされ、デュークと同じくらいの背格好にまでなっているベアルが居た。
「ずいぶんと可愛らしい大きさになってきたじゃないか」
揶揄うような言葉が通じたのか、魔物はいきり立った声を上げ、再びデュークへその鉤爪を振りかざす。
川のせせらぎを打ち消すように鳴り響く堅い金属音。
デュークは腰の長剣を抜き、その爪を受け止めた。
「…一石二鳥とは…このことだな」
魚を捕るための罠に魔物も掛かった。
恐らくデュークがここに現れるのを予想して、待ち伏せていたのかもしれない。
鉤爪を受ける刃が僅かに軋む。
…が、それは互いの力が同等であると知らせているようでもあった。
そろそろ決着の時か。
デュークは剣を返して、鉤爪を振り払うと、間を置かずにその懐に飛び込んだ。
(核を!!)
腰の短剣を抜き、魔物の腹へと突き立てる…が。
「ちっ」
外れた。
突き立てた短剣は何も捉えず、魔烟の霧が飛散した。
懐に入り込まれたことで虚をつかれたか、行動に出遅れている魔物から急いで間合いを取るため、デュークは後ろへ飛びのいた。
ガサリ。
翻った外套が何かを掠めた。振り返らなくとも、背後は藪で塞がれていると確信した。
突然、魔物の奇声が耳をつんざく。
再び視線を向ければ、それは大きな腕を闇雲に振り回しながらデュークへ突進してきた。
これ以上後ろへは退けない。
横へ!
そう判断した時、頭上の木に積もっていた雪が、魔物が走る振動で落ちてきた。
「!」
視界が雪で塞がれ、一瞬出遅れる。
ガツン。
するどい衝撃が、防御した己の腕と肩口へ走った。
「…っが…!」
右側の肩甲が弾き飛ばされ、宙に舞う。
真っ赤な血しぶきが飛び散るのを、現実のものではない感覚で見たが、身体を走る激痛がそれは幻ではないことを教えていた。
(…まずい…!)
痛みに耐えながらも敵の動きを確認すれば、勢い余って藪に突進して一時動きを失っていた。
外套で傷口を塞ぎ、雪に血痕を残さないよう、身を翻してデュークは反対の藪に身を潜めた。
腕はちゃんと付いていた。
防具のお陰で致命傷を受けずに済んだ。
それだけ確認するとほっとし、外套の裾を素早く切って止血をする。
魔物は怒りで判断が鈍っているのか、見失った羽根人を見渡して探している様子だった。
傷口と心臓で激しく脈が打たれる。
顔や体中に脂汗が滲む中、打開策を考える。
(…どうする?)
上空を見れば木が生い茂り、飛び立てない。
やがて、血の匂いをかぎ取って獲物を探すことを思い出したか、魔物は唸り声を上げながら、羽根人の行方を追うように近づいてくる。
己の鼓動の音に邪魔されながら、その気配に集中する。
(逃げ道の確保は…)
周囲を見渡せば、藪に囲まれている。
藪の中を抜けるには相手の機動力の方が勝っている。
退けない。
そう判断すると、デュークは短剣だけを手にし、それが血で滑らないように、その場にあった蔦で素早く固定した。
一か八か、再び核を狙う。
核の場所はたいてい決まっている。
腹か、胸か、頭。
腹は外れた、残りの二か所。
魔物はあと数歩の距離まで近づいていた。
飛び掛かってくる気配と同時に、デュークは背中の翼を押し広げる。
魔物は視界が黒い翼で塞がれると、一瞬攻撃を躊躇した。
それを見越して後ろへ翻り、デュークは狙いを定めて短剣を突き立てた。己の腕が届く場所。
胸に。
しかし。
短剣は核を捉えなかった。
咄嗟に、次の場所を狙うため、身を反転して魔物の横へすり抜け、デュークは藪から脱出する。
…が、魔物が振りかざした鉤爪が一瞬速く、背後から黒い翼を引き裂いた。
「…うっ!」
黒い羽根が飛び散り、鮮血が舞う。白い雪の地面を彩るように。
(…サフォーネ…)
白い雪に描かれた赤い血。それは白い翼と赤髪の天使の姿を思い出させた。
今頃何をしているのだろうか…。
言葉は話せるようになったのだろうか…。
金色の麦の丘。
翻る赤い髪と白い翼。
崖から落ちた羽根人を受け止めた感触。
サフォネリアの花。
『サフォーネ、っていう名前…どうだ?』
振り返り、嬉しそうに笑う赤い瞳。
慈愛のような笑み…。
赤髪の天使と出会い、旅をした短い思い出が蘇る。
もう一度あの笑顔を見たい…。
…が、それはひとつの衝撃で消し飛んだ。
「ぐあぁっ…!」
デュークが逃げないよう、魔物はその足でデュークの足を踏み捉える。
実体はない影のはずが、その重みは簡単に抜け出せないものだった。
身を捩ろうとすると、骨が軋み、鈍い音がした。
ここまでか…。
仰向けになった視界には、灰色の空が広がり、雪が舞い始めていた。
それを覆い隠すように黒い影が覗き込んでくる。
次に魔物は、その鉤爪で己の首を掻き切るだろう。
覚悟のような諦めが押しよせ、瞳を塞ぎかけたとき、背後に馬の嘶きが響いた。
「!…シェルドナ?」
主の危機を察知したのか、小屋から飛び出して来るには自身の体も相当傷つけたのだろう。
擦り傷だらけの大きな体で、黒い愛馬は魔物めがけて突っ込んでくると、体当たりでデュークに架せられている呪縛を解いた。
今だ!
覆いかぶさっていた影が退き、視界が開けると、傷ついた翼を広げて上空へ舞い上がる。
眼下には仰向けに転がった魔物の姿。
デュークは短剣の刃を下へ向け、急降下する。魔物に覆いかぶさるようにそのまま頭に突き立てた。
!
核を捉えた感触。
デュークは素早く固定した短剣を手から解くと、魔物から己の身を引きはがし、距離をとった。
奇怪な音のような断末魔の叫び声をあげ、魔物は崩れていく。
黒い影の塊が、サラサラと砂のように溶け、やがてそれは地面に吸い込まれていった。
「……終わった…」
地面に短剣だけが転がっているのを見て、それを悟る。
間一髪だった。
主を助けた黒い馬は、立っているのもやっとな羽根人の元へ歩み寄る。
本来、動物は魔物を本能的に恐れて近寄れないものだが…それだけ、シェルドナの忠誠心が高かったということなのだろう。
「シェルドナ…すまない…助かった…」
褒めるように、傷跡のある黒い首を撫でていたが、その腕は力なく落ち、デュークはその場に頽れた。
黒い愛馬は心配そうにその顔に鼻先を付けて、主に起きてくれとせがむ様に何度も揺り起こす。
「…わかっている…帰らないと、な……みんなが…サフォーネが…待って…る」
疲労と怪我と安堵で動けなくなった身体に新たな雪が降り落ちる。
それは、クエナの町を出て2か月半経っていた頃だった。
~つづく~
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