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6ジュリア様 出陣!

結論

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「……言いたいことはそれで全てか?」

 国王はただ冷徹に、それだけを口にした。

「裁判長」
「はっ」
「判決を」

 裁判長はちらり、とジュリアの顔を見る。しかしすぐに職務に忠実な表情を作ると、厳かな空気を背負い木槌を打ち鳴らした。

「異論には根拠が認められないため、不受理と致します。よって、被告人に死刑を言い渡す」

 ルディは僅かにジュリアの様子を覗った後、粛々とその判決を受け入れた。
 そのすんなりとした態度にも腹が立つ。
 しかし、今のジュリアの喧嘩相手はルディではない。
 指さしたままの人物をじとりと睨んで、ジュリアは「私がただで負けるとでも思っているの」と不穏に告げた。

「勝ち負けの話などはしていない。これは厳粛なる裁判の結果だ。法に則っているに過ぎない」
「そう、そうね、貴方様にとってこんなのはきっと些末事ね」

 ジュリアは机を蹴っていた足を下ろし、ついでに指も下げた。

「けれど私には重大事だわ。それこそ私のこれまでの人生と存在の全てを揺るがすほどのね。……覚悟していなさい」

 不敵な笑みを浮かべて、ジュリアは立つ。
 体格の大きさだけでは説明の付かない存在感がそこからは放たれていた。

「負け犬はね、自分の牙が折れても顎が外れても骨が砕けても、相手を殺すのよ」
「聞かなかったことにしておこう。君は優秀な伯爵だ。失うには惜しい」

 国王は最後までまともには取り合わず、場を後にした。
 周囲の人間も遠巻きに次々と席を立つ中、ジュリアは扇を強く机に叩きつけた。鈍い音が響き、扇が二つに折れる。その破片がジュリアの手を傷つけ、血を流した。

「今に見ていなさい」

 けれどジュリアは笑みを崩さない。強い意志を宿した青い瞳で空となった玉座を睨みつけて笑った。

「負けたままでは終わらせないわ」

 そうして静まり返る周囲を無視して歩き出し、振り返ることはしなかった。
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