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4信念

不穏

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 全てが終わった後、ジュリアは呆然と立ち尽くしていた。

「なんてことなの」

こんな光景は、このレーゼルバールで生きてきて一度も見たことはなかった。
幸いにもルディと自警団、近衛兵の尽力により魔物による被害はほとんどなかった。戦っていたものは多少手傷を負ったものの、壁際で食い止められたために民家も農場もほぼ無傷だ。
けれどその地面には尋常ではない量の蜘蛛の魔物の死体が散らばっていた。ざっとみても100はくだらないであろう量である。

「このように大量の魔物が発生するなど、通常ではありえません」

 ジュリアの疑念に確証をもたらすかのように重々しくそう告げたのは竜王殺しの英雄だった。思わずジュリアは隣に立ったその男を振り仰ぐ。
その表情は険しく、重々しい。

「……ルディ」
「何かが、起きているようです」

 思案するように上げられた視線は、ジュリアのことを見ては居なかった。遠く何かを見通すかのように彼方へと投げられたその瞳は、真っ直ぐと北を、かつて彼が殺した竜王の住まう湖の方角へと向けられていた。
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