転生を繰り返した最強は5つのダンジョンを制覇する

海月 結城

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第1章 テールマルク編

第12話 決闘ー2

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 『ペインスロード』の全団員達は俺を囲むように位置についた。そして、その中の1人が口を開いた。

「ギルドマスター。こんなやつ1人をこの人数でやっちゃって良いんすか?」
「あぁ、大丈夫だ。俺が許可しよう」
「この都市の領主の息子がそう言ったんだ。なら、好きにやらせて貰らもうか」

 その『ペインスロード』のやり方を観客達は反抗出来ずに見守る事しか出来なかった。

「なら、俺だって容赦しなくて良いよな?」
「もちろんだ」
「だったら。スキル:制限リミッター解除」

 そして、俺は瞑想中に自分に掛けておいた制御リミッターを解除した。その瞬間、自分を中心に風が発生した。いや、それは、魔力の波だ。
 それのせいで、5/1の『ペインスロード』の団員が吹き飛ばされてしまった。

「お前は一体何者だ!?!?!?」

 『ペインスロード』のギルドマスターは椅子から立ち上がり大声で叫んでいた。

「何って、この街の救世主に決まってるだろ」
「そんな訳ないだろ!! なんだその魔力は!! 人間な訳ないだろ!!」
「いやいや、人間だよ。だって、獣人は人間と同じ言葉は喋れないんだから。人間以外はあり得ないだろ」
「ま、まぁ、そうだが。お前は化け物かって聞いてるんだよ!?!?」

 そんな、酷い。

「化け物じゃないさ。只の人間だよ」
「そんな魔力は人間じゃない!!」
「ったく、何回繰り返すんだよ。俺は人間だ!!」
「周りを見ろ!!」

 周りを見渡すと、決闘場の舞台に立ってる人達は俺の魔力に怯えていた。が、観客達はキラキラした目で俺のことを見ていた。

「おー、なんか凄い反応だな。ちょっと照れるな」
「ちっがーう!!! 照れろって言ってるんじゃない!! 怯えてる人を見て、自分が化け物である事を認識しろって事だ!!」
「分かった。俺は化け物だ。ま、だからって手加減なんてしないぞ」
「え、いや、ちょっと待っt」

 俺は、とある物を呼び出した。

「来てくれ、ライナ」

 そして、空中に魔力が集まり魔法陣が生成されそこから1匹の羽を生やした小さい精霊がやって来た。

「あら、また転生したの?」
「あぁ、転生は今回で最後だけどな」
「そうですか。で、この状況は??」
「決闘中だ」

 俺が精霊を呼び出すと、『ペインスロード』の連中は顔を真っ青にしていた。

「こ、ここ、古代、魔法」

 精霊を使った魔法は古代魔法と言われ、失われた魔法と呼ばれているのだ。ま、いつかの前世で【精霊使い】になった時に契約した精霊なのだがな。転生しても何故か契約しっぱなしになってるんだよ。不思議でしょうがない。

「って事で、軽ーくやって良いぞ。ライナ」
「わっかりましたー!! ほーー、やっ!」

 ライナが魔力を集めて魔法を放った。それは、雷魔法だった。バチバチと雷が集まり頭の上で集めた。それを天に向かって放った。すると、会場の上に大きな雷雲が集まった。そして、大きな音を立てて地面に雷が落ちた。

「後はお前だけだな。ギルドマスター」
「ば、馬鹿な。俺のギルドが一瞬で消えただと」
「さ、早く言え」
「っく、しょうがない。まさか、これを使う事になるとわな」
「? 何をする気だ?」

 そう言って、『ペインスロード』のギルドマスターは禍々しい魔石を取り出した。

「さぁ、出て来い。ふっふっふっ、何故俺があのダンジョンを封鎖していたのか分かるか?」
「いや、分からんが」
「それはな、こいつを取り出すためだよ。来い!!!」

 すると、その魔石が砕け中から出て来たのは、子供の女の子だった。

「あれは、テールマルクの魔神」
「ほう、よく分かったな。そうだ。このダンジョンのボスだ。まだ力が弱いが、時間は掛かったが、とある方法で力をつけたんだ。そのお陰で、フェアルゲンが同じぐらいの強さを身に付けたんだよ。さあ、やっちまえ、リンリ!!」
「っう! あ、ああああああああああ!!!!」

 リンリは抵抗をしているのか、周りに黒い物がバチバチとしていた。だが、その抵抗も意味を成さなかった。

「あ、ああ、あああああああ!!!」
「やばい。お前ら、逃げろ!!!!! 早く、にげろおおおおおおおお!!!」

 観客達は腰が抜けているのか、誰も逃げる事が出来なかった。

「クッソ!! スキル:洗脳!! 退避!!!!」

 すると、観客も『ペインスロード』の団員も全員が決闘場から逃げていった。
 そして、リンリのほうを見据えると、真っ黒なビームが飛んできた。

「危な! ったく、やばい物を連れて来やがって。ライナ、お前はあいつを頼む」
「分かりました。殺しておきますね」
「殺すな。半殺しで頼む」
「はーい」

 ライナは、ギルドマスターの所に向かっていった。

「さて、俺はこいつをどうにかしないとな」

 そう言っている間にも、リンリは四方八方にビームを出している。

「スキル:魔法障壁・物理障壁」

 スキルを発動すると決闘場を囲むように障壁が完成した。四方八方に飛んで行ったビームは障壁に弾かれ、外に出る事無かった。

「た、、、す。う、うう、ああああああああ!!!」
「了解した。直ぐに助かるぞ、リンリ」

 こっちに来たビームを掴んで、投げ返した!

「これで、相殺は出来るんだがな、どうにも、反撃が出来ない」

 リンリの攻撃は絶え間なく続いており、攻撃する隙が無いのだ。

「殺すことは簡単だけどな、ダンジョンの外で殺すと再生しないんだよな。無力化しないといけないのか」

 前世でやった事があったが、それはそれは大変な目にあった。もう、あんな事は懲り懲りだ。

「って、マジでどうしようかな。っぶな!」
「はや、く。た、すけ、、、て」
「やばっ! 侵食してる!!」

 リンリの理性が消えかけている。

「まずは、気絶させてからだな」

 俺は、剣を構えた。そして、ビームを消し斬りながら進んでいく。

「こっからリンリのところまで40mってところか」
「あ、ご主人様。こっちは終わりましたよ」

 ライナは、ギルドマスターを雷で気絶させながらこっちに手を振っていた。

「分かった。こっちもすぐに終わらせる。ちょっと待ってろ」
「はーい」
「こっからは本気でいくぞ」

 40mの距離を全力で走りながら近づいていく。すると、後ろからビームが迫って来た。

「まさか、反射したのか!?」

 それは一本のビームだけでは無い。今まで出しては障壁に当たって消えていたビーム全てが反射し出したのだ。

「ライナ! 危ないから逃げるか避けろ!!」
「分かった!!」
「クソ! 全方位からの攻撃は消しきれない!! スキル:時間操作タイムジャック

 俺がスキルを使うと、ビームの動きが遅くなった。そして、俺の動きは早くなった。
 そのお陰で、ビームを避けながら進んでいく。だが、それも10秒だけだ。

「それだけの時間があれば十分だ!!」

 そして、地面を思いっきり踏みつけ粉々にした。それを蹴り上げた。残り8秒。
 それを足場にしてどんどん空中に上がっていく。残り6秒。
 そして、残り3秒。

「お疲れさん」

 そして、脳天から拳を振り下ろした。
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