上 下
2 / 24
序章

第1話 生まれ変わり

しおりを挟む
今日から6日間毎日投稿です。11時に投稿します。
ーーーーー
「何回目だ? いや、もう数えてないな」

 俺が転生する時、何故か5歳から始まる。

「今回の家はどんな所だろうな」

 どんなに転生しても同じ家に生まれることは無い。それが、毎回の転生で楽しみにの1つでもある。

「ベットがフカフカしてるし、少し大きめの部屋。どうやら貴族に生まれたのか。俺はもう転生しないんだよな」

 俺があの時魔女を殺してから自分が死ぬまでの間。俺は考えていた。不老不死になった時俺は何をなしたらいいのかを。答えは出なかった。ただ1つ目標は決まった。

「最後の転生。俺にはもう何でもできる力がある。俺は、この世界に貢献したいな」

 そう。この世界に貢献する。これが、俺の目標なのだ。

「おーい。朝ごはんだぞ」

 野太い声が聞こえた。お父さん、いや、貴族に生まれたから、父上か。

「今行きます」

 そして、俺はベットから出た。服装と髪型を整えるために鏡を除く。

「うわ、何これ。女見たいだな、いや、でも、付いてるな。この見た目で男かよ」

 鏡を見ると、中性的な顔をしている男がこちらを見ていた。サラサラした銀髪の髪色に蒼色の目。背丈はまだ5歳という事もあり小さい。130cmぐらいだと思う。

 俺が、自分の姿に見惚れていると扉が開き、メイド達がゾロゾロ入ってきた。

(この人数。ただの貴族じゃ無いな)

 この世界では、1人に付くメイドの数で貴族の位が分かる。こんなに多いと、公爵、はたまた王子なんて事もありえる。

(どっちだろうな。父上と母上に聞いてみないといけないな)

 それから、髪のセット服装の替えをメイドの行ってもらい。食堂を目指して歩き出した。

「お待たせしました」

 食堂には既に朝食が用意してあった。
 俺は、いや、5歳だから。僕の方が、うーん、貴族だから私にしとくかな。私とデーブルを挟んだ先に両親が座っている。

「さ、食べようではないか」
「えぇ。では、豊穣の女神様に感謝をします」

 手を合わせて目を閉じた。数秒後、パンと手を叩く音がして、目を開けた。母上が手を叩いたようだ。

「さ、食べましょうか」

 今日の朝食を食べ始めた。
 朝、昼、夕ご飯を食べている時。言葉を発してはいけない。この世界での常識である。ご飯を食べ終えた後、私は気になったことを聞いてみた。

「明日私の誕生日ですが、神殿にはいつ向かうのですか?」
「そうだな。明日の朝一に向かうとしよう」
「分かりました」
「楽しみ?」
「はい! とても楽しみです」

 この世界には神殿がありそこで自分に向いている職業を知ることが出来る。向いているだけであり、その職業を選ぶかは自分の選択だ。俺は、全前世では全てその通りに従ってきた。なんの因果か同じ職業になった事が無いのだ。そして、全ての職業をマスターした俺は今世では一体なんの職業になるのか、楽しみだ。

「明日、神殿に行く前までに、何になるか決めておくんだぞ」
「はい。分かりました」

 と、言ったが私はもう何にするか決めていた。

「それでは私は部屋に戻りますね」
「何かあったら、言ってくれよ」
「はい」

 それからは、明日家を出るための準備をしながら一日を潰した。
 朝、私はスッキリと起きる事ができた。

「神殿か、楽しみだ」
「起きて、ますか。着替えをします」
「分かった」

 着替えを済ませ、朝食を食べた私は馬車に乗り込んだ。

「あれって、公爵様の馬車だよな」
「そうよ。レイク様が今日誕生日で、今から神殿に行くんじゃ無いかしら?」
「一体、レイク様はどんな職業になるのか楽しみだよな」
「着いたぞ。ここが神殿だ」

 私は、何千回目かの神殿に来た。

「お待ちしておりました、レイク様。さ、こちらへ」
「楽しみにしているぞ」
「私も楽しみにしているわ」
「はい」

 奥の部屋に私だけが通された。中にあるのは、女神の像1つだけだった。それの前に跪き、祈りを捧げた。すると、目の前が青く光り声が聞こえた。

『お前の名はレイクか。職業は、な、んだ、これは。ありえない。っは! お前の職業は【攻略者】だ』

 女神様は、何かに驚いていたが、攻略者に職業が決まった。
 私は、そのまま部屋を出た。部屋を出ると右側にある部屋に案内された。

「ここに、レイク様のご両親がいます」
「分かった」

 ドアをノックして、中に入ると父上と母上がそわそわとした感じで待っていた。

「お待たせしました」
「どうだった?」
「上手くいきました。職業は【攻略者】のようです」
「攻略者? 聞いたことない職業だな」
「はい」
「レイクは、この職業を聞いて何の職業に就きたいか決めたのか?」
「もう決めてあります。私は、『ダンジョン攻略者』になろうと思います」

 私の言葉に、父上と母上は困った顔をしている。

「レイクは、その職業に就くということは、公爵家から離れるということだぞ」
「レイク、本当にいいの?」
「はい! 覚悟の上です」
「そうか。わかった。だが、ダンジョン攻略者になるのは、15歳からだ。それまでは、うちで鍛錬するなり、ゆっくりするんだぞ」
「はい! ありがとうございます」

 それから10年後。私は15歳になった。

「今日で、レイクは旅立ちか」
「はい。今までお世話になりました。この御恩は、必ず返します」
「うむ。待っておるぞ。外では、レイクだけで名乗るんだぞ。いざというとき、こっちに帰ってくるときは、家名を名乗るんだぞ」

 父上と母上は、私が、どうやったら家名を捨てずに【ダンジョン攻略者】になれるかを探してくれたのだ。

「レイク。風邪ひかないでね。ちゃんと3食毎日食べるんだよ」
「分かってます。母上」
「それと、ダンジョンは危険なところだ。何が待ち受けているか分からない。周りを見て、状況判断をきちんと行うんだ。レイクの強さなら大丈夫だと思うが、慢心はいかんぞ」
「月一で手紙頂戴ね」
「分かってます」

 私は、父上と母上と別れの挨拶を済ませて家を出ようとした。

「あれ、みんななにしてるの?」
「……ルル」

 ルルは、この間神殿に行ったばかりの5歳。私の妹だ。ルルは、生まれてからずっと私の後ろについてくる、可愛い妹だ。それゆえに、別れの挨拶ができなかった。

「おにいさま。どこに、でかけるんですか?」
「えっと、ちょっとな」

 私のその曖昧な回答に父上と母上は、小さなため息をついていた。

「いいかい、ルル。お兄ちゃんは、この家を出て仕事をしに行くんだ」
「え、では、もうあえないんですか?」

 ルルは、目に涙を浮かべて、聞いてきた。罪悪感を感じながら答えた。

「いや、ルルがこれからいっぱい頑張ったら、お兄ちゃんに会えるよ」
「いっぱいがんばったら、またあえる?」
「ああ、会えるよ」
「なら、わたしがんばる。がんばって、おにいさまにあいにいく」

 そして、妹とも別れ、家を出た。父上と母上。そして、妹のルルは私が見えなくなるまで手を振り続けていてくれた。

「よし。先ずはダンジョンギルド作成所に行かないとな。あと、一人称は俺に変えておかないとな」

 そして俺は、ここから一番近いダンジョンに向かって歩き出した。
ーーーーー
章ずつ投稿して行こうと思ってます。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。 でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。 本編完結済みです。時々番外編を追加します。

あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。

▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ...... どうしようΣ( ̄□ ̄;) とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!! R指定は念のためです。 マイペースに更新していきます。

オタクおばさん転生する

ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。 天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。 投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う

ひなクラゲ
ファンタジー
 ここは乙女ゲームの世界  悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…  主人公と王子の幸せそうな笑顔で…  でも転生者であるモブは思う  きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

チートな幼女に転生しました。【本編完結済み】

Nau
恋愛
道路に飛び出した子供を庇って死んだ北野優子。 でもその庇った子が結構すごい女神が転生した姿だった?! 感謝を込めて別世界で転生することに! めちゃくちゃ感謝されて…出来上がった新しい私もしかして規格外? しかも学園に通うことになって行ってみたら、女嫌いの公爵家嫡男に気に入られて?! どうなる?私の人生! ※R15は保険です。 ※しれっと改正することがあります。

せっかく転生したのに得たスキルは「料理」と「空間厨房」。どちらも外れだそうですが、私は今も生きています。

リーゼロッタ
ファンタジー
享年、30歳。どこにでもいるしがないOLのミライは、学校の成績も平凡、社内成績も平凡。 そんな彼女は、予告なしに突っ込んできた車によって死亡。 そして予告なしに転生。 ついた先は、料理レベルが低すぎるルネイモンド大陸にある「光の森」。 そしてやって来た謎の獣人によってわけの分からん事を言われ、、、 赤い鳥を仲間にし、、、 冒険系ゲームの世界につきもののスキルは外れだった!? スキルが何でも料理に没頭します! 超・謎の世界観とイタリア語由来の名前・品名が特徴です。 合成語多いかも 話の単位は「食」 3月18日 投稿(一食目、二食目) 3月19日 え?なんかこっちのほうが24h.ポイントが多い、、、まあ嬉しいです!

処理中です...