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海の王 ポセイドン

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 海から現れたのは槍を持ち、水色の髭を生やし、人魚の様な足のおじさんが姿を現した。

「お前達。ここが、何処か分かっているのか?」
「……は、はい」
「そうか。分かった上でここに入って来たのか。この、王の住処に!!」

 その声で、海が荒れ風が吹き荒れる。

「そんな奴らには……死がお似合いだ」

 そして、大きな津波が僕たちが乗っている船を飲み込んだ。

 かと、思われた。その瞬間にクロが動いた。

「我がいる船を沈没させる気か?」

 クロが、威圧するとその津波が船を避けて海に戻った。

「うぉっ!」

 それでも、左右から来る津波が船を大きく揺らす。

「ご主人よ。我の背中に」
「う、うん」

 クロの背中に飛び乗りそいつを見据える。

「な、何故貴方がその船にいる!?」
「この船に、我のご主人がいるんだよ。ポセイドン」
「なっ!? 神聖な聖獣の貴方が1人の人間に仕えるだと!?」
「そんなお前は、未だに人を殺して楽しんでいるのか? つまらない奴だ」
「うるさい!!」

 ポセイドンが、持っている槍を掲げるとそこに雷が落ちて来た。

「人間に仕える、聖獣。滑稽だな。お前も一緒に死んでしまえ!!」

 雷を纏った槍を海に向かって突っ込む。そして、海を伝って雷が船の船体にダメージを与える。

「もっとだ!!」

 さらに槍を掲げると、さっきよりも強い雷が降ってくる。

「ご主人」
「うん。強化Lv.3」

 その瞬間。景色が一変しまくった。自分が一体何処にいるのか分からなくなっている。

「うおっ! 止まった。ん?」
「さぁ、ここなら存分に戦えるだろ?」
「……!!! 一体何をした!?」
「ただ、移動しただけだぞ?」
「ただ、移動しただけで、一瞬で景色が変わるものか!?」
「ははは」

 クロが、誤魔化すような下手くそな笑い声を上げていた。

「バカにしやがって!! いいだろう。本気で相手してやろう」
「すまんな。もう、相手ではない」
「は?」

 クロは、水上を歩いていく。

「海の王であるこの俺に、海で勝負して勝つ気とは、お前もバカになったな」
「よく、そんな事を言えるな? 滑稽だぞ?」
「っ!? 貴様、本気で死にたいようだな」
「ま、やれば分かるだろ? 何処からでも掛かって来い」

 ポセイドンは水と雷を操るとても厄介で、人間からしたら神に等しい存在でもある。
 そして、そんなポセイドンと聖獣のフェンリル、クロの勝負が幕を開けた。
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