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強引

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 海の街カイガランスは、漁で栄えた街だ。

「磯の香りが良いなぁ」
「君たち、この街は初めてか?」
「はい。そうですが……」

 話しかけて来たのは、1人のおじさんだった。

「貴方は?」
「私は、この街で漁師をやってるケダンだ。よろしく」
「あ、よろしくお願いします」
「にしても、君も凄い変な仲間を持ってるんだな」

 そっか、僕はもうずっとこの仲間たちと一緒に居るけど、他の人たちから見たら獣揃いの変な奴って見えるのか。

「そうですか? 僕は慣れちゃいましたけど……」
「ははは! 君面白いな。よし、君この街に来てまだ宿屋とか見つけてないだろ? 私の家に来なさい!」
「……え? な、なんで?」
「なんでって、気に入ったからさ! さ、行くぞ!」
「え、ちょっ、待っ!!」

 僕の手を握ってドシドシと歩いて行く。

「ご主人」
「どうした?」
「悪い奴じゃ無いから、付いていって良いと思うぞ」

 お? クロがそんな事を言うなんて珍しい。

「そうか。分かった」

 そのまま、僕は通信スキルでクロ達と話しながら連れられて行く。

「おーい! 居るかー? お客を連れて来たぞ!」

 ドアを開けて、家の中に向かって大声をあげた。

「うるさいなぁ」

 めんどくさそうに、頭をかきながら出て来たのは、1人の女性だった。

「おう! ただいま! お客だぞ」
「……は? お前がお客を連れてきただぁ? バカな事を言うんじゃ無いよ。どうせ、無理矢理連れて来たんだろ? なぁ?」
「あ、はは、ははは」
「ほらぁ。乾いた笑いだよ。全くお前は……」

 そう言って、僕の目の前にやって来た。

「悪かったね。お詫びに、今日の朝に取れた魚を捌いてやるから、そこに座って待ってな」

 有無を言わさずに、女性はキッチンに向かった。

「ほれ、そこに座ってろ。君たちも、ゆっくりして行ってくれ」
「わ、分かりました」

 言われた通りに座り、机を挟んで向かい側にケダンさんが座った。

「そうだ。君の名前を聞いてなかったな。なんて名前だ?」
「あ、はい。僕はイサミって言います。この猫がクロで、こっちのもふもふの塊がモフラで、そっちのシルバーウルフがルルで、こっちの九尾がウミって言います。みんな、僕の家族です」
「そうか。みんな、よろしくな!」

 それから、ケダンさんの漁での楽しかった事とか、怖かった話を聞きながら、魚を待っていた。
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