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ウミの家庭教師

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 妾は今、王妃様の娘の家庭教師をやっている。

「まずは、何から教えたら良いんだ?」
「そうね。魔法と護身術程度の剣と短剣の使い方。それと、出来れば勉強もお願いしたいわ」
「うむ。分かった。では、一度ご主人に話をしてくる」
「分かったわ。あ、報酬は弾むわよ」
「はは、楽しみにしてるぞ」

 妾は久し振りにご主人のいる宿屋に帰った。

「た、ただいま」

 部屋の扉を開けると、ご主人達が寝ていた。

「うわっ、羨ましい」

 妾は、その光景に我慢出来ずに一緒に横になった。

「はぁ、久しぶりのご主人の匂いだ」

 ご主人の匂いを近くで堪能していると、すぐ側から声が聞こえた。

「お帰り」
「っ!? ご主人。……起きてたのか……聞いてた?」
「えっとー、うん、まぁ」
「///恥ずかしい!」

 尻尾で顔を隠すと、ご主人達が笑い出した。

「なっ!? みんな起きてたのか!?」
「まぁね」
「ご主人、良い匂い!」
「可愛かったよ。ウミ」
「うー、お姉ちゃんまでそんな事言わないでよ」

 みんなでひとしきり笑いあった。

「そうだ。帰ってきていきなりだけど、明日から王宮に泊まりきりで王妃様の娘の家庭教師を請け負う事になった。報酬は弾むらしい」
「あー、そうなんだ。分かった。楽しんで来てね」
「うむ。終わったらすぐに帰ってくるからな。今日は、一緒に寝てくれないか?」
「まったく、可愛いな。良いよ。一緒に寝ようか」

 その日の夜は、妾の尻尾をご主人が抱き枕にして寝ていた。

「……ご主人」

 妾は、ご主人のサラサラした髪を撫でてやると、嬉しそうにご主人は、はにかんでいた。

「これからも、よろしくね。ご主人」

 次の日から妾は、王宮に住み着いた。

「良いか? 魔法はイメージで放つ事が出来る。それは分かってるな?」
「はい。分かってます」
「それじゃ、君の一番適性の高い魔法を出して見なさい」
「は、はい」

 その娘の周りに水が現れた。

「おー、流石王家の娘だね。こんなに強い適性は中々無いぞ」
「どうかな?」
「うん。流石だぞ! それじゃ、次は一番苦手な魔法をやってみて」
「……は、はい」

 そして、その娘の目の前に、ちっちゃい炎がちょこっと生まれた。

「なるほどな。これで、適性が全部5/5か」

 この娘の魔法適性が全て5/5なのだ。それを見たときは驚いたが、王家の一族という事で自分を納得させた。

「それで、これを全部の魔法を同じ程度の威力で出せるように、か。これは、大変だぞー」

 そして、今日からウミの家庭教師生活が幕を開けた。
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