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レイさんの美貌
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リュクスと喧嘩別れをし、僕たちはエルフの民たちの護衛任務を終えた。
「それでは、お主たち、旅の結果が良いものであることを願う」
「ありがとうございます、リルーゼさん」
「そんな堅苦しい名で呼ぶでない。リゼと呼んでくれていいぞ」
「分かりました。リゼさん、旅が終わったらまた会いに来ますね」
「うむ、その時は快く歓迎しよう。おっと、そろそろ行かないと、老人たちが騒ぎ始めてしまう。ではな!」
手を振りながらリゼさんは後ろに下がっていくと、一定の場所に辿り着くと姿が消えた。
リゼさんが作った結界の中に入ったのだろう。
「それじゃ、次は何処に行こうか。カリーナ、『収納』からあの本出してくれない?」
「うん、えっと、これだね」
メッツァルさんから、院長が持ってきた本には三つ目の遺跡の場所が書いてあった。
「えっと、今いる大陸の名前が「プレルンクエ」だから、次の目的地は「フォーティス」だな。リュクスはそれで……いないんだったな。ごめん、みんなはそれでいい?」
全員からの承諾を得て僕たちは歩き出した。
「「フォーティス」ってこの大陸とは別の大陸ですよね。確か、獣人族が住処としている場所がある大陸ですよね?」
「私も聞いたことがあります。確か、海を渡る場所にあるとか」
「え!? ってことは、私たち船に乗れるの?」
3人は嬉しそうに、海や船について話していた。
いつもなら、こういったタイミングでリュクスと話すのだが、今はいないことをついつい忘れてしまう。
「それじゃ、海に向かって出発するか」
そうは言っても、僕たちは海が何処にあるのか分からない。
近くの村や町を目指すことにした。
幸いなことに1日歩いた場所に町があった。
「身分証の提示をお願いします」
門番に身分証を見せて、中に入ろうとした時レイさんが止められた。
「申し訳ない。身分証が無いと中には入れないんだ」
「この後、冒険者ギルドに登録しようと思ってたんですけど、ダメですか?」
「それなら、問題ないが、ギルドカードを作り終えたらもう一度この門を尋ねてくれ。だが、この国ではそれで通ってもほかの国だと、そうもいかないからやっぱり作っておくほうが良い、役所にも行っておけよ」
「分かりました」
「それじゃ、頼んだぞ」
その町に入ると、住民たちからの視線が凄いことに気が付いた。
注目の的はもちろんレイさんだ。
殆ど見ることの出来ないエルフであり、絶世の美女であるレイさんは男であれば3度見や見惚れて目で追い続ける。女性であっても、嫉妬なんてするほど無駄だと思うほどだ。
そんな女性が自分たちの町に現れたら目で追ってしまうのはしょうがない。
それからも、視線に耐えながらギルドに向かった。
ギルドに入ると、いつも通り迎え入れてくれた。
「いらっしゃいませー。本日はどの様な用件でしょうか?」
「こっちの人のギルドカードを作りたいんですけど」
「はーい、わか……り……まし……た……」
そう言って、受付嬢の女性は固まってしまった。
レイさんに見惚れてしまっている。
「フォレスは、あれにはならないよね?」
その光景を見ていたカリーナが物凄い威圧感で僕に問いかけてくる。
「大丈夫だよ。だって、レイさんよりも可愛い人をずっと傍で見て来たんだから」
「そ、それって……」
「コホン、受付嬢さん~!」
レイさんに見惚れている受付嬢さんの目の前で、手を振ってみても何の反応も示さない。
どうしようかと悩んでいると、他の受付嬢が走ってきてレイさんに見惚れている受付嬢の頭を殴った。
「馬鹿! 何やってるのよ」
「せ、先輩、見てくださいよ」
「え? なに……を……え?」
そして、新たに来た受付嬢もレイさんに見惚れてしまった。
ループって怖いよね。
このギルドはレイさんに美貌に全滅してしまった。
門番の前ではフードを被っていて顔が全部見えていなかった。けれど、ギルドへの登録という事もあってフードを脱いでいたのだ。それが、仇になってしまった。
このギルドは全滅してしまったので、翌日再びギルドに戻ってきた。
前日のことがあったので町中で狐型のお面を買ってレイさんに付けてもらった。
ギルドに着くと受付嬢全員から頭を下げられた。
「昨日は、申し訳ございませんでした!」
「皆様、気にしなでください。私も、まさかあんなことになるなんて思いもしなかったので、私にも落ち度はあります。なので、これからはこの仮面を付けながらで失礼しますね」
この仮面のお陰でレイさんのギルド登録が滞りなく進むことが出来た。
が、仮面のレイさんを見た受付嬢は物凄く落ち込んでいた。
本当に良かったと思う。あの時、ギルドに受付嬢以外の人がいなかったことを……。
「それでは、お主たち、旅の結果が良いものであることを願う」
「ありがとうございます、リルーゼさん」
「そんな堅苦しい名で呼ぶでない。リゼと呼んでくれていいぞ」
「分かりました。リゼさん、旅が終わったらまた会いに来ますね」
「うむ、その時は快く歓迎しよう。おっと、そろそろ行かないと、老人たちが騒ぎ始めてしまう。ではな!」
手を振りながらリゼさんは後ろに下がっていくと、一定の場所に辿り着くと姿が消えた。
リゼさんが作った結界の中に入ったのだろう。
「それじゃ、次は何処に行こうか。カリーナ、『収納』からあの本出してくれない?」
「うん、えっと、これだね」
メッツァルさんから、院長が持ってきた本には三つ目の遺跡の場所が書いてあった。
「えっと、今いる大陸の名前が「プレルンクエ」だから、次の目的地は「フォーティス」だな。リュクスはそれで……いないんだったな。ごめん、みんなはそれでいい?」
全員からの承諾を得て僕たちは歩き出した。
「「フォーティス」ってこの大陸とは別の大陸ですよね。確か、獣人族が住処としている場所がある大陸ですよね?」
「私も聞いたことがあります。確か、海を渡る場所にあるとか」
「え!? ってことは、私たち船に乗れるの?」
3人は嬉しそうに、海や船について話していた。
いつもなら、こういったタイミングでリュクスと話すのだが、今はいないことをついつい忘れてしまう。
「それじゃ、海に向かって出発するか」
そうは言っても、僕たちは海が何処にあるのか分からない。
近くの村や町を目指すことにした。
幸いなことに1日歩いた場所に町があった。
「身分証の提示をお願いします」
門番に身分証を見せて、中に入ろうとした時レイさんが止められた。
「申し訳ない。身分証が無いと中には入れないんだ」
「この後、冒険者ギルドに登録しようと思ってたんですけど、ダメですか?」
「それなら、問題ないが、ギルドカードを作り終えたらもう一度この門を尋ねてくれ。だが、この国ではそれで通ってもほかの国だと、そうもいかないからやっぱり作っておくほうが良い、役所にも行っておけよ」
「分かりました」
「それじゃ、頼んだぞ」
その町に入ると、住民たちからの視線が凄いことに気が付いた。
注目の的はもちろんレイさんだ。
殆ど見ることの出来ないエルフであり、絶世の美女であるレイさんは男であれば3度見や見惚れて目で追い続ける。女性であっても、嫉妬なんてするほど無駄だと思うほどだ。
そんな女性が自分たちの町に現れたら目で追ってしまうのはしょうがない。
それからも、視線に耐えながらギルドに向かった。
ギルドに入ると、いつも通り迎え入れてくれた。
「いらっしゃいませー。本日はどの様な用件でしょうか?」
「こっちの人のギルドカードを作りたいんですけど」
「はーい、わか……り……まし……た……」
そう言って、受付嬢の女性は固まってしまった。
レイさんに見惚れてしまっている。
「フォレスは、あれにはならないよね?」
その光景を見ていたカリーナが物凄い威圧感で僕に問いかけてくる。
「大丈夫だよ。だって、レイさんよりも可愛い人をずっと傍で見て来たんだから」
「そ、それって……」
「コホン、受付嬢さん~!」
レイさんに見惚れている受付嬢さんの目の前で、手を振ってみても何の反応も示さない。
どうしようかと悩んでいると、他の受付嬢が走ってきてレイさんに見惚れている受付嬢の頭を殴った。
「馬鹿! 何やってるのよ」
「せ、先輩、見てくださいよ」
「え? なに……を……え?」
そして、新たに来た受付嬢もレイさんに見惚れてしまった。
ループって怖いよね。
このギルドはレイさんに美貌に全滅してしまった。
門番の前ではフードを被っていて顔が全部見えていなかった。けれど、ギルドへの登録という事もあってフードを脱いでいたのだ。それが、仇になってしまった。
このギルドは全滅してしまったので、翌日再びギルドに戻ってきた。
前日のことがあったので町中で狐型のお面を買ってレイさんに付けてもらった。
ギルドに着くと受付嬢全員から頭を下げられた。
「昨日は、申し訳ございませんでした!」
「皆様、気にしなでください。私も、まさかあんなことになるなんて思いもしなかったので、私にも落ち度はあります。なので、これからはこの仮面を付けながらで失礼しますね」
この仮面のお陰でレイさんのギルド登録が滞りなく進むことが出来た。
が、仮面のレイさんを見た受付嬢は物凄く落ち込んでいた。
本当に良かったと思う。あの時、ギルドに受付嬢以外の人がいなかったことを……。
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