上 下
17 / 147

夢?

しおりを挟む
 フォレスが何かの魔法を使い倒れてしまった。

「カリーナ。テントとマット出して。フォレスを寝かせるよう」
「……」
「カリーナ?」
「……え、あ、う、うん。分かった」

 『収納』からテントとマットを取り出してフォレスを寝かせた。横に寝かせると綺麗な寝息が聞こえたので一安心だ。

「にしても、あの穴はなんだ? 一体どんな魔法を使ったんだ?」
「フォレスが倒れたのってこの魔法が原因だよね」
「だろうな。まさか、フォレスの魔力の多さで魔力枯渇で気絶するとは、恐ろしい魔法だな」

 その日の夜。フォレスが起きてテントを出ると見たことの無い景色に一変していた。

「……えっと、なにこの状況?」

 フォレスが起きてまず見た光景が酷かった。テント以外の地面と言う地面が消えて無くなっていた。

「なんだよ……これ……リュクス!!!! カリーナ!!! 何処だよ!!! おーーーーい!!!! 誰か、誰か!!!!」

 フォレスの必死の叫び声は虚空に消えて行く。
 地面を見ても底には何も見えない。空を見上げても星一つ見えなかった。

「……もしこれをリュクスとカリーナがやってたら……早く行かないと!!!」

 そして、魔力を脚に集中させて一歩踏み出そうとした時、テントが消えて空中に放り出されてしまった。
 僕は、勢いよく起き上がった。

「っ!?!? はぁ、はぁ、今のは……なんなんだ?」
「フォレス大丈夫か?」
「……リュクス……良かった……」
「??? ほら、これで汗拭きな」
「あ、あぁ、ありがとう」

 リュクスにタオルを渡されて、全身から汗がダラダラと出ている事に気付いた。

「嫌な夢を見た。ちょっと汗流してくる」
「……俺も行く」
「1人でも大丈夫だよ」
「今はもう夜だし。汗流してる間に魔物に襲われたらどうするだよ。それに、魔力枯渇で気絶したんだ、まだ魔力も回復してないだろ。……心配だ」

 最後の方は声が小さ過ぎで聞き取れなかったが、確かに魔力が無いからなのか身体が少し怠い。

「ありがとう。それじゃ行こうか」

 汗を流しに川に着いて汗を流していると、案の定魔物が襲ってきた。

「任せろ」

 そう言ってリュクスは魔物に素早く接近して触れた瞬間。魔物は崩れるようにして倒れてしまった。

「これで、今日のご飯は決まりだな」
「え? 何したの?」
「うーん、フォレスならいいかな。今のはこの魔物の骨を内側から粉々に砕いたんだよ」
「その魔法!!! 魔物以外には使うなよ!!!」
「え? わ、分かった」

 そんな魔法。使われた人の事を考えるだけで体が震える。武者震いじゃなくて悪寒でだよ。

「体拭き終わったから戻ろうか」
「おう」

 そして、テントがあった場所に戻ると魔物に囲まれたテントが一つ見えた。

「え、何あれ?」
「分かんない。けど、襲われては無いんだよね」
「うん。助けようか」
「だな」

 僕とリュクスで魔物を追い払い終わると、テントから目を擦ったカリーナが出てきた。

「もう何? うるさいよ」
「え、えぇ? 今まで、すやすや寝てたのか……」
「あれ? フォレス起きたの?」
「う、うん」
「!? 大丈夫!?!? 怪我とか、体の怠さとかもう無い!?!?」

 カリーナは僕の上裸の体をベタベタ触りながら聞いてきた。

「大丈夫だよ。だから、ね? そんなに触らないで」
「え、あぁ!? ご、ごめんね」
「…………あの、いつ離れて……くれるの?」
「えへ、えへ、、えへへ」
「あ、聞いてねぇ」

 謝りながらもその手は僕の腹筋をずっと触っている。
 カリーナって筋肉フェチ?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

【完結】婚約者も求愛者もお断り!欲しいのは貴方の音色だけ

一茅苑呼
ファンタジー
【音楽✕身分違い✕現代風ファンタジー】 ── 主な登場人物 ── *猫山 未優 「あたしが“歌姫”としてやっていくなら、 あなた以外の“奏者”は考えられない」 主人公。『山猫族』の“純血種”。 よく言えば素直、悪く言うと単純。 *犬飼 留加 「君のために弾こう。これから先何度でも。 ……弾かせてくれ」 『犬族』の“混血種”でヴァイオリニスト。 生真面目で融通がきかない。 *猫山 慧一 「緊張するなとは言わんが、人前で 不細工なツラをさらすのは、やめろ」 『山猫族』の“純血種”。 未優の婚約者でお目付け役のような存在。 *虎坂 薫 「異なる“種族”の恋愛は、タブーだって? 誰が決めたの? 世間一般の常識ってヤツ?」 『虎族』の“純血種”。物腰は柔らかだが 強引なところがあり、未優を困らせる存在。 *虎坂 響子 「ハッキリ言うよ。あんたはまともなやり方じゃ “歌姫”になれないんだ」 『虎族』の“混血種”。 強かで誰に対しても容赦なし。 *シェリー 「可愛いって言ってもらえて嬉しいわ。私もこの耳、 自分のチャームポイントだと思ってるから」 “異種族間子”の女性。 『王女』の“地位”にある“歌姫”。 ※他サイトでも掲載中。原題『山猫は歌姫をめざす』。 アルファポリスさんのみタイトル変更しました。 ※※※表紙画像はAIイラストです※※※

病弱幼女は最強少女だった

如月花恋
ファンタジー
私は結菜(ゆいな) 一応…9歳なんだけど… 身長が全く伸びないっ!! 自分より年下の子に抜かされた!! ふぇぇん 私の身長伸びてよ~

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

世界樹の森でちび神獣たちのお世話係はじめました

カナデ
ファンタジー
 仕事へ向かう通勤列車の事故であっさりと死んだ俺、斎藤樹。享年三十二歳。  まあ、死んでしまったものは仕方がない。  そう思いつつ、真っ暗い空間を魂のままフラフラ漂っていると、世界の管理官を名乗る神族が現れた。  そこで説明されたことによると、なんだか俺は、元々異世界の魂だったらしい。  どうやら地球の人口が多くなりすぎて、不足する魂を他の異世界から吸い取っていたらしい。  そう言われても魂のことなぞ、一市民の俺が知る訳ないが、どうやら俺は転生の待機列からも転がり落ちたそうで、元々の魂の世界の輪廻へ戻され、そこで転生することになるらしい。  そんな説明を受け、さあ、じゃあ元の世界の輪廻へ移行する、となった時、また俺は管理官の手から転がり落ちてしまった。  そうして落ちたのは、異世界の中心、神獣やら幻獣やらドラゴンやら、最強種が集まる深い森の中で。  何故か神獣フェニックスに子供を投げ渡された。  え?育てろって?どうやって?っていうか、親の貴方がいるのに、何故俺が?  魂の状態で落ちたはずなのに、姿は前世の時のまま。そして教えられたステータスはとんでもないもので。    気づくと神獣・幻獣たちが子育てのチャンス!とばかりに寄って来て……。  これから俺は、どうなるんだろうか? * 最初は毎日更新しますが、その後の更新は不定期になる予定です * * R15は保険ですが、戦闘というか流血表現がありますのでご注意下さい               (主人公による戦闘はありません。ほのぼの日常です) * 見切り発車で連載開始しましたので、生暖かい目に見守ってくれるとうれしいです。 どうぞよろしくお願いします<(_ _)> 7/18 HOT10位→5位 !! ありがとうございます! 7/19 HOT4位→2位 !! お気に入り 2000 ありがとうございます!  7/20 HOT2位 !! 7/21 お気に入り 3000 ありがとうございます!

異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。

星の国のマジシャン
ファンタジー
 引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。  そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。  本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。  この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!

救助者ギルドから追放された俺は、ハズレだと思われていたスキル【思念収集】でやり返す

名無し
ファンタジー
 アセンドラの都で暮らす少年テッドは救助者ギルドに在籍しており、【思念収集】というスキルによって、ダンジョンで亡くなった冒険者の最期の思いを遺族に伝える仕事をしていた。  だが、ある日思わぬ冤罪をかけられ、幼馴染で親友だったはずのギルド長ライルによって除名を言い渡された挙句、最凶最悪と言われる異次元の監獄へと送り込まれてしまう。  それでも、幼馴染の少女シェリアとの面会をきっかけに、ハズレ認定されていた【思念収集】のスキルが本領を発揮する。喧嘩で最も強い者がここから出られることを知ったテッドは、最強の囚人王を目指すとともに、自分を陥れた者たちへの復讐を誓うのであった……。

せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー

ジミー凌我
ファンタジー
 日夜仕事に追われ続ける日常を毎日毎日繰り返していた。  仕事仕事の毎日、明日も明後日も仕事を積みたくないと生き急いでいた。  そんな俺はいつしか過労で倒れてしまった。  そのまま死んだ俺は、異世界に転生していた。  忙しすぎてうわさでしか聞いたことがないが、これが異世界転生というものなのだろう。  生き急いで死んでしまったんだ。俺はこの世界ではゆっくりと生きていきたいと思った。  ただ、この世界にはモンスターも魔王もいるみたい。 この世界で最初に出会ったクレハという女の子は、細かいことは気にしない自由奔放な可愛らしい子で、俺を助けてくれた。 冒険者としてゆったり生計を立てていこうと思ったら、以外と儲かる仕事だったからこれは楽な人生が始まると思った矢先。 なぜか2日目にして魔王軍の侵略に遭遇し…。

処理中です...