異世界転生者〜バケモノ級ダンジョンの攻略〜

海月 結城

文字の大きさ
上 下
39 / 39

……

しおりを挟む
 私たちが帰って来たことは町のみんなにすぐに伝わった。ダンジョンの門番が通信の魔道具でギルドに伝え、それが冒険者に伝わり、それが住民たちに伝わっていったのだ。その為、ダンジョンから出てきたカレンは、パレードの真ん中を歩いている感じになっていた。

「カレーン!! お帰りー!!」
「もう、大きくなっちゃって!!」

 などなど、いろんな言葉がカレンの頭の上を行き交っていた。

「みんなー!!! ただいまーー!!!」

 それに私は手を振って応えていた。

「みんなカレンのことが好きなんだね」
「ねぇ、私はこの姿のままでいいの?」
「いいのいいの、ヒューが大きくなっちゃったらみんな怖がっちゃうでしょう。それに、私の頭の上に乗れないよ?」
「怖がれるのは良いけど、カレンの頭の上に乗れないのは、嫌だ」

 それから数十分後にやっとギルドについた。

「ただいまー!!」
「「「「うぉーー!!!」」」」

 歓迎の仕方が独特な冒険者たちを無視して、受付に向かった。

「クルーズさん居ますか?」
「クルーズさんは、もう……」
「え? そんな、クルーズさん死ん……」
「待て待て待て!! 何勝手に殺してるんだよ!!」
「ちっ!」
「おい、お前は後で覚えてろよ。さて、久しぶりだなカレン」
「はい。お久しぶりです」
「お前のことだ、色々あったんだろ? 話を聞くから上に来てくれ」
「いえ、ここでお願いします」

 クルーズさんは、私の暗い面持ちを見て、その場に留まった。

「分かった。話せ」
「はい。実は……」

 そこで私は以下のことを話した。

・ダンジョンは百層ではない。
・百一層目に入る時にどこか分からない島に飛ばされる
・そこから戻るのに七年掛かった

「まじか。あのダンジョンはそんなに深かったか」
「証拠もありますよ」
「いや、出さんでくれ、怖い」
「そうですよね。では、これはまたいずれ出すことにしますね」
「そうしてくれ。で、お前たちはもっと下に行くのか?」
「もちろんです。だって、あれを攻略しないと実家に帰れないんですから」
「そうだったな。で、いつから?」

 そこで私は少し考え、こういった。

「明日からで」
「へ?」

 まさか、明日からなんて言われるとは思わなかったクルーズさんは、変な声を出してしまった。

「まぁ、嘘ですが。単に驚かせてみたかっただけ」
「はぁ、お前ってやつは、まぁ、今日、明日はちゃんと休んでから、ダンジョンに挑んでくれ」
「はーい」

 そして、三人で帰ろうとした時、シャルに声がかかった。もちろん、クルーズさんだ。

「なぁ、シャル」
「はい?」
「戻って来ないのか?」
「残念ながら、私はカレンの仲間ですから、そっちには戻れません」
「そうか。しょうがないか。頑張れよ」
「はい!」

 その後カレンたちは、四百年かけてダンジョンを攻略した。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

2回目の人生は異世界で

黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

処理中です...