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女神様?

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「あいつ、三股もかけてたのよ! 本っ当に、信じらんない!!」

 カレンは缶ビールをゴクゴクと飲むと、プハーッと豪快に息を吐いた。
 今日はBBQのやり直しだ。

「こうなったら、さっさと次の人を見つけて、幸せになってやるぅうーーーっ!!!」

 カレンは、いつもの箱庭で力強い雄叫びをあげた。

 ピーちゃんがその声にびっくりして、バサバサッと飛び立っていった。

「あたしにも、この魅惑のFカップがあれば……」

 カレンは据わった目で、ジロジロと私の胸を見てきた。

 でも、カレンは凛々しい感じの美人だ。モデルさんみたいに背が高くてスラリとしてて、背が低くてぽやんとしてる私とのセットは、いつも周りからは凸凹コンビって言われてる。

 カレンなら、すぐにいい人が見つかりそうなのに。

「むしろ胸にばっかり視線がいっちゃって、『私の価値って胸だけなの?』って逆にこっちが興醒めしちゃうよ? 肩は凝るし、他の所もお肉が付きやすいし」

 私は脇腹のお肉を摘んだ……ゔぅっ、ちょっと成長してない……?
 成長期はもうとっくに過ぎてるはずだよ? 自粛して?

「むぅ……贅沢すぎる悩みよね」

 カレンはむすっと頬を膨らませてそう言うと、やけ食いとばかりに、バクバクとカルビを食べ始めた。


 食後のデザートに焼きりんごを食べていた時、カレンがびっくりして叫んだ。

「へぇ~、最難関ダンジョン・ウルティマが遂に踏破されたんですって!」

 カレンは最近、ダンジョン系のニュースをチェックするようになった。
 私がダンジョンに入るようになってからだ。

 私はただダンジョンを楽しみたいだけだから、そういったことにはあまり興味が無かったけど、「情報は大事よ!」ってカレンにピシャリと言われてしまった。

 ぽやぽやしてる私と違って、カレンって本当にしっかり者なんだよね。

「ダンジョン・ウルティマ、別名『翡翠のセノーテ』の九十九階層には楽園があって、真っ白な四獣に守られた癒しの女神様がいるんですって! 夢があるわね~!」

 カレンがざっとニュース記事をまとめて教えてくれた。

「すごいね! ミュートロギアって、本当におとぎ話の国みたいだよね!」
「ねぇ、見て。この人が単独踏破したんだって。エルフのSランク探索者エルメル・エバーグリーン。結構イケメンじゃない? アリサの好みのタイプでしょ?」
「え~、どんな人? …………えっ!!?」

 私は、カレンのスマホを覗き込んで、びっくりしすぎて固まってしまった——あのエルメルさんだ!

 うそ、ウソ、嘘っ……!?
 もしかして、ダンジョン・ウルティマの女神様って……!!?


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