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新人演習7
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「ああ、もうっ! めちゃくちゃじゃない!!」
エヴァは全身ずぶ濡れの状態で叫んだ。
淡い水色の髪やケープの裾を軽く握って絞り、水を落とすと、怒りに任せてピシッと手で払った。
エヴァは班の全員をその場に正座させると、懇々とお説教を始めた。
一番最後に野営地を出発したレイたちの班は、案の定、近場に魔物を見つけられなかった。
そこでまたフェルが遠くにいる魔物を探索魔術で見つけ、「二日連続でアイスホーンだと飽きてしまうだろうから、今日は別のにしようか?」と、班のメンバー全員を無理矢理に転移させたのだ。
転移先の川辺には、巨大なレッドベアがいた。
急に目の前に敵が現れたレッドベアは、びっくりしていきなり口から炎を吐きつけてきた。
エヴァと見習い騎士たちは、近くにあった川に飛び込んで炎を避けようとしたが、レイが反射的に結界を張ったため、エヴァたちは飛び込み損となった。
あとはレイが影縫いでレッドベアを縛り上げて身動きが取れないようにし、聖騎士アルバンに叱咤激励された見習い騎士たちの攻撃で致命傷を与えた。そして最後に、川からザッパンッと上がって来たエヴァの怒りのかまいたちが、レッドベアに炸裂したのだった。
——そして、エヴァの説教が始まったのである。
「まずフェルさん、班の合意が得られないのに急に転移しないでください! しかも、いきなり魔物の真ん前じゃないですか! 転移してすぐにやられちゃったらどうするんですか!?」
「でも、みんな無事だったよ?」
「口答えしない!!」
「はい……」
しおらしく説教を受けている先代魔王フェリクスに、レイとアルバンは驚愕の表情を向けていた——おそらく、これまでもこれからも、エヴァが先代魔王に説教した唯一の人間となるだろう。
「それから、レイちゃん!」
「はいっ!!」
「結界が張れるなら、先にそう言って! 今回は急だったから言う暇が無かったかもしれないけど、どんな魔術が使えるかで戦略が変わってくるんだからね!」
「……ごめんなさい。以後、気をつけます……」
レイは、しゅんと肩を落として謝った。
「それから、リーダー!」
「はいぃっ!!」
エヴァが、見習い騎士の班のリーダーの方をキッと振り向くと、彼は縮み上がって裏返った声をあげた。
「班員が勝手な行動をしようとしたら、すぐに止める! あなたがこの班の責任者でしょ!? アルバンさんも力がありそうなんだから、フェルさんが暴走しそうになったら、すぐさまリーダーに協力して止めに入ってください!!」
「……はい……面目ない……」
「ええ、承知しました」
エヴァの説教に、リーダーは一回りも二回りも小さくなってか細い声で答え、アルバンは重々しく頷いた。
アルバンはこれで、主人を止める大義名分が手に入ったのである。
「分かったんだったら、今後は……は、ハ、ハクションッ!」
エヴァは大きなくしゃみをすると、ぶるりと身震いをした。
「このままでは風邪を引いてしまうね」
フェリクスは瞬時に、ずぶ濡れだったエヴァと見習い騎士たちの髪や服やブーツを魔術で乾かした。
「……もう、いいわ……野営地に戻りましょうか……」
エヴァはがっくりと肩を落とし、か細い声で呟いた。もはや戦意も喪失したようで、もう説教をする気力もなくなってしまったようだった。
その日の優勝は、立派なレッドベアを提出したレイたちの班だった。
優勝の秘訣を訊かれ、班のリーダーは心底悔しそうに「チームワークの問題です!」と答え、「……え? チームワークの良さじゃなくて、『問題』???」と司会役を困惑させていた。
***
今夜も、黒の塔の魔術師で集まって夕食をとっていた。
エヴァとレイの皿の上にはもちろん、レッドベアの肉が載っていた。
「エヴァ嬢とレイ嬢の班が優勝するとはな、おめでとう。しかもかなり大物のレッドベアだったそうじゃないか」
テオドールが、部下二人を労った。
「もう大変だったんですよ! フェルさんは勝手に転移しちゃうし、レイちゃんが結界を張れることを知らなかったから、レッドベアの炎を避けるために私も騎士たちも川に飛び込んだんですからね!!」
エヴァはそこまで言うと、やけ食い気味にレッドベアの肉にかぶりついた。「何よ、おいしいじゃない!」と目を丸くする。
エヴァの横で、レイはしゅんとしおらしくしながらも、噛めば噛むほど味わい深くなるレッドベアの肉に舌鼓を打っていた。
(……レッドベアのお肉、おいしい……)
レイは無言で、ほくほくと幸せに浸っていた。
「所長とライデッカーは、本日の訓練はいかがでした?」
今度はエヴァが話を振った。
少し不穏な空気を伴って、テオドールとライデッカーは互いに顔を見合わせあった。
「『お客さん』が来たぞ。俺が見かけた奴らは対処したが、他にもいるかもしれないから気を付けてくれ」
ライデッカーはさりげなく防音結界の魔道具を起動させると、話し始めた。
「こんな所に『お客さん』ですか……?」
レイは小首を傾げた。
「レイちゃん。『お客さん』っていうのはね、所長を狙う暗殺者のことよ。時々、黒の塔にも現れるのよ」
「えぇっ!?」
エヴァに説明され、レイは思わず声をあげた。
「暗殺者なんて……そんな……」
レイはショックを受けて、おそるおそるテオドールの様子を伺った。
テオドールは普通に夕食のパンを食べていた。
「幼い頃から命を狙われてきたからな。いつものことだ」
レイの視線を感じてか、テオドールは気遣うような微笑みを浮かべて言った。
(「いつものこと」って……そんなの全っ然普通じゃないし、軽々しく言えるようなことじゃないよ……)
レイは、テオドールを不憫に思って、へにょりと眉を下げた。
レイのあまりにもしょぼんと悲しげに落ち込んだ様子に、テオドールはくすりと小さく笑った。
「エヴァ嬢の話の通り、『客人』は時々塔の方にも現れる。レイ嬢も気をつけてくれ」
「私が気をつけるのはそうなんですが……でも、所長が……」
レイはそこまで言うと、テオドールに何と声をかけていいか分からず、モゴモゴと口を噤んだ。
レイが自分ごとのように悲しげにしている様子に、テオドールはさらに苦笑した。
「そうだよ~。レイちゃんが怪我すると、悲しむ人がいっぱいいるでしょ~? まずは自分の身を守りなね?」
ライデッカーが、レイの落ち込んだ雰囲気を変えようと、明るい調子で話しかけた。
「そうよ~。レイちゃんが大変な目に遭うと、フェルさんがきっと悲しむわよ?」
エヴァも、ライデッカーに合わせる。
「……エヴァ、『フェルさん』ってどんなお方?」
ただ、ライデッカーの方は何かが引っかかったようで、ぎこちなくエヴァの方を振り向いて確認した。
「フェルさんは教会の神官様よ。かなり広範囲の探索魔術と転移魔術を使われるし、相当な術者よ」
エヴァは素直に答えた。
「……瞳の色って、覚えてる?」
「確か……深い黄金色ね。瞳の中で星がキラキラ輝いてて、すごく珍しくて綺麗よ」
エヴァの回答に、ライデッカーは一気に顔面蒼白になった。
「無茶をする所があったから、今日お説教したのよ。ちゃんと班のことも考えて、って」
エヴァはその時のことを思い出したのか、むすっと少し頬を膨らませた。
「エヴァァアアッ! もう二度とっ! 絶対にっ! フェル様にお説教しないでっ!! 一生のお願いっ!!!」
「きゃっ、急に何よっ!」
ライデッカーは血相を変えて、エヴァの腕に縋りついた。
エヴァは急変したライデッカーに驚いて、腕を振りほどこうとした。
テオドールは、ライデッカーの様子に何かを悟ったらしく、完全に表情が固まっていた。
黙々と食事をとるレイの方を振り向くと、「後で話を聞かせてくれないか?」と確認することで精一杯のようだった。
(う~ん、どこまで訊かれるんだろう……?? それに、どこまで答えて大丈夫なんだろう???)
レイは少し不安に思いながらも、部下として、こくりと頷いた。
エヴァは全身ずぶ濡れの状態で叫んだ。
淡い水色の髪やケープの裾を軽く握って絞り、水を落とすと、怒りに任せてピシッと手で払った。
エヴァは班の全員をその場に正座させると、懇々とお説教を始めた。
一番最後に野営地を出発したレイたちの班は、案の定、近場に魔物を見つけられなかった。
そこでまたフェルが遠くにいる魔物を探索魔術で見つけ、「二日連続でアイスホーンだと飽きてしまうだろうから、今日は別のにしようか?」と、班のメンバー全員を無理矢理に転移させたのだ。
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——そして、エヴァの説教が始まったのである。
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「でも、みんな無事だったよ?」
「口答えしない!!」
「はい……」
しおらしく説教を受けている先代魔王フェリクスに、レイとアルバンは驚愕の表情を向けていた——おそらく、これまでもこれからも、エヴァが先代魔王に説教した唯一の人間となるだろう。
「それから、レイちゃん!」
「はいっ!!」
「結界が張れるなら、先にそう言って! 今回は急だったから言う暇が無かったかもしれないけど、どんな魔術が使えるかで戦略が変わってくるんだからね!」
「……ごめんなさい。以後、気をつけます……」
レイは、しゅんと肩を落として謝った。
「それから、リーダー!」
「はいぃっ!!」
エヴァが、見習い騎士の班のリーダーの方をキッと振り向くと、彼は縮み上がって裏返った声をあげた。
「班員が勝手な行動をしようとしたら、すぐに止める! あなたがこの班の責任者でしょ!? アルバンさんも力がありそうなんだから、フェルさんが暴走しそうになったら、すぐさまリーダーに協力して止めに入ってください!!」
「……はい……面目ない……」
「ええ、承知しました」
エヴァの説教に、リーダーは一回りも二回りも小さくなってか細い声で答え、アルバンは重々しく頷いた。
アルバンはこれで、主人を止める大義名分が手に入ったのである。
「分かったんだったら、今後は……は、ハ、ハクションッ!」
エヴァは大きなくしゃみをすると、ぶるりと身震いをした。
「このままでは風邪を引いてしまうね」
フェリクスは瞬時に、ずぶ濡れだったエヴァと見習い騎士たちの髪や服やブーツを魔術で乾かした。
「……もう、いいわ……野営地に戻りましょうか……」
エヴァはがっくりと肩を落とし、か細い声で呟いた。もはや戦意も喪失したようで、もう説教をする気力もなくなってしまったようだった。
その日の優勝は、立派なレッドベアを提出したレイたちの班だった。
優勝の秘訣を訊かれ、班のリーダーは心底悔しそうに「チームワークの問題です!」と答え、「……え? チームワークの良さじゃなくて、『問題』???」と司会役を困惑させていた。
***
今夜も、黒の塔の魔術師で集まって夕食をとっていた。
エヴァとレイの皿の上にはもちろん、レッドベアの肉が載っていた。
「エヴァ嬢とレイ嬢の班が優勝するとはな、おめでとう。しかもかなり大物のレッドベアだったそうじゃないか」
テオドールが、部下二人を労った。
「もう大変だったんですよ! フェルさんは勝手に転移しちゃうし、レイちゃんが結界を張れることを知らなかったから、レッドベアの炎を避けるために私も騎士たちも川に飛び込んだんですからね!!」
エヴァはそこまで言うと、やけ食い気味にレッドベアの肉にかぶりついた。「何よ、おいしいじゃない!」と目を丸くする。
エヴァの横で、レイはしゅんとしおらしくしながらも、噛めば噛むほど味わい深くなるレッドベアの肉に舌鼓を打っていた。
(……レッドベアのお肉、おいしい……)
レイは無言で、ほくほくと幸せに浸っていた。
「所長とライデッカーは、本日の訓練はいかがでした?」
今度はエヴァが話を振った。
少し不穏な空気を伴って、テオドールとライデッカーは互いに顔を見合わせあった。
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ライデッカーはさりげなく防音結界の魔道具を起動させると、話し始めた。
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レイは小首を傾げた。
「レイちゃん。『お客さん』っていうのはね、所長を狙う暗殺者のことよ。時々、黒の塔にも現れるのよ」
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エヴァに説明され、レイは思わず声をあげた。
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レイはショックを受けて、おそるおそるテオドールの様子を伺った。
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「そうよ~。レイちゃんが大変な目に遭うと、フェルさんがきっと悲しむわよ?」
エヴァも、ライデッカーに合わせる。
「……エヴァ、『フェルさん』ってどんなお方?」
ただ、ライデッカーの方は何かが引っかかったようで、ぎこちなくエヴァの方を振り向いて確認した。
「フェルさんは教会の神官様よ。かなり広範囲の探索魔術と転移魔術を使われるし、相当な術者よ」
エヴァは素直に答えた。
「……瞳の色って、覚えてる?」
「確か……深い黄金色ね。瞳の中で星がキラキラ輝いてて、すごく珍しくて綺麗よ」
エヴァの回答に、ライデッカーは一気に顔面蒼白になった。
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「エヴァァアアッ! もう二度とっ! 絶対にっ! フェル様にお説教しないでっ!! 一生のお願いっ!!!」
「きゃっ、急に何よっ!」
ライデッカーは血相を変えて、エヴァの腕に縋りついた。
エヴァは急変したライデッカーに驚いて、腕を振りほどこうとした。
テオドールは、ライデッカーの様子に何かを悟ったらしく、完全に表情が固まっていた。
黙々と食事をとるレイの方を振り向くと、「後で話を聞かせてくれないか?」と確認することで精一杯のようだった。
(う~ん、どこまで訊かれるんだろう……?? それに、どこまで答えて大丈夫なんだろう???)
レイは少し不安に思いながらも、部下として、こくりと頷いた。
13
◆関連作品
『砂漠の詩』
『雨の回廊』編の過去編スピンオフです。
『冒険者を辞めたら天職でした 〜パーティーを追放された凄腕治癒師は、大聖者と崇められる〜』
『冒険者パーティーを追放された凄腕治癒師を拾いました』編のスピンオフです。
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