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水竜王祭1
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「むむっ! 招待状……?」
レイは、目線の位置までそれを掲げ、何度も何度も書かれている文字を見直した。
ハムレットからの、水竜王祭への招待状だ。
『黒の塔への推薦状を書いてあげるから、おいで。せっかくだから一緒に水竜王祭を楽しもう』
レイは、ハムレットの手ものもらしい優美な文字に目を走らせた。
「…………怪しい…………」
「ハムレット様からの招待状か……断るわけにもいかないよね」
ルーファスが心底困ったように眉を下げた。
現在、ルーファスとレイはバレット商会の宿舎のロビーにあるソファに座っていた。
レイに怪しげな招待状が届いたため、ルーファスに相談にのってもらっていたのだ。
「ルーファスが一緒に来るのは……?」
「難しいね……」
レイとルーファスは同時に溜め息を吐いた。宿舎のロビーに、静かに二人の溜め息がこだまする。
光竜のルーファスが、水竜の本拠地である水竜湖に訪れるのはあまり好ましくないのだ。
水竜王にアクアブリッジへの滞在を黙認されているとはいえ、他の竜種が、水竜の営巣地に足を踏み入れることは、喧嘩を売っているようなものだ。
「ルーファス、レイ。アイザックが来ましたよ」
レヴィが、二人に声をかけてきた。
レヴィの後ろには、にこにこと上機嫌そうなアイザックがいた。
「レイ、水竜王祭に行こう! ハムレットに誘われたんでしょ?」
「えっ!? なんでアイザックがそのことを知ってるんですか?」
レイは目を丸くして、アイザックの方を見上げた。
「僕もハムレットに誘われたんだ。レイにも招待状を送ったから一緒においでよ、って」
アイザックは、レイが座っているソファの横に座ると、彼女の耳元に口を寄せた。
「それに、僕もいるからさ、いざとなったらレイを守れるよ?」
(水竜王様からのお誘いは断れないし、アイザックがいた方がまだ安全かも……)
「分かりました。アイザック、よろしくお願いしますね!」
レイがにっこり笑いかけると、アイザックはぽ~っと彼女を見つめた。
「はぁ~。なんてかわいいの! それに、まだ湧水の妖精の祝福がかかったままだね。ハムレットだけじゃなくて、他の水魔物にも気をつけないとね!」
「うっ……まだその祝福が付いてたんですね……」
アイザックの一言に、レイは「水魔力の強い者からモテる祝福」が付いていたことを思い出して、渋い顔をした。
「この手の軽い祝福は、条件を満たしたり、効果を発動させれば消えてなくなるんだけどね。なんでだろうね? まぁ、準備して行こっか?」
アイザックににっこりと手を差し伸べられ、レイは自らの手を載せた。
***
アイザックとレイとレヴィは、トリトン島に向かう遊覧船に乗った。
光竜のルーファスは、バレット商会の宿舎で待機だ。
今日は水竜王祭当日ということもあり、遊覧船には、ピンクや黄色、オレンジや水色など色とりどりの綺麗なドレスで着飾った女の子たちが多く乗っていた。
(水竜王様の目をくらますためとはいえ、羨ましいなぁ~)
レイはちょっぴり寂しそうに、ひらひらとドレスの袖やスカートの裾を靡かせている女の子たちを眺めた。どの子も華やかにヘアアレンジしてアクセサリーで着飾り、かわいらしくメイクをしている。
レイは思わず本日の自分の服装を見て、こっそり肩を落とした。
アクアブリッジの東岸地区の古着屋で買った少年用のシャツとベストとズボンだ。ちゃんと男の子に見えるように、全体的に渋めの色あいだ。
身に付けているアクセサリーも、他の女の子たちのような華やかなものでも流行のものでもなく、フェリクスからもらった指輪と、ニールからもらったバレット商会の紋章が入ったペンダントのみだ。しかもペンダントは服の中にしまっているため、外側からはほぼ見えていない。
(……格好のことはもういいや! お祭りの方を純粋に楽しもう!)
レイは気持ちを切り替えて、お祭りの雰囲気だけでもを楽しもうと、ぐっと顔を上げた。
祭期間中は船がたくさん出るようで、水竜湖の上には、観光客を乗せた船がたくさん浮かんでいた。
みんな目指す場所は一緒で、船の列がトリトン島へと向かっていた。
「いらっしゃい、アイザック、レイ、レヴィ。来てくれて嬉しいよ」
トリトン島の船着場で出迎えてくれたのは、水竜王ハムレットその人だった。
ハムレットは人気者らしく、たくさんの女の子たちに囲まれていた。
「わざわざ出迎えてくれたの? ありがとう!」
アイザックがにっこりと微笑むと、ハムレットの周りを囲っていた女の子たちが、ぽーっとアイザックに見惚れていた。
アイザックも整った冷たい美貌をしているのだ。彼が微笑むと、人を寄せ付けない雰囲気が一気に崩れて、誰もがそのギャップに胸を締め付けられる。
「ご招待いただきありがとうございます」
レイも微笑んで、ハムレットに丁寧にお礼を伝えた。
レヴィもぺこりと一緒に頭を下げる。
ハムレットの周りにいる女の子たちは、レイのことを見てひそひそと「貧相な子ね」「何、あの格好?」「今日はお祭りの日なのにね」などと話していた。
アイザックは、むっと顔を顰めると、レイの手を握った。ぐんぐんとレイの手を引いて神殿の方に向かう。
レヴィも護衛らしくその後を追った。
「ハムレット、早く案内してよ! 僕、待ちくたびれちゃうよ!」
「分かったよ。……君たちの踊りも歌も楽しみにしてるよ。頑張ってね」
ハムレットはくすりと笑うと、女の子たちに挨拶をして、アイザックたちについて行った。
ハムレットに案内され、アイザックたちは水竜の神殿の中へと入って行った。
瑠璃紺色の水大理石がふんだんに使われて造られた神殿内では、清廉な水の香りが漂っていて、玉型の水の精霊たちが、青や水色の淡い光を放っていた。
ハムレットが神殿内のとある壁に手を置いて魔力を流すと、そこにパッと通路が現れた。
「ここは代々水竜王にだけ伝わってる秘密の通路だよ」
ハムレットは、人差し指を一本立てて内緒だよ、とジェスチャーすると、通路の奥へと進んで行った。アイザックたちも、彼の後に続く。
通路の奥まで進むと、パァッと日差しが差し込んで明るくなった。どうやらバルコニーに出たようだ。
「ここは?」
アイザックが周りをきょろきょろと見回した。
「私の特等席だよ。女の子たちが一番かわいく見える席なんだ」
ハムレットは嬉しそうに目を細めて、バルコニーから神殿の中庭を見下ろした。
レイもバルコニーから少し身を乗り出して見下ろした——見た瞬間、思わずじと目になる。
(「女の子たちが一番かわいく見える」って、胸の谷間が見えるってこと……?)
レイの中で、ハムレットの株がガクッと大暴落した。
中庭できゃっきゃとはしゃいでいる女の子たちは、どの子もみんな胸元が広めに開いた少し露出の多いドレスを着ていて、秘密のバルコニーからはバッチリな角度で見えるのだ。
「昼から歌と踊りが始まるからね。本当に楽しみだよ」
ハムレットはうきうきと、空間収納から椅子を取り出して、バルコニーの手すりギリギリのところに置いた。
横にサイドテーブルも出し、冷たいドリンクとフルーツも取り出して、準備は万端だ。
アイザックも空間収納から自分用の椅子を取り出すと、適当にそこら辺に置いてくつろぎ始めた。
「レイとレヴィの椅子は?」
「準備してなかったです」
「私も持ってません」
アイザックに訊かれ、レイもレヴィも首を横に振った。
「空間収納に入れておくと便利だよ。ほら」
アイザックは二人掛けのベンチを、彼の椅子の隣に出した。
「「ありがとうございます」」
レイとレヴィは揃ってお礼を言うと、ベンチに座った。
「はぁ~……今年の歌と踊りはどうかな? 練習では相当細かく指導したからね。今年はかなり期待できるよ」
ハムレットはうっとりと、中庭を見下ろしながら言った。
レイは、目線の位置までそれを掲げ、何度も何度も書かれている文字を見直した。
ハムレットからの、水竜王祭への招待状だ。
『黒の塔への推薦状を書いてあげるから、おいで。せっかくだから一緒に水竜王祭を楽しもう』
レイは、ハムレットの手ものもらしい優美な文字に目を走らせた。
「…………怪しい…………」
「ハムレット様からの招待状か……断るわけにもいかないよね」
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現在、ルーファスとレイはバレット商会の宿舎のロビーにあるソファに座っていた。
レイに怪しげな招待状が届いたため、ルーファスに相談にのってもらっていたのだ。
「ルーファスが一緒に来るのは……?」
「難しいね……」
レイとルーファスは同時に溜め息を吐いた。宿舎のロビーに、静かに二人の溜め息がこだまする。
光竜のルーファスが、水竜の本拠地である水竜湖に訪れるのはあまり好ましくないのだ。
水竜王にアクアブリッジへの滞在を黙認されているとはいえ、他の竜種が、水竜の営巣地に足を踏み入れることは、喧嘩を売っているようなものだ。
「ルーファス、レイ。アイザックが来ましたよ」
レヴィが、二人に声をかけてきた。
レヴィの後ろには、にこにこと上機嫌そうなアイザックがいた。
「レイ、水竜王祭に行こう! ハムレットに誘われたんでしょ?」
「えっ!? なんでアイザックがそのことを知ってるんですか?」
レイは目を丸くして、アイザックの方を見上げた。
「僕もハムレットに誘われたんだ。レイにも招待状を送ったから一緒においでよ、って」
アイザックは、レイが座っているソファの横に座ると、彼女の耳元に口を寄せた。
「それに、僕もいるからさ、いざとなったらレイを守れるよ?」
(水竜王様からのお誘いは断れないし、アイザックがいた方がまだ安全かも……)
「分かりました。アイザック、よろしくお願いしますね!」
レイがにっこり笑いかけると、アイザックはぽ~っと彼女を見つめた。
「はぁ~。なんてかわいいの! それに、まだ湧水の妖精の祝福がかかったままだね。ハムレットだけじゃなくて、他の水魔物にも気をつけないとね!」
「うっ……まだその祝福が付いてたんですね……」
アイザックの一言に、レイは「水魔力の強い者からモテる祝福」が付いていたことを思い出して、渋い顔をした。
「この手の軽い祝福は、条件を満たしたり、効果を発動させれば消えてなくなるんだけどね。なんでだろうね? まぁ、準備して行こっか?」
アイザックににっこりと手を差し伸べられ、レイは自らの手を載せた。
***
アイザックとレイとレヴィは、トリトン島に向かう遊覧船に乗った。
光竜のルーファスは、バレット商会の宿舎で待機だ。
今日は水竜王祭当日ということもあり、遊覧船には、ピンクや黄色、オレンジや水色など色とりどりの綺麗なドレスで着飾った女の子たちが多く乗っていた。
(水竜王様の目をくらますためとはいえ、羨ましいなぁ~)
レイはちょっぴり寂しそうに、ひらひらとドレスの袖やスカートの裾を靡かせている女の子たちを眺めた。どの子も華やかにヘアアレンジしてアクセサリーで着飾り、かわいらしくメイクをしている。
レイは思わず本日の自分の服装を見て、こっそり肩を落とした。
アクアブリッジの東岸地区の古着屋で買った少年用のシャツとベストとズボンだ。ちゃんと男の子に見えるように、全体的に渋めの色あいだ。
身に付けているアクセサリーも、他の女の子たちのような華やかなものでも流行のものでもなく、フェリクスからもらった指輪と、ニールからもらったバレット商会の紋章が入ったペンダントのみだ。しかもペンダントは服の中にしまっているため、外側からはほぼ見えていない。
(……格好のことはもういいや! お祭りの方を純粋に楽しもう!)
レイは気持ちを切り替えて、お祭りの雰囲気だけでもを楽しもうと、ぐっと顔を上げた。
祭期間中は船がたくさん出るようで、水竜湖の上には、観光客を乗せた船がたくさん浮かんでいた。
みんな目指す場所は一緒で、船の列がトリトン島へと向かっていた。
「いらっしゃい、アイザック、レイ、レヴィ。来てくれて嬉しいよ」
トリトン島の船着場で出迎えてくれたのは、水竜王ハムレットその人だった。
ハムレットは人気者らしく、たくさんの女の子たちに囲まれていた。
「わざわざ出迎えてくれたの? ありがとう!」
アイザックがにっこりと微笑むと、ハムレットの周りを囲っていた女の子たちが、ぽーっとアイザックに見惚れていた。
アイザックも整った冷たい美貌をしているのだ。彼が微笑むと、人を寄せ付けない雰囲気が一気に崩れて、誰もがそのギャップに胸を締め付けられる。
「ご招待いただきありがとうございます」
レイも微笑んで、ハムレットに丁寧にお礼を伝えた。
レヴィもぺこりと一緒に頭を下げる。
ハムレットの周りにいる女の子たちは、レイのことを見てひそひそと「貧相な子ね」「何、あの格好?」「今日はお祭りの日なのにね」などと話していた。
アイザックは、むっと顔を顰めると、レイの手を握った。ぐんぐんとレイの手を引いて神殿の方に向かう。
レヴィも護衛らしくその後を追った。
「ハムレット、早く案内してよ! 僕、待ちくたびれちゃうよ!」
「分かったよ。……君たちの踊りも歌も楽しみにしてるよ。頑張ってね」
ハムレットはくすりと笑うと、女の子たちに挨拶をして、アイザックたちについて行った。
ハムレットに案内され、アイザックたちは水竜の神殿の中へと入って行った。
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「ここは?」
アイザックが周りをきょろきょろと見回した。
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(「女の子たちが一番かわいく見える」って、胸の谷間が見えるってこと……?)
レイの中で、ハムレットの株がガクッと大暴落した。
中庭できゃっきゃとはしゃいでいる女の子たちは、どの子もみんな胸元が広めに開いた少し露出の多いドレスを着ていて、秘密のバルコニーからはバッチリな角度で見えるのだ。
「昼から歌と踊りが始まるからね。本当に楽しみだよ」
ハムレットはうきうきと、空間収納から椅子を取り出して、バルコニーの手すりギリギリのところに置いた。
横にサイドテーブルも出し、冷たいドリンクとフルーツも取り出して、準備は万端だ。
アイザックも空間収納から自分用の椅子を取り出すと、適当にそこら辺に置いてくつろぎ始めた。
「レイとレヴィの椅子は?」
「準備してなかったです」
「私も持ってません」
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「空間収納に入れておくと便利だよ。ほら」
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「「ありがとうございます」」
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◆関連作品
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