250 / 347
領主館
しおりを挟む
「ハムレット様、ごきげんよう」
「やあ、ヘクター。ごきげんよう」
領主館の廊下で、ハムレットはヘクター・ラングフォード伯爵——この地の領主とすれ違った。
ヘクターは淡いブラウンの髪を撫で付け、口髭を蓄えた壮年の紳士だ。
ラングフォード伯爵家は代々、水竜王と協力関係を築き、この地を守ってきた。
水竜王ハムレットは、人間としてはラングフォード魔術伯爵という身分を持っている。
ヘクターもここ二十年ほど、ラングフォード伯爵家の当主として、そんな彼を後見してきたのだ。
「今年の水竜王祭の準備はいかがでしょうか?」
ヘクターは、軽い挨拶がわりに尋ねた。
「うん。女の子たちの踊りもかなり仕上がってきているし、楽隊にも歌い手にもかわいい子がいるね。当日が楽しみだよ」
ハムレットが心底嬉しそうに微笑んだ。
「領主館には連れ込まないでくださいよ」
ヘクターは、口角をひくつかせて釘を刺した。
当代の水竜王ハムレットは、穏やかで優しい性格をしており、政治にも明るいため、よくヘクターの相談役になっている。水竜王としての実力もあり、領内の魔物たちを上手く治めていた。
一方でハムレットは、女性には非常にだらしなかった。
先日も、領主館の離れにあるハムレット専用の屋敷に、婚約者がいる下級貴族の令嬢を連れ込んでしまい、それが彼女の婚約者にバレてしまったため、大問題になった。
ハムレットの人型はスラリと背が高く、貴族の間で特によく好まれる優美で繊細な面立ちの、美しい青年の姿をしている。
女性限定でとことん優しく、エスコートやデートでの対応も卒なく洗練されているため、貴族の令嬢や淑女にとってはパートナーとして理想的な男性だ。
水竜湖のような瑠璃色の髪は、水魔術師としては最高の髪色で、特に水属性の魔術師が多いラングフォード領では憧れの的だ。
さらに魔力量や魔術属性は遺伝する可能性が高いため、ハムレットとの間なら、優秀な子供を望める可能性が高い。
一代貴族とはいえ、魔術伯爵という地位も令嬢の婚約者よりも高く、彼女がハムレットに惚れ込むのも無理がなかった。
令嬢はハムレットとの婚姻を求めたが、お相手の令息はそれを拒否。そして、ハムレット自身は「全ての女の子がかわいくて好き」という、なんとも言えないスタンスだったため、議論は平行線をたどり、さらに揉めに揉めた。
相手方が下級貴族だったこともあり、ヘクターが無理矢理間に入って取りなし、どうにかおさめさせた。
こういった女性がらみの騒動は、ヘクターの父や祖父の代から何度も何度も起こってきたため、ヘクターは今度こそ「領主館の離れへの女性の連れ込み禁止令」を発令した。
「あぁ、分かっているよ」
ハムレットは、本当に分かっているのか分かっていないのか、どちらとも読み取れない微笑みを浮かべた。
「それから、ラングフォード領内に侵入している魔物についてですが……」
ヘクターは今一番気がかりな問題を口にした。
これから年に一度の水竜王祭が控えており、領内への商人や観光客の流入がピークを迎えるのだ。要は、書き入れ時だ。
魔物の増加による安全面の問題は、早めに対処すべき課題だ。
「北のレスタリア領と西のウォーグラフト領から入り込んでいる魔物たちだね?」
「アクアブリッジでは特に報告はきてませんが、周縁の村々からは住民や家畜が襲われたり、畑が荒らされたりといった報告を受けてます。魔物の群れの大移動の目撃報告もありますし、その中にはサラマンダーがいたとの情報も……」
ヘクターは渋い表情で語った。
サラマンダーは厄介なBランクの魔物だ。基本的には岩石が多い山岳地帯に暮らしていて、ラングフォード領内には元々生息していなかった。口から高温の炎を吐き、全身が頑丈な鱗で覆われており、群れることも多いため、人間にとっては討伐難易度が高い魔物の一つだ。
「そこは友人に頼んだから問題ないよ。水竜王祭までには片が付くと思うよ」
「はぁ……」
ハムレットの楽観的な見解に、ヘクターは気の抜けた返事をした。
その時、ドンッ! という音と共に、大地が激しく揺れた。
ヘクターはよろめき、体を支えるように窓辺に寄りかかった。
「……地震か? 一体何が……」
ヘクターの声が、そこで止まった。あらぬものを窓の外に見つけてしまったのだ。
水竜湖を挟んで南の空に真っ黒な暗雲が垂れ込め、巨大な水の竜巻が巻き起こっていた。
「なっ……!」
ヘクターは窓辺にかぶりついて、信じられないものを見るように南の空を凝視した。
「う~ん、やってるねぇ。森を壊さないでとは伝えてなかったからなぁ……」
ハムレットも窓に近づいて南の空を眺めると、困ったように腕を組んだ。
「ハムレット様! あ、あれはもしや!?」
「そう、私がサラマンダーの駆除を頼んだんだよね。たぶん、こちらまでは来ないから大丈夫だよ」
ヘクターが慌てて尋ねると、ハムレットはのんびりと答えた。
「……それならば、我々の味方の技ということですね……」
ヘクターは落ち着き払って、再度、南の空を眺めた。
いまだに轟々と水の大竜巻が続いていた。とてもではないが、人間業とは思えなかった。
その時、南の森の上にチラリと大蛇の頭が現れた。
「ハムレット様!!?」
ヘクターは驚愕の表情でハムレットの方を振り向いた。
眼下に見える城壁では、兵たちが突如現れた竜巻と巨大サーペントを警戒し、右往左往して大騒ぎしていた。
「あーあ。元の姿に戻っちゃった。いくら大好物だからって、はしゃぎすぎだよ」
ハムレットは目の上に手をかざし、ゆったりと答えた。
「あ、あれは大丈夫なんですかっ!!?」
ヘクターがハムレットを揺さぶる勢いで詰め寄った。あんなにも大きな大蛇は、水竜が多いラングフォード領内でも見たことがなかった。
「問題ないよ。放っておけば、そのうち落ち着くから。……あ、結構な数の魔物が逃げ出してるね」
「それはそうでしょう!!!」
ヘクターは怒号のツッコミを入れた。
「閣下! 南の方角に、サーペントらしき巨大な魔物がっ!! 出兵はいかがいたしましょう!?」
一人の兵士が、急いでヘクターのもとへ駆け寄って来た。報告と共に、ビシッと敬礼の姿勢をとる。
ヘクターは少し考え込んだ後、徐に口を開いた。
「サーペントの討伐はしない。あれほどの巨体、我々が討伐できるようなランクではないはずだ。自然に去るのを待つしかない。それに、あのサーペントを恐れて他の魔物が逃げ出しているはずだ。南岸や近隣地区の村や町に被害が出てないか、救助と援護に向かうぞ。至急、隊長たちを集めろ!」
「はっ!」
ヘクターの指示に、兵士は勢いよく返事をした。彼は弾かれるように、騎士団の隊長たちを呼びに向かった。
「西の双子湖の方も、魔物たちがウォーグラフト領の方に逃げ帰ってるみたいだね。彼にはもうしばらく暴れてもらおうかな?」
ハムレットは顎に手を添え、考え込むようにぽつりと呟いた。
「いえ! 即刻、やめていただいてください!! このままでは住民たちが不安がってラングフォードから逃げて行ってしまいます!!!」
ヘクターは、ハムレットに懇願するように、彼の腕を掴んだ。精一杯に訴える。
ハムレットは時々、魔物らしい視点から、非力な人間の考えや不安や恐怖の気持ちを読み間違えることがあるのだ。
「仕方がないね。女の子たちが怖がって、ラングフォード領から逃げ出してしまっても嫌だからね」
ハムレットは渋々、念話を飛ばし始めた。
『アイザック、聞こえる? …………』
「どうやら、戦闘に集中しているみたいだね。仕方がないね。私が様子を見に行くよ。ヘクターは、南岸地区のレディたちを守ってあげて」
ハムレットはそれだけ言うと、スッと転移して行った。
「……かしこまりました」
ヘクターはぽつりと返事を呟いた。
「やあ、ヘクター。ごきげんよう」
領主館の廊下で、ハムレットはヘクター・ラングフォード伯爵——この地の領主とすれ違った。
ヘクターは淡いブラウンの髪を撫で付け、口髭を蓄えた壮年の紳士だ。
ラングフォード伯爵家は代々、水竜王と協力関係を築き、この地を守ってきた。
水竜王ハムレットは、人間としてはラングフォード魔術伯爵という身分を持っている。
ヘクターもここ二十年ほど、ラングフォード伯爵家の当主として、そんな彼を後見してきたのだ。
「今年の水竜王祭の準備はいかがでしょうか?」
ヘクターは、軽い挨拶がわりに尋ねた。
「うん。女の子たちの踊りもかなり仕上がってきているし、楽隊にも歌い手にもかわいい子がいるね。当日が楽しみだよ」
ハムレットが心底嬉しそうに微笑んだ。
「領主館には連れ込まないでくださいよ」
ヘクターは、口角をひくつかせて釘を刺した。
当代の水竜王ハムレットは、穏やかで優しい性格をしており、政治にも明るいため、よくヘクターの相談役になっている。水竜王としての実力もあり、領内の魔物たちを上手く治めていた。
一方でハムレットは、女性には非常にだらしなかった。
先日も、領主館の離れにあるハムレット専用の屋敷に、婚約者がいる下級貴族の令嬢を連れ込んでしまい、それが彼女の婚約者にバレてしまったため、大問題になった。
ハムレットの人型はスラリと背が高く、貴族の間で特によく好まれる優美で繊細な面立ちの、美しい青年の姿をしている。
女性限定でとことん優しく、エスコートやデートでの対応も卒なく洗練されているため、貴族の令嬢や淑女にとってはパートナーとして理想的な男性だ。
水竜湖のような瑠璃色の髪は、水魔術師としては最高の髪色で、特に水属性の魔術師が多いラングフォード領では憧れの的だ。
さらに魔力量や魔術属性は遺伝する可能性が高いため、ハムレットとの間なら、優秀な子供を望める可能性が高い。
一代貴族とはいえ、魔術伯爵という地位も令嬢の婚約者よりも高く、彼女がハムレットに惚れ込むのも無理がなかった。
令嬢はハムレットとの婚姻を求めたが、お相手の令息はそれを拒否。そして、ハムレット自身は「全ての女の子がかわいくて好き」という、なんとも言えないスタンスだったため、議論は平行線をたどり、さらに揉めに揉めた。
相手方が下級貴族だったこともあり、ヘクターが無理矢理間に入って取りなし、どうにかおさめさせた。
こういった女性がらみの騒動は、ヘクターの父や祖父の代から何度も何度も起こってきたため、ヘクターは今度こそ「領主館の離れへの女性の連れ込み禁止令」を発令した。
「あぁ、分かっているよ」
ハムレットは、本当に分かっているのか分かっていないのか、どちらとも読み取れない微笑みを浮かべた。
「それから、ラングフォード領内に侵入している魔物についてですが……」
ヘクターは今一番気がかりな問題を口にした。
これから年に一度の水竜王祭が控えており、領内への商人や観光客の流入がピークを迎えるのだ。要は、書き入れ時だ。
魔物の増加による安全面の問題は、早めに対処すべき課題だ。
「北のレスタリア領と西のウォーグラフト領から入り込んでいる魔物たちだね?」
「アクアブリッジでは特に報告はきてませんが、周縁の村々からは住民や家畜が襲われたり、畑が荒らされたりといった報告を受けてます。魔物の群れの大移動の目撃報告もありますし、その中にはサラマンダーがいたとの情報も……」
ヘクターは渋い表情で語った。
サラマンダーは厄介なBランクの魔物だ。基本的には岩石が多い山岳地帯に暮らしていて、ラングフォード領内には元々生息していなかった。口から高温の炎を吐き、全身が頑丈な鱗で覆われており、群れることも多いため、人間にとっては討伐難易度が高い魔物の一つだ。
「そこは友人に頼んだから問題ないよ。水竜王祭までには片が付くと思うよ」
「はぁ……」
ハムレットの楽観的な見解に、ヘクターは気の抜けた返事をした。
その時、ドンッ! という音と共に、大地が激しく揺れた。
ヘクターはよろめき、体を支えるように窓辺に寄りかかった。
「……地震か? 一体何が……」
ヘクターの声が、そこで止まった。あらぬものを窓の外に見つけてしまったのだ。
水竜湖を挟んで南の空に真っ黒な暗雲が垂れ込め、巨大な水の竜巻が巻き起こっていた。
「なっ……!」
ヘクターは窓辺にかぶりついて、信じられないものを見るように南の空を凝視した。
「う~ん、やってるねぇ。森を壊さないでとは伝えてなかったからなぁ……」
ハムレットも窓に近づいて南の空を眺めると、困ったように腕を組んだ。
「ハムレット様! あ、あれはもしや!?」
「そう、私がサラマンダーの駆除を頼んだんだよね。たぶん、こちらまでは来ないから大丈夫だよ」
ヘクターが慌てて尋ねると、ハムレットはのんびりと答えた。
「……それならば、我々の味方の技ということですね……」
ヘクターは落ち着き払って、再度、南の空を眺めた。
いまだに轟々と水の大竜巻が続いていた。とてもではないが、人間業とは思えなかった。
その時、南の森の上にチラリと大蛇の頭が現れた。
「ハムレット様!!?」
ヘクターは驚愕の表情でハムレットの方を振り向いた。
眼下に見える城壁では、兵たちが突如現れた竜巻と巨大サーペントを警戒し、右往左往して大騒ぎしていた。
「あーあ。元の姿に戻っちゃった。いくら大好物だからって、はしゃぎすぎだよ」
ハムレットは目の上に手をかざし、ゆったりと答えた。
「あ、あれは大丈夫なんですかっ!!?」
ヘクターがハムレットを揺さぶる勢いで詰め寄った。あんなにも大きな大蛇は、水竜が多いラングフォード領内でも見たことがなかった。
「問題ないよ。放っておけば、そのうち落ち着くから。……あ、結構な数の魔物が逃げ出してるね」
「それはそうでしょう!!!」
ヘクターは怒号のツッコミを入れた。
「閣下! 南の方角に、サーペントらしき巨大な魔物がっ!! 出兵はいかがいたしましょう!?」
一人の兵士が、急いでヘクターのもとへ駆け寄って来た。報告と共に、ビシッと敬礼の姿勢をとる。
ヘクターは少し考え込んだ後、徐に口を開いた。
「サーペントの討伐はしない。あれほどの巨体、我々が討伐できるようなランクではないはずだ。自然に去るのを待つしかない。それに、あのサーペントを恐れて他の魔物が逃げ出しているはずだ。南岸や近隣地区の村や町に被害が出てないか、救助と援護に向かうぞ。至急、隊長たちを集めろ!」
「はっ!」
ヘクターの指示に、兵士は勢いよく返事をした。彼は弾かれるように、騎士団の隊長たちを呼びに向かった。
「西の双子湖の方も、魔物たちがウォーグラフト領の方に逃げ帰ってるみたいだね。彼にはもうしばらく暴れてもらおうかな?」
ハムレットは顎に手を添え、考え込むようにぽつりと呟いた。
「いえ! 即刻、やめていただいてください!! このままでは住民たちが不安がってラングフォードから逃げて行ってしまいます!!!」
ヘクターは、ハムレットに懇願するように、彼の腕を掴んだ。精一杯に訴える。
ハムレットは時々、魔物らしい視点から、非力な人間の考えや不安や恐怖の気持ちを読み間違えることがあるのだ。
「仕方がないね。女の子たちが怖がって、ラングフォード領から逃げ出してしまっても嫌だからね」
ハムレットは渋々、念話を飛ばし始めた。
『アイザック、聞こえる? …………』
「どうやら、戦闘に集中しているみたいだね。仕方がないね。私が様子を見に行くよ。ヘクターは、南岸地区のレディたちを守ってあげて」
ハムレットはそれだけ言うと、スッと転移して行った。
「……かしこまりました」
ヘクターはぽつりと返事を呟いた。
13
◆関連作品
『砂漠の詩』
『雨の回廊』編の過去編スピンオフです。
『冒険者を辞めたら天職でした 〜パーティーを追放された凄腕治癒師は、大聖者と崇められる〜』
『冒険者パーティーを追放された凄腕治癒師を拾いました』編のスピンオフです。
『ジャスティンと魔法少女のステッキ』
『魔法少女』編のスピンオフです。
『砂漠の詩』
『雨の回廊』編の過去編スピンオフです。
『冒険者を辞めたら天職でした 〜パーティーを追放された凄腕治癒師は、大聖者と崇められる〜』
『冒険者パーティーを追放された凄腕治癒師を拾いました』編のスピンオフです。
『ジャスティンと魔法少女のステッキ』
『魔法少女』編のスピンオフです。
お気に入りに追加
161
あなたにおすすめの小説

【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。
さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。
許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。
幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。
(ああ、もう、)
やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。
(ずるいよ……)
リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。
こんな私なんかのことを。
友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。
彼らが最後に選ぶ答えとは——?
⚠️好みが非常に分かれる作品となっております。

夫の隠し子を見付けたので、溺愛してみた。
辺野夏子
恋愛
セファイア王国王女アリエノールは八歳の時、王命を受けエメレット伯爵家に嫁いだ。それから十年、ずっと仮面夫婦のままだ。アリエノールは先天性の病のため、残りの寿命はあとわずか。日々を穏やかに過ごしているけれど、このままでは生きた証がないまま短い命を散らしてしまう。そんなある日、アリエノールの元に一人の子供が現れた。夫であるカシウスに生き写しな見た目の子供は「この家の子供になりにきた」と宣言する。これは夫の隠し子に間違いないと、アリエノールは継母としてその子を育てることにするのだが……堅物で不器用な夫と、余命わずかで卑屈になっていた妻がお互いの真実に気が付くまでの話。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界で婚活したら、とんでもないのが釣れちゃった?!
家具付
恋愛
五年前に、異世界に落っこちてしまった少女スナゴ。受け入れてくれた村にすっかりなじんだ頃、近隣の村の若い人々が集まる婚活に誘われる。一度は行ってみるべきという勧めを受けて行ってみたそこで出会ったのは……?
多種多様な獣人が暮らす異世界でおくる、のんびりほのぼのな求婚ライフ!の、はずだったのに。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる