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湖水料理レストラン
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湖水料理は、水竜湖で獲れる魚やこの地方で育てられた野菜や果物、お肉をメインに使用した料理だ。
湖水料理レストラン「リュウスイ」は、二百年近く続くアクアブリッジの老舗料理店で、人間のみならず魔物に至るまでファンが多い。
窓際にあるアイザックの席は奥まっていて、隣の席ともしっかり距離が離れていた。窓からは、アクアブリッジの美しい街並みを堪能できて、四人まで広々と座れる一等良いテーブル席だ。
レイたちが席に着くと、ウェイターたちが素早く丁寧にテーブルセッティングをしていった。
「ここは、このレストランで一番良い特別席なんだ。高位の水魔物は優先してここに通されるんだよ」
アイザックがいたずらっぽく、こっそり隣に座るレイに耳打ちした。
「水竜のお客さんが多いからでしょうか?」
「それもあるし、水竜が高位の魔物を呼ぶこともあるからね。僕みたいにね」
アイザックは、パチリと小さくウィンクをした。
レイたちが注文してしばらくすると、水竜湖にだけ生息する瑠璃マスのムニエル、西岸の湿地帯で飼育されている魔水牛のモッツァレラチーズを使ったカプレーゼやピザ、魔鴨のステーキ、水竜湖近郊で育てられている青玉スイカのフルーツポンチなど、色とりどりのメニューがテーブルの上に並べられていった。
「おいしい! さっぱりしているのに、味わい深くて、いくらでも食べられそうです!」
レイは瑠璃マスのムニエルを頬張って、にっこりと笑った。
「うん。しかも、どの料理も水魔力が豊富だね」
ルーファスは感心して、魔水牛のモッツァレラチーズがたっぷり載ったピザを食べている。
「湖水料理は初めて食べましたが、とても上品な味がしますね」
普段あまり表情が変わらないレヴィも、ほくほくと嬉しそうに頬を緩めている。
一通り食事が終わると、アイザックが自分たちの席にだけ防音結界を敷いて、徐に口を開いた。
「それにしても、どうしちゃったの、レイ? いつも以上にかわいく見えるんだけど? 何か変な魔術にかかってない?」
「うっ……やっぱり、分かりますか……?」
レイは、アイザックの指摘に、どきりと胸が跳ねた。
「それぐらい分かるよ! ただでさえかわいいのに、これ以上魅力的になっちゃってどうするの!? 僕の心臓を止める気?」
「こ、これは不可抗力で……たまたま湧水の妖精さんから祝福をもらっちゃったんです!」
隣の席のアイザックに詰め寄られ、レイはあわあわと慌てて説明をした。
「……まずいね。これじゃあ、すぐに彼に見つかっちゃうよ……」
アイザックが珍しく渋い表情をした。
「『彼』ですか?」
レイはきょとんと小首を傾げた。
「僕の友人だよ。無類の女好きなんだ。レイみたいなかわいい子はすぐに見つかっちゃうから、ちゃんと隠しておかないと危ないよ」
「えっと……水竜湖や水竜王祭には近づかないようにしてるんですが、それでも危ないですか?」
(もうちょっとだけ、観光したいんだけどな……)
レイは窺うように、アイザックに尋ねた。
「危険だね! 彼のことだから、かわいい子はどこにいても見つけ出すし、レイみたいに水属性にめちゃくちゃ適性があっておいしい魔力を持ってる子は、すぐ大好きになるに決まってる! ただでさえ女の子に目がないんだよ? レイがそのままなんて、とっても危険だよ!」
アイザックは、レイの小さな両肩に手を置いて、力説した。
なぜか対面の席に座っているルーファスも、うんうんと強く頷いている。
「そうだ! 食べ終わったら、ちょっと古着屋に行こうか? せめて見た目だけでも男の子の振りして、友人の目を誤魔化さないと!」
「……アイザックのご友人なんですよね? そんな騙し討ちみたいなことして、大丈夫なんですか?」
「いいの、いいの! 僕だってレイのことが大好きなんだ。彼にそうやすやすと渡したりしないよ!」
アイザックは、自信満々に胸を張って言い切った。
「……ルーファス、レヴィ、この後いいですか?」
レイは、ルーファスとレヴィの方を不安げに振り向いて尋ねた。
「僕は構わないよ。それに、少しでもレイを守るためになるなら、そうした方がいい」
ルーファスはあっさり同意した。
一方で、レヴィの方は別のことが気になったようだ。
「いいですよ。レイは、流行性の恋の時みたいに、また男装するんですよね? そういえば、私は女性の格好はしたことがなか……」
「そんなの誰も求めてないからね! 何の得にもならないから!!」
アイザックが食い気味に、レヴィの発言を遮った。
***
レイたちはレストランを出た後、アイザックに連れられて、東岸地区にある古着屋に入った。
アイザックは、レイのサイズに合いそうな服を見つけると、次々にクンクンと匂いを嗅いでいった。
「これの元の持ち主は男の子みたいだね。これ着るといいよ。あっ! あと、これも!」
「こ、こんなにいっぱいですか!?」
レイは、アイザックから次から次へとポイポイと古着を渡され、慌てて両腕に抱え込んだ。
「とにかく、それに着替えて!」
レイはアイザックに試着室に押し込められると、渋々、今まで着ていた服から全て着替えた。
男物の古着のためか、少しだけ埃っぽい臭いがして、くすんと小さく鼻を鳴らす。
「アイザック、着替えましたよ?」
レイは試着室から、少し躊躇いがちに顔を覗かせた。
一気に試着室のカーテンが引かれ、すっかり男の子の姿になったレイが現れた。
レイは元々、中性的なシュッとした顔立ちをしている。服装に合わせて髪型もシンプルに一本にまとめれば、キリリと引き締まった雰囲気になるのだ。
少しくたびれたシャツに、少年もののベストとパンツ姿になると、庶民の男の子にしか見えなかった。
「うん。似合ってるね。はい、これも飲んで!」
「これは?」
アイザックは緑色の液体が入った小瓶を手渡した。
レイも思わず受け取る。
「体臭を消す魔術薬だよ。効果は八時間だから、ここにいる間は毎日飲んでね。友人みたいに、性別に執着するような魔物を討伐する時に飲むんだ」
「ゔっ! ゴホッ……そこまでする必要があるんですか!?」
レイは、アイザックのあんまりな説明に、魔術薬が変なところに入りかけて咽せた。
(本当に友人なんだよね!?)
「竜は鼻がいいし、彼は女の子を匂いで嗅ぎ分けるから!」
アイザックは堂々と言い放った。
(匂いで男性か女性か嗅ぎ分けるって……こわっ!!)
レイは戦々恐々として、飲み終わった薬瓶を見つめた。
「……そういえば、アイザックのご友人って、やっぱり……?」
レイはこわごわと、どうしても確認しなければいけないことを尋ねた。
「うん、水竜王だよ。今はラングフォード魔術伯爵っていう、人間としての立場もあるかな」
「「えっ!?」」
ルーファスとレイの驚く声が重なった。
(水竜王様自身が、ラングフォード魔術伯爵!? 水竜王様の代理人が務めてるんじゃないの!?)
レイが目を白黒させていると、柔らかなトーンの男性の声で、声がかけられた。
「アイザック、こんなところにいた。リュウスイで待ち合わせじゃなかったの?」
「ハムレット! 用事ができてね。早めに店を出たんだ」
アイザックがにこにこと笑って、気安く返事をした。
「おや? そちらの方々は……」
魔物の王の証である色鮮やかな黄金眼が、レイたちを検分するように見つめた。
水竜湖のような艶々とした瑠璃色の長い髪を、緩やかに三つ編みにし、優しげで繊細に整った顔立ちで、スラリと背が高い——まさに貴族のような男性だ。
「彼はレイ、その隣がルーファスとレヴィだよ」
「ふぅん。光竜の君のことは、ニールから聞いてるよ。他の二人は……?」
アイザックが簡単に紹介すると、ハムレットは鷹揚に頷いた。
(……この竜が、水竜王様……)
レイは緊張して身を固め、ハムレットを見上げたまま、ごくりと喉を鳴らした。
「ルーファスと同じ冒険者パーティーの者です」
ハムレットの質問には、レヴィが代わりに淡々と答えた。
「そう。ようこそ。ラングフォードへ」
ハムレットは、社交的な微笑みを浮かべた。
湖水料理レストラン「リュウスイ」は、二百年近く続くアクアブリッジの老舗料理店で、人間のみならず魔物に至るまでファンが多い。
窓際にあるアイザックの席は奥まっていて、隣の席ともしっかり距離が離れていた。窓からは、アクアブリッジの美しい街並みを堪能できて、四人まで広々と座れる一等良いテーブル席だ。
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「おいしい! さっぱりしているのに、味わい深くて、いくらでも食べられそうです!」
レイは瑠璃マスのムニエルを頬張って、にっこりと笑った。
「うん。しかも、どの料理も水魔力が豊富だね」
ルーファスは感心して、魔水牛のモッツァレラチーズがたっぷり載ったピザを食べている。
「湖水料理は初めて食べましたが、とても上品な味がしますね」
普段あまり表情が変わらないレヴィも、ほくほくと嬉しそうに頬を緩めている。
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「それにしても、どうしちゃったの、レイ? いつも以上にかわいく見えるんだけど? 何か変な魔術にかかってない?」
「うっ……やっぱり、分かりますか……?」
レイは、アイザックの指摘に、どきりと胸が跳ねた。
「それぐらい分かるよ! ただでさえかわいいのに、これ以上魅力的になっちゃってどうするの!? 僕の心臓を止める気?」
「こ、これは不可抗力で……たまたま湧水の妖精さんから祝福をもらっちゃったんです!」
隣の席のアイザックに詰め寄られ、レイはあわあわと慌てて説明をした。
「……まずいね。これじゃあ、すぐに彼に見つかっちゃうよ……」
アイザックが珍しく渋い表情をした。
「『彼』ですか?」
レイはきょとんと小首を傾げた。
「僕の友人だよ。無類の女好きなんだ。レイみたいなかわいい子はすぐに見つかっちゃうから、ちゃんと隠しておかないと危ないよ」
「えっと……水竜湖や水竜王祭には近づかないようにしてるんですが、それでも危ないですか?」
(もうちょっとだけ、観光したいんだけどな……)
レイは窺うように、アイザックに尋ねた。
「危険だね! 彼のことだから、かわいい子はどこにいても見つけ出すし、レイみたいに水属性にめちゃくちゃ適性があっておいしい魔力を持ってる子は、すぐ大好きになるに決まってる! ただでさえ女の子に目がないんだよ? レイがそのままなんて、とっても危険だよ!」
アイザックは、レイの小さな両肩に手を置いて、力説した。
なぜか対面の席に座っているルーファスも、うんうんと強く頷いている。
「そうだ! 食べ終わったら、ちょっと古着屋に行こうか? せめて見た目だけでも男の子の振りして、友人の目を誤魔化さないと!」
「……アイザックのご友人なんですよね? そんな騙し討ちみたいなことして、大丈夫なんですか?」
「いいの、いいの! 僕だってレイのことが大好きなんだ。彼にそうやすやすと渡したりしないよ!」
アイザックは、自信満々に胸を張って言い切った。
「……ルーファス、レヴィ、この後いいですか?」
レイは、ルーファスとレヴィの方を不安げに振り向いて尋ねた。
「僕は構わないよ。それに、少しでもレイを守るためになるなら、そうした方がいい」
ルーファスはあっさり同意した。
一方で、レヴィの方は別のことが気になったようだ。
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アイザックは、レイのサイズに合いそうな服を見つけると、次々にクンクンと匂いを嗅いでいった。
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