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「ふわぁ~」
レイは気持ちよく、王都のバレット邸にある彼女の部屋で目を覚ました。
大きく目覚めのあくびと伸びをする。
レイの部屋は、フェリクスの許可が降りてすぐに、ニールが彼の部屋の隣に準備してくれた。
彼女の部屋は、淡いピンクとグリーンを基調とした壁紙やファブリックがメインで、かわいらしくもナチュラルな雰囲気だ。
窓際には書き物用のデスクと椅子が、部屋の中央には飴色のテーブルが一つと、二人掛けのソファが一つ、壁際には小ぶりなチェストが一つ——どれも、猫脚の優美でかわいらしい家具だ。
ふかふかのセミダブルのベッドには、クッションがたくさん置いてある。
——どれもこれもレイ好みのインテリアだ。
窓からは朝日が差し込んでいて、今日は天気がいい。
『レイ、おはよう』
「おはよう、琥珀」
子猫サイズの琥珀が、甘えるようにすりすりと近寄って来た。
レイが琥珀の小さな頭をくりくりと撫でると、彼女は気持ちよさそうに目を眇めた。
「むむ? なんかいつもと違う??」
レイはパジャマから冒険者の服に着替えると、パンツの着心地に違和感を覚えた。
裾の位置ってこのぐらいだったっけ? とレイは首を傾げた。
「ま、いっか。ブーツ履いちゃえば分かんなくなるし」
レイは特に気にせず、さっさとブーツを履いた。
朝食のため階下に向かおうとすると、琥珀がレイの背中を駆け上って、彼女の肩の上に落ち着いた。
「おはようございます、ニール、レヴィ!」
「おはよう」
「おはようございます、レイ」
食堂に着くと、レイとニール、レヴィはにこやかに朝の挨拶を交わした。
レイが席に着くなり、ニールが不思議そうに尋ねた。
「レイ、少し大きくなった?」
「へ?」
「レイの服を作らせてるから分かるけど、少し身長が伸びたかな?」
「えっ……いつの間に……?」
(私、測ってもらってたっけ? あ、でも、いつも提案してもらってる服とか小物ってジャストサイズなんだよね……)
レイは一瞬首を捻ったが、余計なことに思い至って遠い目をした。
「後で測り直そうか?」
ニールが有無を言わさない笑顔で尋ねた。
「いいですけど……でも、何で急に伸びたんだろう?」
「成長期は突然来るものだからね」
レイが不思議そうにしていると、ニールはレイの成長を慈しむように、目尻に皺を寄せていた。
***
朝食後、レイは自室でメイドに身体の各サイズを測られた。
全ての計測が終わると、ニールが部屋の中に入ってきた。
メイドにメモ書きを渡され、一言二言何かを言われると、ニールは顎に手を置いて「ふむ」と考え込んだ。
「レイ、ちょっといいかな? 手を出して」
「はい」
レイが素直に両手を出すと、ニールがその手を掴み、少し難しそうな顔をして、何かを感じ取ろうとするかのようにじっとしていた。
「……やっぱり……」
「どうしたんですか?」
「光属性の何かが作用してる……? レイ、光竜の里で何か特別なことをやったりした?」
「……特別なことですか? う~ん、狛獅子に触れ合ったこと? 誘惑の魔物と遊んだこと?」
「光属性の魔力が体内で作用してるみたいなんだ。何か特別な物を食べたり飲んだりは?」
「あっ! お米をいっぱい食べました!」
「お米?」
「これです」
レイは空間収納から、米俵を取り出した。謝罪の品として、光竜王レックスからせしめたものだ。
ニールはしばらく米俵に手を付いて、「同じ魔力だな」と納得していた。
「魔物や精霊、特定の種類の妖精なんかは、その個体に合う物を食べると、体や魔力が急成長することがあるんだ」
「え……私、人間ですよ?」
「そうなんだよな……それとも、三大魔女だから特別なのか? ……とにかく、レイにはこの米というものが合ってるらしいな」
「あ……」
「何か心当たりがあるのか?」
「以前住んでいたところでは、お米が主食でした。ユグドラに来てからは食べてなかったので、つい嬉しくて、光竜の里ではいっぱい食べたんです」
「しばらくレイの食事には米を出すか。料理長に相談しよう」
「やった! あ、光竜の里のお手伝いさんから、お米の炊き方のメモをもらって来てます!」
「じゃあ、それも一緒に料理長に見せよう」
ニールは軽く米俵を小脇に抱えた。
「えっ!?」
「どうした?」
「それ、重くないんですか?」
「ああ、これか? 竜にとってはこんなもの、大した重さじゃないぞ」
(人型でもいけるんだ……)
ニールは、どこか色気が滲んだ凄艶な美貌をしている。筋肉はしっかりとあるが、すらりとした細身の長身で、いつもパリッとしたスーツやシャツを着ていてかっこいい。
レイは、ニールの麗しすぎる見た目と米俵の何とも言えないギャップに、目を瞬かせた。
***
料理長のヴィンスは、影竜だ。
黒々とした髪は短く刈られていて、カタギとは思えないような厳つい顔をしている。
なお、バレット邸でメイドをしているかわいらしい奥さんもいる。
「へぇ。米ねぇ。初めて見ました……」
ヴィンスは、調理台の上に載っているはじめましてな食材を、鋭く睨みつけた。あまりにも険しすぎて、見つめられている米が可哀想に思えてくる。
「大陸東の地域では、割とよく食べられているな。こっちの方では馴染みがないからか、流通していない」
ニールが商人らしくコメントした。
「えっ……ニールに言えば、お米が食べられたんですか?」
今まで何ヶ月も米を探しまくった苦労を思い、レイは拍子抜けするように肩を落とした。
「レイが食べたいなら、取り寄せたよ。ただ、光竜の里の米は特別だな。ここまで質の良い魔力をたっぷり含んだ米は、人間側では流通していない」
「ぐぅ……まさかこんな近場にお米のヒントがあったとは……! でも、確かに光竜の里のお米は、すごくおいしかったです……」
レイは悔し紛れにがばりとテーブルの上に突っ伏した。
「でも、このままじゃあ食えんでしょう? 竜の歯ならともかく、人間の歯には硬すぎるでしょう?」
ヴィンスが、パラリと米を手にとって分析した。
「あ、これがお米の炊き方のメモです。あと、これがおにぎりというお米料理の一つです」
レイは空間収納から、光竜の里の女中にもらったメモ書きと、里を出る際に持たされたおにぎりを取り出した。
ニールとヴィンスは早速、おにぎりを口にした。
「ほぉ……米と塩だけか。シンプルだが、噛めば噛むほど甘味が出てくるな」
ヴィンスが、分析するようにもぐもぐと頬張った。
「ふむ。悪くないな」
ニールの感想はシンプルだ。
「おいふぃ」
レイはほっこりと緩んだ顔で、普通に食べている。ただ単に食べたかっただけだ。
「まずは少し炊いてみましょうか」
ヴィンスは早速、席を立った。
米を炊くために使う鍋を、物色し始める。
「手伝います! 米ぐらい研げますから!」
レイは腕まくりすると、ふんすっと鼻息荒く席を立った。
ニールはテーブルに着いたまま、興味深そうに二人の様子を眺めていた。
***
「おいふぃ……」
レイは、幸せそうにほくほくとご飯を頬張った。炊きたてほどおいしいものはないのだ。
「ふ~ん。炊きたてだとこうなるのか」
ニールは、感慨深げにご飯を口に含んだ。冷めた状態のおにぎりと比べているようだ。
「味付けはどうしましょう? 本当に塩だけですか?」
ヴィンスが料理人らしく質問をした。
「ご飯には何でも合いますよ! それに、ちゃんとご飯に合う調味料もいただいて来ました!」
レイは空間収納から、どどーんっと、味噌や醤油、味醂、米酢を取り出した——どれも樽ごとだ。
「「おおっ!」」
ヴィンスは珍しい調味料に、極悪そうな目をギラリと輝かせた。
ニールは商品としては見慣れているのか、レイがしっかり調味料を確保していたことに驚いていた。
レイは調理場に置いてあった余り野菜と豚こま肉で、簡単に味噌炒めを作った。適当に切った野菜と豚肉を炒めて、砂糖と味噌、味醂、醤油で味付けをしたものだ。——元の世界では一人暮らしをしていたので、簡単な料理ぐらいならできるのだ。
「うまい! ご飯にも合いますね! あちらの方ではこんな料理が食べられてるんですね!」
ヴィンスは、ご飯と一緒に味噌炒めをかき込んだ。
「レイも料理ができたんだね。おいしいよ」
ニールは目を丸くして、品よく食べていた。
「レイ様! 他にもレシピを教えていただけますか!?」
ヴィンスは未知の料理に刺激されたようだ。早速メモ片手に、レイにぐいぐいと迫っている。
「私に分かるものでしたら……後で光竜の里のお手伝いさんにも、レシピを訊きましょうか?」
「是非!!」
ヴィンスが即座に声をあげると、レイは彼のあまりの勢いに苦笑した。
***
「これで、少しは年相応になるかな」
調理場を出ると、ニールがレイを抱き上げた。その場でくるりと一回転する。
どこか嬉しそうに色鮮やかな黄金眼を緩めて、レイを見上げている。
「むぅ。私、そんなに小さいですか?」
レイはちょっぴり不機嫌そうに頬を膨らませた。
「小さいね。成長してくれるのは嬉しいけど、小さいままもいいかな」
ニールが口角を上げて、にやりと微笑んだ。
「もうっ! ニールのいじわる!!」
レイは抱き上げられたまま、バタバタと手足を動かして抗議の抵抗した。
ニールは「ふははっ」と揶揄うように笑って、くるりくるりと、またその場で回った。
レイは悔しそうに「絶対、大きくなって、あっと言わせてやるぅ!!」と叫んだ。
レイは気持ちよく、王都のバレット邸にある彼女の部屋で目を覚ました。
大きく目覚めのあくびと伸びをする。
レイの部屋は、フェリクスの許可が降りてすぐに、ニールが彼の部屋の隣に準備してくれた。
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窓際には書き物用のデスクと椅子が、部屋の中央には飴色のテーブルが一つと、二人掛けのソファが一つ、壁際には小ぶりなチェストが一つ——どれも、猫脚の優美でかわいらしい家具だ。
ふかふかのセミダブルのベッドには、クッションがたくさん置いてある。
——どれもこれもレイ好みのインテリアだ。
窓からは朝日が差し込んでいて、今日は天気がいい。
『レイ、おはよう』
「おはよう、琥珀」
子猫サイズの琥珀が、甘えるようにすりすりと近寄って来た。
レイが琥珀の小さな頭をくりくりと撫でると、彼女は気持ちよさそうに目を眇めた。
「むむ? なんかいつもと違う??」
レイはパジャマから冒険者の服に着替えると、パンツの着心地に違和感を覚えた。
裾の位置ってこのぐらいだったっけ? とレイは首を傾げた。
「ま、いっか。ブーツ履いちゃえば分かんなくなるし」
レイは特に気にせず、さっさとブーツを履いた。
朝食のため階下に向かおうとすると、琥珀がレイの背中を駆け上って、彼女の肩の上に落ち着いた。
「おはようございます、ニール、レヴィ!」
「おはよう」
「おはようございます、レイ」
食堂に着くと、レイとニール、レヴィはにこやかに朝の挨拶を交わした。
レイが席に着くなり、ニールが不思議そうに尋ねた。
「レイ、少し大きくなった?」
「へ?」
「レイの服を作らせてるから分かるけど、少し身長が伸びたかな?」
「えっ……いつの間に……?」
(私、測ってもらってたっけ? あ、でも、いつも提案してもらってる服とか小物ってジャストサイズなんだよね……)
レイは一瞬首を捻ったが、余計なことに思い至って遠い目をした。
「後で測り直そうか?」
ニールが有無を言わさない笑顔で尋ねた。
「いいですけど……でも、何で急に伸びたんだろう?」
「成長期は突然来るものだからね」
レイが不思議そうにしていると、ニールはレイの成長を慈しむように、目尻に皺を寄せていた。
***
朝食後、レイは自室でメイドに身体の各サイズを測られた。
全ての計測が終わると、ニールが部屋の中に入ってきた。
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「レイ、ちょっといいかな? 手を出して」
「はい」
レイが素直に両手を出すと、ニールがその手を掴み、少し難しそうな顔をして、何かを感じ取ろうとするかのようにじっとしていた。
「……やっぱり……」
「どうしたんですか?」
「光属性の何かが作用してる……? レイ、光竜の里で何か特別なことをやったりした?」
「……特別なことですか? う~ん、狛獅子に触れ合ったこと? 誘惑の魔物と遊んだこと?」
「光属性の魔力が体内で作用してるみたいなんだ。何か特別な物を食べたり飲んだりは?」
「あっ! お米をいっぱい食べました!」
「お米?」
「これです」
レイは空間収納から、米俵を取り出した。謝罪の品として、光竜王レックスからせしめたものだ。
ニールはしばらく米俵に手を付いて、「同じ魔力だな」と納得していた。
「魔物や精霊、特定の種類の妖精なんかは、その個体に合う物を食べると、体や魔力が急成長することがあるんだ」
「え……私、人間ですよ?」
「そうなんだよな……それとも、三大魔女だから特別なのか? ……とにかく、レイにはこの米というものが合ってるらしいな」
「あ……」
「何か心当たりがあるのか?」
「以前住んでいたところでは、お米が主食でした。ユグドラに来てからは食べてなかったので、つい嬉しくて、光竜の里ではいっぱい食べたんです」
「しばらくレイの食事には米を出すか。料理長に相談しよう」
「やった! あ、光竜の里のお手伝いさんから、お米の炊き方のメモをもらって来てます!」
「じゃあ、それも一緒に料理長に見せよう」
ニールは軽く米俵を小脇に抱えた。
「えっ!?」
「どうした?」
「それ、重くないんですか?」
「ああ、これか? 竜にとってはこんなもの、大した重さじゃないぞ」
(人型でもいけるんだ……)
ニールは、どこか色気が滲んだ凄艶な美貌をしている。筋肉はしっかりとあるが、すらりとした細身の長身で、いつもパリッとしたスーツやシャツを着ていてかっこいい。
レイは、ニールの麗しすぎる見た目と米俵の何とも言えないギャップに、目を瞬かせた。
***
料理長のヴィンスは、影竜だ。
黒々とした髪は短く刈られていて、カタギとは思えないような厳つい顔をしている。
なお、バレット邸でメイドをしているかわいらしい奥さんもいる。
「へぇ。米ねぇ。初めて見ました……」
ヴィンスは、調理台の上に載っているはじめましてな食材を、鋭く睨みつけた。あまりにも険しすぎて、見つめられている米が可哀想に思えてくる。
「大陸東の地域では、割とよく食べられているな。こっちの方では馴染みがないからか、流通していない」
ニールが商人らしくコメントした。
「えっ……ニールに言えば、お米が食べられたんですか?」
今まで何ヶ月も米を探しまくった苦労を思い、レイは拍子抜けするように肩を落とした。
「レイが食べたいなら、取り寄せたよ。ただ、光竜の里の米は特別だな。ここまで質の良い魔力をたっぷり含んだ米は、人間側では流通していない」
「ぐぅ……まさかこんな近場にお米のヒントがあったとは……! でも、確かに光竜の里のお米は、すごくおいしかったです……」
レイは悔し紛れにがばりとテーブルの上に突っ伏した。
「でも、このままじゃあ食えんでしょう? 竜の歯ならともかく、人間の歯には硬すぎるでしょう?」
ヴィンスが、パラリと米を手にとって分析した。
「あ、これがお米の炊き方のメモです。あと、これがおにぎりというお米料理の一つです」
レイは空間収納から、光竜の里の女中にもらったメモ書きと、里を出る際に持たされたおにぎりを取り出した。
ニールとヴィンスは早速、おにぎりを口にした。
「ほぉ……米と塩だけか。シンプルだが、噛めば噛むほど甘味が出てくるな」
ヴィンスが、分析するようにもぐもぐと頬張った。
「ふむ。悪くないな」
ニールの感想はシンプルだ。
「おいふぃ」
レイはほっこりと緩んだ顔で、普通に食べている。ただ単に食べたかっただけだ。
「まずは少し炊いてみましょうか」
ヴィンスは早速、席を立った。
米を炊くために使う鍋を、物色し始める。
「手伝います! 米ぐらい研げますから!」
レイは腕まくりすると、ふんすっと鼻息荒く席を立った。
ニールはテーブルに着いたまま、興味深そうに二人の様子を眺めていた。
***
「おいふぃ……」
レイは、幸せそうにほくほくとご飯を頬張った。炊きたてほどおいしいものはないのだ。
「ふ~ん。炊きたてだとこうなるのか」
ニールは、感慨深げにご飯を口に含んだ。冷めた状態のおにぎりと比べているようだ。
「味付けはどうしましょう? 本当に塩だけですか?」
ヴィンスが料理人らしく質問をした。
「ご飯には何でも合いますよ! それに、ちゃんとご飯に合う調味料もいただいて来ました!」
レイは空間収納から、どどーんっと、味噌や醤油、味醂、米酢を取り出した——どれも樽ごとだ。
「「おおっ!」」
ヴィンスは珍しい調味料に、極悪そうな目をギラリと輝かせた。
ニールは商品としては見慣れているのか、レイがしっかり調味料を確保していたことに驚いていた。
レイは調理場に置いてあった余り野菜と豚こま肉で、簡単に味噌炒めを作った。適当に切った野菜と豚肉を炒めて、砂糖と味噌、味醂、醤油で味付けをしたものだ。——元の世界では一人暮らしをしていたので、簡単な料理ぐらいならできるのだ。
「うまい! ご飯にも合いますね! あちらの方ではこんな料理が食べられてるんですね!」
ヴィンスは、ご飯と一緒に味噌炒めをかき込んだ。
「レイも料理ができたんだね。おいしいよ」
ニールは目を丸くして、品よく食べていた。
「レイ様! 他にもレシピを教えていただけますか!?」
ヴィンスは未知の料理に刺激されたようだ。早速メモ片手に、レイにぐいぐいと迫っている。
「私に分かるものでしたら……後で光竜の里のお手伝いさんにも、レシピを訊きましょうか?」
「是非!!」
ヴィンスが即座に声をあげると、レイは彼のあまりの勢いに苦笑した。
***
「これで、少しは年相応になるかな」
調理場を出ると、ニールがレイを抱き上げた。その場でくるりと一回転する。
どこか嬉しそうに色鮮やかな黄金眼を緩めて、レイを見上げている。
「むぅ。私、そんなに小さいですか?」
レイはちょっぴり不機嫌そうに頬を膨らませた。
「小さいね。成長してくれるのは嬉しいけど、小さいままもいいかな」
ニールが口角を上げて、にやりと微笑んだ。
「もうっ! ニールのいじわる!!」
レイは抱き上げられたまま、バタバタと手足を動かして抗議の抵抗した。
ニールは「ふははっ」と揶揄うように笑って、くるりくるりと、またその場で回った。
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