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雨の回廊8
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「……あなたは誰? 見た目は似てるけど、ラヒムではないわね。あの人がこんなに強くて、堂々としているはずがないわ」
ガザルは鋭くサディクを睨みつけた。ひたりと重々しい魔力圧が地を這うように漏れ出ている。
ダズがサディクを背中に庇うように躍り出る。額には脂汗が滲み、大剣を握る腕は微かに震えている。
応援に駆けつけた味方の兵士たちは、ガザルの魔力圧に、一歩も近づくことができずにいた。
「震えてるわ。力量差ぐらい、あなたなら分かるでしょう?」
ガザルはじっと検分するように、ダズを見つめている。ギラリと光る黄金眼は、瞳孔が鋭く縦になっていた。
「それでも、守りてぇもんがあるんです」
ダズはハッタリでも何でもにやりと笑った。
「……あなたは勇敢なのね。ラヒムと一緒ね。それに、その血の匂いも……」
ガザルは、ダズの腕を伝う血を一瞥して、少しだけ威圧を弱めた。
「あなたの仰る通りです。私はラヒム殿下ではありません。でも、関係が無いわけでもありません。……ラヒム殿下に会っていただけないでしょうか? 殿下は、あなたを探すために、私を影武者にしました」
サディクは構えていた剣を下げて、静かに語りだした。
「……はぁ」
ガザルが、呆れ返ったように溜め息を吐いた。そのままじとりとした視線で、ある方向を振り向く。
ガザルが見つめた先に、ラヒムとクリフ、イヴァンが転移して来た。
「ガザル! 探したんだ!! 君に伝えたいことがあるんだ!!」
ラヒムは認識阻害がかかっているフードも脱げ、ガザルの元へ一目散に駆け寄って行った。
「ラヒムさん!? それに、クリフとイヴァンさんも!?」
レイもびっくりして、思わず声をあげた。
「私たちが修復作業していた時に、かの方が泣きついてきたんです」
イヴァンが困ったように肩をすくめて言った。
「高位の存在なら、すぐに君を見つけられる。ガザルにまた会えるなら、どんな対価だって支払うよ」
ラヒムは真っ直ぐにガザルを見つめた。
突如現れた本物のラヒム王太子殿下に、味方の兵士たちも呆然としていた。
「ばかっ!! そんなことしたら、いくつ命があっても足りないじゃない!」
ガザルが慌てて嗜めた。
「イヴァン、何を対価に取ったの?」
「おや? 相変わらず私にはお厳しい。それは秘密ですよ。契約事項ですから」
「イヴァン!」
ガザルはイヴァンをギロリと睨みつけ、グルグルグルと低く竜が唸るような鳴き声を漏らす。
イヴァンは、ガザルの反応を楽しむように頬を緩めていた。
「そんなことより、ガザル。私の話を聴いて欲しい」
ラヒムが一歩、ガザルに近寄ると、彼女は少し面食らったように思わず一歩退がった。
「ガザル、私と共に生きて欲しい」
ラヒムは、戸惑うガザルの手を素早く取り、跪いて彼女を見上げて言った。
騎士が貴婦人に愛を乞う姿勢だ。
「あの後、ずっと考えたんだ。君が現れなかったあの日、本当は君に逃げてくれ、生きてくれと伝えるつもりだった。だけど、君には伝えられなかった。……その時に心底思ったんだ。君がいないと、私は私じゃない……君がいないのなら、私は生きていけない、と……」
ラヒムは目を真っ赤にして涙ぐんだ。ズビリと鼻を啜る。
「ラヒム……あなた、本当に仕方のない人ね……こんな時ぐらい、格好つけられないの?」
ガザルの白く細い指が、愛おしげにラヒムの頬に触れる。彼女の声も揺らいでいる。
「ガザル、愛している。私と共に、逃げてくれるかい? 共に生きよう」
ラヒムが震える声で紡ぐ。
「……いいの?」
「私よりも弟の方が優秀だ。むしろ、私よりも上手くやってくれるよ。もう、弟にも許可は取ってある」
ラヒムがほろ苦く笑う。
「ラヒム!!」
ガザルがぎゅっと、ラヒムに抱きついた。満面の泣き笑いだ。
ラヒムも、ガザルをしっかりと抱き返す。こちらは泣きすぎて顔面崩壊している。
「あ、イヴァンさん……いいんですか?」
レイは目尻に少し溜まった涙を指先で拭った。
「ええ。一度くらいは、彼女に心から愛する人と結ばれて欲しいと思ってましたから。それに、ここはループしますしね。一度くらい、彼女の無理矢理な泣き笑いではなく、心からの笑顔を見てみたかったですし」
イヴァンの表情は切なくて、見ているだけでもきゅっと胸の辺りがほろ痛むほどが、どこか嬉しそうでもあった。
「ちょっと帝国兵を蹴散らしてくるわ」という不穏な言葉と共に、ガザルとラヒムはどこかへと転移して行った。ただ、彼女はとても晴れやかな笑顔だった。
イヴァンは寂しそうに、その姿を見送った。
ガザルとラヒムが転移して行った瞬間、辺りは見渡す限りのローズ色の砂漠になっていた。
もう、サハリア兵もエスパルド兵もどこにもいなかった。
砂漠の真ん中にぽつりと、イヴァンとレイたち四人だけがいた。
「イヴァンさんは、砂竜王様のことが、大好きなんですね」
レイは、元の少女の姿に戻って、イヴァンを見上げた。
「ええ、愛してますよ。心から。愚かで、美しく、とても強い女性だ」
イヴァンは瞼を閉じて、彼女の笑顔を心に焼き付けているようだった。
「私はいつでも、この砂漠の砂と——彼女と共にいます。妖精の愛情は執着に近い。愛でて愛でて、相手をダメにしてまでも甘やかして愛でるのが、妖精の愛です」
(……それは、ちょっと怖いかも……)
レイは妖精の重たい愛に苦笑いした。
(でも、そうでなきゃ、きっとイヴァンさんはこんな世界を作ったりしない)
七百年前のサハリア王国の時を閉じ込め、街並みを、人々を、そこにあったであろう感情を、完全に再現している世界。それを、何度も何度も繰り返す。糸車のように、くるくるくるりと回りめぐらし、何度でも、何回でも、愛しい人に会うために。
——ドサッ!
「ダズ!? 大丈夫か!?」
急に倒れたダズに、サディクがびっくりして駆け寄る。
「……これは、痺れ毒か?」
クリフが、ダズの腕を手に取り、冷静に怪我の様子をみた。
「刺客の剣の刃に何か塗られてたんだろ? 毒には慣れてるけど、さすがに効いてきた……」
ダズがたどたどしく答える。
「わぁっ! すぐに治しますね! キュア! ヒール!」
レイが傷口に手をかざして解毒と治癒魔術をかけると、あっという間にスッと傷が消えていった。
「本当にあらゆる魔術が使えるんだな」
クリフが呆れ半分、感心半分で呟いた。
「おー、ありがとう。すげぇ。こんなに早く治せる奴は初めて見たよ」
ダズは上半身をむくりと起こすと、傷があった方の腕をぷらぷらさせて、感心して眺めていた。
「治って良かったです」
レイはダズの平気そうな様子にほっとして、にっこりと笑った。
「? どうかされました?」
レイはイヴァンにじっと見つめられて、不思議そうに彼を見上げた。
「はじめはこのまま見て見ぬ振りをするつもりでしたが……これはお礼です。私は糸車の妖精。糸を紡ぐ者——縁の糸も紡げます」
イヴァンの深緑の瞳に、木漏れ日が差し込むように光が煌めく。
イヴァンはレイの左手を取ると、軽く魔力を込めた。レイの手が淡く光り、薄紅色の糸状の魔力が彼女の周りをぐるぐると巡って、その左手の小指にきゅっと結びを作った。
イヴァンは、その糸をひと掬いして、さらに魔力を込めた。まるで紅葉していくかのように、薄紅色の糸が、色鮮やかにくっきりと赤く色づく。
「こんなに薄い縁の糸しか紡げないようでは、我が同族も力が落ちたものです」
イヴァンが困ったように苦笑する。
「縁……?」
「妖精の縁ですよ。それとも、あなたのパートナーの訪いは、まだですか?」
「……訪い……あっ!」
レイは、小首を傾げて考え込むと、パッと思い出した。
ユグドラに来たばかりの時に、見かけた少年がいたことを——イヴァンのように、木漏れ日のように煌めくエメラルド色の瞳を。
「ふむ。同族も、まだまだのようですね」
やれやれと言いたげに、イヴァンはくすりと笑った。
「さて、この世界の修復も終わりました。彼女の笑顔も見れましたし、あなた方をお帰ししましょう」
イヴァンは、美しい水鏡を出した。白銀色の縁にはレースのような繊細な飾りが施され、水鏡を囲うように淡い紫色のイヌサフランの花が咲き誇っていた。
水鏡の鏡面は、深い水底のような暗い藍色で、そこからはザアザアと雨が降り注いでいるような音がしている。
「ここを通れば、元の世界に戻れるでしょう」
「世話になった。感謝する」
サディクが鏡面にその指先を触れると、水の波紋が広がり、鏡の中へと吸い込まれていった。
ダズとクリフも感謝の言葉を伝えて、サディクの後に続く。
「私の愛は、これはこれで満足です。ですが、是非あなたは、きちんと捕まえてください。せっかく私が縁を紡いだのですから……」
「はい! ありがとうございました!」
最後にレイが水鏡に触れようとした時に、イヴァンが穏やかに伝えてきた。ふわりと柔らかい笑みだった。
レイも微笑んで礼を言った。
「それでは皆さま、さようなら」
水鏡の向こう側の世界に、イヴァンが小さく手を振るのが見えた。
ガザルは鋭くサディクを睨みつけた。ひたりと重々しい魔力圧が地を這うように漏れ出ている。
ダズがサディクを背中に庇うように躍り出る。額には脂汗が滲み、大剣を握る腕は微かに震えている。
応援に駆けつけた味方の兵士たちは、ガザルの魔力圧に、一歩も近づくことができずにいた。
「震えてるわ。力量差ぐらい、あなたなら分かるでしょう?」
ガザルはじっと検分するように、ダズを見つめている。ギラリと光る黄金眼は、瞳孔が鋭く縦になっていた。
「それでも、守りてぇもんがあるんです」
ダズはハッタリでも何でもにやりと笑った。
「……あなたは勇敢なのね。ラヒムと一緒ね。それに、その血の匂いも……」
ガザルは、ダズの腕を伝う血を一瞥して、少しだけ威圧を弱めた。
「あなたの仰る通りです。私はラヒム殿下ではありません。でも、関係が無いわけでもありません。……ラヒム殿下に会っていただけないでしょうか? 殿下は、あなたを探すために、私を影武者にしました」
サディクは構えていた剣を下げて、静かに語りだした。
「……はぁ」
ガザルが、呆れ返ったように溜め息を吐いた。そのままじとりとした視線で、ある方向を振り向く。
ガザルが見つめた先に、ラヒムとクリフ、イヴァンが転移して来た。
「ガザル! 探したんだ!! 君に伝えたいことがあるんだ!!」
ラヒムは認識阻害がかかっているフードも脱げ、ガザルの元へ一目散に駆け寄って行った。
「ラヒムさん!? それに、クリフとイヴァンさんも!?」
レイもびっくりして、思わず声をあげた。
「私たちが修復作業していた時に、かの方が泣きついてきたんです」
イヴァンが困ったように肩をすくめて言った。
「高位の存在なら、すぐに君を見つけられる。ガザルにまた会えるなら、どんな対価だって支払うよ」
ラヒムは真っ直ぐにガザルを見つめた。
突如現れた本物のラヒム王太子殿下に、味方の兵士たちも呆然としていた。
「ばかっ!! そんなことしたら、いくつ命があっても足りないじゃない!」
ガザルが慌てて嗜めた。
「イヴァン、何を対価に取ったの?」
「おや? 相変わらず私にはお厳しい。それは秘密ですよ。契約事項ですから」
「イヴァン!」
ガザルはイヴァンをギロリと睨みつけ、グルグルグルと低く竜が唸るような鳴き声を漏らす。
イヴァンは、ガザルの反応を楽しむように頬を緩めていた。
「そんなことより、ガザル。私の話を聴いて欲しい」
ラヒムが一歩、ガザルに近寄ると、彼女は少し面食らったように思わず一歩退がった。
「ガザル、私と共に生きて欲しい」
ラヒムは、戸惑うガザルの手を素早く取り、跪いて彼女を見上げて言った。
騎士が貴婦人に愛を乞う姿勢だ。
「あの後、ずっと考えたんだ。君が現れなかったあの日、本当は君に逃げてくれ、生きてくれと伝えるつもりだった。だけど、君には伝えられなかった。……その時に心底思ったんだ。君がいないと、私は私じゃない……君がいないのなら、私は生きていけない、と……」
ラヒムは目を真っ赤にして涙ぐんだ。ズビリと鼻を啜る。
「ラヒム……あなた、本当に仕方のない人ね……こんな時ぐらい、格好つけられないの?」
ガザルの白く細い指が、愛おしげにラヒムの頬に触れる。彼女の声も揺らいでいる。
「ガザル、愛している。私と共に、逃げてくれるかい? 共に生きよう」
ラヒムが震える声で紡ぐ。
「……いいの?」
「私よりも弟の方が優秀だ。むしろ、私よりも上手くやってくれるよ。もう、弟にも許可は取ってある」
ラヒムがほろ苦く笑う。
「ラヒム!!」
ガザルがぎゅっと、ラヒムに抱きついた。満面の泣き笑いだ。
ラヒムも、ガザルをしっかりと抱き返す。こちらは泣きすぎて顔面崩壊している。
「あ、イヴァンさん……いいんですか?」
レイは目尻に少し溜まった涙を指先で拭った。
「ええ。一度くらいは、彼女に心から愛する人と結ばれて欲しいと思ってましたから。それに、ここはループしますしね。一度くらい、彼女の無理矢理な泣き笑いではなく、心からの笑顔を見てみたかったですし」
イヴァンの表情は切なくて、見ているだけでもきゅっと胸の辺りがほろ痛むほどが、どこか嬉しそうでもあった。
「ちょっと帝国兵を蹴散らしてくるわ」という不穏な言葉と共に、ガザルとラヒムはどこかへと転移して行った。ただ、彼女はとても晴れやかな笑顔だった。
イヴァンは寂しそうに、その姿を見送った。
ガザルとラヒムが転移して行った瞬間、辺りは見渡す限りのローズ色の砂漠になっていた。
もう、サハリア兵もエスパルド兵もどこにもいなかった。
砂漠の真ん中にぽつりと、イヴァンとレイたち四人だけがいた。
「イヴァンさんは、砂竜王様のことが、大好きなんですね」
レイは、元の少女の姿に戻って、イヴァンを見上げた。
「ええ、愛してますよ。心から。愚かで、美しく、とても強い女性だ」
イヴァンは瞼を閉じて、彼女の笑顔を心に焼き付けているようだった。
「私はいつでも、この砂漠の砂と——彼女と共にいます。妖精の愛情は執着に近い。愛でて愛でて、相手をダメにしてまでも甘やかして愛でるのが、妖精の愛です」
(……それは、ちょっと怖いかも……)
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(でも、そうでなきゃ、きっとイヴァンさんはこんな世界を作ったりしない)
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急に倒れたダズに、サディクがびっくりして駆け寄る。
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クリフが、ダズの腕を手に取り、冷静に怪我の様子をみた。
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レイが傷口に手をかざして解毒と治癒魔術をかけると、あっという間にスッと傷が消えていった。
「本当にあらゆる魔術が使えるんだな」
クリフが呆れ半分、感心半分で呟いた。
「おー、ありがとう。すげぇ。こんなに早く治せる奴は初めて見たよ」
ダズは上半身をむくりと起こすと、傷があった方の腕をぷらぷらさせて、感心して眺めていた。
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イヴァンの深緑の瞳に、木漏れ日が差し込むように光が煌めく。
イヴァンはレイの左手を取ると、軽く魔力を込めた。レイの手が淡く光り、薄紅色の糸状の魔力が彼女の周りをぐるぐると巡って、その左手の小指にきゅっと結びを作った。
イヴァンは、その糸をひと掬いして、さらに魔力を込めた。まるで紅葉していくかのように、薄紅色の糸が、色鮮やかにくっきりと赤く色づく。
「こんなに薄い縁の糸しか紡げないようでは、我が同族も力が落ちたものです」
イヴァンが困ったように苦笑する。
「縁……?」
「妖精の縁ですよ。それとも、あなたのパートナーの訪いは、まだですか?」
「……訪い……あっ!」
レイは、小首を傾げて考え込むと、パッと思い出した。
ユグドラに来たばかりの時に、見かけた少年がいたことを——イヴァンのように、木漏れ日のように煌めくエメラルド色の瞳を。
「ふむ。同族も、まだまだのようですね」
やれやれと言いたげに、イヴァンはくすりと笑った。
「さて、この世界の修復も終わりました。彼女の笑顔も見れましたし、あなた方をお帰ししましょう」
イヴァンは、美しい水鏡を出した。白銀色の縁にはレースのような繊細な飾りが施され、水鏡を囲うように淡い紫色のイヌサフランの花が咲き誇っていた。
水鏡の鏡面は、深い水底のような暗い藍色で、そこからはザアザアと雨が降り注いでいるような音がしている。
「ここを通れば、元の世界に戻れるでしょう」
「世話になった。感謝する」
サディクが鏡面にその指先を触れると、水の波紋が広がり、鏡の中へと吸い込まれていった。
ダズとクリフも感謝の言葉を伝えて、サディクの後に続く。
「私の愛は、これはこれで満足です。ですが、是非あなたは、きちんと捕まえてください。せっかく私が縁を紡いだのですから……」
「はい! ありがとうございました!」
最後にレイが水鏡に触れようとした時に、イヴァンが穏やかに伝えてきた。ふわりと柔らかい笑みだった。
レイも微笑んで礼を言った。
「それでは皆さま、さようなら」
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◆関連作品
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『冒険者を辞めたら天職でした 〜パーティーを追放された凄腕治癒師は、大聖者と崇められる〜』
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