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閑話 剣聖見た目会議〜サハリア王国編〜
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「軍で剣の指南役をやるなら、少し相談があるのですが……」
レイが神妙な面持ちで、徐に切り出した。
「ああ、何だ? 何か不安でもあるのか?」
ダズが珍しく目をぱちくりさせて、訊き返した。
レイを、サハリア王国の軍の訓練に誘ったのは、彼だ。何か不安があるのなら、何でも相談に乗るつもりだ。
「……私、思いっきり見た目が子供ですよね? このまま軍の訓練に参加して、大丈夫ですか?」
——根本的な問題であった。
「そういえば、そうだった! レイはすごく落ち着いてるし、全然子供っぽくないから普通に接してたけど、まだ子供じゃん!!!」
ダズは一気に頭を抱えた。
さらにレイは、日本人の平均身長ぐらい——つまり、この世界では小柄であった。一応、年齢は十三歳となってはいるが、見た目だけで言えば、この世界では十歳ぐらいに見えてしまう……軍の訓練に参加しようものなら、必ずストップがかかってしまうだろう。
「レイは変身魔術は使えるか? それなら周囲を誤魔化せるだろう?」
「あ、使えますよ!」
クリフの質問に、レイは「その手があった!」と手をポンッと叩いた。同時にリリスの姿に変身する。
肩下ぐらいの白いストレートの髪、ぱっちりとまつ毛の長い緑色の瞳、今のレイよりも少し背の高い、お人形さんのようにかわいらしい少女の姿だ。
「私が使える変身魔術の姿はこれです。先代の、鈴蘭の三大魔女です。……クリフ?」
レイは、リリスの姿で小首を傾げ、全く反応の無いクリフを見上げた。
「……なんて、可憐な……」
クリフは、ぽ~っと見惚れるように、じっとリリス姿のレイを見つめていた。
「クリフ?」
「はっ! すまない……その、代替りしているということは、彼女はもう……」
「ええ、残念ながら……」
「……そうか……」
クリフは、あからさまに肩を落とした。
「珍しいね、クリフが女の子に見惚れるなんて」
カタリーナはそう呟くと、目を丸くして驚いていた。
「だが、その姿でも軍の訓練は難しいな。他には変身できないのか?」
ダズは難しい顔をして尋ねた。
「……他の姿……」
レイは腕を組んで考え込んでしまった。かわいらしいお人形さん顔の眉間に、薄らと皺が寄る。
(そういえば、ダリルに変身魔術の見本は見せてもらったけど、変身の仕方と、元に戻るやり方だけで、細かい設定の仕方は教わってなかったかも……)
レイがリリスの姿に変身できるのは、リリスがレイにくれた加護のおかげだ。——レイは、詳細設定が大変だという、変身魔術の「姿の設定」を、したことがなかった。
「レイなら口寄せ魔術で、歴代剣聖の姿をとれるのではないでしょうか?」
それまでずっと様子を窺っていたレヴィが、軽く挙手をして提案した。
「口寄せ魔術で??」
「そうです。口寄せ魔術で、私の『歴代のご主人様の姿に変身できる』スキルを真似るのです」
「……うん、分かった。やってみる!」
レイは、レヴィに言われた通り、口寄せ魔術を使ってみた。
(口寄せ! ……あれ? 歴代剣聖って、いっぱいいるよね? 誰に変身しよう??)
レイの脳裏にフッと、今までで最も見た目のインパクトが強かった剣聖——フォレストエイプ、いや、レイの元の世界でいうゴリラのように筋骨隆々な大柄の男性——十三代目剣聖の姿がよぎった。
ポンッという軽い音とともに、レイの視点は、隣に立っているレヴィを見下ろすほど高くなっていた。チラリと見えた腕は、非常に太く、筋が浮き立つほどの筋肉がついていた。
「やった! できました!! ……あれ? みんな、どうしたの?」
レイが喜んで小さくジャンプした後、他のメンバーを見回すと、全員がとんでもなく渋い顔をして、レイを凝視していた——レヴィでさえも、残念なものを見る目でこちらを見上げていた。
十三代目剣聖は、非常に立派でしなやかな筋肉が、鎧のように身体全体を覆っていた。特に、腕の筋肉は太く、手もかなりの大きさだ——「鉄拳」とは、彼のためにあるような言葉だろう。
やや面長の、精悍な男らしい顔つきで、その頭皮はつるりと輝かんばかりだ。
きりりと太ましい眉毛と、くるりと先が巻いた口髭がチャームポイントだ。
なお、息子である十四代目剣聖とは、瓜二つだ。
「……レイ、そのガタイと見た目は、兵士としては完璧だ……だが、表情や仕草が女の子すぎて、正直、見ているのが辛すぎる……やめてくれ……」
ダズが、その大きな片手で目元を覆い、苦しげにたどたどしく伝えてきた。
「えぇぇーっ!? せっかく、変身したのに!」
「……その見た目で、その喋り方も、やめてくれ……」
ダズは、今度は両手で顔を覆い、そのまま天を仰いだ。
***
「……今から、レイの『剣の指南役の姿』会議を開始します……」
ルーファスが、非常に神妙な顔で、司会進行を始めた。
「レイは、変身魔術の詳細設定はできないのか?」
クリフが、そもそもの根本的な質問を始めた。
「変身の仕方と解き方は分かるのですが、『姿の設定』は習ったことがないです」
「それなら、俺が『姿の設定』のやり方を教えよう。ただ、一から設定するのは大変だから、歴代剣聖の姿を元に微調整するのはどうだろう?」
「……確かに、それならいけるかもしれないです。一応、以前の剣聖の姿には変身できましたし」
レイがこくりと頷いた。
「それじゃあ、歴代剣聖の姿から選ぼうか。……でも、僕たちはそもそも、全ての剣聖の姿を知ってるわけじゃないんだよね」
「分かりました。それでは、初代から変身しますね」
ルーファスが、ちらりとレヴィの方に視線をやると、レヴィも心得たもので、こくりと頷いて、初代から歴代剣聖の姿へと変身していった。
「なっ……竜人の剣聖だと!?」
「ええ。私を作ったのは、竜人ですから」
「へーっ! 始めて見た! どいつも強そうだねぇ」
「結構、亜人もいるんだな。まあ、でも今回は人間を対象に絞ろうか」
「僕は、英雄劇で有名な十六代目と、ここ最近の剣聖しか知らなかったな。歴代剣聖って、結構、多いんだね」
銀の不死鳥と、鉄竜の鱗メンバーは、レヴィが次々と変身していく姿を眺めては、口々にいろいろと感想を漏らしていった。
「ちょっと待って!! 私の姿は、変身しなくていいからね!」
「えぇ……」
一通り歴代剣聖に変身した後、レイは当代剣聖にまで変身しようとしていたレヴィを、急遽止めに入った。
(だって、ただでさえ自分の姿を見るのは恥ずかしいのに、変身すると、いつももじもじしてるじゃない!)
レイはちょっぴり、ぷっくりとむくれた。
レヴィは少しだけ、残念そうにしていた。
「それで、誰にしようか?」
司会進行役のルーファスが尋ねた。
「「「フォレストエイプは、無い!!」」」
「やっぱり、そうですよね!」
鉄竜の鱗メンバー三人は声を揃えて宣言し、レイは同意してうんうんと力強く頷いた。
「あんなのが軍部に指導に来てみろ……おそらく、訓練が始まる前から、いろんな意味で全員が逃げ出す……」
ダズは何かトラウマがあるかのように、両腕で己を抱きしめて、ぶるりと震えた。
「それから、有名な剣聖や直近の剣聖は外そう。いくら調整するとはいえ、顔も知られている分、変に血縁を疑われる可能性がある」
クリフの尤もな意見に、全員が頷いた。
「あたしは十代目なんか、いいと思うな。砂漠って日差しが強いからさ、肌が弱いと大変だよ? 軍の訓練なんて、外でやることも多いだろ?」
カタリーナが、バシッと意見を述べた。
「確かに、十代目ご主人様は、砂漠出身でした」
「口寄せ!」
レイは、十代目剣聖に変身してみた。
砂漠出身ということもあり、肌は色黒で、照りつける日差しにも強そうだ。くすんだプラチナ色の長髪と、エメラルドグリーンの瞳をしていて、どこかエキゾチックだ。
剣聖というだけあって、がっしりとした体格ではあるが、顔立ちは整っていて、爽やかな系統だ。
「う~ん……やっぱり、男の姿だとレイは違和感があるかも……」
カタリーナは少し難しい顔をして、首を捻っていた。
「表情や仕草が女の子だもんな。剣聖はゴツい奴が多いし、余計に違和感を感じるな」
ダズも同意している。
「それなら、十代目剣聖をベースに、女性型に調整したらどうだ? 十代目剣聖は、元の顔もそこまで男らしい顔つきではないしな」
「そうですね、やってみましょう!」
レイは、クリフから変身魔術の「姿の設定方法」を教えてもらうと、早速、十代目剣聖の姿を調整して、変身魔術を使ってみた。
「どうでしょう?」
レイは変身魔術を使うと、その場でくるりと回った。
十代目剣聖と同じ色黒で、大人の女性にしてはやや背が高くてがっしりめな体格だが、「女剣士」と言われれば、頷けるような体格だ。
ツンと目尻が少しだけ上がった、エメラルドグリーンの猫目が愛らしい顔立ちだ。
プラチナ色の髪は、レイがなんだか落ち着かなかったので、ウェーブがかった艶やかな黒髪に変えている。
「う~ん、『レイ』っていうよりかは『アルメダ』って感じ?」
「ははっ! 確かに、『アルメダ』って感じだな」
「じゃあ、この姿の時は、私のことは『アルメダ』って呼んでくださいね!」
レイはにっこりと笑って、了承した。
(ちょっと、面白そうかも!)
どこか「変身ごっこ」という感じがして、とてもうきうきワクワクしていた。
(……何よりも、人生初の巨乳!!)
レイは心の中でがっしりと力強くガッツポーズをとり、静かに感動に打ち震えていたのであった。
レイが神妙な面持ちで、徐に切り出した。
「ああ、何だ? 何か不安でもあるのか?」
ダズが珍しく目をぱちくりさせて、訊き返した。
レイを、サハリア王国の軍の訓練に誘ったのは、彼だ。何か不安があるのなら、何でも相談に乗るつもりだ。
「……私、思いっきり見た目が子供ですよね? このまま軍の訓練に参加して、大丈夫ですか?」
——根本的な問題であった。
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ダズは一気に頭を抱えた。
さらにレイは、日本人の平均身長ぐらい——つまり、この世界では小柄であった。一応、年齢は十三歳となってはいるが、見た目だけで言えば、この世界では十歳ぐらいに見えてしまう……軍の訓練に参加しようものなら、必ずストップがかかってしまうだろう。
「レイは変身魔術は使えるか? それなら周囲を誤魔化せるだろう?」
「あ、使えますよ!」
クリフの質問に、レイは「その手があった!」と手をポンッと叩いた。同時にリリスの姿に変身する。
肩下ぐらいの白いストレートの髪、ぱっちりとまつ毛の長い緑色の瞳、今のレイよりも少し背の高い、お人形さんのようにかわいらしい少女の姿だ。
「私が使える変身魔術の姿はこれです。先代の、鈴蘭の三大魔女です。……クリフ?」
レイは、リリスの姿で小首を傾げ、全く反応の無いクリフを見上げた。
「……なんて、可憐な……」
クリフは、ぽ~っと見惚れるように、じっとリリス姿のレイを見つめていた。
「クリフ?」
「はっ! すまない……その、代替りしているということは、彼女はもう……」
「ええ、残念ながら……」
「……そうか……」
クリフは、あからさまに肩を落とした。
「珍しいね、クリフが女の子に見惚れるなんて」
カタリーナはそう呟くと、目を丸くして驚いていた。
「だが、その姿でも軍の訓練は難しいな。他には変身できないのか?」
ダズは難しい顔をして尋ねた。
「……他の姿……」
レイは腕を組んで考え込んでしまった。かわいらしいお人形さん顔の眉間に、薄らと皺が寄る。
(そういえば、ダリルに変身魔術の見本は見せてもらったけど、変身の仕方と、元に戻るやり方だけで、細かい設定の仕方は教わってなかったかも……)
レイがリリスの姿に変身できるのは、リリスがレイにくれた加護のおかげだ。——レイは、詳細設定が大変だという、変身魔術の「姿の設定」を、したことがなかった。
「レイなら口寄せ魔術で、歴代剣聖の姿をとれるのではないでしょうか?」
それまでずっと様子を窺っていたレヴィが、軽く挙手をして提案した。
「口寄せ魔術で??」
「そうです。口寄せ魔術で、私の『歴代のご主人様の姿に変身できる』スキルを真似るのです」
「……うん、分かった。やってみる!」
レイは、レヴィに言われた通り、口寄せ魔術を使ってみた。
(口寄せ! ……あれ? 歴代剣聖って、いっぱいいるよね? 誰に変身しよう??)
レイの脳裏にフッと、今までで最も見た目のインパクトが強かった剣聖——フォレストエイプ、いや、レイの元の世界でいうゴリラのように筋骨隆々な大柄の男性——十三代目剣聖の姿がよぎった。
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「やった! できました!! ……あれ? みんな、どうしたの?」
レイが喜んで小さくジャンプした後、他のメンバーを見回すと、全員がとんでもなく渋い顔をして、レイを凝視していた——レヴィでさえも、残念なものを見る目でこちらを見上げていた。
十三代目剣聖は、非常に立派でしなやかな筋肉が、鎧のように身体全体を覆っていた。特に、腕の筋肉は太く、手もかなりの大きさだ——「鉄拳」とは、彼のためにあるような言葉だろう。
やや面長の、精悍な男らしい顔つきで、その頭皮はつるりと輝かんばかりだ。
きりりと太ましい眉毛と、くるりと先が巻いた口髭がチャームポイントだ。
なお、息子である十四代目剣聖とは、瓜二つだ。
「……レイ、そのガタイと見た目は、兵士としては完璧だ……だが、表情や仕草が女の子すぎて、正直、見ているのが辛すぎる……やめてくれ……」
ダズが、その大きな片手で目元を覆い、苦しげにたどたどしく伝えてきた。
「えぇぇーっ!? せっかく、変身したのに!」
「……その見た目で、その喋り方も、やめてくれ……」
ダズは、今度は両手で顔を覆い、そのまま天を仰いだ。
***
「……今から、レイの『剣の指南役の姿』会議を開始します……」
ルーファスが、非常に神妙な顔で、司会進行を始めた。
「レイは、変身魔術の詳細設定はできないのか?」
クリフが、そもそもの根本的な質問を始めた。
「変身の仕方と解き方は分かるのですが、『姿の設定』は習ったことがないです」
「それなら、俺が『姿の設定』のやり方を教えよう。ただ、一から設定するのは大変だから、歴代剣聖の姿を元に微調整するのはどうだろう?」
「……確かに、それならいけるかもしれないです。一応、以前の剣聖の姿には変身できましたし」
レイがこくりと頷いた。
「それじゃあ、歴代剣聖の姿から選ぼうか。……でも、僕たちはそもそも、全ての剣聖の姿を知ってるわけじゃないんだよね」
「分かりました。それでは、初代から変身しますね」
ルーファスが、ちらりとレヴィの方に視線をやると、レヴィも心得たもので、こくりと頷いて、初代から歴代剣聖の姿へと変身していった。
「なっ……竜人の剣聖だと!?」
「ええ。私を作ったのは、竜人ですから」
「へーっ! 始めて見た! どいつも強そうだねぇ」
「結構、亜人もいるんだな。まあ、でも今回は人間を対象に絞ろうか」
「僕は、英雄劇で有名な十六代目と、ここ最近の剣聖しか知らなかったな。歴代剣聖って、結構、多いんだね」
銀の不死鳥と、鉄竜の鱗メンバーは、レヴィが次々と変身していく姿を眺めては、口々にいろいろと感想を漏らしていった。
「ちょっと待って!! 私の姿は、変身しなくていいからね!」
「えぇ……」
一通り歴代剣聖に変身した後、レイは当代剣聖にまで変身しようとしていたレヴィを、急遽止めに入った。
(だって、ただでさえ自分の姿を見るのは恥ずかしいのに、変身すると、いつももじもじしてるじゃない!)
レイはちょっぴり、ぷっくりとむくれた。
レヴィは少しだけ、残念そうにしていた。
「それで、誰にしようか?」
司会進行役のルーファスが尋ねた。
「「「フォレストエイプは、無い!!」」」
「やっぱり、そうですよね!」
鉄竜の鱗メンバー三人は声を揃えて宣言し、レイは同意してうんうんと力強く頷いた。
「あんなのが軍部に指導に来てみろ……おそらく、訓練が始まる前から、いろんな意味で全員が逃げ出す……」
ダズは何かトラウマがあるかのように、両腕で己を抱きしめて、ぶるりと震えた。
「それから、有名な剣聖や直近の剣聖は外そう。いくら調整するとはいえ、顔も知られている分、変に血縁を疑われる可能性がある」
クリフの尤もな意見に、全員が頷いた。
「あたしは十代目なんか、いいと思うな。砂漠って日差しが強いからさ、肌が弱いと大変だよ? 軍の訓練なんて、外でやることも多いだろ?」
カタリーナが、バシッと意見を述べた。
「確かに、十代目ご主人様は、砂漠出身でした」
「口寄せ!」
レイは、十代目剣聖に変身してみた。
砂漠出身ということもあり、肌は色黒で、照りつける日差しにも強そうだ。くすんだプラチナ色の長髪と、エメラルドグリーンの瞳をしていて、どこかエキゾチックだ。
剣聖というだけあって、がっしりとした体格ではあるが、顔立ちは整っていて、爽やかな系統だ。
「う~ん……やっぱり、男の姿だとレイは違和感があるかも……」
カタリーナは少し難しい顔をして、首を捻っていた。
「表情や仕草が女の子だもんな。剣聖はゴツい奴が多いし、余計に違和感を感じるな」
ダズも同意している。
「それなら、十代目剣聖をベースに、女性型に調整したらどうだ? 十代目剣聖は、元の顔もそこまで男らしい顔つきではないしな」
「そうですね、やってみましょう!」
レイは、クリフから変身魔術の「姿の設定方法」を教えてもらうと、早速、十代目剣聖の姿を調整して、変身魔術を使ってみた。
「どうでしょう?」
レイは変身魔術を使うと、その場でくるりと回った。
十代目剣聖と同じ色黒で、大人の女性にしてはやや背が高くてがっしりめな体格だが、「女剣士」と言われれば、頷けるような体格だ。
ツンと目尻が少しだけ上がった、エメラルドグリーンの猫目が愛らしい顔立ちだ。
プラチナ色の髪は、レイがなんだか落ち着かなかったので、ウェーブがかった艶やかな黒髪に変えている。
「う~ん、『レイ』っていうよりかは『アルメダ』って感じ?」
「ははっ! 確かに、『アルメダ』って感じだな」
「じゃあ、この姿の時は、私のことは『アルメダ』って呼んでくださいね!」
レイはにっこりと笑って、了承した。
(ちょっと、面白そうかも!)
どこか「変身ごっこ」という感じがして、とてもうきうきワクワクしていた。
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