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街道の街クルーセ
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銀の不死鳥と鉄竜の鱗一行は、サハリアへ向けて、さらに東へと進んでいた。
「次はクルーセの街だな。ここは街道の合流地点だから、ここで食糧調達するか」
クリフが地図を指差しながら、メンバーに提案してきた。
「街道の合流地点?」
「シルクロードだ」
「シルクロード!?」
(この世界にも、シルクロードが!?)
レイは久々に聞いた、元の世界でも馴染みある言葉に、瞳をキラキラと輝かせた。
「元々は、魔蚕の絹織物や魔術素材の交易に使われていた陸の街道だ。今でも商隊の通り道になっている」
クリフが、まるで歴史の先生のように、丁寧に説明してくれた。
「各地のいろんな品物が揃ってるから、買い出しにちょうどいいよ。レイも一緒にまわるかい?」
「いいですね! 楽しみです!」
カタリーナのお誘いに、レイは嬉しくてぴょこんと跳ねた。
***
クルーセは、シルクロード上にある宿場町の一つだ。
岩を積み上げて作られた厳つい防護壁に囲まれた街で、街の中に一歩足を踏み入れれば、各地の商人が集まっているのか、さまざまな民族衣装の人々が行き交っていた。
街の出入り口付近には、商隊向けの宿が立ち並び、幾つもの荷馬車が置かれていた。
街中には市場もあり、たくさんのテント張りの店が軒を連ねている。
さすがシルクロード上の宿場町というだけあって、各地の産物を取り扱っているようで、セルバでは見慣れない食べ物や薬草などの商品がいろいろと置いてあった。
カタリーナとレイは連れ立って市場に来ていた。ついでに買い出しもする予定だ。
「シルクロードに黒竜が出たらしいぞ」
(えっ!? ニールが???)
レイはドキリとした。ちらりと声がした方を振り向く。
商人のおじさんたちが、隣の店同士、呼び込みの合間におしゃべりをしているようだ。
「へぇ。その話、聞かせてよ。あと、これをもらうわ」
カタリーナが神妙な顔で、商人のおじさんたちに尋ねた。どうやら、彼女もさっきの話を耳にしていたようだ。
「へい、まいど。干し肉は五百オーロになります。ここから西の方に出たらしい。あのバレット商会の積荷もやられたって噂だ。『黒の暴虐』の再来じゃないかって話で持ちきりですぜ。鉄壁のバレット商隊も、黒竜には形無しみたいだ」
「へぇ……怖いねぇ」
「お客さんは、これから西に向かうんで?」
「いいや、東だ」
「その方がいい。最近、西からの荷物が滞ってる……そのうち、どっかの国かギルドが討伐依頼を出すんじゃないですかね」
「そうなんだね。ありがと」
「いいえ。毎度ありです」
商人のおじさんはにこにこと見送った。
「あの男が、自分の商隊を襲うはずがないからね。大方、別の黒竜だろう」
カタリーナは顎に指を添えると、少し考え込んでブツブツと呟いた。
「カタリーナ、黒竜って……」
「ああ、黒っぽい竜の総称だね。影竜が多いけど、岩竜や土竜、鉄竜の黒っぽい奴も、黒竜って呼ばれたりするよ。竜の討伐依頼は、Aランク以上の冒険者パーティー、もしくは、国の騎士団が動くレベルだね。あたしの知ってる黒竜だったら、おそらく冒険者も騎士団も全滅だったろうね。だけど、今回は別の竜っぽいから、まぁ、大丈夫だろう」
(良かった。ニールじゃないみたい……)
レイはほっと胸を撫で下ろした。
一瞬、主従契約魔術をした影竜王ニールが、暴れたのかとも思ったが、全くの竜違いだったようだ。
「じゃ、さっさと買い物を済まして、みんなの所に戻るか」
「はいっ!」
カタリーナが颯爽と歩き出すと、レイもその後について行った。
***
買い出しが終わると、レイたちは男部屋に集まった。
男部屋は、ベッドだけが置いてある簡素な大人数用の部屋で、それぞれが適当な場所に座った。
「クルーセの冒険者ギルドで情報収集してきたけど、西の方で黒竜が出たみたいだね」
ルーファスが少し不安げな表情で口火を切った。
「ああ、あたしたちも、街中で商人たちが話してるのを聞いたよ」
「カタリーナ、竜討伐はどうする? 参加するか?」
クリフが銀縁眼鏡をクイッと指先で上げて、カタリーナに尋ねた。
竜の討伐は高ランク依頼だ。Sランクパーティーがいるとなれば、真っ先にギルドから声がかかってもおかしくはないのだ。
「黒竜は影竜王ではないみたいだし、大方、竜の思春期かなんかで暴れてるだけだろう。ここの人間たちに任せても大丈夫でしょ。それに、あたしたちとは進行方向が違うし、今回は参加しないよ」
「分かった」
カタリーナの決断に、ダズとクリフはこくりと頷いた。
「そうそう、サハリアへ向かうには、グランド・フォールズを観光しながら向かうコースと、シルクロードを通る通商用のコースがある。どっちで行こうか?」
次に、カタリーナが旅の順路の確認を始めた。
「どう違うんですか? 距離とか日数とか安全性とか……」
「グランド・フォールズは寄り道になるから、プラス五日はみたいね。ただ、あの大滝は絶景だし、一度は観ておいた方がいいよ。あと、観光客が割と多い。シルクロードの方は、通商隊が頻繁に行き来するから、街道とか宿はしっかり整ってる」
「シルクロードを行くなら、通商隊の護衛を引き受けて、宿代なんかを浮かすのが冒険者のセオリーだな。積荷を狙った盗賊団がよく出るんだ」
カタリーナの説明を、ダズが引き継いだ。
「そうなんですね……う~ん……せっかくなので、グランド・フォールズを観てみたいです!」
「いいね。大滝コースにしようか。自然豊かだし、あたしもそっちの方が好きなんだ」
カタリーナが色鮮やかな黄金眼をきらりと光らせて、にっこりと笑った。
「それなら、帰りはシルクロードでもいいし、転移で帰ってもいいね」
「そうしましょう!」
ルーファスとレイが顔を見合わせあって、頷きあった。
「大滝を通るなら、大滝のルールを知っておいた方がいいだろう」
クリフが神妙な顔で、説明を始めた。
「観光のルールですか?」
「観光、というよりは、魔術上のルールだ。グランド・フォールズには高ランク魔物の守り人がいて、そいつが特殊な魔術を大滝とその周辺の森に敷いている。そのルールを守る限りは魔物に襲われないが、一度破れば『獲物』として認定される——普通の人間であれば、生きて帰れなくなる可能性が高い」
レイはごくりと唾を飲み込んだ。
「……そのルールとは?」
「守り人が定めた場所に足を踏み入れないことだ。主に滝や川、それから森の奥地だな」
「……そうなんですね。それじゃあ、普通に人間が通るような道を通っていれば、逆に安全ってことなんですね?」
「まぁ、そうだな」
「『獲物』ってどういうことなんですか?」
「『獲物』はルールを破った人間で、『獲物』になれば、魔物たちに狙われることになる。『獲物』に一番最初に触れた魔物は、『獲得者』というものに魔術上認定されて、その『獲物』に対して一番の優先権を持つ……まぁ、要は誰がその人間を食べるかって問題なだけだ」
「『獲物』になったら、やられっぱなしなんですか?」
「もちろん、『獲物』は自分の力で戦ったり、抵抗したり、逃げ出すこともできる。ただ、大滝周辺の魔物は強いものが多いから、『獲物』に認定されて逃げ切る人間は滅多にいないな」
クリフの説明に、レイはぶるりと身震いをした。
(『獲物』になったら、絶対、逃げ切れる自信ないよ!)
「人里まで逃げ切れば、『獲物』認定が解除されるから、『獲物』になっちまったら、人里に向けて全速力で逃げるのがセオリーだな」
ダズも人差し指を一本立てて、得意げに説明してくれた。
「ううゔっ……絶対に、『獲物』にならないように気をつけます!」
レイはグッと両手の拳を握って、力強く宣言した。
「うん、そうだね。レイはすぐにトラブルに巻き込まれちゃうから、気をつけてね」
「そんなことないですよ!」
ルーファスの言葉に、レイはぷくうっと頬を膨らましてむくれた。
「次はクルーセの街だな。ここは街道の合流地点だから、ここで食糧調達するか」
クリフが地図を指差しながら、メンバーに提案してきた。
「街道の合流地点?」
「シルクロードだ」
「シルクロード!?」
(この世界にも、シルクロードが!?)
レイは久々に聞いた、元の世界でも馴染みある言葉に、瞳をキラキラと輝かせた。
「元々は、魔蚕の絹織物や魔術素材の交易に使われていた陸の街道だ。今でも商隊の通り道になっている」
クリフが、まるで歴史の先生のように、丁寧に説明してくれた。
「各地のいろんな品物が揃ってるから、買い出しにちょうどいいよ。レイも一緒にまわるかい?」
「いいですね! 楽しみです!」
カタリーナのお誘いに、レイは嬉しくてぴょこんと跳ねた。
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岩を積み上げて作られた厳つい防護壁に囲まれた街で、街の中に一歩足を踏み入れれば、各地の商人が集まっているのか、さまざまな民族衣装の人々が行き交っていた。
街の出入り口付近には、商隊向けの宿が立ち並び、幾つもの荷馬車が置かれていた。
街中には市場もあり、たくさんのテント張りの店が軒を連ねている。
さすがシルクロード上の宿場町というだけあって、各地の産物を取り扱っているようで、セルバでは見慣れない食べ物や薬草などの商品がいろいろと置いてあった。
カタリーナとレイは連れ立って市場に来ていた。ついでに買い出しもする予定だ。
「シルクロードに黒竜が出たらしいぞ」
(えっ!? ニールが???)
レイはドキリとした。ちらりと声がした方を振り向く。
商人のおじさんたちが、隣の店同士、呼び込みの合間におしゃべりをしているようだ。
「へぇ。その話、聞かせてよ。あと、これをもらうわ」
カタリーナが神妙な顔で、商人のおじさんたちに尋ねた。どうやら、彼女もさっきの話を耳にしていたようだ。
「へい、まいど。干し肉は五百オーロになります。ここから西の方に出たらしい。あのバレット商会の積荷もやられたって噂だ。『黒の暴虐』の再来じゃないかって話で持ちきりですぜ。鉄壁のバレット商隊も、黒竜には形無しみたいだ」
「へぇ……怖いねぇ」
「お客さんは、これから西に向かうんで?」
「いいや、東だ」
「その方がいい。最近、西からの荷物が滞ってる……そのうち、どっかの国かギルドが討伐依頼を出すんじゃないですかね」
「そうなんだね。ありがと」
「いいえ。毎度ありです」
商人のおじさんはにこにこと見送った。
「あの男が、自分の商隊を襲うはずがないからね。大方、別の黒竜だろう」
カタリーナは顎に指を添えると、少し考え込んでブツブツと呟いた。
「カタリーナ、黒竜って……」
「ああ、黒っぽい竜の総称だね。影竜が多いけど、岩竜や土竜、鉄竜の黒っぽい奴も、黒竜って呼ばれたりするよ。竜の討伐依頼は、Aランク以上の冒険者パーティー、もしくは、国の騎士団が動くレベルだね。あたしの知ってる黒竜だったら、おそらく冒険者も騎士団も全滅だったろうね。だけど、今回は別の竜っぽいから、まぁ、大丈夫だろう」
(良かった。ニールじゃないみたい……)
レイはほっと胸を撫で下ろした。
一瞬、主従契約魔術をした影竜王ニールが、暴れたのかとも思ったが、全くの竜違いだったようだ。
「じゃ、さっさと買い物を済まして、みんなの所に戻るか」
「はいっ!」
カタリーナが颯爽と歩き出すと、レイもその後について行った。
***
買い出しが終わると、レイたちは男部屋に集まった。
男部屋は、ベッドだけが置いてある簡素な大人数用の部屋で、それぞれが適当な場所に座った。
「クルーセの冒険者ギルドで情報収集してきたけど、西の方で黒竜が出たみたいだね」
ルーファスが少し不安げな表情で口火を切った。
「ああ、あたしたちも、街中で商人たちが話してるのを聞いたよ」
「カタリーナ、竜討伐はどうする? 参加するか?」
クリフが銀縁眼鏡をクイッと指先で上げて、カタリーナに尋ねた。
竜の討伐は高ランク依頼だ。Sランクパーティーがいるとなれば、真っ先にギルドから声がかかってもおかしくはないのだ。
「黒竜は影竜王ではないみたいだし、大方、竜の思春期かなんかで暴れてるだけだろう。ここの人間たちに任せても大丈夫でしょ。それに、あたしたちとは進行方向が違うし、今回は参加しないよ」
「分かった」
カタリーナの決断に、ダズとクリフはこくりと頷いた。
「そうそう、サハリアへ向かうには、グランド・フォールズを観光しながら向かうコースと、シルクロードを通る通商用のコースがある。どっちで行こうか?」
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「どう違うんですか? 距離とか日数とか安全性とか……」
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「シルクロードを行くなら、通商隊の護衛を引き受けて、宿代なんかを浮かすのが冒険者のセオリーだな。積荷を狙った盗賊団がよく出るんだ」
カタリーナの説明を、ダズが引き継いだ。
「そうなんですね……う~ん……せっかくなので、グランド・フォールズを観てみたいです!」
「いいね。大滝コースにしようか。自然豊かだし、あたしもそっちの方が好きなんだ」
カタリーナが色鮮やかな黄金眼をきらりと光らせて、にっこりと笑った。
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「そうしましょう!」
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「大滝を通るなら、大滝のルールを知っておいた方がいいだろう」
クリフが神妙な顔で、説明を始めた。
「観光のルールですか?」
「観光、というよりは、魔術上のルールだ。グランド・フォールズには高ランク魔物の守り人がいて、そいつが特殊な魔術を大滝とその周辺の森に敷いている。そのルールを守る限りは魔物に襲われないが、一度破れば『獲物』として認定される——普通の人間であれば、生きて帰れなくなる可能性が高い」
レイはごくりと唾を飲み込んだ。
「……そのルールとは?」
「守り人が定めた場所に足を踏み入れないことだ。主に滝や川、それから森の奥地だな」
「……そうなんですね。それじゃあ、普通に人間が通るような道を通っていれば、逆に安全ってことなんですね?」
「まぁ、そうだな」
「『獲物』ってどういうことなんですか?」
「『獲物』はルールを破った人間で、『獲物』になれば、魔物たちに狙われることになる。『獲物』に一番最初に触れた魔物は、『獲得者』というものに魔術上認定されて、その『獲物』に対して一番の優先権を持つ……まぁ、要は誰がその人間を食べるかって問題なだけだ」
「『獲物』になったら、やられっぱなしなんですか?」
「もちろん、『獲物』は自分の力で戦ったり、抵抗したり、逃げ出すこともできる。ただ、大滝周辺の魔物は強いものが多いから、『獲物』に認定されて逃げ切る人間は滅多にいないな」
クリフの説明に、レイはぶるりと身震いをした。
(『獲物』になったら、絶対、逃げ切れる自信ないよ!)
「人里まで逃げ切れば、『獲物』認定が解除されるから、『獲物』になっちまったら、人里に向けて全速力で逃げるのがセオリーだな」
ダズも人差し指を一本立てて、得意げに説明してくれた。
「ううゔっ……絶対に、『獲物』にならないように気をつけます!」
レイはグッと両手の拳を握って、力強く宣言した。
「うん、そうだね。レイはすぐにトラブルに巻き込まれちゃうから、気をつけてね」
「そんなことないですよ!」
ルーファスの言葉に、レイはぷくうっと頬を膨らましてむくれた。
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◆関連作品
『砂漠の詩』
『雨の回廊』編の過去編スピンオフです。
『冒険者を辞めたら天職でした 〜パーティーを追放された凄腕治癒師は、大聖者と崇められる〜』
『冒険者パーティーを追放された凄腕治癒師を拾いました』編のスピンオフです。
『ジャスティンと魔法少女のステッキ』
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