126 / 347
最も自由な剣技
しおりを挟む
御者のおじさんが紹介してくれた宿は、見た目からして村の食堂だった。
普段は食堂経営がメインのようで、宿の方は、近隣の村人や知り合いなどの限られた人しか泊めていないようだ。
「小さい村だと、なかなか宿が取れないこともあるからね。紹介してもらえると、ありがたいよー」
「ちょうど二部屋取れて良かったですね」
「それに、ご飯も美味しいらしいからね」
「楽しみです!」
カタリーナとレイは、女部屋に荷物をおろすと、にこにこと一階の食堂に向かった。
「おっ、来たか!」
ダズが、エール片手にレイたちの方を振り向いた。
「なんだよ、もう始めてるのかよ」
カタリーナはどかりと、ダズの横に座った。
レイも、ルーファスの隣に腰掛ける。
テーブルの上には既に、エールと、チーズがたっぷりかかったかぼちゃのニョッキ、つまみ用の猪肉のハムが、真ん中に陣取っていた。
二人が席に着くと、追加のエールと、レイ用のぶどうジュースが運ばれて来た。
「それでは……」
「「「「「「乾杯!」」」」」」
カラーン、と小気味良く、木製ジョッキを打ちつける音が鳴り響いた。
「美味しい~!!」
「おじさんの言う通りだったね」
ニョッキはチーズがとろとろに伸びて、かぼちゃの優しい甘みとマッチしていた。
追加でやってきたゴロゴロとした手羽元と甘い冬キャベツのスープは、塩胡椒がよく効いていて、食欲をそそった。
籠盛りのサツマイモのフォッカッチャも、ほくほくと甘みがあって、レイは幸せそうに頬張った。
「おや? あんたらが、ブラックハウンドを追っ払った冒険者かい?」
隣の席で飲んでいた村のおじさんたちが、話しかけてきた。
「そうだよ」
「おかげで、明日には隣街に荷物が運べそうだ。まだしばらくは足止めかと思ってたけど、良かった。ありがとよ」
恰幅のいいおじさんは、わっはっは、と陽気にエールのジョッキをかかげた。
「あんたらは、まだしばらく村にいるのかい?」
ヒゲのおじさんが、チーズを摘みながら訊いてきた。
「いや、明日には次の街に行こうかと思ってる」
クリフがしれっと答えていた。
「それなら、東の山沿いの村で、この時期、面白い祭りがやってるぞ」
「へぇ、どんな祭りなんだい?」
カタリーナが興味深そうに相槌を打った。
「獣の祭りっていって、ガレッソって村でやってるんだが、祭り期間中に訪れると、自分が好きな動物に変身できるんだ」
「変身魔術なんて、上級魔術師でないと無理だからな。この辺だと、こぞってその祭りに行くぞ」
おじさんたちはお酒がすすんでいるのか、赤ら顔でべらべらと喋っている。
「元に戻らなかったりとかは無いんですか?」
魔術に興味津々のレイは、おじさんたちに尋ねた。
「それは聞いたことないな。人によっては数時間で戻る奴もいるし、次の日に戻る奴もいる」
「ただ、運が悪いと動物には変身しないぞ」
「へぇ~」
「何だか面白そうですね。ちょっと行ってみたいです!」
レイが瞳を輝かせて、銀の不死鳥と鉄竜の鱗のメンバーを見回した。
「進行方向はそんなに外れてるわけじゃないから、寄って行ってもいいよ」
カタリーナが快く頷いた。
「「やった!」」
レイとレヴィが、同時に歓声を上げた。
「レヴィ、おまえもか……」
ダズが呆れたような顔で、レヴィを見た。
「さすがに私も動物になったことはないので」
レヴィはにこにこと答えていた。
***
隣の席のおじさんたちが帰ると、クリフが防音結界を展開した。
「さて、急ぎだったから、ここまで何も訊かずに来たが……そろそろきちんと説明してもらおうか?」
クリフは真面目な表情で、カタリーナと銀の不死鳥メンバーの顔を見まわした。
「あたしが先代魔王様に呼び出しされて、この子たちのほとぼりが冷めるまで、サハリアで保護してやれって言われたからだろ?」
カタリーナが肩をすくめて、あっけらかんに言い放った。
「それはもう分かった。断れなかったことだろ。なら仕方ない」
ダズも真面目な顔で頷いた。
「ここ百年はサハリアの王家に仕えているが、三大魔女を見たのは初めてだ。しかも、剣聖なんだろう? 史上初じゃないのか?」
クリフがレイの方を向いた。
「三大魔女のご主人様は、レイが初めてですね。女性のご主人様もレイが初めてです」
レヴィが淡々と口を挟んだ。
「やっぱり、剣聖は男性が多いんですね」
レイが納得したように頷いた。
「ダズは当代剣聖と剣を交えるのを楽しみにしてたんだ。イケる口なら、是非、酒も酌み交わしたいとも言っていた」
クリフは親指でぐいっと、ダズを指差した。
「わっ、私は、剣は、その、基礎だけで……お酒の方も、前に匂いだけで酔ってしまったんです!」
「そうだな、君にお酒は少し早そうだ」
レイがあわあわと慌てて両手を目の前で振っていると、クリフは淡々と頷いていた。
「でも、剣ならレヴィができますよ」
「聖剣が、剣技を? 確かに、ギルドでは剣士として登録してるって言ってたな。どのくらいできるんだ?」
ダズが少し疑うように、レヴィの目を覗き込むように尋ねた。
「歴代のご主人様の技でしたら、全て使えます。この姿も十七代目のご主人様の姿です」
レヴィはにこりと微笑んだ。
「何ぃ!?」
「何だって!?」
ダダンッ!!
ダズとクリフは同時に立ち上がった。
ダズは目を少年のようにキラキラと輝かせてレヴィを見つめ、クリフはまじまじとレヴィの顔を見つめていた。
どちらも気になるポイントは違えど、レヴィに興味があるようだ。
「それなら、レヴィとなら、全ての剣聖と剣を交えることができるんだな!?」
「ダズ、うるさい。……非常に興味深い。他の剣聖の姿にもなれるのか!? これは歴史的発見になるぞ!」
ギャーギャーと騒ぐメンバー二人に、カタリーナが「あんたたち、うっさいよ!」と叱りつけた。
「……それにしても、何でその子を選んだんだ? 魔術師だし、剣を扱えるようにはとても見えないな」
ダズが唇を少し尖らせて、レヴィに尋ねた。
(……やっぱり、普通はそう思うよね! 私もそうだし……)
レイも、改めてレヴィが自分を選んだ理由が聞きたくて、彼の方を向いた。
「そもそも私は、ご主人様に剣の腕前を求めてません。その時代で、最も私を上手く扱える方を選んでいます」
「……剣の腕は求めていない……?」
「レイは、今までのご主人様の中で最も力も剣の技術も持っていないです。ただし、最も私を上手く扱うことができます」
「……どういうことだ?」
ダズが訝しげに片眉を上げた。
「剣の技術や力の強さは、今までのどのご主人様よりも弱いです。ただ、私を人型化し、それを維持できるほどの魔力を持っています。私は歴代のご主人様たちの技を全て使えますし、剣のこの体は、人間のような限界はありません。そして、レイは私を自由にしてくれます。私は私の自由意志でレイと共にいて、レイを助けています。もし、別の誰かなら、こんな風には仕えていなかったかもしれません」
静かに訥々と語るレヴィには、何とも言い難い凄みがあった。
ダズはごくりと唾を飲み込んだ。やっと、なぜ当代剣聖が最強と言われているのかを理解したようだった。
「歴代剣聖の中でも、最も自由な剣技だな」
ダズが、ぽつりと呟いた。
「ふふっ。確かにそうですね」
レヴィが珍しく声をあげて柔らかく笑った。
レイとの関係性を「剣技」と表現されたのが、非常に気に入ったようだった。
***
「……ダズ、残念だったな」
クリフは静かに声をかけた。
宿の庭にある岩に座り込んで項垂れていたダズが、静かに振り向いた。大男が、ちんまりと縮こまっている姿には、どこか哀愁が漂っている。
「先代剣聖がいなくなってからは『魔剣レーヴァテインを探せ』、当代剣聖の告げが出てからは『剣聖を探せ』か……全く、俺のこの五年間を返して欲しいぜ……」
ダズとクリフは、サハリア国王から密命を受けていた。
Sランク冒険者のパーティーメンバーとして世界中を周り、魔剣レーヴァテインを手にいれるか、剣聖を探し出し、サハリア王国へ招致するのだ。
「俺は、彼女が剣聖で良かったと思っている。魔剣は浄化され、剣聖はどこの国のものにもならない……ユグドラ、管理者たちのものだ」
クリフは遠くを見つめ、感慨に耽るように呟いた。
「はぁ……魔剣がフリーになったんだったら、剣士の俺にもチャンスがあるかもと期待したし、剣聖の告げが出てからは、せめて剣を交えて、酒でも酌み交わせないかと思ったが……あのお嬢ちゃんじゃなぁ……」
どっちも無理だな……と、ダズは、カクリと肩を落とした。
「俺は、お前のことも心配してたんだぞ」
「は?」
ダズは、クリフの方を見上げた。
「魔剣にお前が選ばれれば、魔剣の業をお前が背負うことになる。剣聖を招致するとなれば、下手をすれば、先代剣聖と同じような事故に遭う可能性も出てくる……これで良かったんだよ」
クリフは静かにダズを見つめた。
「さらに、剣聖のバックには先代魔王がいるから手出しできねぇし、そもそも、あのお嬢ちゃんなら、絶対に剣聖だってバレねぇからな」
ダズは「ゔぅ、親父に何て報告しよう……」と呟き、両手でバリバリと頭を掻いて、また項垂れた。
普段は食堂経営がメインのようで、宿の方は、近隣の村人や知り合いなどの限られた人しか泊めていないようだ。
「小さい村だと、なかなか宿が取れないこともあるからね。紹介してもらえると、ありがたいよー」
「ちょうど二部屋取れて良かったですね」
「それに、ご飯も美味しいらしいからね」
「楽しみです!」
カタリーナとレイは、女部屋に荷物をおろすと、にこにこと一階の食堂に向かった。
「おっ、来たか!」
ダズが、エール片手にレイたちの方を振り向いた。
「なんだよ、もう始めてるのかよ」
カタリーナはどかりと、ダズの横に座った。
レイも、ルーファスの隣に腰掛ける。
テーブルの上には既に、エールと、チーズがたっぷりかかったかぼちゃのニョッキ、つまみ用の猪肉のハムが、真ん中に陣取っていた。
二人が席に着くと、追加のエールと、レイ用のぶどうジュースが運ばれて来た。
「それでは……」
「「「「「「乾杯!」」」」」」
カラーン、と小気味良く、木製ジョッキを打ちつける音が鳴り響いた。
「美味しい~!!」
「おじさんの言う通りだったね」
ニョッキはチーズがとろとろに伸びて、かぼちゃの優しい甘みとマッチしていた。
追加でやってきたゴロゴロとした手羽元と甘い冬キャベツのスープは、塩胡椒がよく効いていて、食欲をそそった。
籠盛りのサツマイモのフォッカッチャも、ほくほくと甘みがあって、レイは幸せそうに頬張った。
「おや? あんたらが、ブラックハウンドを追っ払った冒険者かい?」
隣の席で飲んでいた村のおじさんたちが、話しかけてきた。
「そうだよ」
「おかげで、明日には隣街に荷物が運べそうだ。まだしばらくは足止めかと思ってたけど、良かった。ありがとよ」
恰幅のいいおじさんは、わっはっは、と陽気にエールのジョッキをかかげた。
「あんたらは、まだしばらく村にいるのかい?」
ヒゲのおじさんが、チーズを摘みながら訊いてきた。
「いや、明日には次の街に行こうかと思ってる」
クリフがしれっと答えていた。
「それなら、東の山沿いの村で、この時期、面白い祭りがやってるぞ」
「へぇ、どんな祭りなんだい?」
カタリーナが興味深そうに相槌を打った。
「獣の祭りっていって、ガレッソって村でやってるんだが、祭り期間中に訪れると、自分が好きな動物に変身できるんだ」
「変身魔術なんて、上級魔術師でないと無理だからな。この辺だと、こぞってその祭りに行くぞ」
おじさんたちはお酒がすすんでいるのか、赤ら顔でべらべらと喋っている。
「元に戻らなかったりとかは無いんですか?」
魔術に興味津々のレイは、おじさんたちに尋ねた。
「それは聞いたことないな。人によっては数時間で戻る奴もいるし、次の日に戻る奴もいる」
「ただ、運が悪いと動物には変身しないぞ」
「へぇ~」
「何だか面白そうですね。ちょっと行ってみたいです!」
レイが瞳を輝かせて、銀の不死鳥と鉄竜の鱗のメンバーを見回した。
「進行方向はそんなに外れてるわけじゃないから、寄って行ってもいいよ」
カタリーナが快く頷いた。
「「やった!」」
レイとレヴィが、同時に歓声を上げた。
「レヴィ、おまえもか……」
ダズが呆れたような顔で、レヴィを見た。
「さすがに私も動物になったことはないので」
レヴィはにこにこと答えていた。
***
隣の席のおじさんたちが帰ると、クリフが防音結界を展開した。
「さて、急ぎだったから、ここまで何も訊かずに来たが……そろそろきちんと説明してもらおうか?」
クリフは真面目な表情で、カタリーナと銀の不死鳥メンバーの顔を見まわした。
「あたしが先代魔王様に呼び出しされて、この子たちのほとぼりが冷めるまで、サハリアで保護してやれって言われたからだろ?」
カタリーナが肩をすくめて、あっけらかんに言い放った。
「それはもう分かった。断れなかったことだろ。なら仕方ない」
ダズも真面目な顔で頷いた。
「ここ百年はサハリアの王家に仕えているが、三大魔女を見たのは初めてだ。しかも、剣聖なんだろう? 史上初じゃないのか?」
クリフがレイの方を向いた。
「三大魔女のご主人様は、レイが初めてですね。女性のご主人様もレイが初めてです」
レヴィが淡々と口を挟んだ。
「やっぱり、剣聖は男性が多いんですね」
レイが納得したように頷いた。
「ダズは当代剣聖と剣を交えるのを楽しみにしてたんだ。イケる口なら、是非、酒も酌み交わしたいとも言っていた」
クリフは親指でぐいっと、ダズを指差した。
「わっ、私は、剣は、その、基礎だけで……お酒の方も、前に匂いだけで酔ってしまったんです!」
「そうだな、君にお酒は少し早そうだ」
レイがあわあわと慌てて両手を目の前で振っていると、クリフは淡々と頷いていた。
「でも、剣ならレヴィができますよ」
「聖剣が、剣技を? 確かに、ギルドでは剣士として登録してるって言ってたな。どのくらいできるんだ?」
ダズが少し疑うように、レヴィの目を覗き込むように尋ねた。
「歴代のご主人様の技でしたら、全て使えます。この姿も十七代目のご主人様の姿です」
レヴィはにこりと微笑んだ。
「何ぃ!?」
「何だって!?」
ダダンッ!!
ダズとクリフは同時に立ち上がった。
ダズは目を少年のようにキラキラと輝かせてレヴィを見つめ、クリフはまじまじとレヴィの顔を見つめていた。
どちらも気になるポイントは違えど、レヴィに興味があるようだ。
「それなら、レヴィとなら、全ての剣聖と剣を交えることができるんだな!?」
「ダズ、うるさい。……非常に興味深い。他の剣聖の姿にもなれるのか!? これは歴史的発見になるぞ!」
ギャーギャーと騒ぐメンバー二人に、カタリーナが「あんたたち、うっさいよ!」と叱りつけた。
「……それにしても、何でその子を選んだんだ? 魔術師だし、剣を扱えるようにはとても見えないな」
ダズが唇を少し尖らせて、レヴィに尋ねた。
(……やっぱり、普通はそう思うよね! 私もそうだし……)
レイも、改めてレヴィが自分を選んだ理由が聞きたくて、彼の方を向いた。
「そもそも私は、ご主人様に剣の腕前を求めてません。その時代で、最も私を上手く扱える方を選んでいます」
「……剣の腕は求めていない……?」
「レイは、今までのご主人様の中で最も力も剣の技術も持っていないです。ただし、最も私を上手く扱うことができます」
「……どういうことだ?」
ダズが訝しげに片眉を上げた。
「剣の技術や力の強さは、今までのどのご主人様よりも弱いです。ただ、私を人型化し、それを維持できるほどの魔力を持っています。私は歴代のご主人様たちの技を全て使えますし、剣のこの体は、人間のような限界はありません。そして、レイは私を自由にしてくれます。私は私の自由意志でレイと共にいて、レイを助けています。もし、別の誰かなら、こんな風には仕えていなかったかもしれません」
静かに訥々と語るレヴィには、何とも言い難い凄みがあった。
ダズはごくりと唾を飲み込んだ。やっと、なぜ当代剣聖が最強と言われているのかを理解したようだった。
「歴代剣聖の中でも、最も自由な剣技だな」
ダズが、ぽつりと呟いた。
「ふふっ。確かにそうですね」
レヴィが珍しく声をあげて柔らかく笑った。
レイとの関係性を「剣技」と表現されたのが、非常に気に入ったようだった。
***
「……ダズ、残念だったな」
クリフは静かに声をかけた。
宿の庭にある岩に座り込んで項垂れていたダズが、静かに振り向いた。大男が、ちんまりと縮こまっている姿には、どこか哀愁が漂っている。
「先代剣聖がいなくなってからは『魔剣レーヴァテインを探せ』、当代剣聖の告げが出てからは『剣聖を探せ』か……全く、俺のこの五年間を返して欲しいぜ……」
ダズとクリフは、サハリア国王から密命を受けていた。
Sランク冒険者のパーティーメンバーとして世界中を周り、魔剣レーヴァテインを手にいれるか、剣聖を探し出し、サハリア王国へ招致するのだ。
「俺は、彼女が剣聖で良かったと思っている。魔剣は浄化され、剣聖はどこの国のものにもならない……ユグドラ、管理者たちのものだ」
クリフは遠くを見つめ、感慨に耽るように呟いた。
「はぁ……魔剣がフリーになったんだったら、剣士の俺にもチャンスがあるかもと期待したし、剣聖の告げが出てからは、せめて剣を交えて、酒でも酌み交わせないかと思ったが……あのお嬢ちゃんじゃなぁ……」
どっちも無理だな……と、ダズは、カクリと肩を落とした。
「俺は、お前のことも心配してたんだぞ」
「は?」
ダズは、クリフの方を見上げた。
「魔剣にお前が選ばれれば、魔剣の業をお前が背負うことになる。剣聖を招致するとなれば、下手をすれば、先代剣聖と同じような事故に遭う可能性も出てくる……これで良かったんだよ」
クリフは静かにダズを見つめた。
「さらに、剣聖のバックには先代魔王がいるから手出しできねぇし、そもそも、あのお嬢ちゃんなら、絶対に剣聖だってバレねぇからな」
ダズは「ゔぅ、親父に何て報告しよう……」と呟き、両手でバリバリと頭を掻いて、また項垂れた。
24
◆関連作品
『砂漠の詩』
『雨の回廊』編の過去編スピンオフです。
『冒険者を辞めたら天職でした 〜パーティーを追放された凄腕治癒師は、大聖者と崇められる〜』
『冒険者パーティーを追放された凄腕治癒師を拾いました』編のスピンオフです。
『ジャスティンと魔法少女のステッキ』
『魔法少女』編のスピンオフです。
『砂漠の詩』
『雨の回廊』編の過去編スピンオフです。
『冒険者を辞めたら天職でした 〜パーティーを追放された凄腕治癒師は、大聖者と崇められる〜』
『冒険者パーティーを追放された凄腕治癒師を拾いました』編のスピンオフです。
『ジャスティンと魔法少女のステッキ』
『魔法少女』編のスピンオフです。
お気に入りに追加
161
あなたにおすすめの小説

【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。
さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。
許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。
幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。
(ああ、もう、)
やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。
(ずるいよ……)
リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。
こんな私なんかのことを。
友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。
彼らが最後に選ぶ答えとは——?
⚠️好みが非常に分かれる作品となっております。

夫の隠し子を見付けたので、溺愛してみた。
辺野夏子
恋愛
セファイア王国王女アリエノールは八歳の時、王命を受けエメレット伯爵家に嫁いだ。それから十年、ずっと仮面夫婦のままだ。アリエノールは先天性の病のため、残りの寿命はあとわずか。日々を穏やかに過ごしているけれど、このままでは生きた証がないまま短い命を散らしてしまう。そんなある日、アリエノールの元に一人の子供が現れた。夫であるカシウスに生き写しな見た目の子供は「この家の子供になりにきた」と宣言する。これは夫の隠し子に間違いないと、アリエノールは継母としてその子を育てることにするのだが……堅物で不器用な夫と、余命わずかで卑屈になっていた妻がお互いの真実に気が付くまでの話。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界で婚活したら、とんでもないのが釣れちゃった?!
家具付
恋愛
五年前に、異世界に落っこちてしまった少女スナゴ。受け入れてくれた村にすっかりなじんだ頃、近隣の村の若い人々が集まる婚活に誘われる。一度は行ってみるべきという勧めを受けて行ってみたそこで出会ったのは……?
多種多様な獣人が暮らす異世界でおくる、のんびりほのぼのな求婚ライフ!の、はずだったのに。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる