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逃げられた……(ハドリー調査官視点)
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国から召集があったのは、二月ほど前だった。
私、ハドリーを含め、先代剣聖様に近しかった者たちが集められた。
折しも、遠見の巫女様の引退が発表され、ドラゴニア王宮内がその話題で持ちきりの時だった。
「遠見の巫女様より『ドラゴニアの辺境、白の領域に接している国境域に、当代剣聖がいる』との告げがありました。あなた方には、他国に悟られぬよう内密に、調査に赴いていただきたい」
王宮内の会議の間で、宰相閣下より、今回の召集の目的が伝えられた。
「ナタリー第一王女殿下」
「ええ。当代剣聖様が見つかりましたら、問題がなければ、私の伴侶に迎えたいと考えております。剣聖様には、王家の後見のもと、存分にそのお力を振るっていただきましょう」
正妃様譲りの鮮やかな金髪を結い上げ、王家の火竜の加護を表す赤いドレスをまとったナタリー王女殿下が、口元をひらりと扇で隠しながら、鷹揚に発言していた。
軍議に似合わぬ王女殿下がなぜこの場にいたのか、不思議に思ってはいたが、このためだったか……
第一王女殿下、引いては、国内の二大派閥のうちの一つ、正妃様のご実家が後ろ盾となるのなら不足はないだろう。
「アーロン・ベネット第二近衛騎士隊隊長を、剣聖調査隊の隊長に任命する。すぐに隊を編成し、当代剣聖の調査に向かってもらう」
「はっ!」
アーロン隊長は、騎士らしく堂々と返答していた。
こうして、私たち剣聖調査隊十名は、ドラゴニア辺境の地へ向かうこととなった。
現地に着いて調査が進めば、思いの外、剣士は粒揃いだった。
辺境の地は魔物討伐依頼が多く、実戦が多いためだろう。対人戦というよりは、対魔物戦用の戦い方の者が多かった。
——だが、私たちが求めているような、次代の剣聖様と呼ぶには力不足のように思えた。
***
彼の剣技を見た瞬間、ぞくりと背筋が凍るような感覚が走った。
その青年の模擬試合は、アーロン隊長が試験官を務めた。
今までも幾つもの村や街を巡って、凄腕と呼ばれる剣士たちの剣技を見てきたが、それらとは一線を画すものだった。端的に言えば、引き込まれた——まるで、先代剣聖オーウェン・ガスター様の剣技のように。
「間違いない、彼が……」
私は確信していた。
ブラウンの髪と瞳は、平民でよく見かける上、誠実で無害そうな雰囲気だったためか、セルバの街の食堂でチラリと見かけた時には、何とも感じてはいなかった。が、剣を握れば変わるタイプだった。
まさに、行方不明になられた先代剣聖様を彷彿とさせる動きだった。
剣筋は一切無駄が無く、立ち回りは、むしろ先代剣聖様よりも柔軟なようだ。
型は変幻自在で水のように柔らかに、アーロン隊長が型を変えれば、瞬時に応戦してくるのだ——あの年頃で、そのレベルに達していることに、驚かされるばかりだった。
それでいて、模擬試合では本気を出しているようには、全く思えなかった。
もし彼が剣聖様でなくても、是非騎士団に欲しい人材だ。
模擬試合後、アーロン隊長は上機嫌だった。あれだけ素晴らしい試合をしたのだ、その気持ちも分からなくはない。
「あなた、乗せられましたね」
アーロン隊長には水を差すようで悪いが、ぽつりとその耳元で囁けば、
「あのレヴィという青年、私よりも格段に強い……」
何やら逡巡した後、彼は驚愕の表情でそう呟いていた。
アーロン隊長は剣に対して、非常に謙虚で向上心のある方だ。すぐに、己よりもレヴィ君の剣の腕の方が上だと認め、早々に、彼を剣聖候補として調査を進めることが決まった。
その後、レヴィ君の身辺調査で、彼に恋人や伴侶はいないものの、つけ回している少女はいるという、聞きたくもない情報が入ってきた。
「…………外の空気を吸ってきます…………」
その報告会の後、アーロン隊長はそう告げると、ふらふらと宿の部屋を出て行き、小一時間ほど戻って来なかった。
私自身もかなり衝撃を受けたが、真面目な常識人で、上流貴族出身の彼には、少々刺激が強かったようだ……
その後、セルバの街を散策中に偶然、レヴィ君がつけ回しているという少女に出会った。
ドラゴニアでは珍しい黒髪黒目の少女で、どこかへ急いでいるようだった。
せっかくなので呼び止め、これで身を引いてくれればと思い、忠告をした。
少々きつい言い方をしてしまったかもしれないが、レヴィ君ほどの才能を、こんな辺境の地で腐らせておくには惜しい。何よりも、王女殿下の伴侶ともなるならば、醜聞の原因となりそうなものは、今からでも排除しておくべきだ。
「レヴィ君のことを思えば、身を引くべきなのは君なんじゃないかね?」
「……」
その少女は少し混乱していたようだったが、彼女を残して、その場を離れた。
国やレヴィ君のためにも、このまま彼のことは諦めてくれればいいのだが……
***
ふと、窓の外に目をやると、セルバの街には、雪が降り積もっていた。
月日が経つのはあっという間で、先代剣聖オーウェン・ガスター様が行方不明になってから、もう五年も経っていた。
相変わらず、かの方は未だ見つかっていないが、当代剣聖様と思しき青年には出会えた。
やっと、という思いだ……
先代剣聖様が行方不明になってからというもの、騎士団の空気は重く沈んでしまっていた——それだけ、かの方の影響力は凄まじかったのだ。
レヴィ君はきっと、先代剣聖様を失ってしまった我が国にとって、新たな希望の光となってくれるだろう……
***
その知らせは、セルバの老舗宿で、王都へ向けて今回の調査結果の報告書をまとめている最中にやってきた。
ドンドンドンッと扉が乱暴に叩かれ、こちらの返答を聞くや否や、もう一人の調査官のマックスが中に入ってきた。急いで来たようで、緑色の髪が乱れている。
「ハドリー調査官! 大変です!!」
「どうした? 騒々しい……」
「レヴィさんが出国しました!!」
「何っ!?」
俄には信じられなかった。
今回の調査で剣聖候補に選ばれただけでも名誉であるし、たとえ剣聖でなくとも、平民にとっては騎士団に勤められるという大出世を意味している……それを棒に振るというのか?
「それにしても、何故……」
そんなに黒髪の少女と離れたくなかったのか?
やはり彼が本物の剣聖で、我が国に仕えるのは不服だというのか?
まさかとは思うが、王女殿下との婚姻が嫌だということは……
様々な思いがぐるぐると巡った。
「サハリア王国指定のSランクパーティー『鉄竜の鱗』に同行を依頼されたようです」
「……サハリア王国……まさか、剣聖様を取り込もうというのか? ……すぐさまギルドに行って、出国を取り止めさせるんだ!!」
「……それが、相手がSランクパーティーですし、サハリアの第七王子殿下も鉄竜の鱗のメンバーなので、ギルドの方からも強くは言えないようで……」
「何だと!? くっ……下手を打てば、国際問題か……」
「それに、既に鉄竜の鱗のメンバーと共に、転移して行ったと……」
「サハリアで転移魔術が使える魔術師となると……クリフ・キタブだな。国家魔術師だ。厄介だな……」
バタンッ!
アーロン隊長が、ノックも忘れて慌てて駆け込んで来た。常に礼儀正しい彼にしては、珍しいことだ。
「ハドリー調査官!!」
「アーロン隊長。ええ、もう話は聞きました」
「まさか、サハリアに先を越されるとは……」
「王子殿下も所属するパーティーでは、下手に動けませんね……」
「すでに転移して行ったということは、もう国境は越えてるでしょう……今から関所に連絡しても間に合わない……」
アーロン隊長が悔しそうに呟いた。
「ですが、サハリアも手を出したということは、やはり彼が……」
我々は顔を見合わせた。アーロン隊長も、ほぼ確信を得たような表情をしている。
「騎士団長のスキルで見ていただいたわけではないので、断定はできませんが、私もその可能性は高いと思います」
当代剣聖様は、歴代最強だという告げだ。他国に取られるわけにはいかない。必ず、どうにかしてでも、剣聖様を我が国にお迎えする——私は決意を新たにした。
私、ハドリーを含め、先代剣聖様に近しかった者たちが集められた。
折しも、遠見の巫女様の引退が発表され、ドラゴニア王宮内がその話題で持ちきりの時だった。
「遠見の巫女様より『ドラゴニアの辺境、白の領域に接している国境域に、当代剣聖がいる』との告げがありました。あなた方には、他国に悟られぬよう内密に、調査に赴いていただきたい」
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「はっ!」
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こうして、私たち剣聖調査隊十名は、ドラゴニア辺境の地へ向かうこととなった。
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彼の剣技を見た瞬間、ぞくりと背筋が凍るような感覚が走った。
その青年の模擬試合は、アーロン隊長が試験官を務めた。
今までも幾つもの村や街を巡って、凄腕と呼ばれる剣士たちの剣技を見てきたが、それらとは一線を画すものだった。端的に言えば、引き込まれた——まるで、先代剣聖オーウェン・ガスター様の剣技のように。
「間違いない、彼が……」
私は確信していた。
ブラウンの髪と瞳は、平民でよく見かける上、誠実で無害そうな雰囲気だったためか、セルバの街の食堂でチラリと見かけた時には、何とも感じてはいなかった。が、剣を握れば変わるタイプだった。
まさに、行方不明になられた先代剣聖様を彷彿とさせる動きだった。
剣筋は一切無駄が無く、立ち回りは、むしろ先代剣聖様よりも柔軟なようだ。
型は変幻自在で水のように柔らかに、アーロン隊長が型を変えれば、瞬時に応戦してくるのだ——あの年頃で、そのレベルに達していることに、驚かされるばかりだった。
それでいて、模擬試合では本気を出しているようには、全く思えなかった。
もし彼が剣聖様でなくても、是非騎士団に欲しい人材だ。
模擬試合後、アーロン隊長は上機嫌だった。あれだけ素晴らしい試合をしたのだ、その気持ちも分からなくはない。
「あなた、乗せられましたね」
アーロン隊長には水を差すようで悪いが、ぽつりとその耳元で囁けば、
「あのレヴィという青年、私よりも格段に強い……」
何やら逡巡した後、彼は驚愕の表情でそう呟いていた。
アーロン隊長は剣に対して、非常に謙虚で向上心のある方だ。すぐに、己よりもレヴィ君の剣の腕の方が上だと認め、早々に、彼を剣聖候補として調査を進めることが決まった。
その後、レヴィ君の身辺調査で、彼に恋人や伴侶はいないものの、つけ回している少女はいるという、聞きたくもない情報が入ってきた。
「…………外の空気を吸ってきます…………」
その報告会の後、アーロン隊長はそう告げると、ふらふらと宿の部屋を出て行き、小一時間ほど戻って来なかった。
私自身もかなり衝撃を受けたが、真面目な常識人で、上流貴族出身の彼には、少々刺激が強かったようだ……
その後、セルバの街を散策中に偶然、レヴィ君がつけ回しているという少女に出会った。
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「……」
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「ハドリー調査官!!」
「アーロン隊長。ええ、もう話は聞きました」
「まさか、サハリアに先を越されるとは……」
「王子殿下も所属するパーティーでは、下手に動けませんね……」
「すでに転移して行ったということは、もう国境は越えてるでしょう……今から関所に連絡しても間に合わない……」
アーロン隊長が悔しそうに呟いた。
「ですが、サハリアも手を出したということは、やはり彼が……」
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18
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