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雪渡り鴨猟
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フェニックスの祝祭も終わり、レイたち銀の不死鳥メンバーは、またドラゴニア辺境の街セルバに集まった。冒険者生活の再開だ。
久々に戻ったセルバには、薄く新雪が積もっていて、レンガ積みの街並みは、すっかり冬景色になっていた。
レイはリリスの形見分けで貰った白いロングコートを着て、淡い銀鼠色の大判ストールを首に巻いていた。足元は、フェリクスに買ってもらったスノーブーツだ。グレージュ色のミドル丈で、ブーツ裏には滑り止め魔術がしっかり付与されている上等なものだ。
琥珀も冬用にリボンを新調してもらっていた。一回り大きくなった赤いリボンには、防寒防水魔術が付与されていて、琥珀がリボンに魔力を込めれば、ふかふかのポンチョに変わる仕様だ。
寒がりな琥珀は、ここ最近はポンチョ姿でいることが多くなった。
「雪渡り鴨猟???」
レイは見慣れない言葉に首を傾げた。
久々にやって来たギルドの依頼ボードには、期間限定の依頼票がでかでかと貼られていた。
「そうだ。雪渡り鴨は、この時期にセルバに渡って来る魔物の鴨だ。少しクセはあるが、脂が乗った柔らかい肉質で、かなり旨いぞ。この料理目当てに、わざわざ冬のセルバまで訪れる観光客もいるぐらいだ」
ギルドマスターのオーガストが、自慢げに説明してくれた。非常に美味しいものなのか、想像しただけでもにんまりとしている。
「セルバの雪渡り鴨は有名ですよね」
ルーファスも、うんうんと頷いている。
「冬の味覚なんですね」
「猟ができるのは、セルバの森から、白の領域の手前まで。白の領域に入った者は、遭難しても捜索打ち切りだ」
「……かなりシビアですね」
「二次遭難の方が恐ろしいからな。白の領域は年中霧で視界は悪いし、魔物も高ランクが多くて、遭難者の捜索どころではないんだ。毎年、狩りに集中しすぎて何人か白の領域に迷い込んでそのまま行方不明になるんだ。目撃者の話だと、最後に目撃されたのは白の領域付近が多いんだ」
雪渡り鴨猟のシビアなルールを、オーガストが説明してくれた。
(白の領域はちょっとね……おかずにされても困るし……)
レイは遠い目になった。白の領域は、個人的な理由でも近づきたくない場所だ。
「羽毛も汚れてなければ買取対象になるから、雪渡り鴨はいい収入源になるぞ。チャレンジしてみるといいかもな」
オーガストはそれだけ言うと、受付の奥の方へ引っ込んで行った。
「何だか面白そうですね。鴨猟は初めてです」
レヴィがわくわくと瞳を輝かせて言ってきた。
剣として作られて初めて、魔術で人型化したレヴィは、せっかくなのでさまざまな人生経験をしてみたいと考えていた。今回は鴨猟に興味を持ったようだ。
「僕は弓があるから、それで狩りをするけど……レイとレヴィはどうする?」
「雪渡り鴨は、魔術は効きますか?」
「うん、効くよ。ただ、あまり傷つけないように、ってなると、水か氷か、風魔術がいいかな。でも、雪渡り鴨は、水も氷も風も得意なんだよね……う~ん……」
ルーファスは顎先に指を置いて、思案顔になった。
「水や氷じゃ落とせなそうですか?」
「そうだね、防御される確率が高いかな」
「レイ、私はスリングショットを使えますよ。以前のご主人様に、とても上手な方がいました」
「スリングショット?」
「小石を飛ばして、鳥を落とすのです。これを使います」
レヴィが空間収納からスリングショットを取り出した。
Y字型の木枠に、ぶらりとゴム紐が繋がれていた。ゴム紐の真ん中には、小石をホールドしやすいように、幅広の革が当ててある——いわゆる、パチンコだ。
「レイも口寄せすれば、狩れますよ」
(これなら重すぎないし、私でも出来そうかも!)
レイもわくわくと瞳を輝かせた。
「スリングショット、もう一つある!?」
「えぇ、ありますよ。レイも狩りをしましょう」
レイは早速、スリングショットを受け取ると、口寄せ魔術を展開した。
適当な木を的まとに試し撃ちすると、一発目は狙いを外したが、近くの小枝を落とすことができた。
「結構、威力があるね」
「大型の動物は無理ですが、小動物や鳥類であれば、これで狩りができます。以前のご主人様も、時々スリングショットで狩りをしてました」
二発目は狙いの近くに当たった。三発目、四発目……と練習していくうちに、大体狙い目付近に当たるようになってきた。
(口寄せで剣技をやった時ほどの疲労感は無いし、これなら大丈夫そうかも……)
「そろそろ、行けそうです」
レイは力強く頷いた。
銀の不死鳥が狩場の湖にたどり着いた時には、他のチームが既に雪渡り鴨猟を始めていた。
湖のあちらへ、こちらへと雪渡り鴨が飛び乱れていた。
真っ白な羽毛は新雪のようにキラキラと輝き、冬の生き物らしくたっぷりと脂を蓄えた、丸々コロコロとしたかわいらしい鴨だ。
湖周縁部には氷のオブジェが立ち並び、狩人たちが霜降る木立に息を潜めていたり、大型のレトリーバー犬たちが尻尾をふりふり撃ち落とされた獲物を回収していたりした。
ルーファスが木立の影から息を潜めて、ヒュンッと矢を撃った。
パシュッと雪渡り鴨の首元に当たり、バサリと空から落ちて来た。
たまらず、ライオンサイズに戻った琥珀がレイの影から飛び出して、雪渡り鴨を咥えて戻って来た。
「わぁ! ルーファス、すごいです!! 琥珀もありがとう!」
レイが琥珀の顔周りをぐりぐりと撫でると、琥珀は自慢げに胸を張って、獲物を差し出した。
ルーファスは雪渡り鴨を受け取ると、簡単に下処理をして、空間収納にしまった。
「狩りは久しぶりだけど、楽しいね。レイもやってみようか」
「よしっ、私もやってみます!」
レイは氷のオブジェの裏に身を潜めた。スリングショットと小石を手に持つと、獲物が通りがかるのを待った。
(ここだ!!)
口寄せ魔術のおかげで、スリングショットの狙いはバッチリだった。ただ……
「えっ!? 鴨が氷魔術で相殺してきます!!」
「雪渡り鴨は魔物だからね。魔術の一つや二つ、使ってくるよ。あの氷のオブジェもたぶん、雪渡り鴨が撃ったものだよ」
「そんな……!! あっ! レヴィが撃ち落としてます! 琥珀、回収です!」
レヴィは器用に魔術の隙間を突いて、雪渡り鴨にスリングショットを当てていた。撃たれた鴨は、バサリと雪の上に落ち、すかさず琥珀が獲物を回収しに飛び出した。
「スリングショットで捕まえた、初めての獲物です」
レヴィは雪渡り鴨の首を掴んで、しげしげと獲物を眺めていた。何だかいつもよりも、はしゃいでいるようだ。
「落ち着いて、もう一度チャレンジしてみようか。まだ始めたばかりだからね」
「そうですよね、まだこれからですよね」
ルーファスの励ましに、レイはこくりと頷いた。
その後、場所を変えたり、やり方もいろいろと変えて何度もレイはチャレンジしたが、並み居るハンターたちを相手にしてきた雪渡り鴨たちは、一枚も二枚も上手だった。
(あんなにコロコロした見た目なのに、すごく機敏!!)
雪渡り鴨たちはスリングショットをするりと躱し、時に魔術を撃って相殺してきた。
「ゔぅ……鴨が、強すぎる……」
「レイ、そろそろ帰ろうか。これ以上外にいたら、冷えちゃうよ」
「……はい」
その時、隣で風魔術を撃った雪渡り鴨の煽りを受け、ヘロリとよろけて飛んだ鴨が見えた。
「はっ! 今です!!」
レイの渾身のスリングショットが雪渡り鴨の首元を撃ち抜いた。獲物がバサッと落ちた方向へ、琥珀も駆けて行く。
「やった!!」
「おめでとう! 上手くいったね!」
レイは満面の笑顔で、その場でジャンプした。
「んんっ!? 何か祝福が発動したかも……」
ルーファスは、琥珀が回収してきた雪渡り鴨を手に持って、まじまじと見つめた。
「へっ?」
「たぶん、妖精の祝福だと思うんだけど……幸運系かな?」
「レイは以前、妖精の宴に招かれてましたよ」
「ああ、それかもしれないね。森系の妖精たちの宴なら、森関係のことで幸運がつきやすいかな」
「……確かに、以前、妖精の宴で私を案内してくれたのは、オークの木の妖精さんでしたし……」
結局、本日の獲物はルーファスが三羽、レヴィが二羽、レイがラッキーで一羽という結果になった。
琥珀はたくさん獲物を回収して来て、その度にみんなに撫でて褒めちぎられるので、終始ご機嫌だった。
***
次の日、雪渡り鴨猟でずっと口寄せ魔術を発動しっぱなしだったレイは、やはり筋肉痛になっていた。
「ゔぅっ……自分の非力さがにくい……」
「レイはもう少し鍛えた方がいいね」
女子部屋に様子を見に来たルーファスが、ほろ苦く微笑んだ。
「まさかスリングショットで筋肉痛になるとは……」
非力なレイにとっては、スリングショットも筋肉痛の原因になるようだった。狩りに夢中になって、際限なく動き回ったことも要因だ。
「せっかくなので、レイも剣の練習をしましょう。体力が付きますよ」
レヴィは諦めていなかった——聖剣として、当代剣聖に振るってもらうことに。
「うぅ……筋肉モリモリになるのだけは、女子として拒否します……」
琥珀にザリザリと舐めて慰めてもらいながら、レイはどうしても譲れない一線だけは守った。
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レイはリリスの形見分けで貰った白いロングコートを着て、淡い銀鼠色の大判ストールを首に巻いていた。足元は、フェリクスに買ってもらったスノーブーツだ。グレージュ色のミドル丈で、ブーツ裏には滑り止め魔術がしっかり付与されている上等なものだ。
琥珀も冬用にリボンを新調してもらっていた。一回り大きくなった赤いリボンには、防寒防水魔術が付与されていて、琥珀がリボンに魔力を込めれば、ふかふかのポンチョに変わる仕様だ。
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「そうだ。雪渡り鴨は、この時期にセルバに渡って来る魔物の鴨だ。少しクセはあるが、脂が乗った柔らかい肉質で、かなり旨いぞ。この料理目当てに、わざわざ冬のセルバまで訪れる観光客もいるぐらいだ」
ギルドマスターのオーガストが、自慢げに説明してくれた。非常に美味しいものなのか、想像しただけでもにんまりとしている。
「セルバの雪渡り鴨は有名ですよね」
ルーファスも、うんうんと頷いている。
「冬の味覚なんですね」
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「僕は弓があるから、それで狩りをするけど……レイとレヴィはどうする?」
「雪渡り鴨は、魔術は効きますか?」
「うん、効くよ。ただ、あまり傷つけないように、ってなると、水か氷か、風魔術がいいかな。でも、雪渡り鴨は、水も氷も風も得意なんだよね……う~ん……」
ルーファスは顎先に指を置いて、思案顔になった。
「水や氷じゃ落とせなそうですか?」
「そうだね、防御される確率が高いかな」
「レイ、私はスリングショットを使えますよ。以前のご主人様に、とても上手な方がいました」
「スリングショット?」
「小石を飛ばして、鳥を落とすのです。これを使います」
レヴィが空間収納からスリングショットを取り出した。
Y字型の木枠に、ぶらりとゴム紐が繋がれていた。ゴム紐の真ん中には、小石をホールドしやすいように、幅広の革が当ててある——いわゆる、パチンコだ。
「レイも口寄せすれば、狩れますよ」
(これなら重すぎないし、私でも出来そうかも!)
レイもわくわくと瞳を輝かせた。
「スリングショット、もう一つある!?」
「えぇ、ありますよ。レイも狩りをしましょう」
レイは早速、スリングショットを受け取ると、口寄せ魔術を展開した。
適当な木を的まとに試し撃ちすると、一発目は狙いを外したが、近くの小枝を落とすことができた。
「結構、威力があるね」
「大型の動物は無理ですが、小動物や鳥類であれば、これで狩りができます。以前のご主人様も、時々スリングショットで狩りをしてました」
二発目は狙いの近くに当たった。三発目、四発目……と練習していくうちに、大体狙い目付近に当たるようになってきた。
(口寄せで剣技をやった時ほどの疲労感は無いし、これなら大丈夫そうかも……)
「そろそろ、行けそうです」
レイは力強く頷いた。
銀の不死鳥が狩場の湖にたどり着いた時には、他のチームが既に雪渡り鴨猟を始めていた。
湖のあちらへ、こちらへと雪渡り鴨が飛び乱れていた。
真っ白な羽毛は新雪のようにキラキラと輝き、冬の生き物らしくたっぷりと脂を蓄えた、丸々コロコロとしたかわいらしい鴨だ。
湖周縁部には氷のオブジェが立ち並び、狩人たちが霜降る木立に息を潜めていたり、大型のレトリーバー犬たちが尻尾をふりふり撃ち落とされた獲物を回収していたりした。
ルーファスが木立の影から息を潜めて、ヒュンッと矢を撃った。
パシュッと雪渡り鴨の首元に当たり、バサリと空から落ちて来た。
たまらず、ライオンサイズに戻った琥珀がレイの影から飛び出して、雪渡り鴨を咥えて戻って来た。
「わぁ! ルーファス、すごいです!! 琥珀もありがとう!」
レイが琥珀の顔周りをぐりぐりと撫でると、琥珀は自慢げに胸を張って、獲物を差し出した。
ルーファスは雪渡り鴨を受け取ると、簡単に下処理をして、空間収納にしまった。
「狩りは久しぶりだけど、楽しいね。レイもやってみようか」
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「……はい」
その時、隣で風魔術を撃った雪渡り鴨の煽りを受け、ヘロリとよろけて飛んだ鴨が見えた。
「はっ! 今です!!」
レイの渾身のスリングショットが雪渡り鴨の首元を撃ち抜いた。獲物がバサッと落ちた方向へ、琥珀も駆けて行く。
「やった!!」
「おめでとう! 上手くいったね!」
レイは満面の笑顔で、その場でジャンプした。
「んんっ!? 何か祝福が発動したかも……」
ルーファスは、琥珀が回収してきた雪渡り鴨を手に持って、まじまじと見つめた。
「へっ?」
「たぶん、妖精の祝福だと思うんだけど……幸運系かな?」
「レイは以前、妖精の宴に招かれてましたよ」
「ああ、それかもしれないね。森系の妖精たちの宴なら、森関係のことで幸運がつきやすいかな」
「……確かに、以前、妖精の宴で私を案内してくれたのは、オークの木の妖精さんでしたし……」
結局、本日の獲物はルーファスが三羽、レヴィが二羽、レイがラッキーで一羽という結果になった。
琥珀はたくさん獲物を回収して来て、その度にみんなに撫でて褒めちぎられるので、終始ご機嫌だった。
***
次の日、雪渡り鴨猟でずっと口寄せ魔術を発動しっぱなしだったレイは、やはり筋肉痛になっていた。
「ゔぅっ……自分の非力さがにくい……」
「レイはもう少し鍛えた方がいいね」
女子部屋に様子を見に来たルーファスが、ほろ苦く微笑んだ。
「まさかスリングショットで筋肉痛になるとは……」
非力なレイにとっては、スリングショットも筋肉痛の原因になるようだった。狩りに夢中になって、際限なく動き回ったことも要因だ。
「せっかくなので、レイも剣の練習をしましょう。体力が付きますよ」
レヴィは諦めていなかった——聖剣として、当代剣聖に振るってもらうことに。
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17
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『雨の回廊』編の過去編スピンオフです。
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