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フェニックスの祝祭2
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二日後、レイとレヴィはまたフェリクスの執務室に来ていた。
「これがレイとレヴィの制服だよ」
「「ありがとうございます」」
レイとレヴィは、二人揃って礼を言った。
神官見習いの制服は、白と青を基調にした詰襟のワンピースだ。やや細身のラインで、腰から下はふわりとAラインに広がっている。肘上までの丈の短いケープもついていて、清楚で、シンプルなものだ。
一方で、レヴィは正式な聖騎士の制服だ。白地に青いラインが入った、きりりとした騎士服だ。
(……あ、やっぱり)
レイは制服の裏面を捲って納得した。手渡された瞬間に、違和感を感じたのだ——制服の裏地には、びっしりと魔力量を擬態するための魔術陣が入念に刺繍されていた。
「レイの制服には、魔力量を偽装する仕掛けが施してあります。さすがにその魔力量では、他の者に目をつけられてしまいますからね」
魔術刺繍を眺めていたレイに、ライオネルが補足説明をしてくれた。
「目をつけられるのは嫌ですね……でも、義父さんの指輪もありますし、いつも抑えてますよ?」
「ええ、ですが念のためです。目ざとい奴はどこにでもいます。特に、教会に所属する魔物は皆、高ランクです——そのくらい、すぐに見破るでしょう」
「備えておいて損は無いんですね」
「そうです。それに、レイは勧誘を断るのは苦手でしょうから、魔力量を聖属性の見習い神官ぐらいにまで抑えています」
「えっ!? 勧誘とかあるんですか!?」
「うん、そうなんだ。みんな、なぜか勧誘に熱心なんだよね……」
フェリクスがほろ苦く笑って教えてくれた。
「人材確保のためですよ。優秀な者はいくらいても足りませんから。そうでなくとも、レイはフェリクス様の初めてのお子様ですからね。人間に限らず、魔物でもレイに取り入ろうとする者は多いでしょう」
(……それはちょっと面倒くさいかも……)
単純に義父の誕生日を祝って、祝祭を楽しむためだけに来ていたレイには、少し荷の重い話だった。思わず遠い目にもなる。
「でも、レイは僕直属だから、できる限り他の教会関係者との関わりは持たせないよ」
「義父さん直属!」
レイはワクワクと瞳を輝かせた。
フェリクスは普段、教会にいることが多く、あまり一緒の時間を過ごせていないので、余計に嬉しさが込み上げてきた。
「お手伝い、頑張りますね!」
レイはにっこりと満面の笑顔で言った。
「うん、よろしく頼むよ」
その笑顔を見て、フェリクスも、いつも以上に相好を崩した。
***
レイたちに制服を手渡して軽く説明をした後、足早にライオネルは仕事へと戻っていた。現教皇でもあり、今は特に祝祭前だ。非常に忙しいのだろう。
ライオネルが執務室を出て行った後、フェリクスは自らレイたちを案内し始めた。
「それじゃあ、僕の区画に案内するね。ここ、ディアロバードの本部は、大きく分けて三つの区画があるんだ。信徒や一般人が出入りできて祈りを捧げられる聖堂区画、僕たち司教や神官なんかが実務を行う執務区画、それから、教会関係者が寝泊まりする宿舎があるんだ——僕の区画は、宿舎にあるよ」
「個人用の区画があるんですか?」
「そうだね。司教以上には与えられてるよ。僕の区画はここからは少し遠いけど、静かで、魔力的に一番いい場所にあるんだ。ユグドラ程じゃないけど、なかなか質の良い魔力が流れてるんだ。レイもきっと気に入るよ」
「それは楽しみです!」
白い大理石の荘厳な建物には、高い所に天窓があり、色鮮やかなステンドグラスがはめられていて、色とりどりの柔らかい光が差し込んでいた。
立派な柱の柱頭部には優美な装飾が施され、壁には所々、大きな絵画がかけられていた。どれも聖鳳教会の教えや逸話を題材にしたもののようだ。
執務区画と宿舎の間には、衛兵が二人立っていて、人々の出入りを監視しているようだ。
衛兵二人は、フェリクスを見かけると、すぐさま姿勢を正して、片手を胸に当てて教会式の礼をした。
フェリクスは「うん、ご苦労様」と簡単に労い、そのまま通過した。
レイとレヴィはまだ教会の制服を着ていなかったが、フェリクスが引き連れているためか、特に何のお咎めもなくスムーズに通過した。
「わぁ! 中庭も綺麗ですし、宿舎もとても素敵ですね!!」
「以前のご主人様とも教会に入ったことはありましたが、ここまで入って来たのは初めてです。魔力が澄んでいて、良い所ですね」
宿舎は、執務区画と中庭を挟んで、別の棟に入るようだった。
中庭の中心部には綺麗な泉が湧き出ており、その周りには、白や淡いピンク色の冬の花々が彩りを添えていた。
渡り廊下は東西にそれぞれ一つずつあり、宿舎も東棟と西棟に分かれているようだった。
宿舎は、聖鳳教会の雰囲気を損なわない白煉瓦造りだ。ブルーグレー色の屋根が載っている。
「うん。僕もここは気に入ってるんだ。東棟は司教以上が住んでいて、西棟はそれ以外の者が住んでるよ。僕の区画は東棟の中でも、最も北側にあるんだ」
「ふふふ。楽しみです! 早く行きましょう!」
「そうだね、こっちだよ」
レイはバフンッと軽くフェリクスの背中に体当たりして、先を促した。
フェリクスも微笑んで、ポンポンッと軽くレイの頭を撫でた。
衛兵二人は、信じられないものを見たように驚愕の表情で固まっていた。
***
(……これはもはや……)
レイは白く輝く大理石造りの離宮を見上げた。
宿舎全体よりは小さめであるが、非常に立派な離宮である。
白煉瓦の壁の内側には、先程の中庭よりも色とりどりの花々が咲き乱れ、ほんのりと甘い香りさえしてきている。
ここは、東棟の裏からのみ、薔薇のアーチと石畳の小道でつながっていて、ちょっとした秘密の場所のようだ。
「義父さんの区画って、この離宮全部……?」
「そうだよ、よく分かったね。なかなかこぢんまりとしてて、いいよね」
「……これで、こぢんまり、ですか……」
「本当はもっと大きいものが建つ予定だったんだけど、僕ももう魔王を引退してたし、隠居生活って、こう、慎ましく暮らす感じがいいかなって。小さめにしてもらったんだ」
衝撃的だったためか、ほんわかと和んで語る義父の言葉は、「分かるんだが、入ってこない」という不思議な状態だった。
慎ましいとは一体? とレイは「慎ましさ」の定義について迷子になった。
「ようこそ、僕の区画へ」
レイとレヴィは先代魔王に誘われて、離宮の中へと足を踏み入れた。
「すごい……」
「とても立派な屋敷ですね」
レイは言葉を失い、レヴィはにこにこと建物を褒めた。
離宮に入ってすぐのホールには、吹抜の天井から立派な水晶のシャンデリアが垂れ下がっていた。
ホールの正面奥には、二階へ続く大階段があり、そこから東西に分かれて廊下と部屋が続いているようだ。
そして、ここには潤沢な魔力が流れているためか、薄い青色の聖属性の玉型の精霊が、ふわふわと、あちらこちらに浮かんでいて、まるで魔法のお城の中にいるようだ。
「お帰りなさいませ」
「僕の義娘を連れてきたから、よろしくね」
「かしこまりました」
挨拶のために前に出て来たのは、白髪を綺麗にオールバックになでつけ、きちりと白いシンプルなドレスシャツと黒いスーツを着こなした初老の男性だ。
「レイ、彼は僕の側近で、執事長のマルコムだ」
「レイです。こちらは私の剣のレヴィです。よろしくお願いします」
「顔を上げてください、レイお嬢様。この屋敷の執事長のマルコムです。フェリクス様にいつの間にこんなかわいらしいお嬢様ができていたとは……こちらこそ、よろしくお願いいたします」
レイとレヴィがぺこりとお辞儀しようとすると、マルコムは慌ててそれを止め、丁寧にお辞儀をした。
「着替えが終わったら、紹介したい者たちがいるから、また僕の執務室に来てくれるかな?」
「分かりました」
「かしこまりました」
レイたちが頷くと、「お部屋はこちらです」とマルコムが二人を案内し始めた。
***
「わぁ! お部屋もとっても素敵です!」
「お気に召していただけたようで、ようございました」
レイの部屋はフェリクスの部屋の隣だった。
部屋は彼女の好みに合わせてか、シンプルでかわいらしい部屋だった。
真っ先に目に入ったのは、天蓋付きのお姫様ベッドだ。ふわりと白いレースがかかっていて、大きくてふかふかの枕やクッションがいくつも置かれていた。
壁沿いには二人掛けのピンク色のソファが置かれていて、こちらには猫さん柄のかわいらしいクッションが置かれていた。純白のテーブルは、楕円形の天板で、優美な猫脚をしている。
壁紙は赤いミニ薔薇の小花柄だ。柄自体が小さく、淡い色合いなので、部屋全体を明るく華やかにしつつも、邪魔しない上品なものだ。
窓には白いレースと、淡いピンク色のカーテンがかかっていて、少し広めのテラスが付いていた。そこから、先ほどの素敵な庭が見渡せそうだ。
「もし何かご入用の際は、こちらのベルを鳴らしてください。すぐに係の者が参ります」
「分かりました。ありがとうございます」
マルコムは金色の小さなベルをレイに手渡すと、「失礼します」と丁寧にお辞儀をして下がって行った。
彼は「レヴィ様のお部屋はこちらです」とすぐに次の案内にうつっていた。
(こんな素敵なお部屋を用意してくれてたなんて!)
レイは義父の気遣いに感謝しつつ、うきうきと身支度を始めた。
「これがレイとレヴィの制服だよ」
「「ありがとうございます」」
レイとレヴィは、二人揃って礼を言った。
神官見習いの制服は、白と青を基調にした詰襟のワンピースだ。やや細身のラインで、腰から下はふわりとAラインに広がっている。肘上までの丈の短いケープもついていて、清楚で、シンプルなものだ。
一方で、レヴィは正式な聖騎士の制服だ。白地に青いラインが入った、きりりとした騎士服だ。
(……あ、やっぱり)
レイは制服の裏面を捲って納得した。手渡された瞬間に、違和感を感じたのだ——制服の裏地には、びっしりと魔力量を擬態するための魔術陣が入念に刺繍されていた。
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魔術刺繍を眺めていたレイに、ライオネルが補足説明をしてくれた。
「目をつけられるのは嫌ですね……でも、義父さんの指輪もありますし、いつも抑えてますよ?」
「ええ、ですが念のためです。目ざとい奴はどこにでもいます。特に、教会に所属する魔物は皆、高ランクです——そのくらい、すぐに見破るでしょう」
「備えておいて損は無いんですね」
「そうです。それに、レイは勧誘を断るのは苦手でしょうから、魔力量を聖属性の見習い神官ぐらいにまで抑えています」
「えっ!? 勧誘とかあるんですか!?」
「うん、そうなんだ。みんな、なぜか勧誘に熱心なんだよね……」
フェリクスがほろ苦く笑って教えてくれた。
「人材確保のためですよ。優秀な者はいくらいても足りませんから。そうでなくとも、レイはフェリクス様の初めてのお子様ですからね。人間に限らず、魔物でもレイに取り入ろうとする者は多いでしょう」
(……それはちょっと面倒くさいかも……)
単純に義父の誕生日を祝って、祝祭を楽しむためだけに来ていたレイには、少し荷の重い話だった。思わず遠い目にもなる。
「でも、レイは僕直属だから、できる限り他の教会関係者との関わりは持たせないよ」
「義父さん直属!」
レイはワクワクと瞳を輝かせた。
フェリクスは普段、教会にいることが多く、あまり一緒の時間を過ごせていないので、余計に嬉しさが込み上げてきた。
「お手伝い、頑張りますね!」
レイはにっこりと満面の笑顔で言った。
「うん、よろしく頼むよ」
その笑顔を見て、フェリクスも、いつも以上に相好を崩した。
***
レイたちに制服を手渡して軽く説明をした後、足早にライオネルは仕事へと戻っていた。現教皇でもあり、今は特に祝祭前だ。非常に忙しいのだろう。
ライオネルが執務室を出て行った後、フェリクスは自らレイたちを案内し始めた。
「それじゃあ、僕の区画に案内するね。ここ、ディアロバードの本部は、大きく分けて三つの区画があるんだ。信徒や一般人が出入りできて祈りを捧げられる聖堂区画、僕たち司教や神官なんかが実務を行う執務区画、それから、教会関係者が寝泊まりする宿舎があるんだ——僕の区画は、宿舎にあるよ」
「個人用の区画があるんですか?」
「そうだね。司教以上には与えられてるよ。僕の区画はここからは少し遠いけど、静かで、魔力的に一番いい場所にあるんだ。ユグドラ程じゃないけど、なかなか質の良い魔力が流れてるんだ。レイもきっと気に入るよ」
「それは楽しみです!」
白い大理石の荘厳な建物には、高い所に天窓があり、色鮮やかなステンドグラスがはめられていて、色とりどりの柔らかい光が差し込んでいた。
立派な柱の柱頭部には優美な装飾が施され、壁には所々、大きな絵画がかけられていた。どれも聖鳳教会の教えや逸話を題材にしたもののようだ。
執務区画と宿舎の間には、衛兵が二人立っていて、人々の出入りを監視しているようだ。
衛兵二人は、フェリクスを見かけると、すぐさま姿勢を正して、片手を胸に当てて教会式の礼をした。
フェリクスは「うん、ご苦労様」と簡単に労い、そのまま通過した。
レイとレヴィはまだ教会の制服を着ていなかったが、フェリクスが引き連れているためか、特に何のお咎めもなくスムーズに通過した。
「わぁ! 中庭も綺麗ですし、宿舎もとても素敵ですね!!」
「以前のご主人様とも教会に入ったことはありましたが、ここまで入って来たのは初めてです。魔力が澄んでいて、良い所ですね」
宿舎は、執務区画と中庭を挟んで、別の棟に入るようだった。
中庭の中心部には綺麗な泉が湧き出ており、その周りには、白や淡いピンク色の冬の花々が彩りを添えていた。
渡り廊下は東西にそれぞれ一つずつあり、宿舎も東棟と西棟に分かれているようだった。
宿舎は、聖鳳教会の雰囲気を損なわない白煉瓦造りだ。ブルーグレー色の屋根が載っている。
「うん。僕もここは気に入ってるんだ。東棟は司教以上が住んでいて、西棟はそれ以外の者が住んでるよ。僕の区画は東棟の中でも、最も北側にあるんだ」
「ふふふ。楽しみです! 早く行きましょう!」
「そうだね、こっちだよ」
レイはバフンッと軽くフェリクスの背中に体当たりして、先を促した。
フェリクスも微笑んで、ポンポンッと軽くレイの頭を撫でた。
衛兵二人は、信じられないものを見たように驚愕の表情で固まっていた。
***
(……これはもはや……)
レイは白く輝く大理石造りの離宮を見上げた。
宿舎全体よりは小さめであるが、非常に立派な離宮である。
白煉瓦の壁の内側には、先程の中庭よりも色とりどりの花々が咲き乱れ、ほんのりと甘い香りさえしてきている。
ここは、東棟の裏からのみ、薔薇のアーチと石畳の小道でつながっていて、ちょっとした秘密の場所のようだ。
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「すごい……」
「とても立派な屋敷ですね」
レイは言葉を失い、レヴィはにこにこと建物を褒めた。
離宮に入ってすぐのホールには、吹抜の天井から立派な水晶のシャンデリアが垂れ下がっていた。
ホールの正面奥には、二階へ続く大階段があり、そこから東西に分かれて廊下と部屋が続いているようだ。
そして、ここには潤沢な魔力が流れているためか、薄い青色の聖属性の玉型の精霊が、ふわふわと、あちらこちらに浮かんでいて、まるで魔法のお城の中にいるようだ。
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「かしこまりました」
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「レイ、彼は僕の側近で、執事長のマルコムだ」
「レイです。こちらは私の剣のレヴィです。よろしくお願いします」
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レイとレヴィがぺこりとお辞儀しようとすると、マルコムは慌ててそれを止め、丁寧にお辞儀をした。
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「分かりました」
「かしこまりました」
レイたちが頷くと、「お部屋はこちらです」とマルコムが二人を案内し始めた。
***
「わぁ! お部屋もとっても素敵です!」
「お気に召していただけたようで、ようございました」
レイの部屋はフェリクスの部屋の隣だった。
部屋は彼女の好みに合わせてか、シンプルでかわいらしい部屋だった。
真っ先に目に入ったのは、天蓋付きのお姫様ベッドだ。ふわりと白いレースがかかっていて、大きくてふかふかの枕やクッションがいくつも置かれていた。
壁沿いには二人掛けのピンク色のソファが置かれていて、こちらには猫さん柄のかわいらしいクッションが置かれていた。純白のテーブルは、楕円形の天板で、優美な猫脚をしている。
壁紙は赤いミニ薔薇の小花柄だ。柄自体が小さく、淡い色合いなので、部屋全体を明るく華やかにしつつも、邪魔しない上品なものだ。
窓には白いレースと、淡いピンク色のカーテンがかかっていて、少し広めのテラスが付いていた。そこから、先ほどの素敵な庭が見渡せそうだ。
「もし何かご入用の際は、こちらのベルを鳴らしてください。すぐに係の者が参ります」
「分かりました。ありがとうございます」
マルコムは金色の小さなベルをレイに手渡すと、「失礼します」と丁寧にお辞儀をして下がって行った。
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『冒険者を辞めたら天職でした 〜パーティーを追放された凄腕治癒師は、大聖者と崇められる〜』
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