77 / 347
ガラテア1
しおりを挟む
「それで、あなたが私の交代要員ということですね?」
「ええ、そうです」
ライオネルは赤色の目を少し丸くして確認した。
冒険者らしい口調は、光の大司教ルーファスの前なので、丁寧なものになっている。
現在、空色の戦斧亭の男部屋に、銀の不死鳥メンバーは集合していた。新メンバー、ルーファスの紹介のためだ。
空色の戦斧亭の泊まり客用の部屋は、どれも簡素なベッドが二つと、素朴な木製のテーブル一脚と、椅子が二脚置いてあるシンプルな部屋だ。
ライは着慣れたシャツに、ブラウンの丈夫なパンツとブーツという冒険者らしい出で立ちだが、堂々と椅子に座るその様は、教皇らしい威厳を醸し出している。
彼の前に立つルーファスも、生成り色のシャツにグリーンのベストという冒険者らしい服装だが、やはり育ちの良さなのか、普段からこうなのか、優美で上品な佇まいだ。
レイとレヴィと琥珀は空いてるベッドの端に並んで腰掛けて、二人の様子を眺めていた。
「……まあ、フェリクス様のことです。大方、先見で観られたのでしょう」
「そうです。猊下の代わりに、冒険者としてレイさんたちをサポートせよ、と仰せつかりました」
「冒険者ランクはどのくらいですか?」
「Bランクです。以前、少しだけ冒険者をしてました」
「ここに来たということは、すぐにでも冒険者として活動できるということでよろしいですか?」
「準備はしてあるので、大丈夫です」
「それでしたら、本日、ルーファスもパーティー登録してしまいましょう。Bランク冒険者が増えるなら、もう少しランクの高い依頼も受けられるでしょう。私がまだパーティーにいる内に経験しておいた方がいいですね」
「ええ、よろしくお願いします」
ルーファスは片手を胸に当て、教会式の綺麗なお辞儀をした。
***
「それでは、こちらの用紙に追加メンバーの方のお名前をご記入ください」
冒険者ギルド受付のシドニーが、しずしずとパーティーメンバー登録用の用紙を出してきた。いつにもなく、はにかんだ笑顔だ。
ルーファスが冒険者ギルドに入った途端、ギルド内にいた全ての女性がざわついた。
ルーファスは繊細な白皙の美貌をしている。すらりとした長身で、細すぎず太すぎない体躯、淡い金髪に淡い黄色の瞳は柔和で優しげだ。まるで「王子様」と言っても差し支えない雰囲気だ。
光竜王の弟なので、ある意味王族ではある……
「ルーファスさんは、Bランクの弓士ですね」
シドニーがパーティーメンバー追加の用紙と冒険者証を確認した。チラチラとルーファスの方を盗み見ている。
「ええ、そうです」
ルーファスがにこりと笑った。
優しげな王子様の笑顔に、受付の後ろの方にいたギルドの女性職員たちが、きゃーっ、と小さく騒ぎだした。
いつも淡々と受付業務をこなすシドニーも、この時ばかりは固まってしまった。
「ライ、ちょっと、こっちに来い。メンバー全員でだ」
ギルドマスターのオーガストが面倒くさそうに、騒いでいる女性職員たちを避けて、声をかけてきた。
銀の不死鳥メンバーは、冒険者ギルドの応接室に通された。
オーガストが奥の大きくて草臥れた革のソファにどかりと一人で座り、出入口側のソファには、ライを真ん中にして、レイとルーファスがその左右に座った。レヴィは、壁際にあった丸椅子を持ってきて腰掛けた。
「銀の不死鳥には、Bランクのルーファスが加わったからな。Aランク一人に、新人二人だからどうしようかと思ってた依頼があるんだ」
「指名、ですか?」
ライが鋭く目を煌めかせて確認した。他の銀の不死鳥メンバーも、ごくりと息を呑む。
指名依頼は、信頼のある高ランク冒険者やパーティーに依頼される。依頼を達成すれば、通常の依頼よりも貢献ポイントが多めに加算される——その分、依頼の難易度は上がることになる。
「そうだ。これなんだが……」
オーガストは、苦々しい表情で、依頼票をテーブルの上に広げた。依頼ボードでは見たことがなかったものだ。
(……Bランクの依頼???)
レイは目をぱちくりさせて依頼票を覗き込んだ。
「ナイアド湖の調査……?」
ライも依頼票をじっと見つめて呟いた。珍しく難しい顔をしている。
「そうだ。ナイアド湖はセルバから北東の地にある大きな湖なんだが……最近、様子がおかしいらしいんだ。ナイアド湖は高ランクの水竜の縄張りだからな、生半可な冒険者じゃ任せられなくてな」
「なるほど」
「依頼内容は、ナイアド湖の異変の原因調査だ。高ランクの水竜だ。下手に刺激して、洪水なんか起こされたら、村や街の一つや二つは簡単に沈むからな。無理はするな」
「分かった。高位の竜関連……内容的にも、急ぎの案件だな。調査までで大丈夫か?」
「そうだ。調査だけでいい。悪いが、すぐにでも向かってくれ」
オーガストがゴツい手を組み、真剣な眼差しで銀の不死鳥を指名した。
***
銀の不死鳥メンバーは、宿に一度戻って、出立の準備をすることになった。
レイは自分の荷物はほとんど空間収納にしまっており、一番最初に準備が整ったので、琥珀を連れてさっさと男部屋に向かった。
男部屋では持って行く荷物を確認しつつ、情報整理を始めていた。
「ナイアド湖は水竜ガラテアの縄張りですね。彼女は水竜の第七席で、SSランクです。穏やかな気質だと聞いたことはありますが……彼女に何かあった可能性がありますね」
ルーファスが口元に指を置き、思い出すように呟いた。
「依頼主はナイアド湖近くのタラッサ村の村長。ここ二週間ほど、湖一面が霧で覆われて近づけない状態。霧の中に入っても、いつの間にか森の中に戻っている、と……おかげで、村では半月ほど湖での漁ができていないらしいな」
ライはギルドで貰った依頼票の写しを読み上げた。
「霧の結界でしょうか」
レイは白の領域を思い浮かべて言った。
「おそらく、方向感覚を狂わせるような魔術も併用してますね。うちの里でも使ってます」
ルーファスも小さく頷いた。
「まあ、現地に行って確認するか。俺もガラテアとは直接の知り合いじゃないんだよな……ああ、そうだ、ルーファス」
ライはルーファスに向き直って、真っ直ぐに見つめた。
「何でしょうか?」
ルーファスは不意に名指しされ、淡い黄色の目を丸くした。
「銀の不死鳥では言葉を崩してもらっていい。仲間なんだ。お前までそんな丁寧な敬語は不自然だ」
「分かりました……いや、分かった」
「それでいい」
ライはにやりと笑って、大きく頷いた。
「誰かタラッサ村への転移は使えるか? 今回は急ぎの案件だしな。高位の竜関連だ、早めに対処すべきだ」
「私はタラッサ村へは行ったことないです。座標軸が分かればいいんですが……」
「それなら、僕が村まで乗せてくよ」
ルーファスの提案に、一斉にみんなが彼を振り向いた。
「いいのか? 竜はあまり人を乗せたがらないと聞いたが……」
ライが戸惑いつつ確認した。
竜は、仕事として人々を運ぶ竜便を除いて、基本的に人を乗せたがらない。それだけ誇り高い種族なのだ。
もし乗せたとしても、気に入った者やパートナー、魔術契約がある者、加護を与えている者など非常に限定的だ。
「構わないさ。仲間だろう?」
ルーファスがにこりと笑った。
***
銀の不死鳥は、その日のうちにセルバから出立した。
空色の戦斧亭の亭主に、ライがまたしばらく依頼で外泊することを伝えると、にかっと笑って「行ってこい」と送り出してくれた。
街から少し離れた所で、周囲に他の人の気配がしないことを確認すると、ルーファスは竜体に戻った。
まさしく、レイの元の世界でいうドラゴン、というような姿だ。
淡い黄色の硬い鱗に覆われた竜体は、長くしなやかな首と尾、太くがっしりとした四肢をしている。背中からは大きな羽が二枚生えており、頭部からは真っ白な二本の立派な角が生えている——ドラゴンの力強さと優美さを兼ね備えた美しさだ。
「わぁ! とってもかっこいいです!」
「竜に乗るのは初めてです」
レイは元の世界での伝説の生き物に瞳を輝かせ、レヴィは新しい体験に胸を膨らませた。
「ルーファスの本体を見たのは初めてだが、素晴らしいの一言だな。光竜は竜族の中でもとりわけ美しいと言われている種族だが、それでも美しいな」
ライが手放しに賞賛している。
「褒めても何も出ないぞ……さぁ、さっさと鞍をつけて乗ってくれ」
ルーファスが空間収納から三人乗り用の鞍を引き摺り出し、ライとレヴィが二人がかりで竜の背に鞍を取り付けた。
「琥珀は危ないので、私の影の中に入っててね」
「な~ん」
レイが撫でると、琥珀は一鳴きして影の中に入っていった。
レイは空間収納からゴーグルを二つ取り出して、一つを装備し、もう一つをレヴィに手渡した。
「準備が良すぎじゃないか?」
ライが二人のゴーグル姿を見て、目を瞬かせた。
「義父さんに乗った時に、渡されたんです。さすがにライの分までは持ってないですよ」
「いや、俺の分は大丈夫だ。さ、乗るぞ」
ライがレイを竜の背に引っ張り上げ、自分の前に座らせた。彼女が飛行中に飛び出さないように、がっしりと後ろから抱え込む。
「飛ばすからな、しっかり掴まっておけよ」
ルーファスは一声鳴くと、力強く空へと舞い上がり、一陣の風のようにタラッサ村へと向かった。
「ええ、そうです」
ライオネルは赤色の目を少し丸くして確認した。
冒険者らしい口調は、光の大司教ルーファスの前なので、丁寧なものになっている。
現在、空色の戦斧亭の男部屋に、銀の不死鳥メンバーは集合していた。新メンバー、ルーファスの紹介のためだ。
空色の戦斧亭の泊まり客用の部屋は、どれも簡素なベッドが二つと、素朴な木製のテーブル一脚と、椅子が二脚置いてあるシンプルな部屋だ。
ライは着慣れたシャツに、ブラウンの丈夫なパンツとブーツという冒険者らしい出で立ちだが、堂々と椅子に座るその様は、教皇らしい威厳を醸し出している。
彼の前に立つルーファスも、生成り色のシャツにグリーンのベストという冒険者らしい服装だが、やはり育ちの良さなのか、普段からこうなのか、優美で上品な佇まいだ。
レイとレヴィと琥珀は空いてるベッドの端に並んで腰掛けて、二人の様子を眺めていた。
「……まあ、フェリクス様のことです。大方、先見で観られたのでしょう」
「そうです。猊下の代わりに、冒険者としてレイさんたちをサポートせよ、と仰せつかりました」
「冒険者ランクはどのくらいですか?」
「Bランクです。以前、少しだけ冒険者をしてました」
「ここに来たということは、すぐにでも冒険者として活動できるということでよろしいですか?」
「準備はしてあるので、大丈夫です」
「それでしたら、本日、ルーファスもパーティー登録してしまいましょう。Bランク冒険者が増えるなら、もう少しランクの高い依頼も受けられるでしょう。私がまだパーティーにいる内に経験しておいた方がいいですね」
「ええ、よろしくお願いします」
ルーファスは片手を胸に当て、教会式の綺麗なお辞儀をした。
***
「それでは、こちらの用紙に追加メンバーの方のお名前をご記入ください」
冒険者ギルド受付のシドニーが、しずしずとパーティーメンバー登録用の用紙を出してきた。いつにもなく、はにかんだ笑顔だ。
ルーファスが冒険者ギルドに入った途端、ギルド内にいた全ての女性がざわついた。
ルーファスは繊細な白皙の美貌をしている。すらりとした長身で、細すぎず太すぎない体躯、淡い金髪に淡い黄色の瞳は柔和で優しげだ。まるで「王子様」と言っても差し支えない雰囲気だ。
光竜王の弟なので、ある意味王族ではある……
「ルーファスさんは、Bランクの弓士ですね」
シドニーがパーティーメンバー追加の用紙と冒険者証を確認した。チラチラとルーファスの方を盗み見ている。
「ええ、そうです」
ルーファスがにこりと笑った。
優しげな王子様の笑顔に、受付の後ろの方にいたギルドの女性職員たちが、きゃーっ、と小さく騒ぎだした。
いつも淡々と受付業務をこなすシドニーも、この時ばかりは固まってしまった。
「ライ、ちょっと、こっちに来い。メンバー全員でだ」
ギルドマスターのオーガストが面倒くさそうに、騒いでいる女性職員たちを避けて、声をかけてきた。
銀の不死鳥メンバーは、冒険者ギルドの応接室に通された。
オーガストが奥の大きくて草臥れた革のソファにどかりと一人で座り、出入口側のソファには、ライを真ん中にして、レイとルーファスがその左右に座った。レヴィは、壁際にあった丸椅子を持ってきて腰掛けた。
「銀の不死鳥には、Bランクのルーファスが加わったからな。Aランク一人に、新人二人だからどうしようかと思ってた依頼があるんだ」
「指名、ですか?」
ライが鋭く目を煌めかせて確認した。他の銀の不死鳥メンバーも、ごくりと息を呑む。
指名依頼は、信頼のある高ランク冒険者やパーティーに依頼される。依頼を達成すれば、通常の依頼よりも貢献ポイントが多めに加算される——その分、依頼の難易度は上がることになる。
「そうだ。これなんだが……」
オーガストは、苦々しい表情で、依頼票をテーブルの上に広げた。依頼ボードでは見たことがなかったものだ。
(……Bランクの依頼???)
レイは目をぱちくりさせて依頼票を覗き込んだ。
「ナイアド湖の調査……?」
ライも依頼票をじっと見つめて呟いた。珍しく難しい顔をしている。
「そうだ。ナイアド湖はセルバから北東の地にある大きな湖なんだが……最近、様子がおかしいらしいんだ。ナイアド湖は高ランクの水竜の縄張りだからな、生半可な冒険者じゃ任せられなくてな」
「なるほど」
「依頼内容は、ナイアド湖の異変の原因調査だ。高ランクの水竜だ。下手に刺激して、洪水なんか起こされたら、村や街の一つや二つは簡単に沈むからな。無理はするな」
「分かった。高位の竜関連……内容的にも、急ぎの案件だな。調査までで大丈夫か?」
「そうだ。調査だけでいい。悪いが、すぐにでも向かってくれ」
オーガストがゴツい手を組み、真剣な眼差しで銀の不死鳥を指名した。
***
銀の不死鳥メンバーは、宿に一度戻って、出立の準備をすることになった。
レイは自分の荷物はほとんど空間収納にしまっており、一番最初に準備が整ったので、琥珀を連れてさっさと男部屋に向かった。
男部屋では持って行く荷物を確認しつつ、情報整理を始めていた。
「ナイアド湖は水竜ガラテアの縄張りですね。彼女は水竜の第七席で、SSランクです。穏やかな気質だと聞いたことはありますが……彼女に何かあった可能性がありますね」
ルーファスが口元に指を置き、思い出すように呟いた。
「依頼主はナイアド湖近くのタラッサ村の村長。ここ二週間ほど、湖一面が霧で覆われて近づけない状態。霧の中に入っても、いつの間にか森の中に戻っている、と……おかげで、村では半月ほど湖での漁ができていないらしいな」
ライはギルドで貰った依頼票の写しを読み上げた。
「霧の結界でしょうか」
レイは白の領域を思い浮かべて言った。
「おそらく、方向感覚を狂わせるような魔術も併用してますね。うちの里でも使ってます」
ルーファスも小さく頷いた。
「まあ、現地に行って確認するか。俺もガラテアとは直接の知り合いじゃないんだよな……ああ、そうだ、ルーファス」
ライはルーファスに向き直って、真っ直ぐに見つめた。
「何でしょうか?」
ルーファスは不意に名指しされ、淡い黄色の目を丸くした。
「銀の不死鳥では言葉を崩してもらっていい。仲間なんだ。お前までそんな丁寧な敬語は不自然だ」
「分かりました……いや、分かった」
「それでいい」
ライはにやりと笑って、大きく頷いた。
「誰かタラッサ村への転移は使えるか? 今回は急ぎの案件だしな。高位の竜関連だ、早めに対処すべきだ」
「私はタラッサ村へは行ったことないです。座標軸が分かればいいんですが……」
「それなら、僕が村まで乗せてくよ」
ルーファスの提案に、一斉にみんなが彼を振り向いた。
「いいのか? 竜はあまり人を乗せたがらないと聞いたが……」
ライが戸惑いつつ確認した。
竜は、仕事として人々を運ぶ竜便を除いて、基本的に人を乗せたがらない。それだけ誇り高い種族なのだ。
もし乗せたとしても、気に入った者やパートナー、魔術契約がある者、加護を与えている者など非常に限定的だ。
「構わないさ。仲間だろう?」
ルーファスがにこりと笑った。
***
銀の不死鳥は、その日のうちにセルバから出立した。
空色の戦斧亭の亭主に、ライがまたしばらく依頼で外泊することを伝えると、にかっと笑って「行ってこい」と送り出してくれた。
街から少し離れた所で、周囲に他の人の気配がしないことを確認すると、ルーファスは竜体に戻った。
まさしく、レイの元の世界でいうドラゴン、というような姿だ。
淡い黄色の硬い鱗に覆われた竜体は、長くしなやかな首と尾、太くがっしりとした四肢をしている。背中からは大きな羽が二枚生えており、頭部からは真っ白な二本の立派な角が生えている——ドラゴンの力強さと優美さを兼ね備えた美しさだ。
「わぁ! とってもかっこいいです!」
「竜に乗るのは初めてです」
レイは元の世界での伝説の生き物に瞳を輝かせ、レヴィは新しい体験に胸を膨らませた。
「ルーファスの本体を見たのは初めてだが、素晴らしいの一言だな。光竜は竜族の中でもとりわけ美しいと言われている種族だが、それでも美しいな」
ライが手放しに賞賛している。
「褒めても何も出ないぞ……さぁ、さっさと鞍をつけて乗ってくれ」
ルーファスが空間収納から三人乗り用の鞍を引き摺り出し、ライとレヴィが二人がかりで竜の背に鞍を取り付けた。
「琥珀は危ないので、私の影の中に入っててね」
「な~ん」
レイが撫でると、琥珀は一鳴きして影の中に入っていった。
レイは空間収納からゴーグルを二つ取り出して、一つを装備し、もう一つをレヴィに手渡した。
「準備が良すぎじゃないか?」
ライが二人のゴーグル姿を見て、目を瞬かせた。
「義父さんに乗った時に、渡されたんです。さすがにライの分までは持ってないですよ」
「いや、俺の分は大丈夫だ。さ、乗るぞ」
ライがレイを竜の背に引っ張り上げ、自分の前に座らせた。彼女が飛行中に飛び出さないように、がっしりと後ろから抱え込む。
「飛ばすからな、しっかり掴まっておけよ」
ルーファスは一声鳴くと、力強く空へと舞い上がり、一陣の風のようにタラッサ村へと向かった。
18
◆関連作品
『砂漠の詩』
『雨の回廊』編の過去編スピンオフです。
『冒険者を辞めたら天職でした 〜パーティーを追放された凄腕治癒師は、大聖者と崇められる〜』
『冒険者パーティーを追放された凄腕治癒師を拾いました』編のスピンオフです。
『ジャスティンと魔法少女のステッキ』
『魔法少女』編のスピンオフです。
『砂漠の詩』
『雨の回廊』編の過去編スピンオフです。
『冒険者を辞めたら天職でした 〜パーティーを追放された凄腕治癒師は、大聖者と崇められる〜』
『冒険者パーティーを追放された凄腕治癒師を拾いました』編のスピンオフです。
『ジャスティンと魔法少女のステッキ』
『魔法少女』編のスピンオフです。
お気に入りに追加
161
あなたにおすすめの小説

【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。
さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。
許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。
幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。
(ああ、もう、)
やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。
(ずるいよ……)
リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。
こんな私なんかのことを。
友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。
彼らが最後に選ぶ答えとは——?
⚠️好みが非常に分かれる作品となっております。

夫の隠し子を見付けたので、溺愛してみた。
辺野夏子
恋愛
セファイア王国王女アリエノールは八歳の時、王命を受けエメレット伯爵家に嫁いだ。それから十年、ずっと仮面夫婦のままだ。アリエノールは先天性の病のため、残りの寿命はあとわずか。日々を穏やかに過ごしているけれど、このままでは生きた証がないまま短い命を散らしてしまう。そんなある日、アリエノールの元に一人の子供が現れた。夫であるカシウスに生き写しな見た目の子供は「この家の子供になりにきた」と宣言する。これは夫の隠し子に間違いないと、アリエノールは継母としてその子を育てることにするのだが……堅物で不器用な夫と、余命わずかで卑屈になっていた妻がお互いの真実に気が付くまでの話。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界で婚活したら、とんでもないのが釣れちゃった?!
家具付
恋愛
五年前に、異世界に落っこちてしまった少女スナゴ。受け入れてくれた村にすっかりなじんだ頃、近隣の村の若い人々が集まる婚活に誘われる。一度は行ってみるべきという勧めを受けて行ってみたそこで出会ったのは……?
多種多様な獣人が暮らす異世界でおくる、のんびりほのぼのな求婚ライフ!の、はずだったのに。

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる