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白の領域4
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「あれ? レ……ふぐぅゔ!!」
アイザックが何か言おうとして、バタンッと後ろに倒れ込んだ。
アイザックの隣にいたぽっちゃりした女性がビクッと小さく跳ねて、これでもかと目を見開いてアイザックを見つめている。あまりの速さで何が起こったのか分からなかったようだ。
彼女は、ハッとなって正気に戻ると、慌ててしゃがみ込んで「大丈夫ですか!? アイザック様!!」とアイザックを激しく揺すって声を掛けている。
ウィルフレッドは振りかぶって投げきったフォームを崩して、何事も無かったかのように普通の状態に戻ると、
「アイザックは饅頭が好きなんです。彼にも作業を頑張って貰いましたし、俺からの礼です」
としれっと良い笑顔で答えていた。
ウィルフレッドが投げた豪速球饅頭は、見事にアイザックの口の中に入ったのだ。もちろん、口封じのためだ。
饅頭は、アイザックが呻きながらも、一応、美味しくいただいている。
「まあ、アイザック様もお饅頭がお好きなのですね」とフィリアは口元に手をやっておっとりと目を丸くし、フィリア兄は「えっ!? 今、何が!?」とウィルフレッドとアイザックを交互に見てはおろおろしている。
ウィルフレッドの横で全てを見ていたレヴィは「ああやって人を黙らせる方法もあるのですね」と余計なことをラーニング中だ。
カルロはアイザックが可哀想に思うも、ここでレイだとバレては困るため、次にアイザックが失言しそうになった時のためにも、自分用の饅頭をさりげなくウィルフレッドの皿に載せて、次弾を装填しておいた。
「ゲホッゴホッ……酷すぎるよ、ウィル! 僕はただレ……いや、カルロに挨拶しようとしただけじゃないか!!」
アイザックが喉を抑えつつ顔を真っ赤にし、涙目で抗議した。途中でウィルフレッドが二投目用の饅頭に手を伸ばしたのが見えたため、レイの名前をカルロに言い直している。
「まあ、まあ、みなさま、お掛けになって。お茶をお持ちいたしますわ」
フィリアは一旦、お茶と茶菓子を手配しに、応接室から出て行った。
***
フィリアが霧竜のお手伝いさんと一緒に、追加のお茶と茶菓子を持って応接室に戻って来た時、アナベラが元々フィリアのいた席に座っていた。
アナベラが座っているのは、アイザックとレイに斜め前から挟まれた角の席だ。
アナベラは、饅頭攻撃で喉を痛めたアイザックを心配して介抱する素振りで、ここぞとばかりにベタベタとその背中を撫でている。
応接室内の空間がピシリと鳴り、ひやりと重たい魔力圧がフィリアから漏れ出した。
「アナベラ? そこ、私の席なんだけど……」
「別にいいじゃない。席はまだ空いてるんだし。それに、アイザック様もとてもお辛そうよ。心配だわ……」
フィリアの表情がのっぺりと抜け落ち、アナベラを睨みつける目だけがギラギラとしている。
アナベラはアナベラで、堂々と主張している。
フィリアとアナベラの間には、目には見えないが、誰しもが認識している激しい火花が散っていた。
「まあ、フィリアも座れ。二人とも、お客様の前だ。憧れのアイザック様の前なんだろう? 喧嘩はよせ」
フィリア兄の言葉に、フィリアとアナベラはハッとなって「お見苦しいところを……」と急に取り繕ってしおらしくなった。
ウィルフレッドとカルロはとにかく早く帰りたくなって、遠い目をした。
アイザックは平然と出された霧茶を飲んで、先ほどの饅頭攻撃で痛めた喉を潤している。
「……すまない、フィリアとアナベラは歳も近くて幼馴染なんだ。普段は気が合うみたいで仲も良いんだが、どうも男の趣味が一緒でな……毎回、男のことで揉めるんだ」
フィリア兄が両方の眉を下げられるだけ下げて、非常にいたたまれない感じで説明してくれた。
「そういえば、自己紹介がまだだったな。俺はフィリアの兄、イアンだ」
「俺はウィルフレッド。ユグドラの管理者だ。こいつは俺の助手でカルロ。で、こっちは護衛のレヴィだ」
「「よろしくお願いします」」
カルロとレヴィもぺこりとお辞儀をした。
「私はアナベラよ。霧雨リザードなの……カルロ君は素敵な魔力をしてるわね。普段はユグドラの街にいるの?」
アナベラはギラリと目を光らせてカルロに質問してきた。心なしか、獲物を狙う目だ。
フィリアの方からは、さらにじとりとした魔力圧が漏れ出している。
「……ええ、そうです」
アナベラの気迫に若干引きながら、カルロは答えた。
「今まで気づかなかったわ。こんなに強い水属性の魔力の子がいたなんて……とっても美味しそう」
アナベラはペロリと自身の唇を舐めた。
「ちょ、ちょっと、アナベラ! あなた、何摘み食いしてるのよ!!」
フィリアがガタンッと席を立って、猫がキーッと毛を逆立てて威嚇するように、アナベラを睨みつけている。
「ア、アナベラ! 客人の魔力を摘み食いするんじゃない!!」
イアンもいきなりの事にびっくりして、わたわたとアナベラを注意している。
「いいじゃない、随分魔力量が多いみたいだし、ちょっと味見しただけよ」
「そういう問題じゃないでしょ!! お客様なのよ! いくら美味しそうだからって、許可も無く、失礼じゃない!!」
「あら、フィリアだって狙ってるんじゃない? 目が美味しそうって言ってるわよ。それに、すぐにカッとなって人を刺しちゃう女なんて、アイザック様に相手にされないものね」
「何よっ!! アナベラだって相手にされてないじゃない! 馴れ馴れし過ぎて、却って失礼なのよ!!」
「はぁ!?」
フィリアは怒りすぎて、ただでさえつり目なのに、さらに般若のように目がつり上がっている。
アナベラもダンッとテーブルを叩いて立ち上がり、怒りでただでさえ丸い顔を真っ赤にして、熟れたトマトのようだ。
イアンは、キーキーとヒステリックに喚く隣の妹の顔を見ては「こわっ」と顔を青ざめさせて引き、噴火したかのような勢いのアナベラには「ヒィッ、お、落ち着け」とその気迫に押されて及び腰だ。
ダンッ!!
それまでずっと静かに茶を飲んでいたアイザックが、コップを持った拳ごとテーブルを叩いた。
SSランクの魔物に相応しい重たい魔力圧が漏れ出ている。
「……いい加減にしてくれないかな?」
いつも朗らかなアイザックにしては珍しく、目が座っている。
そのままギロリとアナベラを睨み付けた。
「僕だってフェリクス様に止められて、まだ味見すらしたことないんだ。今後一切、カルロの魔力を摘むのはやめてもらえないかな?」
「は、はひぃ!」
アナベラが、それこそ蛇に睨まれたように顔を青ざめさせて返事をした。
アイザックはそのままフィリアも横目で睨め付けた。
「君も、こういうゴタゴタは他所でやってもらえないかな? それこそ、客の前でやる事じゃないよね」
「はいぃ!」
フィリアも顔を青くしてガタガタと震えている。
「何より、カルロは僕の将来のお嫁さんだよ。これ以上、この子に構わないで欲しいね」
「「「「えっ?」」」」
白の領域出身の三人はもちろん、カルロも目を丸くした。
「ま、まさかっ!?」
「「きゃ~~~っ!!!」
カルロが本当は女の子であることを知らないイアンは「まさかアイザック様はそちらだったか」と目を剥いて驚き、フィリアとアナベラは大歓喜して黄色い声を上げた。
カルロは何故今この場でそんな「将来のお嫁さん」発言をするのか、とびっくりしている。
「「……尊い……」」
フィリアとアナベラの、アイザックとカルロを見つめる目が変わった——じっとりと熱く、一瞬でも二人のことは見逃すまいとしたねっとりとしたものに……
(な、何!? 急に、怖いよ!!?)
魔物女子二人の熱い視線に、カルロは悪寒を覚えてぶるりと身震いをした。何だか分かりたくはないものの対象にされたのだけは感じた。
ウィルフレッドは、エルフ生経験の長さから何かを察して、遠い目をした。
レヴィは「『尊い』とは何でしょうか?」と小首を傾げて、淡々と疑問を呟いていた。
***
「もう、アイザック様とカルロ様、お二人のことは邪魔しませんわ」
「いつでも白の領域にいらして下さい! できれば、アイザック様とカルロ君セットで!!」
フィリアとアナベラは、ほくほくとした笑顔でカルロとアイザックに声をかけた。上機嫌な二人からは、キャッキャとした明るく元気なオーラが放たれている。
フィリアとアナベラのねっとりとした熱視線に見送られ、カルロたちは霧竜の里を後にした。
「レイ、大丈夫だ。この前の刃傷沙汰で、彼女たちはユグドラの街は出禁になってる。白の領域に近づかない限り、これ以上、彼女たちのおかずになることはない」
白の領域から出てすぐに、ウィルフレッドはポンッとレイの肩に手を置き、安心させるように言った。もうレイの「カルロ」呼びは終了したようだ。
(「おかず」って……)
レイは、それは自分の魔力のことなのか、それともカルロとアイザックの事なのか、いろいろ含みを持った単語が気になってしまい、思わずウィルフレッドを胡乱な目で見上げてしまった。
「ゔっ……まあ、一応無事に作業も終わったし、ユグドラに帰ろうか! アニータさんに美味しいご飯を作ってもらおう!」
弟子の不信の目を逸らすように、ウィルフレッドはわざとらしく明るい声で言いい、レイの背中を押して帰りを促した。
「……結局、『尊い』とは何だったのでしょうか?」
レヴィにだけは疑問が残った。
アイザックが何か言おうとして、バタンッと後ろに倒れ込んだ。
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カルロはアイザックが可哀想に思うも、ここでレイだとバレては困るため、次にアイザックが失言しそうになった時のためにも、自分用の饅頭をさりげなくウィルフレッドの皿に載せて、次弾を装填しておいた。
「ゲホッゴホッ……酷すぎるよ、ウィル! 僕はただレ……いや、カルロに挨拶しようとしただけじゃないか!!」
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「まあ、まあ、みなさま、お掛けになって。お茶をお持ちいたしますわ」
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フィリアが霧竜のお手伝いさんと一緒に、追加のお茶と茶菓子を持って応接室に戻って来た時、アナベラが元々フィリアのいた席に座っていた。
アナベラが座っているのは、アイザックとレイに斜め前から挟まれた角の席だ。
アナベラは、饅頭攻撃で喉を痛めたアイザックを心配して介抱する素振りで、ここぞとばかりにベタベタとその背中を撫でている。
応接室内の空間がピシリと鳴り、ひやりと重たい魔力圧がフィリアから漏れ出した。
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「別にいいじゃない。席はまだ空いてるんだし。それに、アイザック様もとてもお辛そうよ。心配だわ……」
フィリアの表情がのっぺりと抜け落ち、アナベラを睨みつける目だけがギラギラとしている。
アナベラはアナベラで、堂々と主張している。
フィリアとアナベラの間には、目には見えないが、誰しもが認識している激しい火花が散っていた。
「まあ、フィリアも座れ。二人とも、お客様の前だ。憧れのアイザック様の前なんだろう? 喧嘩はよせ」
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アイザックは平然と出された霧茶を飲んで、先ほどの饅頭攻撃で痛めた喉を潤している。
「……すまない、フィリアとアナベラは歳も近くて幼馴染なんだ。普段は気が合うみたいで仲も良いんだが、どうも男の趣味が一緒でな……毎回、男のことで揉めるんだ」
フィリア兄が両方の眉を下げられるだけ下げて、非常にいたたまれない感じで説明してくれた。
「そういえば、自己紹介がまだだったな。俺はフィリアの兄、イアンだ」
「俺はウィルフレッド。ユグドラの管理者だ。こいつは俺の助手でカルロ。で、こっちは護衛のレヴィだ」
「「よろしくお願いします」」
カルロとレヴィもぺこりとお辞儀をした。
「私はアナベラよ。霧雨リザードなの……カルロ君は素敵な魔力をしてるわね。普段はユグドラの街にいるの?」
アナベラはギラリと目を光らせてカルロに質問してきた。心なしか、獲物を狙う目だ。
フィリアの方からは、さらにじとりとした魔力圧が漏れ出している。
「……ええ、そうです」
アナベラの気迫に若干引きながら、カルロは答えた。
「今まで気づかなかったわ。こんなに強い水属性の魔力の子がいたなんて……とっても美味しそう」
アナベラはペロリと自身の唇を舐めた。
「ちょ、ちょっと、アナベラ! あなた、何摘み食いしてるのよ!!」
フィリアがガタンッと席を立って、猫がキーッと毛を逆立てて威嚇するように、アナベラを睨みつけている。
「ア、アナベラ! 客人の魔力を摘み食いするんじゃない!!」
イアンもいきなりの事にびっくりして、わたわたとアナベラを注意している。
「いいじゃない、随分魔力量が多いみたいだし、ちょっと味見しただけよ」
「そういう問題じゃないでしょ!! お客様なのよ! いくら美味しそうだからって、許可も無く、失礼じゃない!!」
「あら、フィリアだって狙ってるんじゃない? 目が美味しそうって言ってるわよ。それに、すぐにカッとなって人を刺しちゃう女なんて、アイザック様に相手にされないものね」
「何よっ!! アナベラだって相手にされてないじゃない! 馴れ馴れし過ぎて、却って失礼なのよ!!」
「はぁ!?」
フィリアは怒りすぎて、ただでさえつり目なのに、さらに般若のように目がつり上がっている。
アナベラもダンッとテーブルを叩いて立ち上がり、怒りでただでさえ丸い顔を真っ赤にして、熟れたトマトのようだ。
イアンは、キーキーとヒステリックに喚く隣の妹の顔を見ては「こわっ」と顔を青ざめさせて引き、噴火したかのような勢いのアナベラには「ヒィッ、お、落ち着け」とその気迫に押されて及び腰だ。
ダンッ!!
それまでずっと静かに茶を飲んでいたアイザックが、コップを持った拳ごとテーブルを叩いた。
SSランクの魔物に相応しい重たい魔力圧が漏れ出ている。
「……いい加減にしてくれないかな?」
いつも朗らかなアイザックにしては珍しく、目が座っている。
そのままギロリとアナベラを睨み付けた。
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「は、はひぃ!」
アナベラが、それこそ蛇に睨まれたように顔を青ざめさせて返事をした。
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「君も、こういうゴタゴタは他所でやってもらえないかな? それこそ、客の前でやる事じゃないよね」
「はいぃ!」
フィリアも顔を青くしてガタガタと震えている。
「何より、カルロは僕の将来のお嫁さんだよ。これ以上、この子に構わないで欲しいね」
「「「「えっ?」」」」
白の領域出身の三人はもちろん、カルロも目を丸くした。
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カルロが本当は女の子であることを知らないイアンは「まさかアイザック様はそちらだったか」と目を剥いて驚き、フィリアとアナベラは大歓喜して黄色い声を上げた。
カルロは何故今この場でそんな「将来のお嫁さん」発言をするのか、とびっくりしている。
「「……尊い……」」
フィリアとアナベラの、アイザックとカルロを見つめる目が変わった——じっとりと熱く、一瞬でも二人のことは見逃すまいとしたねっとりとしたものに……
(な、何!? 急に、怖いよ!!?)
魔物女子二人の熱い視線に、カルロは悪寒を覚えてぶるりと身震いをした。何だか分かりたくはないものの対象にされたのだけは感じた。
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レヴィは「『尊い』とは何でしょうか?」と小首を傾げて、淡々と疑問を呟いていた。
***
「もう、アイザック様とカルロ様、お二人のことは邪魔しませんわ」
「いつでも白の領域にいらして下さい! できれば、アイザック様とカルロ君セットで!!」
フィリアとアナベラは、ほくほくとした笑顔でカルロとアイザックに声をかけた。上機嫌な二人からは、キャッキャとした明るく元気なオーラが放たれている。
フィリアとアナベラのねっとりとした熱視線に見送られ、カルロたちは霧竜の里を後にした。
「レイ、大丈夫だ。この前の刃傷沙汰で、彼女たちはユグドラの街は出禁になってる。白の領域に近づかない限り、これ以上、彼女たちのおかずになることはない」
白の領域から出てすぐに、ウィルフレッドはポンッとレイの肩に手を置き、安心させるように言った。もうレイの「カルロ」呼びは終了したようだ。
(「おかず」って……)
レイは、それは自分の魔力のことなのか、それともカルロとアイザックの事なのか、いろいろ含みを持った単語が気になってしまい、思わずウィルフレッドを胡乱な目で見上げてしまった。
「ゔっ……まあ、一応無事に作業も終わったし、ユグドラに帰ろうか! アニータさんに美味しいご飯を作ってもらおう!」
弟子の不信の目を逸らすように、ウィルフレッドはわざとらしく明るい声で言いい、レイの背中を押して帰りを促した。
「……結局、『尊い』とは何だったのでしょうか?」
レヴィにだけは疑問が残った。
18
◆関連作品
『砂漠の詩』
『雨の回廊』編の過去編スピンオフです。
『冒険者を辞めたら天職でした 〜パーティーを追放された凄腕治癒師は、大聖者と崇められる〜』
『冒険者パーティーを追放された凄腕治癒師を拾いました』編のスピンオフです。
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