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魔動絵本6
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「雨も降ってるし、とりあえず、雨宿りしようか」
アイザックに促され、一旦、山小屋の中に入った。
木造りの山小屋は簡素でこぢんまりとしていて、窓は閉まっており、山仕事に必要な籠や鉈や縄などが小屋の端の方に置かれている。
レイたちは、水魔術で水分を飛ばして服や髪を乾かした。
「ここはまだ物語の導入部分なんだ。ちょっとさっき酷いもの見ちゃってさ、思わず強い魔術を使ちゃったんだよね……まだしばらくは物語は進まないと思う」
明らかにアイザックに元気がない。
レイは何があったのかとまじまじと彼を見つめた。
少し体勢を変えようと手の置き場を変えた時、カサリと紙のような何かが手に当たった。
一昨日、劇場前の土産物屋で見た護符に似たものだ。長方形の紙でできていて、魔術陣が描かれているが、様子がおかしい。禍々しい雰囲気が漂っている。
「!? ……これは護符?」
「いや、護符の姿をしたトラップだよ。もしかして、知恵の英雄の物語なのかな?」
「それなら、知恵の英雄の物語通りにすれば出られるってことですか!?」
魔動絵本は、絵本の通りに物語を読み進めて読了することで外へ出るのが一般的だ。
通常は途中退場も可能だが、改悪された魔動絵本は暗殺用という性質上、途中退場ができない仕様になっている。
ユークラストの水災と英雄の物語にはいくつかパターンがあり、知恵の英雄も二種類ある。
知恵の英雄は、ユークラストの水災と交渉するタイプの物語と、ユークラストの水災を退治するタイプの物語がある。
交渉タイプにはお供え物が物語のキーアイテムとして出てくるが、今回はそれが無い。また、退治するタイプの場合は護符がキーアイテムとして出てくる。
「おそらく……でも護符がこんなんじゃ……」
「護符ならあります」
「!? 僕が昨日渡したやつ?」
「そうです」
「やっぱりフェリクス様には半径五メートルを灰にする方を付けて貰えば良かった……」
アイザックが両手で顔を覆って、肩を落とした。
「気が進まないけど、物語を進めようか」
アイザックがため息をつくように言った。
(本当に元気がなさそう……どうしたんだろ?)
アイザックのかなり落ち込んだ様子に、レイは少し心配になった。
昨日もらった護符の半分をアイザックに渡した後、二人は山小屋の外に出た。
外は雨足が強まっていて、遠くに見える川は水嵩が増して、濁流色の水が渦を巻いて荒れている。絵本の中だというのに、雨の匂いや水の冷たさ、濡れている感触がありありと感じられる。
その時、バキバキと木々が折れるような大きな音がして、二人がそちらを振り向くと、鎌首をもたげた大蛇がこちらを睨みつけていた。
それが森の木々の上から顔を覗かせると、アイザックが何かを堪えるようにぷるぷると小刻みに震え出し、遂に我慢ならんとそれを強く指差して叫んだ。
「何で僕がこんな醜悪な描かれ方されなきゃなんないの!!」
さすがに本家本元からクレームが入った。
大蛇の片目は取れかけの黒い四つ穴ボタンでぷらぷら揺れており、もう片方の目は虚に黒く大きな穴が空き、レイの元の世界のムンクの叫びのような虚無を感じる眼差しだ。
大蛇の鱗の一枚一枚は、ファンシーかつラブリーな柄物の布切れがパッチワークのようにあしらわれていて、ピンクやイエロー、オレンジを基本色に、所々、繊細な白いレースや豪華なフリルも付いている。縫い目は遠目から見ても酷く雑だ。
鱗のパッチワークの上からは蛇模様の代わりに、幾つもの髑髏マークが、幼児が描いたような雑な感じで黒いクレヨンで描かれている。そして蛇体からはみ出している——絵本の中の世界だからこそ可能な荒技表現だ。
「……足?」
レイは気づいてしまった。蛇には無いものに。
クリームパンのような、狐色のふっくらとした三本指が付いた足のようなものが、ムカデのように大蛇の腹側に二列に並んでいくつも付いている。
ファンシーさとシュールさで、別の意味で恐ろしい化け物がそこにはいた。
「何でSSランクでそんな間の抜けた顔してるの!? 戦いに集中できないよ!! 鱗も変だし! しかも、僕の本体は手足付いてないし! この絵本の作者はサーペントを何だと思ってるの!? しかも恐怖感が雑なんだよ! ある意味怖いけど、違うでしょ!!」
レイが隣を見れば、怒涛のクレームである。ここまで怒ったアイザックを彼女は見たことがなかった。
怒りで髪色は元の白地に一筋の蛇柄模様が出ており、瞳孔はサーペントらしく鋭い縦型になっている。
可視化されるほど、ビリビリとした稲妻のような魔力が、アイザックから放たれている。魔力圧も相当出ていて、レイが三大魔女でなかったら動くこともままならなかっただろう。
(これは確かに、黒い絵本の魔術も暴走するよね……)
レイは労わるような目でアイザックを見つめた。
どんな英雄劇でも、ユークラストの水災関連グッズでも怒ることは無かったアイザックが、荒れている。しかも本気の怒りだ。
レイはもう一度大蛇を見た。
アイザックの魔力圧を受けて、心なしか怯えているような、腰が引けているような感じさえする。
おさげのお人形さん柄の鱗は、さっきまではオレンジ色だったが、今は青みがかっていて、豪華だったフリルも今は萎びれている。
全体的に丸いフォルムのその大蛇が、レイは少し可哀想な気がしてきた。
レイはアイザックの服の裾のツンツンと引っ張った。
「早く終わらせて帰りましょう」
アイザックはハッとなってレイを見た。
「確かにそうだね。こんな所、早く出よう」
アイザックは少し気恥ずかしそうに耳を赤らめて、レイの手を取って森の中へ歩き出した。
***
「ここら辺で鹿が出てくるはずなんだけどな……」
アイザックとレイは絵本のページを進めたが、肝心のキーとなる登場人物、逃げ惑う鹿が出てこない。
魔動絵本はページを進めると、それに合わせて各ページに描かれたものが立体的に出てくる。このページでは鹿が出てくるはずだ。
洪水から逃げ惑う鹿に護符を貼り、レイたちの幻影を鹿に貼り付けることで、大蛇を騙すのだ。
だが、肝心の鹿が現れない。
アイザックとレイは絵本の中の森をうろついて探した。
魔動絵本の中に入った者は、絵本に描かれた範囲内でしか移動できない。そこまで広くは無いはずなのだ。
森の中の木や草は、絵本らしく丸みを帯びていて、色鮮やかだ。
じゃりっと踏み締める土の感触や、森の中の鬱蒼とした匂い、草を掻き分けるガサガサとした音や感触は本物だ。
ふと、レイはこちらの様子をじっと窺うような視線を感じた。
そちらを振り向くと、森の茂みの中で鹿が二頭、「お前行けよ」「いや、お前が先に行けよ」と前足で小突き合っているのが見えた。どちらの鹿も顔色が悪い。
「へえ……レイ、ちょっと待ってて」
レイの視線に気付いたのか、アイザックが獲物を見据え転移した。
「ちょっとこっち来て」
アイザックは鹿たちの間に立ち、両腕を両脇の鹿の肩を抱くようにまわしている。まるで不良の上級生が、臆病な下級生に絡んで連行しているようだ。
鹿たちの顔色は、紙のように白くなっている。
何せ本家本元のユークラストの水災(怒)だ。鹿たちにとって、今命があるのが奇跡なぐらいの状態だ。
「レイ、こいつらはブラックホーンディアっていうBランク魔物だよ。本来の物語では普通の動物の鹿なんだけど、改悪バージョンではここで魔物に襲わせる気だったんだね」
アイザックが両脇のブラックホーンディアたちを交互に見た。彼らは慌てて目線を逸らした。きっと目線が合ったら殺されると思っているのだろう。
「君たちにはきちんと仕事をしてもらうよ」
ブラックホーンディアたちに護符を貼ると、アイザックは黒い笑顔で命令した。
彼らは壊れたかのようにコクコクと頷いている。
アイザックがブラックホーンディアの一頭の尻をバシッと叩くと、彼らは本気の走りで逃げ去って行った。
「さて、僕たちも行こうか」
レイはブラックホーンディアたちを少し不憫に思いつつ、頷いた。
二人が次のページに進む時、レイがふと後ろを振り返ると、ファンシーでシュールな大蛇が、おずおずとブラックホーンディアの方へと向かって行っていくのが見えた。
クリームパンなムカデ足でのろのろと進んでいる。何だか歩きづらそうだ。
その背中になんだか哀愁を感じたレイだった。
***
次のページに進むと、遠くの方から「ぐわあああぁぁぁ!」と叫び声が聞こえて来た。鈴を転がすような可愛らしい女の子のような声だ。
「何て声してんの!?」
瞬時にアイザックが振り返ってツッコミを入れた。
「かなり可愛らしい声でしたね」
「いや、ダメでしょ。ユークラストの水災としてあんな可愛い声してちゃ! 全く怖くないでしょ!」
「あのファンシーな見た目でしたら、このぐらい女の子な声の方がいいような気がします」
「それはそうだけど……」
アイザックは納得いかないという風に頭を抱えた。ユークラストの水災として、この種の逸脱は許せないらしい。
その時、ゴゴゴゴゴと揺さぶるような地鳴りが響き、大量の水が押し寄せて来た。
「えっ!?」
「まさか!」
頭を抱えて弱っていたアイザックは、一瞬、行動が遅れてしまった。
レイも急なことに体が動かなかった。
ざっぱんと濁流に飲み込まれ、二人は離れ離れになってしまった。
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「!? ……これは護符?」
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「……足?」
レイは気づいてしまった。蛇には無いものに。
クリームパンのような、狐色のふっくらとした三本指が付いた足のようなものが、ムカデのように大蛇の腹側に二列に並んでいくつも付いている。
ファンシーさとシュールさで、別の意味で恐ろしい化け物がそこにはいた。
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怒りで髪色は元の白地に一筋の蛇柄模様が出ており、瞳孔はサーペントらしく鋭い縦型になっている。
可視化されるほど、ビリビリとした稲妻のような魔力が、アイザックから放たれている。魔力圧も相当出ていて、レイが三大魔女でなかったら動くこともままならなかっただろう。
(これは確かに、黒い絵本の魔術も暴走するよね……)
レイは労わるような目でアイザックを見つめた。
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全体的に丸いフォルムのその大蛇が、レイは少し可哀想な気がしてきた。
レイはアイザックの服の裾のツンツンと引っ張った。
「早く終わらせて帰りましょう」
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「確かにそうだね。こんな所、早く出よう」
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だが、肝心の鹿が現れない。
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クリームパンなムカデ足でのろのろと進んでいる。何だか歩きづらそうだ。
その背中になんだか哀愁を感じたレイだった。
***
次のページに進むと、遠くの方から「ぐわあああぁぁぁ!」と叫び声が聞こえて来た。鈴を転がすような可愛らしい女の子のような声だ。
「何て声してんの!?」
瞬時にアイザックが振り返ってツッコミを入れた。
「かなり可愛らしい声でしたね」
「いや、ダメでしょ。ユークラストの水災としてあんな可愛い声してちゃ! 全く怖くないでしょ!」
「あのファンシーな見た目でしたら、このぐらい女の子な声の方がいいような気がします」
「それはそうだけど……」
アイザックは納得いかないという風に頭を抱えた。ユークラストの水災として、この種の逸脱は許せないらしい。
その時、ゴゴゴゴゴと揺さぶるような地鳴りが響き、大量の水が押し寄せて来た。
「えっ!?」
「まさか!」
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レイも急なことに体が動かなかった。
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