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第2章
第30話 喫茶店での再会
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初めて国会で質問した時は、足も声もガタガタ震えて、頭が真っ白だった。事前の打ち合わせのとおり原稿を読んだけど、予期しない切り返しにおどおどする私が、翌日の各局の情報番組で取り上げられて、宇宙の果てにワープしたくなった。
しばらく面白がって、あんまり真面目じゃない情報番組で取り上げられてパロディっぽくされたり、物真似されたりしたけど、知名度だけは飛躍的にあがり、外を歩くと、とくに女子高生に握手を求められたり、サインを頼まれることもあった。
それでもやっぱり、野次を飛ばしてくる人や、ひそひそと陰口や悪口を言う人もいる。別に慣れているので平気なんだけど、ある日喫茶店でお茶を飲んでいた時に、
「娼婦なんかと一緒の店で食事できないわ」
とわざと聞こえるように言ってきて、食事を半分以上残して出て行ってしまおうとする人がいた。
客は食事代を払わないと店主と揉めていたけど、無銭飲食で訴えます!と店主は返していた。
「店にどんなお客がいても、頼んだものの代金を払わないのは犯罪です。あなた、もしかして最初からそれが目当てで?」
と、店と客が揉めだしたので、代金を払いますと言ったけど、店主はガンとして受け取らなかった。
「それでは道理が通りません。お客様、払っていただけないのでしたら、本当に警察を呼びます」
「わかったわよ。半分しか食べてないんだから半分しか払わないわよ」
客が半分の代金を置いてドアを開けて帰ろうとして、店主が本当に携帯で110番したので、客は慌てて全額を置いて逃げていった。
「いやあ、実は僕の妻も元風俗嬢なんですよ」
「そ、そうなんですか」
という会話をしていたら、チリンチリンと音がして、店主の奥さんらしき人が入ってきたけど、化粧も服装も地味目で大人しそうな人で、一見したところ元風俗嬢には見えない。
「ガムシロ買って来たわよ」
「ああ、ありがとう」
そんな会話をする夫婦がちょって羨ましいなと思いながら、奥さんの顔をもう一度見ると、なんか懐かしい感じが。うーん、でも、こんな知り合いいないよなあとモヤモヤしてたら、彼女のほうから
「あら、珠ちゃん?」
「えっ、あっ、あっ、美神さん?」
なんと、彼女は私をセレブ相手の営業に誘ってくれた先輩だった。
「あっ、大丈夫ですよ。言いませんから」
私と知り合いでまずいんじゃないかと、慌てて言ったら、
「いいのよ。お客さんも彼の家族もみんな知ってるから」
「そ、そうなんですね」
うーん、そんな理解のある家族いるんだねえ。ともあれ、素敵な再会になったよ。
しばらく面白がって、あんまり真面目じゃない情報番組で取り上げられてパロディっぽくされたり、物真似されたりしたけど、知名度だけは飛躍的にあがり、外を歩くと、とくに女子高生に握手を求められたり、サインを頼まれることもあった。
それでもやっぱり、野次を飛ばしてくる人や、ひそひそと陰口や悪口を言う人もいる。別に慣れているので平気なんだけど、ある日喫茶店でお茶を飲んでいた時に、
「娼婦なんかと一緒の店で食事できないわ」
とわざと聞こえるように言ってきて、食事を半分以上残して出て行ってしまおうとする人がいた。
客は食事代を払わないと店主と揉めていたけど、無銭飲食で訴えます!と店主は返していた。
「店にどんなお客がいても、頼んだものの代金を払わないのは犯罪です。あなた、もしかして最初からそれが目当てで?」
と、店と客が揉めだしたので、代金を払いますと言ったけど、店主はガンとして受け取らなかった。
「それでは道理が通りません。お客様、払っていただけないのでしたら、本当に警察を呼びます」
「わかったわよ。半分しか食べてないんだから半分しか払わないわよ」
客が半分の代金を置いてドアを開けて帰ろうとして、店主が本当に携帯で110番したので、客は慌てて全額を置いて逃げていった。
「いやあ、実は僕の妻も元風俗嬢なんですよ」
「そ、そうなんですか」
という会話をしていたら、チリンチリンと音がして、店主の奥さんらしき人が入ってきたけど、化粧も服装も地味目で大人しそうな人で、一見したところ元風俗嬢には見えない。
「ガムシロ買って来たわよ」
「ああ、ありがとう」
そんな会話をする夫婦がちょって羨ましいなと思いながら、奥さんの顔をもう一度見ると、なんか懐かしい感じが。うーん、でも、こんな知り合いいないよなあとモヤモヤしてたら、彼女のほうから
「あら、珠ちゃん?」
「えっ、あっ、あっ、美神さん?」
なんと、彼女は私をセレブ相手の営業に誘ってくれた先輩だった。
「あっ、大丈夫ですよ。言いませんから」
私と知り合いでまずいんじゃないかと、慌てて言ったら、
「いいのよ。お客さんも彼の家族もみんな知ってるから」
「そ、そうなんですね」
うーん、そんな理解のある家族いるんだねえ。ともあれ、素敵な再会になったよ。
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