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第2章
第29話 当選しちゃったよおおお!
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巷ですごい人気になっていた我が党は、選挙カーが出るたびにすごい人だかりができた。
半数以上が好奇心や、色っぽい服装のスタッフが目当ての輩だけど、結構普通の主婦にも支持され、サラリーマンや学生にも応援されている。まあ、これも多くが面白半分だったり、容姿に惹かれてる人達だけど。
時々、利子ちゃん自慢の法律案に反発する元風俗店の経営者たちが野次を飛ばしたり、風紀が乱れると、教育関係の団体や、婦人会みたいなマダム集団がプラカードやスケッチブックにマジックで書いたやつ持って立ってるけど、応援の勢力に負けてる。挙句の果てには鉢巻きしてペンライト持って踊る親衛隊も誕生しちゃったよ。
そんなこんなで当選してしまった私、初登院の日は自称親衛隊が議事堂前でオタ芸を思いっきり披露して警察が来ちゃった。
政治なんてなんにも分からないのに、国会なんて来ちゃってどうしたらいいのかまったくわからないけど、弁護士が秘書になってくれたから、もう頼るしかない。
まだ準備の整わない事務所でどきどきしていると、利子ちゃんと党首と例の議員と秘書が応援に来てくれた。
「どう? 議員様になった気分は」
「やめてよお、もう、ぶるぶるだよお」
「ふふふ、大丈夫よ。私たちが付いてるから。まあ、今日は初日だけど、珠ちゃんの使命は、大統領になることだからね」
「いや、無理でしょ」
「まあまあ、私が国会に大統領制施行の法律案を提案して、実現させるから、珠ちゃんは立候補するだけよ」
「や、や、や、だけって。むりいいいいいいいいいいい」
「もう、往生際が悪いわね。前から言ってたじゃない」
「いや、それはもっと先の話でしょ」
「何言ってるの。時間は限られてるのよ。そんな悠長なことはいってられないわ」
「いや、そもそもなんで大統領制にしなきゃいけないの?」
「見て」
と、利子ちゃんがテレビを指さし、今の内閣組織図が写真入りで表示されているタブレットを私の目の高さに持ってきた。
指さした先にはテレビがあり、首相が記者に囲まれて歩いている。
「これが今の日本のトップよ。どう思う」
「ど、どうって言われましても・・・」
政治なんて別世界だと思ってた私には、なんのことやら。
「この国は世界でも上位の先進国で生活水準も高いはずなのに、体を売って生活しなきゃいけない婦女子がいなくならない。おかしいと思わない」
「まあ、確かに」
「その元凶がこれよ」
と再びテレビを指さし、今度はタブレットを高々と掲げた。
「どういうこと?」
「みて、この旧体然とした男社会」
「まあ、だいたい大臣って男じゃない」
「女の大臣もいるけど、話題づくりと華を添えるためのお飾り!」
「うーん、でも防衛大臣さんは東大出てるし、人気もあるし」
「まあ、それはおいといて」
(おいとくんかい!)
「なぜ、女性の総理大臣が生まれないのか」
「うーん、そうは言っても政治家になりたい女の人って少なくない?」
「まあ、それもあるけど、この国が内閣制なのが問題なのよ」
「はあ、ごめん、よくわかんない」
「忖度、しがらみ、利害がぐっちゃぐっちゃに絡み合ってるってこと」
「それもわかんない」
「そう、だから大統領制にしなくちゃならないの! 現代のジャンヌダルクになるのよ珠ちゃん」
ジャンヌダルクって名前は知ってるけど、どういう人かよく知らないんだよね。
そして、珠ちゃんが指さしてるえらい人達、数人は私の元お客だった。実は私、お店とは別にセレブ御用達の秘密クラブで秘密のバイトしたことがあったんだ。
まだ、仕事を始めたばかりの時に店の先輩に誘われて行ったんだけど、私がその時の子だと覚えてる人はいなそうだった。
その時は破格の報酬を払ってくれて、家計がすごく助かったので、私にとっては恩人でもあるんだけどね。
半数以上が好奇心や、色っぽい服装のスタッフが目当ての輩だけど、結構普通の主婦にも支持され、サラリーマンや学生にも応援されている。まあ、これも多くが面白半分だったり、容姿に惹かれてる人達だけど。
時々、利子ちゃん自慢の法律案に反発する元風俗店の経営者たちが野次を飛ばしたり、風紀が乱れると、教育関係の団体や、婦人会みたいなマダム集団がプラカードやスケッチブックにマジックで書いたやつ持って立ってるけど、応援の勢力に負けてる。挙句の果てには鉢巻きしてペンライト持って踊る親衛隊も誕生しちゃったよ。
そんなこんなで当選してしまった私、初登院の日は自称親衛隊が議事堂前でオタ芸を思いっきり披露して警察が来ちゃった。
政治なんてなんにも分からないのに、国会なんて来ちゃってどうしたらいいのかまったくわからないけど、弁護士が秘書になってくれたから、もう頼るしかない。
まだ準備の整わない事務所でどきどきしていると、利子ちゃんと党首と例の議員と秘書が応援に来てくれた。
「どう? 議員様になった気分は」
「やめてよお、もう、ぶるぶるだよお」
「ふふふ、大丈夫よ。私たちが付いてるから。まあ、今日は初日だけど、珠ちゃんの使命は、大統領になることだからね」
「いや、無理でしょ」
「まあまあ、私が国会に大統領制施行の法律案を提案して、実現させるから、珠ちゃんは立候補するだけよ」
「や、や、や、だけって。むりいいいいいいいいいいい」
「もう、往生際が悪いわね。前から言ってたじゃない」
「いや、それはもっと先の話でしょ」
「何言ってるの。時間は限られてるのよ。そんな悠長なことはいってられないわ」
「いや、そもそもなんで大統領制にしなきゃいけないの?」
「見て」
と、利子ちゃんがテレビを指さし、今の内閣組織図が写真入りで表示されているタブレットを私の目の高さに持ってきた。
指さした先にはテレビがあり、首相が記者に囲まれて歩いている。
「これが今の日本のトップよ。どう思う」
「ど、どうって言われましても・・・」
政治なんて別世界だと思ってた私には、なんのことやら。
「この国は世界でも上位の先進国で生活水準も高いはずなのに、体を売って生活しなきゃいけない婦女子がいなくならない。おかしいと思わない」
「まあ、確かに」
「その元凶がこれよ」
と再びテレビを指さし、今度はタブレットを高々と掲げた。
「どういうこと?」
「みて、この旧体然とした男社会」
「まあ、だいたい大臣って男じゃない」
「女の大臣もいるけど、話題づくりと華を添えるためのお飾り!」
「うーん、でも防衛大臣さんは東大出てるし、人気もあるし」
「まあ、それはおいといて」
(おいとくんかい!)
「なぜ、女性の総理大臣が生まれないのか」
「うーん、そうは言っても政治家になりたい女の人って少なくない?」
「まあ、それもあるけど、この国が内閣制なのが問題なのよ」
「はあ、ごめん、よくわかんない」
「忖度、しがらみ、利害がぐっちゃぐっちゃに絡み合ってるってこと」
「それもわかんない」
「そう、だから大統領制にしなくちゃならないの! 現代のジャンヌダルクになるのよ珠ちゃん」
ジャンヌダルクって名前は知ってるけど、どういう人かよく知らないんだよね。
そして、珠ちゃんが指さしてるえらい人達、数人は私の元お客だった。実は私、お店とは別にセレブ御用達の秘密クラブで秘密のバイトしたことがあったんだ。
まだ、仕事を始めたばかりの時に店の先輩に誘われて行ったんだけど、私がその時の子だと覚えてる人はいなそうだった。
その時は破格の報酬を払ってくれて、家計がすごく助かったので、私にとっては恩人でもあるんだけどね。
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